2005年3月5日
フランス社会運動の雪合戦
クルーズ県ゲレで公共サービス防衛のためのデモ

新自由主義政策に報いている社会党の指導者フランソワ・オーランドには
たくさんの雪玉が投げつけられた・・・。


エルベ・ケレン(SUD−PTT)
『伝送便』2005/4 No.313より
 昨年9月にクルーズ県(フランス中央山塊の山間部)の市町村議員と市長あわせて263名が公共サービスにおける農村地帯の過疎化に抗議して辞職した。実際、郵便局がなくなり(五年のうちには半分以上が廃局になる)税務署、国鉄の駅と鉄道が廃止となる。農村地帯で人口を維持することができるすべてのものが新自由主義によって課せられた収益性の名のもとに閉鎖される。
 クルーズ県の議員たちは住民たちと公共サービスを守るクルーズ委員会を結成した後、同時にクルーズ県で全国的なデモを呼びかけた。なぜクルーズ県で?答えは簡単だ。なぜならパリでデモをしながらパリの中央集権主義を非難し続けるは困難だし、公共サービスを守るというテーマでは人口12万人の小さな県とその県庁所在地であるゲレ(パリから約400キロ南、人口1万4千人)でデモをしながら田舎に注目を集めるいい機会だからだ。
 呼びかけは、左派政党(社会党、共産党、緑の党、LCR)と労働組合(CGT、FSU、連帯労組、FO)と全国の公共サービスを守るグループによってなされ、3月5日にデモが行われた。

 〔訳注〕
 LCR(革命的共産主義者同盟)
 CGT(労働総同盟、全国第一位のナショナルセンター)
 FSU(統一組合同盟、教員を中心とする公務員の組合)
 FO(労働者の力、全国第三位のナショナルセンター)
 連帯労組(SUD系労組連合)

 その日はフランス全土が大雪という悪天候で高速道路はふさがれ多くの県では雪のためバスがストップしたにもかかわらず、8千人がゲレの小さな通りをデモ行進した。吹雪の中、約2千人ごとの大きな3つの隊列で、公共サービスを守るグループや色とりどりの多数の旗(とりわけSUDが多かった)を掲げた連帯労組、そしてCGTがデモ行進した。それに比べればずっと少ないが、各政党の姿もあった。演説では連帯労組議長のアニク・クペ(彼女は元SUD−PTTの議長)が大きな拍手喝さいを受け、そして新自由主義政策に報いている社会党の指導者フランソワ・オーランドにはたくさんの雪玉が投げつけられた。
 このデモは様々なメディアに大きく取り上げられ、新自由主義政策に反対する大衆動員の可能性と、また5月末に予定されているEU憲法(これには絶え間なく発揮される新自由主義の位置づけと、本文の初めから終わりまで繰り返されている競合によってかき消されてしまっている公共サービスの概念の欠如のため批判が集まっている)の国民投票に対して結集する力の試金石となった。