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<ATTACニュースレター日本語版2002年第13号/転載歓迎>
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ATTACニュースレター「サンド・イン・ザ・ホイール」(週刊)
     2002年4月3日号(通巻第122号)
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         Sand in the wheel
  Weekly newsletter - n°122 - Wednesday 03 April 2002.
CHALLENGE THE WORLD BANK(世界銀行に"NO"を)
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《attac‐jインフォメーション》

◆首都圏/スーザン・ジョージ著『徹底批判WTO』出版記念――スーザン・ジョージと反グローバリゼーション運動を考える集い/4月26日(金)午後6時〜/渋谷区勤労福祉会館(JR・地下鉄「渋谷駅」下車7分)/お話:杉村昌昭(竜谷大学)さん/佐久間智子(元市民フォーラム2001)さんほか 

◆関 西/「徹底批判WTO-スーザン・ジョージの新著の紹介」報告/5月11日(土)午後2−5時/スペースAK(地下鉄・南森町、JR東西線・大阪天満宮より徒歩5分)/報告:杉村昌昭(ATTAC関西グループ代表)

《 も く じ 》
1−合法が正義とは限らないし、正義が合法とは限らない(What is legal is not always just, and the just is not always legal)
正しい法律と不正な法律をどう区別するか?合法と非合法を、公正と不正をどう区別するか?法に適うことは全て正しくあるべきだと理性は求める。しかし残念ながら現実は違う。法に適うことが正しくないことがしばしばあり、個人や国家に攻撃をしかける諸々の法律がある(927語)。

2−今週注目の経済記事(Outstanding Economic Stories of the Week)

◎鉄鋼製品関税◎米連邦準備委員会と景気後退◎ベネズエラ産の石油◎ロシアと OPEC◎ヨーロッパの成長と不景気◎ストックオプションの会計処理(1717語)。[これは「経済・政策研究センター」共同ディレクターのDean Baker氏が「ニューヨークタイムズ」および「ワシントン・ポスト」紙に毎週掲載している論評の抜粋です。翻訳は省略しました。関心のある方は

http://www.cepr.net/Economic_Reporting_Review/index.htm (英語)

をご覧ください]

3−関与から抗議へ(From Engagement to Protest)

4月18〜19日の日程でワシントンDCで開催される「関与から抗議へ」は、世銀に対する積極的関与を通じて、あるいはもっと直接的な手段によって変革を実現しようとしてきた世界各地の組織やネットワークの代表が参集するユニークなフォーラムである。各グループの手段は様々だが、行動主義、市民動員、大衆抗議運動を通じて、世銀その他のグローバル金融機関および南北双方の各国政府と企業に対し引続き圧力をかけることを求める点で一致している(935語)。

4−プエブラ・パナマ計画−企業グローバリゼーションの次ぎのステップ(Plan Puebla-Panama: The Next Step in Corporate Globalization)
米国に本拠を置く企業は、政治的安定(つまり、鎮静化された国民)および財産の国際的所有権を認める強制力のある通商法(米州自由貿易地域)という脈絡の中で自然資源に手をつけたいと切望している(1131語)。

5−「水と光と土地はすべての人々のもの」
(Water, Light, And Land For All!)
論議を呼んでいるダム建設をめぐって、NGOとダム建設の影響を受ける地元住民がダム建設反対地域連合を設立し、それが2002年3月にグアテマラのケッサールで開催された第1回目の「生きるための中米会議」に結実した。ヨーロッパと南北アメリカ各地から地域社会や組織の代表が集まり、プエブラ・パナマ計画に含まれるダム建設プロジェクトに反対する長い戦いを開始した(1478語)。

6−世界各地のATTAC会合(省略)

《 要 約 版 》

●合法が正義とは限らないし、正義が合法とは限らない
What is legal is not always just, and the just is not always legal
By Adolf Perez Esquivel(アドルフ・ペレス・エスキベル、アルゼンチンの1980年ノーベル賞受賞者)

[全文訳です]

 偉大な思想家、ヘンリー・ソローは、公民権の擁護に当たって不正に対して非暴力的手段で対抗することを提案し、多くの人々に幾世代にもわたってインスピレーションを与えてきたのであり、個人的にも社会的にも行動と倫理観に対して深い影響を及ぼしてきた。真理と正義の追求において、彼はインスピレーションと実際的方法の源泉であったし、現在もそうである。彼の教えから自由の進路と個人および国家の権利の擁護を学び取るにことに成功し、大衆的不服従を条件とし、生活の流儀とした人々がいる。マハトマ・ガンジーその他にソローはインスピレーションを与えたのである。実際、ソローは行為と思索を結び付けたのであり、言わば現行一致を成し遂げたのである。

 合衆国がメキシコに仕掛け、結果としてメキシコ国民が領土を大量に失うこととなった戦争の間に、そのような決断の一つが行われた。ソローはその戦争に反対したが、人々もその戦争を不正であり非暴力的手段によって抵抗し反対すべきだと考えた。ソローは言葉だけでなく行動に移し、戦争のための税金の支払いを拒否した。その反抗的態度によって彼は投獄されたが、不正への抵抗に伴う情況の一つと理解してそれに耐えた。不正を我慢すれば我々は結局その不正の共謀者になってしまうと、彼は常々言っていた。

 1848年、マサチューセッツ工科大学で、社会全体が容認すべき原則と価値、および個人と国家が採るべき行為を説いた論文をソローは出版した。要するに彼は次ぎのように述べている。「自由を愛する者は誰もが法律を尊重すべきである;誰もが法律を尊重し、また法律が尊重されるようにしなければならない;全ての文明社会において共存と相互の尊敬を我々に可能とするよう我々は法律に批判的な注意を傾け、その値打ちを決定しなくてはならない。」「法律が全て正しいのではない」と言う時、ソローは明白な警告を発しているのである。つまり、個人や国民の権利を侵害する法律もあるのであり、従ってそのような法律は社会に害を及ぼし民主的共存を危険に曝す故に不正であり、完全に無効となるまで抵抗しなくてはならないのだ。

 自分の責任を弁えている市民の誰もが不正と戦う権利を有しており、不正な法律に対する不服従の結果を甘受する準備をしておくべきだとソローは言う。

 正しい法律と不正な法律をどう区別するか?合法と非合法を、公正と不正をどう区別するか?法に適うことは全て正しくあるべきだと理性は求める。しかし残念ながら現実は違う。法に適うことが正しくはないことがしばしばあり、個人や国家に攻撃をしかける諸々の法律がある。「イエスは律法を廃するためではなく成就するためにきたのだ。律法のために人がつくられたのではなく、人のために律法がつくられたのだ。」と福音書は教えている。しかし、こうした価値は変更され、低められ、各人を不正な法律に服従させている。

 アルゼンチンでは社会的要求行為は刑事犯とされ、憲法で保証された権利に全く反し、民主主義に甚大な損害を与える法律や行政命令が採択されている。

 「終止符法」(正式には「訴因時効法」)(Full Stop、86年12月制定、下級軍人による人権侵害の提訴の期限を設定し、それ以降の告発を封じる)法と「義務服従法」[Due Obedience、87年6月制定、軍政時代の人権侵害に加わった下級軍人の免訴を可能にした]を挙げることができる。これらの法律は長期にわたる闘争を経て廃止されたけれども、完全に効力がなくなったのではない。つまり、これらの法律はアルフォンシン政府の下で採択されたあと18年間[?]施行され、ジェノサイド(大量殺人)を法的に処罰対象外とし、アルゼンチン国民を無防備な状態に置いたのである。

 「Financial Pen」法は銀行を信頼して資金を預けた中・小口預金者全員を拘束しており、今日彼ら預金者は、国民の預金を手にした金融センターや銀行に不正な法律によって特権を与えてきた、歴代政府の無防備な犠牲者となっている。

 これは合法的であることが正しいとは限らない明かな事例である。正当化できないものを正当化するのに、政府が実際的手段よりも意匠を凝らした言葉を使うのは明白だ。なぜなら、実際には言行が一致しないので、政府は小器用な刺激ないし腐敗行為に法的な免責措置を与えているからである。

 政府はアルゼンチンの主権と自決権を放棄し、資源を巨大な海外投資家と国内投機の手に委ねてしまった。つまり憲法と全国民の権利を侵して、政府はIMFと世銀に課せられた政策を甘受したのである。

 民主的で全員に公平な統治を行うという国民から委任された権限の遂行に政府は失敗した。病気や非識字率の増加、生活物資の不足、人々の発展の欠如を見るのはもうたくさんだ。現行政府もその前に続く政府もみなが義務を放棄したのだ。国家の利害よりも派閥の利害を優先する共謀的で黙認的な国会に直面しながら、公正を奪還するために、無防備の状態で、人々は外に出て様々なデモに訴えたのだ。国民から委任された権限を守る議員は例外的であり極めて希であった。

 我々の最高裁は疑問視され、政治権力の共謀者だと非難されている。 正と不正とを、また真実と虚偽とを区分する法的枠組を設けることが必要である。

法律は歴史と人類の生活を通して人々が勝ち得た権利であり、我々が共に暮らすこと、そして市民として当然の相互に尊敬の念を表わすことを可能とするものである。民主主義に対する権利は、日常生活の中に組み込まれている自由の実りであり、全員に対する公平を可能とするものである。

(2002年3月11日、ブエノスアイレス、初出:Correo Informativo-Grano de Arena)

●関与から抗議へ

>From Engagement to Protest

4月18〜19日の日程でワシントンDCで開催される「関与から抗議へ」は、世銀に対する積極的関与を通じて、あるいはもっと直接的な手段によって変革を実現しようとしてきた世界各地の組織やネットワークの代表が参集するユニークなフォーラムである。各グループの手段は様々だが、行動主義、市民動員、大衆抗議運動を通じて、世銀その他のグローバル金融機関および南北双方の各国政府と企業に対し引続き圧力をかけることを求める点で一致している。

 フォーラムを実行組織は、「構造調整に関する参加型の検討のための国際ネットワーク」(The Structural Adjustment ParticipatoryReview International Network(SAPRIN)、「発展の格差」(TheDevelopment Gap)、「50年でたくさんだ」ネットワーク(The50years Is Enough Network)、「国際河川ネットワーク」(International Rivers Network)であり、SAPRINとHeinrich BoellFoundationが支援している。

 4月18日初日には5ヶ国から集まったSAPRIN代表が、世銀の構造調整政策の無残な結果について世銀と合同で行った現地評価調査結果について、また世銀がその調査結果を否認しようとしたことについて報告する。プログラムその他の情報については:www.saprin.oro/www.developmentgap.org/www.50years.org/www.irn.org まで。

一般的な質問は:secretariat@saprin.orgまで。

●プエブラ・パナマ計画−企業グローバリゼーションの次ぎのステップ

Plan Puebla-Panama: The Next Step in Corporate Globalization
By Tom Hansen and Jason Wallach, Mexico-Solidarity Network

プエブラ・パナマ計画(PPP)は北米自由貿易協定(NAFTA)の成果たる企業中心のグローバリゼーションの次の大きなステップを代表するものだ。

 パナマ地峡を跨ぐ一連の交通と搾取工場回廊の建設によって、太平洋と大西洋に挟まれ戦略的な位置にあるこの地域への海外投資をPPPは鼓舞するであろう。

 メキシコのフォックス大統領は、既にメキシコ北部で壊滅的な結果に終わった輸出指向生産モデルを、多少の工夫を加えて移転しようとしている。パナマ地峡は世界で最も生物多様性に富んだ地域の一つであり、この豊富な資源の利用がPPP計画の鍵となっている。

 米国に本拠を置く企業は、政治的安定(つまり、鎮静化された国民)および財産の国際的所有権を認める強制力のある通商法(米州自由貿易地域)という脈絡の中で自然資源に手をつけたいと切望している。

●「水と光と土地はすべての人々のもの」

Water, Light, And Land For All!

By Global Exchange

 以下は02年3月にグアテマラで開催された、「水と光と土地はすべての人々のもの」フォーラムの報告と宣言文である[宣言文は省略しました]。

 世界ダム委員会(World Commission on Dams)は1998年に設立され、2000年には「ダムと開発」と題する総合報告書を発表した。その報告書は、ダム建設によって 4000万人以上が移転させられ、地域経済が悪化し、地域社会が崩壊したことを明らかにした。また、ダム建設が生物多様性に圧倒的な悪影響を及ぼし、水生生物の絶滅、森林と耕地の大規模な消滅を引き起こしたことも明らかにした。ダム建設による利益の大部分はダム周辺の土着農業社会の疲弊という犠牲と引き換えに富裕層のものとなった。

 現在、世銀と米州開発銀行の支援を受けたプエブラ・パナマ計画(PPP)が、メキシコ東南地域と中米でダム建設を拡大しようとしている。2001年6月のPPPの開始以来、ホンジュラスやエルサルバドルで、ダム建設反対者は継続的に暴力に直面している。

 国際的な諸々の開発銀行はダム建設に関連した人権侵害や住民移転に長い間一定の役割を果してきた。過去50年以上にわたって、世銀は92ヶ国に538のダムを建設するために750億ドルを投資し、1千万人以上を移転させた。グアテマラのチコイ・ダムもこの中に含まれるが、ここでは1980年代初期に約400人のマヤ族住民が虐殺された。1996年になって初めて人権擁護団体がこの虐殺のことを知り、世銀が衝突のあったことを認めたのである。

 メキシコのチアパス州の不安定な情況からすると、上記にような悲劇が容易に繰り返される可能性がある。問題地帯の42候補地のいくつかにダムが建設され、それがサパティスタ自治コミュニティの強制移転につながることが懸念されている。ダム建設サイトのいくつかが、結局は自治を求めて闘争を続けている原住民の訓化に利用されるのではないかと多くの人が心配している。チアパスは既にメキシコの水力発電量の 45%を生産しているにも拘らず、同州住民の23%に電気がない(国全体の平均は6.1%)。

 このような議論のある計画に対して、NGOと影響を蒙る地元社会が反ダム地域戦線を築き、それが2002年3月にグアテマラのケッサールで開催された第1回目の生活に関する中米会議に結実した。ヨーロッパと南北アメリカ各地から地域社会や組織の代表が集まり、PPPに含まれるダム建設計画に反対する長い戦いを開始した。次回のフォーラムは来年ホンジュラスで、世界ダム反対運動の日(World Day of

Action Against Dam)に開催される予定である。