−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 《インフォメーション》 <第2回世界社会フォーラム(ポルトアレグレ)報告会> --------------------------------------------------------- 《 も く じ 》 1−世界社会フォーラム(World Social Forum) 2−世界銀行理事会への申し入れ書(Letter to the World Bank) 5−売りに出される教育(Education on sale) 《 要 約 版 》 ●世界社会フォーラム ブラジル、フランス、イタリアその他のボランティアのお陰で、ポルトアレグレでの第2回世界社会フォーラムの期間中、私たちは日刊ニュースレターを発行できた。 このウェブサイトから、最終宣言、各種記事、写真ルポを見ることができる。また、 Nicola Bullard、Fred Azcarate、RobertoBassio 、Immanuel Wallersteinなどとの独占オンライン・インタビューも掲載できた。 今回の第2回世界社会フォーラムは、数字的にも政治的にも、第1回の後の重要な一歩となった。6万人という参加者は第1回の4倍であり、参加者が多かったのは、ブラジル、イタリアとアルゼンチン(共に1400人)、フランス(800人以上)、米国(420人以上)、スペイン、チリ、ウルグアイ、カナダなどであった。 来年、新たな世界フォーラムがポルトアレグレで開催されるが(2004年はインドで開催)、それに先立ち地域会議が開催される。第1回ヨーロッパ社会フォーラムはイタリアで開催され(第2回目はフランスで開催)、その最初の準備会合が3月9日にブリュッセルで開催される。 2001年と2002年の世界社会フォーラムと2001年8月のメキシコ会議に結集した社会運動団体は、それぞれ独自の任務がある。6月のローマでの会議はFAO総会直前に、8月のヨハネスブルグでの会議は国連持続可能な開発会議(リオ+10)の直前に予定されている。 ●世界銀行理事会への申し入れ書 Letter to the World Bank --------------------------------------- 世銀理事会 [_____]殿 民間セクター開発(PSD)戦略が、今月、理事会(Board of Executive Directors)で検討されることになっていますが、私たちは、PSDがWTOの議論にどう関わるかについて世銀が関係者に諮るまでは同戦略の検討を延期することを要求するものです。私たちはこれが債務国の国民にとって重大な問題であると考えます。 特に、基本的サービスセクター(教育、保健、飲料水、衛生、電力、交通、治安、図書館、保険など)に対する、既存および今後制定される貿易ルールの適用が、同戦略によってどのように促進されるかを検討するよう要求します。サービス貿易一般協定(GATS)のルールが基本的サービスに適用されると、特に貧困および弱者層の同サービスへのアクセスを危うくするものと信じます。 <基本的サービス> PSD戦略は、基本的サービスセクターをGATSルールに晒し、政府開発援助を公共サービス提供者の助成に使わせ、途上国が柔軟に調整することを妨げ、WTO交渉での途上国の立場を不利にするでしょう。 <投資> PSD戦略では、次世代型の政策融資ないし構造調整融資を通じて、最低「投資基準」を設けることが提案されていますが、私たちは以下の理由でこれに反対します。第1に、WTO主催の投資基準交渉において、一定の投資基準を有する世銀支援の構造調整計画を同時に実施する場合には、途上国は不利な立場に置かれるでしょう。第2に、あるセクターに投資基準が適用されると、投資家の信頼を築くために債務国の基準が「封じ込められる」可能性があります。ヨーロッパでは現在、エネルギー分野への投資自由化政策が崩壊し、根本的見直しを迫られていますが、一定の基準に政府が「封じ込められて」しまうと、政府は政策変更の権限を失ってしまいます。最後に、投資基準の採用に関して途上国の立場をどう確保するかをWTOメンバーが決定しないままに、世銀はそうした基準の制定を進めるべきではありません。 <結論> 私たちはPSDの検討を延期し、特に世銀が擁護しようとする弱者層への影響について更に徹底的に協議するよう要求します。 敬具 ・賛同の署名をお送り下さい。 [賛同署名の送付先:Globalization Challenge Initiative のSameer Dossani :sdossani@igc.org] テロとの戦争には多額の費用がかかるだろうが、誰もが知っているように、それは調達可能だ。ならば、社会保障制度も賄えるはずだ。 ブッシュ大統領は、2003年度国防予算の480億ドル増額を提案している。これは、インフレ分を除いても約380億ドルの増額である。また、本土安全保障予算として380億ドルを提案しているので、双方を合わせると、予算増は760億ドルとなり、これは 2003年の予測GDPの0.69%に当る。 この額は、偶然にも、社会保障制度管理当局が最新レポートで予測している不足分とほぼ同じであり、GDPの0.7%の増税を行えば、社会保障制度は今後75年間十分に機能するとしている。 もちろん、社会保障制度に関して次年度に増税その他の大きな改革はありそうもない。しかし、国の対応が遅れると問題が大きくなることを、多くの政治家や財政専門家が警告している。この警告に間違いはないが、問題は、対応の遅延がどれだけの違いを産むかということだ。仮に、国が10年放置した場合、管理当局の予測が正しいなら、制度を維持するのにはGDPの0.86%の増税が必要となる。これは、テロとの戦争のための来年度予算増の1.25倍に当る。 もし、将来のある時点で社会保障制度のための増税が予測されることが経済の健全性への脅威だというなら、現在テロとの戦争のために計画されている予算もまたそうだということになる。また逆に、テロとの戦争の予算が比較的簡単に融通できるならば、社会保障制度の維持に必要な増税もまた比較的簡単に可能だということになる。 ●労働組合とWTO 過去20年間の新自由主義グローバリゼーションの時代には、NGOを含めて多様でゆるやかに組織された新たな運動が発展し、これは次第に裾野の広い社会運動を含むようになっている。この「さまざまな運動から成る運動」は、新自由主義経済政策の分析とその本当の顔の発見、並びに抵抗運動の動員に決定的に重要であるが、主な手段は、新たな世界秩序の担う政治経済のリーダーのサミットで、キャンペーン、ロビー活動、デモなどを行うことだった。 この新たなグローバル運動ないし同盟はシアトルの闘争で本格的に成立した。この闘いに参加してきた私たちは、WTOサミットを破綻させようと多大な時間を割いた。しかし、闘争から少し時間を置いて考えた時、また、シアトル後の情況を検討した結果、街頭動員はサミットに破綻を来す主要原因の一つでしかないとことに気付いた。 米国とEUとの対立、途上国グループの抵抗、そして街頭動員は相互に補完的な要素だとしても、おそらく前者2つがより重要であったと思われる。 シアトル以後、昨年7月のジェノバG7会議での、約25万人という驚異的動員は、この種の大衆抵抗運動が更に成長過程にあり、巨大な規模に達し得ることを実証した。しかし、この大衆抵抗運動の成長にも拘らず、権力を握るエリートは昨年11月にドーハ会議でWTOの再建に成功した。すなわち、私たちは敗北したのであり、この敗北は、ジェノバで証明されたように大衆抵抗運動がこれまで以上に力強く、途上国も従来以上に準備を整えていたその時に起きたのだ。 この闘いをさらに前へ進めるためには、シアトルで不意打ちされたエリートたちが即座にこの大衆抵抗運動の意味――それが彼らの経済政治的利害にとってどのような脅威なのか――を理解したということを知る必要がある。その理解に基づいて彼らは戦略を再考し、反撃対策を再構築したのであり、イェーテボリとジェノバでの警察の行為はその一部だ。彼らの目的の1つは多くの聴衆、特に労働組合運動に、新自由主義に対するグローバル同盟に加わらないよう脅しをかけることだった。なぜなら、労働組合運動ないし労働者が参加すると、この抵抗運動の性格を変え、質的に高度な闘争となることを、彼らは非常によく知っているからだ。 ▼第1点:なぜWTOとの闘いにおいて労働組合が重要か。 これが、正に、労働組合運動が社会運動で決定的役割を担う点である。労働組合運動は社会の経済価値を労働を通じて生産する人々を組織しているということに、その戦略的立場がある。現在の経済システムは賃金労働者に依存しているので、社会運動への労働組合運動の参加は不可避である。この点に関する認識が、多くのNGOや新たな運動の参加者に欠けている。 ▼第2点:労働組合が参加するとどういう結果となるか。 ▼第3点:新たな運動と旧来の運動をどう結びつけるか。 他方、新しい、ゆるやかに組織された、グローバル運動が、これから長期にわたって社会運動で重要な役割を演ずるためには、より恒久的で堅固な構造を確立する必要があるだろう。それは労働組合運動との密接な協力の結果として達成されるだろう。うまくいけば新旧の運動は、相互に補完し合い、闘争を高いレベルに引き上げるだろう。 ●売りに出される教育 WTOイニシアティブが、良質の公教育システムを望むすべての人々が信奉している原理と全面的に対立する大きな危険がある。フランスのある大学の門に「ナイキ大学」という落書きが描かれた。ベルリンで大衆的に闘われた大学の占拠闘争が警官隊によって暴力的に排除された。イタリアでは国会の審議が妨害され、スペインでは大衆的なデモが起こった。ヨーロッパ中で、教育予算カットの拡大に怒った学生で通りが埋まった。これは、単にヨーロッパのみでなく、世界的な教育への攻撃に対する1週間に及ぶ一連の行動の1つであり、大規模デモとして最高潮に達し、12月末にブリュッセルに集まったEUのリーダーたちを迎えたのだ。 貿易サービス一般協定(GATS)は抽象的な問題ではない。それは学生自治会が他人事としてやりすごすような問題ではない。私たちから公費による良質の教育を奪い、奨学金を奪い、大学を精神製造工場に変え、もはや知的発展と刺激に関心を持たず、未来の薄暗い悪魔が棲む工場の従順な自動機械として働く学生を乱造しようとする、グローバル・エリートたちの共同作戦が、私たち全員の生活に忍び込んでいる。 ----------------------------------------------------------------------------------------- 英語版の購読申込みは newsletter@attac.org まで、 |