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<ATTACニュースレター日本語版2002年第5号/転載歓迎>
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PAPERS KILL ATTACニュースレター「サンドインザホイール」(週刊)
2002年1月23日号(通巻114)号
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Sand in the wheels
Weekly newsletter - n°113
- Wednesday 23 January 2002.
NEXT WEEK IN PORTO ALEGRE(ポルトアレグレで会おう)
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《インフォメーション》

★世界社会フォーラム(ブラジル・ポルトアレグレ)に150カ国8万人参加!・公式登録者15,230人、ユースキャンプ48カ国11,600人、参加団体2000/討論テーマ;210(パネリスト135人)/デモ;2月31日5万人、2月2日2万人/ジャーナリスト数;48カ国2,400人(新聞社 476、テレビ局116、ラジオ局108)/ウェッブサイトへのアクセス――55万件【詳細は随時お知らせしていきます】

<当面のスケジュール:首都圏>

◆WTO学習会&例会;2月19日(火)午後6時30分/文京シビックホール3階会議室1(地下鉄「後楽園」「春日」下車/講師:佐久間智子さん(元市民フォーラム2001事務局長)◆第2回世界社会フォーラム(ポルトアレグレ)報告会;3月9日(土)午後1時30分/労働スクエア東京601会議室(地下鉄・JR「八丁堀」下車)

<当面のスケジュール:関西>

◆第4回学習会;3月16日(土)「世界社会フォーラム(ポルトアレグレ)報告」:報告 田中徹二(ATTAC-J事務局)/後半に、これからの運動の進め方、事務局体制、会員制についての相談を予定しています/午後2時スペースAK

(http://usagi.tadaima.com/spaceak/spaceAK-AKkotsushudan.html

 参照)

《 も く じ 》

1- ポルトアレグレの社会サミット、グローバリゼーションへの反撃

の舞台を設定

(Porto Alegre Social Summit Sets Stage for Counteroffensive

against Globalization)

インドの漁民、東アフリカの農民、タイの労働組合員、中米の先住民の人々もポルトアレグレに結集する。「北」の国からも多くの人々がかけつける。企業によって主導されたグローバリゼーションに異を唱える運動の多様性を物語るように、多彩な人々が出席する。その中には、実践家であり思想家であるノーム・チョムスキー、インドの自然科学者でありフェミニストであるヴァンダナ・シヴァ、カナダの運動のリーダーであるモード・バーロー、エジプト知識人であるサミール・アミンも含まれる (1308語)。

2- ニューヨークで世界経済フォーラムに対抗するワークショップ

(Soon in New York City)

1月31日(木)から2月1日(金)までニューヨーク市で、ワークショップ、討論会、ティーチインが行われる。「もう1つの世界は可能だ」連合、「ダボス(世界経済フォーラム)監視」グループ、「全米学生動員委員会」などが協力している(879語)。

3- なぜ米国でゼネストが起きないのか(Why not in the USA?)

この数年、世界中の労働者がグローバリゼーションとその影響に対して、ゼネストや大衆的な政治ストで抵抗してきた。アルゼンチン、インド、スペイン、韓国、ボリビア、南アフリカ、フランスの労働組合連合は、民営化、緊縮財政政策、ダウンサイジングやそのほかの企業の力を強める動きに対して、組合員あるいは労働者階級全体に向けてストライキで抵抗することを呼びかけてきた(2079語)。

4- 進歩の幻想(The Mirage of Progress)

ほとんどの国がこの20年間、経済の惨めな失敗と成長率の落ち込みを経験してきた。世銀は一人当たり所得の成長についてのデータを発表した。他の政府機関もそうしたデータを発表している。しかし、世界大恐慌を除けば20世紀最大の顕著な経済的失敗であると歴史に記録されることが間違いないが、この事態を問題にするのに適任であるエコノミストはごく少数であり、そのようなジャーナリストはほとんどいない (2228語)。

5- モンテレーへの道(The Road to Monterrey)

「国連・発展のための金融に関する国際会議」(3月メキシコ・モンテレー)に向けたオンライン討論の呼びかけ

 このフォーラムの目的は、発展のための資金を拡充させることと、「2015年までの貧困削減の目標」が西側政府によるもう1つの空約束に終わってしまわないようにすることである。インターネットを利用でき、この問題に関心を持つすべての人たちに、このオンライン討論への参加を呼びかける(438語)。

6- 世銀の民間部門開発戦略:その概要(World Bank PSD Strategy :

an Overview)

世銀の民間部門開発戦略(PSD)によって、基本的サービス(とりわけ低所得国における)が脅かされている。この戦略は、社会基盤と社会的サービスを民営化し、医療・教育の費用の自己負担を強要し、国内の業者よりも国際的な金持ち企業を優遇し、それによって民主的プロセスを掘り崩す(963語)。

7- 世界のATTACの会合(Meeting ATTAC worldwide)<省略>

《 要 約 版 》

●ポルトアレグレの社会サミット、グローバリゼーションへの反撃の 舞台を設定

Porto Alegre Social Summit Sets Stage for Counteroffensive against Globalization

By Walden Bello

ポルトアレグレは第三世界の都市らしくない。ブラジルの中でも裕福な州の1つであるリオグランデ・ド・スル州にあり、ヨーロッパ系住民の多いこの人口120万人の都市は、インフラや社会サービスについて言えば「第一世界」である。実際、この国の「クオリティー・オブ・ライフ」(生活の質)の指標では最上位に近い。

<「もう一つの世界は可能だ」>

昨年と今年、世界社会フォーラムの開催地となったポルトアレグレは、企業主導のグローバリゼーションに対抗する運動の代名詞ともなった。7万人の結集が見込まれている――これは昨年の6倍に近い。

<ダボスへの対抗軸>

世界社会フォーラム(WSF)は、スイス・ダボスで開催される企業による世界経済フォーラム(WEF)に対抗する場として登場した。このフォーラムはブラジルの市民団体と、リオグランデ・ド・スル州とポルトアレグレ市の行政を担っているブラジル労働党によって呼びかけられ、フランスの月刊誌『ルモンド・ディプロマティーク』や ATTACなどの強力な国際的支援を得て、また、またオランダのNovibなどの進歩的な基金団体からの資金援助を受けてきた。

こうした支援を受けた第1回WSFは8カ月にわたって開催された。世界社会フォーラムの代表と世界経済フォーラムの出席者とのテレビでの論争は大きな話題となった。このテレビ討論のもっとも印象に残った場面は、アルゼンチンの人権団体「マヨ広場の母親たち」の代表のHebe de Bonafiniさんが投機家のジョージ・ソロスに対して「あなたは偽善的だ。あなたは何人の子供たちの死に責任を負っているのか」と叫んだ時だった。

ダボスで開催されたWEFは昨年、第二次世界大戦以来の最大の警備体制に守られたが、スイス政府は安全上の理由からWEFの開催地を他の国へ移すことを要請した。そのため、今年はニューヨークでの開催を余儀なくされている。

今年の世界社会フォーラムでは、「富の生産と社会的再生産」、「富へのアクセスと持続可能な発展」、「市民社会と公共的分野」、「新しい社会における政治的権力と倫理」の4つのテーマを中心に26の全体会と、数十のセミナー、5000のワークショップ、労働者と農民のデモなどが計画されている。

<激動の年>

激動の年が明けて、反体制の人たちがポルトアレグレに集まってくる。おそらく反グローバリゼーションの頂点は、7月の第3週に、ジェノバのG8に対して約30万人がデモをした時だった。デモ隊は催涙ガスに抗して行進し、参加者一名が警察に射殺された。ジェノバでの衝突が終わった直後から、これからは独裁国家以外の国で「エリート」の会議の開催はもはや不可能であるという憶測が広がった。事実、次回のカナダでのG8会議は、人里離れたアルバータの山中で開催される。グローバル・エリートたちは街頭の民主主義から逃げ出したのだ。

そして9月11日の事件が起き、高揚していた運動は立ち止まった。9月末に予定されていたワシントンの世銀総会が次の大きな対決になると予想されていた(5万人の動員が予想されていた)が、この総会は中止され、動員は平和のための行進に切り替えられた。

体制側はこの機会をとらえて、9月11日以前に進行していた正当性の危機をはねかえそうとして、11月半ばにカタールのドーハで開催された第4回WTO閣僚会議で途上国に貿易交渉の新ラウンド開始の宣言に同意するよう強要した。

<運勢の逆転>

もし世界社会フォーラムが11月末か12月の、ブッシュ政権がアフガニスタンでの圧倒的な勝利に意気揚々としている時に開かれていたなら、参加者のムードも異なっていただろう。しかしこの数週間に、歴史はワシントンに2発のボディーブローを見舞った。1つはエンロンの倒産であり、もう1つはアルゼンチンの経済破綻である。エンロンは、90年代の米国のニューエコノミーを牽引し、おそらく1930年以来最悪となると思われる世界不況に導いた規制緩和と腐敗の結合の醜悪な象徴となった。一方、アルゼンチンは返済不能な対外債務、産業の麻痺状態、貧困層の急激な拡大(毎日2千人以上が、新たに貧困ライン以下の状態に陥っている)に直面しており、経済を自由化しグローバル化するべきだという新自由主義者の助言を真に受けた国を待っている災禍への警鐘となるだろう。

世界社会フォーラムが始まる時、この2つの災禍は、世界のエリートと彼らによる企業主導のグローバリゼーションの計画が9月11日以前に直面していた「正当性の危機」を再び、より劇的に現出させた。ポルトアレグレは、「もう一つの世界は可能だ」と確信している運動の側が反撃に出る最高の場所であり、最高のタイミングである。

●ニューヨークで世界経済フォーラムに対抗するワークショップ

Soon in New York City

 通常はスイスのダボスで開催される世界経済フォーラム(WEF) は今年、9月11日の破壊からの復興に対する支援の証として、1月31日から2月4日までマンハッタンのWaldorf-Astoria で開かれる。

 企業エリートの大規模なカクテル・パーティーであり「ビジネスのオリンピック」とも揶揄されるWEFは、国際「リーダー」のビジョンを他の世界に振りまく役割を持ち、またWTOを下支えする議題を持っている。

 何年ぶりかで反資本主義の抵抗運動が資本主義の中枢国に、そして世界中で復活した。この抵抗運動は、オルタナティブな原理を明確にし、企業主導の状況を変える可能性を議題にのぼらせるための理論的空間を開いている。資本主義の原理の追求が問題視される中で、新自由主義的グローバリゼーションのエージェントを標的とした運動は、大きな政治的影響力を獲得した。こうした政治的状況の中で、WETの会合は特別の意味を持つようになった。WETは96年以来、戦闘性を強める抵抗運動に直面し、それに対応するために新自由主義の青写真を再構成し、慎重に舞台裏から表舞台に乗り出し、存在意義を積極的に主張するようになった。

 WEFに対抗するさまざまな創意的なアクションが計画されている。街頭でのアクション、コロンビア大学での対抗サミット、夜のコンサートなどが計画されている。メインの行動は2月2日に予定されている。

 ニューヨークと全世界の人々とともに、1月31日〜2月4日、企業主導のグローバリゼーションに反対する声を上げよう。新自由主義、世界的な「経済アパルトヘイト」、軍国主義、地球の破壊にノー! もう一つの、より公正で民主的で、持続可能な世界のために。

Another World is Possible Coalition(「もう1つの世界は可能だ」

連合) http://www.anotherworldispossible.com/

[行動のスケジュール、およびそれぞれの関連サイトが示されています

が、省略します]

●なぜ米国でゼネストが起きないのか

Why not in the USA?

 by Kim Moody

 この数年、世界中の労働者がグローバリゼーションとその影響に対して、ゼネストや大衆的な政治ストで抵抗してきた。アルゼンチン、インド、スペイン、韓国、ボリビア、南アフリカ、フランスの労働組合連合は、民営化、緊縮財政政策、ダウンサイジングやそのほかの企業の力を強める動きに対して、組合員あるいは労働者階級全体に向けてストライキで抵抗することを呼びかけてきた。 FTAA(米州自由貿易地域)がファーストトラック(貿易交渉に関する一括承認権限)によって促進されようとしている今、南北アメリカ全域――米国の全地域を含む――でゼネストが起こらないのはなぜなのか?

 これは(とくに40年代以来)産業別あるいは企業内の協約交渉を中心にしてきた労働運動にとって、新しい構想である。グローバリゼーションの時代には個別主義は通用しない。何かの変化が求められる。

<米国型のシステム>

 米国では、「ビジネス・ユニオン」(組合員の経済要求にだけ取り組む組合)が支配的であり、ゼネストが行われるのは稀である。1970年代半ばにAFL-CIO のジョージ・ミーニー委員長(当時)は「我々はアメリカン型のシステムに確信を持っている。我々は街頭デモ、ゼネスト、政治ストは行わない」と述べている。

 しかし、ある面ではミーニーは間違っていた。我々は街頭デモを行ったことがある。それも1930年代や60年代だけではない。89年にはバージニアの炭鉱で、10年前にはロサンゼルスでラテンアメリカ系のドライウォール職人(建築の補助的な作業に従事している)たちが、数年前にはニューヨークで建設労働者が、昨年6月にはサウスカロライナ州コロンビアで数千人が(スト破りを阻止しようとしたことで重罪を適用された港湾労組の組合員を支援して)、街頭でデモを行った。

 だが米国の労働者は共通の目的を掲げて一斉に街頭に出たり、ストライキを行うことはない。これは階級意識の弱さの原因であり、結果でもある。その背景として、「ビジネス・ユニオン」の支配が強まった背景として、(当時まで)組合の労働協約にストライキ禁止条項が含まれるのが一般的だったこと、CIOによる左翼の排除、民主党への依存の深まり、マッカーシズム(「赤狩り」)、官僚化、そしてタフト・ハートレイ法があった。このすべてが組合運動を弱めた。

 しかし、多くの組合は50年代から70年代にかけて成長し、ストライキの数も増え、協約交渉でも大きな成果が得られた(45年から75年の間に実質賃金は250%上昇した)。組合がもっとも強かったのは50年代である。

<狭い視野>

 40年代の成功そのものが、「労働者階級を代表する運動としての労働運動」という考え方を掘り崩し、大部分の組合の視野を狭めることになった。40年代後半に共和党が多数を占める議会と、民主党の左傾化に苛立った労働組合が、健康保険や社会保障について個別に経営者と交渉し、労働協約の中に入れさせることに成功した。その結果、労働組合は労働者階級全体の闘いによって社会的権利を勝ち取るのでなく、企業ごと、産業ごとにそれを勝ち取ることを目指すようになった。

<分断された抵抗>

 50年代後半から60年代にかけて、合理化と生産性向上が激しく進められる中で、職場での戦闘的な抵抗が山猫ストや大組合の内部からの改革運動の形で表現された(炭鉱、航空、自動車、鉄鋼、郵便、公務員、運輸など)。しかし60−70年代に、これらの草の根の運動が互いに協力することはなかった。「企業福祉」のシステムの下で、企業あるいは産業ごとに分断されたままであった。

 80年代初めに、企業の労働組合への攻撃は、コストの一律切り下げと並行して行われた。これまでの闘争で勝ち取ってきた賃金水準や福祉が攻撃された。この中で大組合のリーダーは労使協調を一層進め、ダウンサイジングを受け入れてきた。

 しかし、皮肉にも9月11日以後、企業が戦争特需と政府の補助策に飛びつく中で、戦争と不況によって誰が仕事や賃金を失うのかという問題が、多くの人々にとって非常にリアルな問題となった。 こうした状況の中で、FTAAとの闘いは組織労働者とその同盟者を(反グローバリゼーションの運動に)引き戻すチャンスである。一人の痛みはすべての者の痛みだという考えで我々の運動を再教育するチャンスだ。

<米国で大規模な政治スト?考えてみよう>

・ストライキの歴史

 米国労働運動の歴史の中で、大規模な政治ストは稀だが、全くなかったわけではない。南北戦争の時代に、南部の黒人奴隷がプランテーションでストライキを行った。組合はなかったが共通の目的−解放があった。1886年5月1日には、1日8時間労働を要求するゼネストが行われ、多くの都市で工業と商業が停止した。1919年にシアトルで、AFLとIWW が共闘してゼネストを行い、一時的に市を支配した。1934年にはサンフランシスコとインディアナ州テレホートでゼネストが行われた。第二次大戦後、経営者は労使の力関係を試そうとした。その結果、45年と46年に大きな産業規模のストライキが行われ、46年には多くの地方規模のゼネストが行われた。しかし、40年代末以降、ゼネストは組合活動家の夢の中にしか存在しなくなった。

<労働組合の民主党依存の失敗> 米国の労働組合の民主党依存は、他の工業諸国に見られるような労働者政党の発展を妨げた。この依存は43年にCIOの政治行動委員会が設立され、独立した政治的行動を明確に否定したことによって固定された。CIOの野心的な政綱――国民の健康、すべての人々への住宅の保証、完全雇用、市民的権利など――は民主党の善意に依存することとなった。これが完全な失敗だったことは、ごく近い将来に明らかになるだろう。民主党への依存の結果、労働組合は自分たちの政治課題を追求する独立した手段を失ったのである。

●進歩の幻想

The Mirage of Progress

 by Mark Weisbrot

 過去20年間は途上国を含む世界経済が急速に発展したと認識されている。しかし実相はその逆で、例えばラテンアメリカ諸国を見ると、一人当たりGDPは60〜80年に75%の伸びを見せたが、その後の20年間は7%成長にとどまった。またアフリカ経済の崩壊はより深刻であるが無視されている。中南部アフリカは、 GDPが60〜80年に34%急伸したが、その後の20年間に15%の落ち込みを記録した。成長性が高い東アジアと南アジアを加えても、中低所得国の一人当たりGDPの伸びは過去20年間に各国平均の半分以下であり、全体として悲惨な状況だ。また同期間に多くの中低所得国で社会的指標である平均寿命、幼児死

亡率、識字率などの成長は大幅な後退を余儀なくされた。

 成長がすべてではないが、IMF、世銀そして米国財務省が途上国に対して実現を約束してきた政策目標である。途上国の問題に投げかけられる最大の経済問題は「惨めな経済の失敗をもたらした構造的また政策的な変化は何か」ということである。

<何が悪いのか?>

 長期的な世界経済停滞の要因を一つに定めることは難しいが、過去20年間の米国政府の政策傾向と全体の流れを知る幾つかの例を示すことは可能である。1997年のアジア金融危機は、アジアが預金の比率が高く外資を必要としないにかかわらず米国財務省が外資流入を可能にする資本市場の開放を強要した結果である。世銀のチーフ・エコノミスト(当時)でノーベル賞を受賞しているJoseph Stiglitz 氏は、政策担当者は資本市場の開放が成長につながるという根拠となる研究を一つも示していないと指摘している。

 実際1997年にはGDPの約11%相当の資金が流出するなど、韓国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイで起きた逆流の現象は自国通貨価値を破壊し金融破綻を招いた。米国政府の処方箋は、危機を深刻なアジア経済の不振に拡大させた。第1に1千億ドル規模のアジア通貨基金設立という日本の提案を取止めさせ、第2に IMFはインドネシアでは金利80%という緊縮策を強要している。

 その結果は破壊的なもので、インドネシアでは13.7%、タイでは10%と経済が落ち込んだ。アジア危機はロシアそしてブラジルに伝染し、自由化を求める投資の危機が広まった。同様IMFの介入は、高すぎる通貨価値、対外債務、金利を維持させ、その結果が自国通貨の暴落と経済成長の落ち込みを招いた。

 同じシナリオは最近、アルゼンチンにも適用された結果、リセッション、債務不履行、金利の3倍化、IMFから400億ドル借款などの状況に陥っている。高金利政策はIMFの貸し出し条件として、米欧など高所得国にも適用され、その結果、途上国の輸出不振を促す結果となっている。

<西側のダブル・スタンダード>

 過去20年間に失敗した政策は、極端な自由市場また自由貿易のイデオロギーに基づくものとも表現されるが、それは正確ではない。例えばアジア危機のさいには、この地域の各国政府は、海外の民間債権者に対する債務を市場原理にゆだねるのでなく、保護するよう指示された。また、一般的な傾向として、途上国および移行期の諸国の国家的利益は、より強力な国の利益のために犠牲にされる。

 WTOのTRIPSに基づき南の国々は、先進国に知的所有権を独占され毎年、数百億ドルを吸い上げられている。知的所有権の独占は、薬の場合などは生命の危機さえ招く、関税以上に有害な保護主義である。こうしたなか米国のパテントおよび著作権法の途上国への適用は、米国対外商業政策の主要な目的となっている。先進国による知的所有権の独占はまた、外国テクノロジーが重要な役割を担う現在、途上国が韓国や台湾がたどった同じ工業化の道を歩み発展することを困難としている。

 産業政策の計画化、国営企業、為替レート・関税・輸入制限の規制強化などは、1913年の米国の関税は44%だったことを含め、現在の先進国がたどった通り、途上国が工業化へ脱皮する過程で必要な措置である。国民経済が世界市場で競争力を持つに至ってはじめて貿易自由化が可能となるのであり、現在の途上国に強要している自由化が逆効果をもたらしても不思議ではない。世銀はこうした批判に答え、過去20年間に「グローバル化」した途上国が成長に最も成功したとして、中国、インド、ベトナムの例を挙げている。しかし中国の通貨は非兌換性でありインドは資本制限が厳しいなど両国は世界で最も保護的な国内市場を持っている。

 米国政府のエコノミストや官僚は、IMFを頂点にした強力なカルテルを持ち、借入国の政策決定に圧力をかけている。このカルテルが解散するか、途上国が自立した経済政策を維持し得ることのみが、20年間の経済政策の失敗を克服する可能性をもたらすだろう。

●モンテレーへの道

「国連・発展のための金融に関する国際会議」(3月メキシコ・モンテレー)に向け

たオンライン討論の呼びかけ

The Road to Monterrey

 「ワンワールド」(http://www.oneworld.net/)は,「ユーロダッド」(http://www.eurodad.org/)との共同で、3月末にメキシコ・モンテレーで開催される「国連・発展のための金融に関する国際会議」に向けて、国際的な政策決定者たちを具体的な行動へ動かすために、オンラインの討論を開始した。

 このフォーラムは1月21日から3月29日まで開かれ、http://forum.oneworld.net:8080/~debtchannelでアクセスできる.

 「ユーロダッド」でこのフォーラムの準備にあたっているジョナサン・ウォルシーさんは次のように述べている。「このフォーラムの目的は、発展のための資金を拡充させることと、"2015年までの貧困削減の目標"が西側政府によるもう1つの空約束に終わってしまわないようにすることである。インターネットを利用でき、この問題に関心を持つすべての人たちに、このオンライン討論への参加を呼びかける」。この国際会議は、国際的な金融の枠組みの改革と、国際経済に関する決定への途上国の参加の拡大の要求が強まっていることを背景に開かれる。オンライン・フォーラムでは、債務の免除、ODA、投資に対する管理、発展のための資金の確保などのテーマを取り上げる。

 国連のアナン事務総長は、昨年5月の「開発のための金融アジェンダ」に関連して、「もっと大規模な投資――公的投資と民間の投資の両方――を集めることに成功しないかぎり、貧困の一層と発展の促進という我々の目的は果たせない」と語っている。

●世銀の民間部門開発戦略:その概要

World Bank PSD Strategy : an Overview

 By S Dossani

 世銀の「民営部門開発戦略(PSD)」は、構造調整、インフラ・サービスの民営化、社会的基金、マイクロ・ファイナンスの業務を拡大する。同戦略を遂行する世銀グループの実行部隊は、民営部門につながるインターナショナル・ファイナンス・コープ(IFC)とソフト・ローンを手掛ける国際開発協会(IDA)である。世銀の取締役会は、米国が推進するPSDについて論議、継続提案を拒否し、数週間にわたり同戦略の決定を延期した。<PSD戦略の三つのポイント>

 A.新たな、拡張された構造調整プログラムを導入する。これは借り手に「最低投資基準」を求める。その指針は、WTOが11月、投資ルール交渉の新ラウンドを公表した直後に導入された。インフラと基本サービス(健康、教育、水)の有料および民営化。外部支援(OBA)に基づき、政府にサービスの外注を促し、引受ける民間企業に対する財政支援などをIFCが行う。米国側は世銀の株主に対して、IDAが提供する民営化資金を借款から贈与に切り替えるよう要請している。

 B.インフラストラクチャーと基本サービスを民営化し、受益者負担とする。

 C.市場のアクセスを拡大するため中小企業を支えるマイクロ・ファイナンスを拡充する。また低所得消費者が、水などのサービスのため市場レートでマイクロ・ファイナンスを利用できるようにする。

<その主要なメッセージ>

 1.民主的プロセスの侵食。世銀や資金提供者は、政府の民営化導入に圧力をかけるべきでない。圧力の手段として、民営化の判断に労働組合の排除、民営化計画の情報を公開しない、民営化に踏み切るまで政府への援助を中止する、民営化の「公的な」宣伝を行う、偏見に満ちたコスト計算などがある。サービスの形態に関する重要な政策判断は、外部の影響を受けていない国内の貧困層や社会的弱者の立場に立つグループによって決められるべきである。

 2. 社会サービスの民営化。PSD戦略は、財政支援のリスクを背負うにかかわらず、民営化される社会サービスの業務に対して評価はしないとうたっている。

 3. 以下のケースにより有料化のため国民は社会サービスを受けられない可能性が出ている。(a) 初等教育、健康に対する免除や助成が十分でない。(b)とりわけ非義務教育などを低所得層はまかない切れない。(c)PSD戦略は、社会的ルールの必要性を実際、見落とす場合がある。

 4. 民営化にともなう貧困者や環境に否定的影響を与え得るルール基準の低下。

 5. OBAのサービス提供業者に対する世銀グループのローンは、対外依存を増やし自立した国内要因を侵食する。

 6. 世銀はOBAを支援するいかなる資金供与を行うか情報公開していない。また供与は特定の状況において適切でないと多くの団体は批判している。

 7.PSD戦略に基づく財政負担の強要

 8. 世銀とWTOの提携強化。世銀グループはPSD戦略が、WTOの投資・サービスのいかなる協定につながるのかまだ明らかにしていない。

 9. 世銀の評価によっても、低所得国にPSDを導入することが効率的

でないことは証明されている。詳細については

http://www.challengeglobalization.org/html/news_notices/winter2002/Winを参照。

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ニュースレター翻訳グループより

■目次の各項目の末尾に示している語数は、原文(英語)の単語数です。平均的に英語の125語が、翻訳すると日本語の400字程度になります。本号(114号)の原文の合計語数は約7900語で、全訳すれば400字x約60枚になります。本号の要約版の合計文字数は約9000字(400枚x22.5枚)です。約1/3に要約されています。興味のある記事を全訳していただける方がいましたら、ぜひ事務局までご連絡ください。

■日本語版ニュースレターは英語版をもとにしています。英語版は全世界9360件のアドレスに直接に配信されています。このほかにフランス語版、スペイン語版が発行されており、内容は必ずしも同じではありません。フランス語版、スペイン語版からも重要な記事を掲載したいので、翻訳に協力していただける方は事務局までご連絡ください。