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<ATTACニュースレター日本語版2002年第4号/転載歓迎>
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PAPERS KILL ATTACニュースレター「サンドインザホイール」(週刊)
2002年1月16日号(通巻113)号
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Sand in the wheels
Weekly newsletter - n°113
- Wednesday 09(16の間違い?) January 2002.
PAPERS KILL (法律が人を殺す)
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PAPERS KILL ATTACニュースレター「サンドインザホイール」(週刊) 2002年1月16日号(通巻113)号


世界社会フォーラム(ブラジル・ポルトアレグレ)へ日本代表団が出発します。フォーラムの速報はhttp://www.jca.apc.org/attac-jp/でご覧ください

<当面のスケジュール:首都圏>

WTO学習会&例会;2月19日(火)午後6時30分 文京シビックホール3階会議室1/講師:佐久間智子さん(元市民フォーラム2001事務局長)第2回世界社会フォーラム(ポルトアレグレ)報告会;3月9日(土)午後1時30分 労働スクエア東京601会議室<当面のスケジュール:関西>第3回学習会;2月9日(土)「WTO新ラウンドの焦点」:報告 川上豊幸さん(AMネット)午後2時スペースAK第4回学習会;3月16日(土)「世界社会フォーラム(ポルトアレグレ)報告」:報告 田中徹二さん(ATTAC-J事務局)/後半に、これからの運動の進め方、事務局体制、会員制についての相談を予定しています 午後2時スペースAK

目次

1 アルゼンチン経済崩壊の教訓(Lessons from Argentina’s debacle) IMF(国際通貨基金)は致命的な間違いを犯した。矛盾した金融政策を促したのである。東アジアに対するものと同じ間違いだ。緊縮財政によって信用が回復されるはずだった。しかしIMFによるプログラムの数字は作り物だった。どんなエコノミストでも、矛盾した政策は景気減退を促し、財政の目標は達成できないと予想していただろう。言うまでもなく、IMFプログラムは約束したものをもたらさなかった(931語)。

2 アルゼンチン:IMFがまたも一撃をくらわす(Argentine: the IMF strikes again)アルゼンチンの瓦解はIMF(国際金融機関)が世界中の政府に押しつける経済政策の危険性を学ぶもう一つの機会を与えた。IMFはなぜ間違った政策を推進しつづけるのか? この小論は、IMFへの弾劾にとどまらず、オルタナティブ(代替)戦略を提唱する(2704語)。

3 紙からも爆弾が作られる(They also make bombs out of paper)化学爆弾はオクラホマで数百人を殺した。燃料を搭載したジェット機はニューヨークで4000人を殺した。制裁政策はイラクで150万人を殺した。そして貿易政策は世界中を苦しめる。あらゆるものが爆弾になりうる。紙から作られた爆弾(法律)が最も破壊的である(3213語)。

4 ニューエコノミーの景気後退:2001年経済の採点表(The new economy recession: economic scorecard 2001)現在景気後退が始まったことが正式に認められた。ほとんどのエコノミストはこれがすぐ終わると予測している。この見方を無批判に受け入れることはできない。これらエコノミストのほとんどが、景気後退の始まりを予測できなかったのだ。それは主に彼らが空前規模の投資バブルが引き起こす問題を認めることを拒否したためである (2236語)。

5 ユーロからヨーロッパ帝国主義へ(From Euro to Euroimperialism)新しい欧州通貨がもたらすものは「経済の発展」にとどまらない。それは同時に、欧州のアイデンティティ、欧州の結束、そしてヨーロッパ帝国主義の強化、つまり新しいレビアタン(巨大な海獣)の世界の舞台への登場を示している(906語)。

6.世界のATTACの会合(略)

■(ATTAC-J事務局ニュースより)第2回世界社会フォーラム/最新情報

■日韓投資協定NO!緊急キャンペーン

[要約版] アルゼンチン経済崩壊の教訓 Lessons from Argentina’s debacle By Joseph Stiglitz  アルゼンチンの崩壊は史上最大の債務不履行を引き起こした。問題は1980年代の超インフレに始まった。インフレを抑えるために、インフレ期待を抑制する必要があった。そのための措置として、通貨の対ドル・レートが固定された。インフレが続くと、実質為替レートが上昇し、輸出の需要が下降し、失業が増加し、賃金と価格の低下を招く。そのため市場関係者はインフレが長くは続かないことを理解するだろう。為替レートが安定している限り、インフレ抑制への期待も維持された。インフレ期待が抑制されれば、大量失業の心配なしにインフレを抑制することが可能になる。IMF (国際通貨基金)はこの為替相場制度を推奨した。だが同国はより柔軟な、少なくとも同国の貿易パターンを反映する為替レートの採用を推奨されるべきだった。また同国は多くの銀行の外国資本による所有を奨励された。これはより安定した銀行業務システムをもたらしたが、小中規模企業への貸付が行われなかった。これも一因となり、高成長の後、成長は止まった。

 政府は問題を認識していたが1997年東アジア経済危機に始まる大きなショックに直面し動けなかった。IMFの失策もあり東アジア危機は世界金融危機に発展し、このことがアルゼンチンなどの市場の金利を引き上げた。同国の為替相場制度は残ったが2 桁の失業率という大きな代償を伴った。また20%という金利の中で、毎年GDPの9%が債務返済に充てられた。金融危機で一連の大幅な為替相場の調整が始まった。アルゼンチンペソが連動している米ドルの価値が大幅に上がった。2000〜2001年の世界的な景気停滞がさらに同国の状況を悪化させた。

 ここでIMFは致命的な、緊縮財政政策の促進という東アジアの時と同じ間違いを犯した。緊縮財政によって信用が回復するはずだったが、IMFプログラムの数字は作り物だった。経済が深刻な景気後退に突入し失業率が2桁という状況下で、信用は回復しえない。このような状況下の社会不安を軍事的独裁なら抑えうるが、同国の民主主義社会では不可能だった。

 この経験から、7つのことが学べる。▼不安定な為替相場を持つ世界では、ある貨幣を米ドルのようなものに連動させるのは非常に危険。▼グローバリゼーションは国を多大な衝撃にさらす。為替相場の調整はそれに対応するメカニズムの一つである。 ▼国民の多くを失業または不完全就業の状態で放置する政策に従う政府は一番重要な役割を果たし損ねている。▼失業率や成長への対策なしにインフレだけに焦点をあてることは危険。▼成長には国内企業に資金を貸す金融制度が必要。適切なセーフガードなしに銀行を外国資本に売ることは成長と安定を妨げる。▼経済を深刻な景気後退へ追い込む政策では、強い経済を回復することはほとんど不可能。▼同国のような状況に対処するましな方策が必要。

 同国の危機で私達は世界金融システムの改革の必要性を思い出すべきだ。その出発点はIMFの全面的改革である。【Joseph Stiglitz:コロンビア大学の経済学教授。世界銀行の元チーフ・エコノミスト。】

アルゼンチン:IMFがまたも一撃をくらわすArgentine: the IMF strikes again By Arthur MacEwan  アルゼンチンの瓦解への道は、自由市場のイデオロギーとIMF(国際通貨基金)が世界の政府に押しつけてきた経済政策の危険性を学ぶもう一つの例となった。

■IMFの指導下での失敗 1990年代の同国の経済政策はIMFの指導の下に決定された。1980年代からの一連の融資を通じてIMFは同国の政策決定者への影響力を強め、IMFの保守的な経済政策が採用されていった。1998〜2001年のIMFによる融資の条件として同国政府が続けたのは金融政策の緊縮だ。「マクロ経済の安定のカギ」という赤字削減が遂行された。2001 年7月、同国官僚は16億ドル(政府予算の約3%)の支出削減を発表。しかし投資家らはこれを危機の悪化の兆候だと見て国債はさらに高い利率で売られた。12月までに政府は92億ドル(政府予算の約18%)削減を発表した。同国は、低所得国の長期経済成長の基礎を造るIMF政策の失敗の例である。同様の状況がサハラ以南のアフリカ諸国、メキシコ、南米の多くの国、タイ、他の東アジアの国々、トルコに見られる。政府支出削減と資金供給の制限は多くの場合インフレを軽減するし、IMFプログラムは外国からの多大な融資流入を促す。しかしどの国も安定・継続した経済成長を遂げていない。またこれらは貧富の格差を生む。IMF信仰者らは、財政均衡が経済安定と成長の基礎だとの論により、正当化してきた。ばかげた考えだ。財政均衡は経済下降を悪化させる。また公的支出の削減は長期経済成長の足を切ることだ。

■IMFはなぜ間違った政策に固執するのか? IMFはいまだこれら政策に固執している。それはこれら政策が権力のある米国および世界の経済の利害と一致するからではないか。IMFは運営に資金提供する高所得国に操作される。IMFで18%の投票権を握る米政府は実質上の決定権を持つ。実際IMFは米国に拠点を置く国際企業の利害のために働いてきた。IMFは政府に経済成長のカギは輸入と外国からの投資に規制のない参入を許すことだと教えてきた。だが実際には、政府による外国商業の広範囲に渡る規制が経済成長の成功の重要な基礎を提供してきた。英国、米国、日本、西欧の国々、台湾、韓国がその例だ。確かに経済発展の成功のカギは規制された商業であり自由貿易ではない。1980、90年代には、IMFは低所得国政府に資本市場(Capital Market)を自由化するよう圧力をかけた。そして 1997年東アジア諸国における資本市場の開放は悲劇を招いた。本当の勝者は米国その他の高所得国を拠点とした金融企業だった。IMFは、政府は対外債務の返済を最優先すべきだという。IMFの融資の理由は多くの場合過去の融資の返済のために資本の流入が必要だというものだ。だが対外債務の不履行は時に効果的で建設的な政策の選択肢だ。またIMFが国際銀行の融資を返済する資金を提供する限り、これら銀行に適切な融資を提供するインセンティブはなくなる。IMFの民営化の主張についていうと、たいてい低所得国の国営企業が売られるとき、大規模で国際的な企業が買収する。問題は民営化が常に不適切なのではなく、IMFの誇大宣伝と対照的に民営化が常に適切というわけではないことだ。非効率的な政府の独占が所有者に巨大な利潤をもたらす民営企業の独占に取って代わられる場合、民営化は特に問題である。また多くの場合民営化は大規模な汚職を伴うプロセスだ。

■台頭する民衆の抗議 IMF・世界銀行の政策は、「反グローバリゼーション」と呼ばれる米国、欧州、低所得国での大きな民衆の抗議を生んだ。この呼び名から示唆されるものとは違って、ほとんどの抗議者は人々の間で進む国際的な経済・文化的なつながりに抗議しておらず、大企業に利益をもたらし多くの人々に困難と不安定をもたらす構築のされ方に抗議している。(今回の危機から得られる教訓として)変革を求める運動は、グローバリゼーションの推進に中心的な役割を持ってきたこれらの機関に対してさらに圧力をかけるべきだ。この運動はアルゼンチンのように成長が危機に変貌するにつれ正当性を強めるだろう。

■批判にとどまることなく、代替戦略を しかし、批判にとどまることなく、代替となる戦略を構築する必要がある。代替となる戦略では、民主主義的・平等主義的な経済発展を支え、低所得国の根本的な構造調整を推進する。民主主義的な発展の戦略の出発点は、社会プログラムの拡大、学校、医療、その他長期経済成長の社会的基礎を作る公共サービスに焦点をあてることだ。マクロ経済の安定については、財政均衡のために政府支出を抑える代わりに税を引き上げ政府収入を拡大する。また民間企業が規制のない市場で私利のみに導かれて運営する問題を認識する。例えば、低所得の製造業の代わりにハイテクを民間企業に促したり、生活とコミュニティの安定を維持するため民間企業に地域の農家のサポートを求める。近年アルゼンチンが追随してきた政策は、地域で力を持つエリートらに利益と安定した地位をもたらした。つまり政策を変えるには力のバランスを変える必要がある。それは容易ではないが、国際運動の台頭と経済危機はよい機会を提供している。低所得国が変化の方向に動くには、まず対外債務問題に取り組む方法を見つける必要がある。対外債務は国の資源の流出を招き、また新たな債務を求めるためIMF の条件を受け入れる素地を作る。低所得の債務国同士は共通の利害を持つ。共同行動を起こせばよりよい結果を得、民主主義的な戦略の意味のある構造調整を追求する自由を得る可能性がある。債務の支払い拒否は経済の大失敗をもたらすだろうか? アルゼンチンでは、支払い拒否を拒否した結果瓦解を招いた。また過去の債務不履行の例は大失敗をもたらさなかった。どちらにしろ、債務国の力が本当の脅威を作れるならば、実際の支払い拒否を実行せずに済むかもしれない。

 米政府の圧力、IMFの政策への固執、アルゼンチンのエリートは進歩的な変化を阻む。しかし変化の必要性を裏付ける経済例は圧倒的で、変化のための政治的な道を見つける必要がある。【Arthur MacEwan(arthur.macewan@umb.edu)はマサチューセッツ大学の経済学教授。著書に「新自由主義か民主主義か? 21世紀のための経済戦略、市場、代替案(Neoliberalism or Democracy? Economic Strategy, Markets, and Alternatives for the 21st Century」がある。】

紙からも爆弾が作られる They also make bombs out of paper By Raj Patel

 化学爆弾(fertilizer bomb)はオクラホマで何百人、ジェット機はニューヨークで4000人、制裁政策はイラクで150万人殺した。貿易政策は世界中を苦しめる。何からでも爆弾は作れる。紙で作った爆弾が最も威力を持っている。2001年11月、WTO (世界貿易機関)第4回閣僚会議がドーハで開催され、閣僚宣言を掲げて終了した。米通商代表部のロバート・ゾーリック氏は、同会議を対テロ戦争の努力として売り込んだ。彼は、9月11日のテロ以降途上国の多くは圧倒的な困難にいると話した。これら困難が米国グローバル経済への統合への強制によることは、同氏の頭から抜け落ちたようだ。「新ドーハ開発アジェンダ」は「対テロ戦争」と多く共通点がある。米国内外の貧しい人々に対する戦争の方法なのだ。

 最貧の国々の社会サービスは世界銀行の構造調整政策で骨になるまで削られた。多くの国はこれらの機関の監視、交渉、抵抗のためにジェノバに使節を送る余裕がない。複数の課題の同時交渉はほとんどの貧しい国々には不可能だ。ではなぜ途上国は署名に合意したか? 一つの理由は新ラウンドが「ドーハ開発アジェンダ」とブランド名を変えたことだ。中身は変わらず巨大企業と米政府のために働くもので、途上国の関心事を加えてもいない。ドーハ閣僚宣言のTRIPS(知的所有権協定)に関する部分では、公共の健康問題が医薬品の特許を覆せると記述された。これはまるでWTOが途上国に安価な医薬品を輸出することを効果的に許したかに見えたが、実は同宣言がすでに存在する「公共の健康問題は特許を除外できる」との条項を明確化しただけだ。実際にはWTOのルールは非常に権力を持つ。カナダ政府は過去にCiproの免許の義務付けに関する主張を一変させたが、もしカナダが過去の判決例から免許の義務付けを恐れたのであれば、小さな途上国が勝つ見込みは少ない。

 途上国が宣言に署名した一つの理由は、たいしたことではない:譲ったものはほとんどないので、結果をどのようにも宣伝できたことだ。国際政治の主なプレイヤーらが配当を求めていたため、国際機関に「信頼を再注入する」よい機会だった。インド政府は自国民に、国際舞台における存在感をアピールできた。EU(欧州連合)と米国は農業補助金の削減とTRIPSの見直しおよび「実施問題」に関する要求を払いのけることができた。金持ちの国々はいまだ1994年に約束した多くの点を実行していない。もう一つは使節団への「飴とムチ」作戦だ。対テロ連合の維持のため、米国とその同盟国は援助予算、貿易の機会、債務削減を持ち出した。莫大で不合理な債務に苛まれるどの途上国が、今のパキスタンのように、国際的な大盤振る舞いや、世銀・IMFの債務の帳消しや、CNNの同情の恩恵にあずかりたいと願わないだろうか?どの途上国が、アフガニスタンの立場になりたいと考えるだろうか?  おそらく最も妥当な議論は次の通りだ。シアトルで南の政府が署名を拒んだのは新自由主義とエリートクラスの塹壕の構築作業への抗議からではなく、粗野に扱われたからだ。途上国政府は新自由主義に反対していない。シアトルでの署名拒否はエリートを彼らが慣れたように扱わなかったからだ。ドーハでは、協定のブローカー、コンセンサスの商人のゾーリック氏がディーラーだった。この謙遜が途上国のエリートらに署名させた。これが自国の国民にミルクを与え資源をたかるエリート達なのだ。

 ドーハ宣言と対テロ戦争は権力政治の駆け引きだ。抗議する人々は困難に陥る。暴力と沈黙はパートナーである。貿易は開発とは無関係だ。また対テロ戦争はテロリストとは無関係である。国際貿易システムも対テロ戦争も塹壕作りの技術だ。戦争は愛国心として、貿易は効率性として売りつけられた。効率性は「あるお金で今以上に得る」こと。他の地域の安い生産物からの利益を消費者が得られるようにする、自分の地域の無駄な生産品への補助や、夫を亡くした女性や孤児への補助さえもやめる、という話だ。効率性がもたらす最大の罪は、女性の苦しみに対する沈黙だろう。紅茶、コーヒー、ココア、繊維、サービス、農業革新の生産で最も搾取されるのは有色人種で、女性だ。これに対する自由貿易主義者の典型的な議論は「以前は無収入だったあの小作農の女達が、自由経済の中で今は現金を稼いでいるじゃないか」というものだ。ここには事実の歪曲がある。彼らが売る商品の価格は過去30年下がり続けた。市場は需要が高くなると供給が増え、長期的には価格が下がることを保証する。供給を増やすために必要なことは、債務があり、熱帯に住み、低賃金労働者であることだけだ。貧しい人々を貧困から救うはずだった生産物の価格が急降下する。生活する権利を奪われた貧しい人々は街へ流れた。そこでは食料を育てる方法がないため、お金を稼ぐ仕事は必要不可欠だ。そして今「女性は金を持っている」。これが開発?そのとおり。

 「効率」は民主主義的価値ではない。効率は保守主義の技術である。効率は現にあるものからもっと多くのものを搾り出す方法である。それは現実が公正なものである場合には、考えることが許される贅沢であるかも知れない。しかし、現実はそうではない。「効率」は塹壕作りだ。これは「もしXをしなければ、テロリストが勝つ」(X の部分が今まで行われてきたこととまったく同じ)というぼんやりとしたスローガンのもとに売り込まれてきた塹壕作りだ。対テロ戦争は毎日何千人もの人々を殺す残忍な行為の防止とはまるで違う。貿易は開発とはまるで違う。ともに権力を維持するための塹壕を構築し、資本に安全な世界を保障するために、私達の名において法律に書き込まれた方法なのだ。 法律との関わりは重要だ(WTOの職員の大多数は法律家だ)。「開発としての貿易」「平和としての戦争」は、法律と公正の関係を一瞥させる。権力政治の正当化に引用される法律は非常に不当であり、有色人種の人々が長年経験してきた種類の「公正」の例だ。法律は弱い人々の武器よりもはるかに強い人々の武器なのだ。

 しかし時には紙(法律)が権力を持つ者にも不都合になることがある。その解決策は?無視すること。米国が自国の憲法と貿易のコミットメントについて過去何十年も行ってきた方法だ。これら非道を止めるためには「民主主義的な討論を展開する」べきだなどと誰にも言わせない。そんなものはない。しかしこのような政治は私達の同意に基づいている。もし私達がこれらを抑制すれば私達はもともと私達のものだった力を取り戻せる。医薬品の「企業化」に対する闘いは大規模な国際的動員、教育、抗議によって勝ち取られた。だが「開発としての国際貿易」の脅威はまだ続く。今は、知識人による健康的な悲観主義が必要だ。世界の多くの地域でこのような記事は犯罪を煽動するものと見られる。紙から爆弾は作られる。真実からも武器は作られる。真実を話すことはテロ行為だと見なされる。では私達が真実で武装したゲリラにならなければどうなる、サチャグラフィ(※)達よ? そう、そのとき本当のテロリスト達の勝利となる。※サチャグラフィ:M.ガンジーが唱えた無抵抗不服従運動の実践者。【Raj PatelはThe Voice of the Turtleの共編者。http://voiceoftheturtle.org】

ニュー・エコノミーの景気後退:2001年経済の採点表 The new economy recession: economic scorecard 2001 By Dean Baker(2001年12月20日)

 現在景気後退への突入が公認された。ほとんどのエコノミストはすぐ終わると予測するが、この見方を無批判に受け入れることはできない。彼らのほとんどが景気後退の始まりを予測できなかった。空前の規模の投資バブルが起こす問題を認めたくなかったからだ。経済の回復は需要の急速な回復により促進される必要がある。近い将来経済を前進できるセクターは不確かだ。1990年代終わりの好景気を推し進めた消費と投資は、当面の将来弱いままである可能性が高い。州・地域政府の支出は経済の足を引っ張るだろう。税の減収に従い支出の削減に追いこまれるからだ。最も明るい見通しは総輸出の増加だが、これはドルの低下が必要。ある時点でドル安になるのは確実だ。FRB(米連邦準備制度理事会)はドル安の防止や、その影響の打ち消すような金利の引き上げをすべきではない。

■2002年の経済 5年間の急成長の後、2001年に経済は景気後退に突入した。過去5年間毎年300万の雇用が増加。2001年に100万近くが失われた。多くのエコノミストにとりこの降下は驚きだった。CBO(議会予算局、Congressional Budget Office)は1月にまだ実質GDP 成長率を2.4%と予測した。だが1年を通してのGDP成長率はゼロに近いだろう。この降下の足音は明らかだったはずだ。2000年の経済はITセクターへの投資ブームと急増する消費により推進された。これらは株価上昇に伴うものだ。2000年3月のピークには、株価の総額が企業収入の33倍以上になった。これは歴史的な平均の株価対収入 14.5:1の倍以上だ。すでに生産高に対する企業の利潤の割合は異常に高く、それ以上高くなる可能性は低かったため、株価は現実とかけ離れていた。この高価値に説明がつけられないため株価の急落は不可避だった。株価の下落はITへの投資と急増する消費の終わりを意味した。2000年終わりに投資バブルの収縮が始まったから、この頃エコノミストらはこれらのセクターの脆弱性を予期していたはずだ。株価の急騰の影響で、貯蓄率はほとんどゼロだった。株価の下落に従い貯蓄率が上がるのは確実だった。各家庭が、保持する株式の価値の低下と、将来の価格の上昇への期待薄を考慮するからだ。貯蓄率の上昇は消費の低下を意味する。また少しでも収益を望む投資家を抱え、多くのIT企業は投資計画の大幅な削減を行い、また多くは昨年倒産した。

■回復はそこまで来ている? エコノミストは急速な回復を予測している。これらは心もとない根拠によるものだから警戒して見る必要がある。多くのアナリストは戦後の平均的な景気後退は11ヵ月で回復しているというが、過去の景気後退はFRBによる成長とインフレを抑えるための金利の引き上げが原因だ。金利の引き上げは住宅建設と新車の購入を抑える。だが今回は住宅建設と車の販売はそれなりに維持されているため、回復に火をつける消費者の潜在的需要がない。もう一つの根拠は最近の株価の上昇だ。だが株式市場は多くの場合完全に不合理な要因によって動いており、経済は株式市場に規則的なパターンで追随しない。経済の回復は願望に基づいた考えではなくGDPの実際の要素の成長を伴わなう必要がある。GDPの約70%を占める消費は重要な要素だ。近い将来消費が強く伸びる根拠は見当たらない。雇用の喪失、勤務時間の短縮のため給料の伸びは低い。雇用喪失は当面続くといわれる。各家庭の手取り所得に占める債務の割合は異常に高い。抵当債務を除く債務は手取り所得の23%以上だ。多くの家庭がローンを組む能力の限界に達している。ゼロ金利により新車の購入ブームが促されたため2002年上半期の購入は見込めない。これらから2002年の上半期には強い消費の伸びが期待できない。投資の見通しもよくない。企業の設備稼動率は75%に落ち、設備拡大を考えることはなさそうだ。前年から20%近く利潤が落ち、また信用貸しする価値が下り坂だから、資金調達が新規投資の障害となりそうだ。州・地域政府セクターでは、経済の減退で収入が大幅に落ち込んでいる。ほとんどの政府は支出と雇用の削減の必要に迫られている。住宅建設は低金利のため比較的維持されている。だが2001年の上半期に住宅建設費用が急激に上がっているから将来の見込みは明るくない。商業建設の見通し、事務所・小売・ホテルスペースともに建てすぎの状態だという。国際セクターが最も期待される分野だが、危うい。世界的な経済後退で米国は他国市場の強い成長による輸出の急増は望めそうにない。しかしドル高が莫大で持続不可能な貿易赤字の原因となっている。ある時期にドルは下がり貿易赤字が大幅に削減されるだろう。しかしこれはインフレの圧力ともなる。FRBがこのインフレを抑制するために金利を上げれば、ドル安の効果をかき消す可能性がある。現段階では急激なドル安が最も期待できる分野だ。

 経済刺激策は好景気を促進できるが、効果的な政策の承認には大きな政治的障害がある。議会が、ベースラインとなる予算がすでに赤字であるときに支出の増加や税の切り下げを支持するか否かは明らかでない。

 要約すると、回復が近いという予測の強い根拠は見出せない。雇用の喪失と債務が消費を抑制しつづけ、設備超過と資金調達の問題が投資を抑制し、経済成長の主要エンジンとなる要素は当面出番がない。最も期待できる見通しは、輸出に拍車をかける急激なドル安か、連邦政府による強い経済刺激策である。【Dean BakerはCEPR(Center for Economic and Policy Research)の共同代表。 CEPRとの協働で出版された。CEPR: www.cepr.net】 ユーロから欧州帝国主義へ From Euro to Euroimperialism By Heinz Dietrich Steffan

 新しい欧州通貨がもたらすものは「経済の発展」にとどまらない。それは同時に、欧州のアイデンティティ、欧州の結束、そしてヨーロッパ帝国主義の強化、つまり新しいレビアタン(巨大な海獣)の世界の舞台への登場を示している。EU(欧州連合)の加盟15カ国のうち12カ国がユーロランドと呼ばれる新通貨圏に入り、デンマーク、英国、スウェーデンのみ外れた。しかし新通貨の影響はより広範囲に渡る。このスーパーパワーの多くの旧・現・新植民地はこの新通貨基準を採用した。アフリカの16カ国は自国通貨の対ユーロ・レートを固定した。デンマークでも75%の企業がユーロを受け入れることを決めており、英国、スウェーデン、ポーランドその他東・南欧の12 の国々でも、旅行業および外国市場につながりのある企業はユーロを受け入れる以外道はない。英国の輸出の50%はEUに吸収され、また毎年1400万人のヨーロッパ人旅行者が英国で何百万ものユーロを吐き出す。

 欧州の政治家エリートの30年来の夢を遂げるため、2002年1月2日にユーロが導入され、この新スーパーパワーはグローバル村の経済支配の競争で同等の条件を携えてワシントンに参加する能力を見せ付けた。ユーロランドの経済力:WDP(「世界総生産」、World Domestic Product)に占める割合はユーロランド16.2%、米国22%、日本7.6%。世界の輸出に占める割合は順に19%、15%、9%。資本市場の資本総額は順に66%、128%、74%。人口は順に3億200万人、2億7200万人、1億2700万人。

 この新経済スーパーパワーは1500年の歴史的プロセスの産物である。今回の、エリート主義ではあるが平和的な制度の統合はユーロランドの特筆すべき達成だ。今日欧州は、その多文化主義、多民族主義、連邦主義に関して、グローバル社会の中で特徴的である。しかしEUの世界政治での役割を占う者はこの米国との違いに惑わされるべきではない。新植民地国にとって二つの主君がいるほうがましだ。独裁制度にはなかった交渉の機会を提供するからだ。しかし、圏内の中流階級民主主義は圏外の搾取・抑圧と両立が可能だ。その意味では新ローマ帝国は米国と変わらない。この帝国は二つの顔を持つ神ヤーヌスとして生まれた。帝国の市民に対しては公正な顔、第三世界に対しては恐ろしい顔である。【Correos para la emancipaicon - Buenos Aires www.geocities.com/correosparalaemancipacion 】

ニュースレター112号の訂正前号の「アルゼンチンの民衆蜂起」の最後の文章のスペイン語→英語の翻訳が間違っていた。”For the present, Let us abondon the saucepans”は”For the present, Let us not abondon the saucepans”の間違いでした。 [注:日本語訳では「今は事態を見守ろう」という意味に解釈しましたが、この訂正に従って、「今は、抗議行動を止めないでおこう」に訂正します。

◇第2回世界社会フォーラム/最新情報◇

来る1月31日〜2月5日とブラジル・ポルトアレグレ市で開かれる第2回世界社会フォーラムには世界から5万人以上が参加して、800を超えるワークショップが開かれます。

 ここにノーム・チョムスキー、リゴベルタ・メンチューを始め、ナオミ・クライン、バンダナ・シバ、ベルナール・カッセン、スーザン・ジョージ、ウォールデン・ベロー、ジェレミー・ブレッカー、サミール・アミンなども駆けつけて、新自由主義的グローバリゼーションに反対し「民衆のためのもう一つの世界は可能だ」として、スピーチ&アピールが予定されています。 またフランスからは、世界経済フォーラム(WEF、ニューヨーク開催)への閣僚参加は2名なのに対して、世界社会フォーラムの一環として開催される議員フォーラムには閣僚6名が参加することになっています。(ルモンド紙は、フランス国民の62%がグローバリゼーションに反対だという世論調査の結果を報じています。) 昨年5月、日本でもATTAC運動を進めてほしいとして来日したATTACフランス議長(ル・モンド・ディプロマティーク誌編集長)のベルナール・カッセンは、日本の状況は「自殺者の数が示している」と語り、またヘラルド・トリビューン紙は、日本では「持てる者と持たざる者の格差が拡大している」と報じ、海外からも日本の深刻な事態が指摘されています。 そうした中で、私たちATTAC Japanは、日本の労働者の現実を世界に伝えるためにワークショップを行います。国労の闘う闘争団、郵政民営化に反対する郵政労働者、リストラ攻撃に屈せず闘うNTT労働者の闘いを伝え、また同時に、雇用破壊が進む中で非正規労働者が増えている現実を報告して、女性労働者、パートタイマー、派遣労働者、外国人労働者などの状況を伝えてくる予定です。 新自由主義的グローバリゼーションを推進する小泉政権のもとで、なぜ私たちは困窮せねばならないのか。なぜ私たちは政府の無策に耐えなければならないのか。私たちは断じてNO!です。私たち一人一人のNO!という声が横につながり、さらにはNO!と言っている世界中の人たちとつながっていく、そうした運動を、私たち ATTACJapanは進めたいと思っています。 私たちATTAC Japanは、そんなことを考えながら、第2回世界社会フォーラムに参加して、ワークショップを行います。どうぞ、皆さん、ぜひ世界社会フォーラムに注目してください。なお、この報告会は3月9日(土)午後1時30分から東京労働スクウェア(地下鉄・JR 「八丁堀」下車すぐ)で行いますので、ぜひご参加ください。またATTAC JapanはWebサイトを開設しました。こちらもぜひ覗いてください。(文責:秋本)

転載■日韓投資協定NO!緊急キャンペーンより

昨年末に強行された日韓投資協定の基本合意に対して2月1日と2日に以下のキャンペーンを企画しました。 そして、このキャンペーンに参加のため、韓国から民主労総と投資協定・WTO反対国民行動(KoPA)の活動家が来日します。 韓国の労働者・民衆とともに、日韓投資協定の国会批准に反対する行動をともに起こしましょう! 折りしもこの時期、ブラジルのポルトアレグレでは、スイスのダボス会議に反対して、第2回世界社会フォーラムが取り組まれます。 私たちも、ポルトアレグレの世界社会フォーラムに連帯する視野を持って、日韓投資協定に反対する行動に取り組みます。以下に、集会の案内文を掲載します。皆さん、奮ってご参加下さい!

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労働・環境・生活・人権に重大な影響を及ぼす日韓投資協定の国会批准に反対しよう!日韓投資協定NO!国会批准NO!キャンペーンにご参加を!
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 年末も押し詰まった昨年12月22日、日韓両国政府は東京・外務省で日韓投資協定の第9回本協議を開催し、ついに同協定の基本合意を強行しました。それは日韓両国からあがる協議中止の声を押し切っての暴挙でした。

 さらに新年早々、小泉首相はASEAN5か国を訪問し、シンガポールとの自由貿易協定に署名し、そこで行なった「小泉スピーチ」では、ASEAN+3(日中韓)にオーストラリアとニュージーランドも含めた「東アジア拡大コミュニティー」の創設を提案しました。

 こうして日本政府は、「戦争国家」化の足取りと並行して、2002年を日本における「貿易と投資の自由化」元年とすべく、矢継ぎ早に外交通商政策を展開しています。

 今回の日韓投資協定基本合意の事態を受けて、舞台は今後、通常国会における批准の反対運動に移ります。すでに韓国政府は、3月に小泉首相の訪韓を明らかにしており、その時、国会批准の前段手続きになる協定への署名が行なわれる公算が高まっています。

 そこで私たちは、小泉首相3月訪韓、投資協定の国会審議を前に、再度、日韓投資協定の問題点を点検し、国会内外での大衆的なキャンペーンの出発点とするために、下記のような取り組みを企画しました。この取り組みには、韓国の全国民主労働組合総連盟(民主労総)と投資協定・WTO反対国民行動(KoPA)の方々も来日し、行動を共にします。

 皆さん、奮って「日韓投資協定NO!国会批准NO!キャンペーン」に参加して下さい!

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院内集会「日韓投資協定問題を考える集い」・日時:2月1日(金)午後1時から・会場:衆議院第2議員会館第2会議室 (地下鉄・丸の内線・千代田線「国会議事堂前」、有楽町線 「永田町」下車徒歩3〜5分)・呼びかけ:佐々木秀典衆議院議員ほか・内容:外務省担当者との質疑応答(■当日、12時45分に衆議院第2議員会館1階ロビーに集合して下さい) **********************************
外務省抗議行動・日時:2月1日(金)
午後6時半から・会場:芝公園福祉会館(地下鉄・都営三田線「芝公園」下車 A3 出口徒歩1分)・内容:緊急キャンペーン・民主労総・KoPAから緊急アピールを 受けた後、外務省前で抗議(■1月から外務省は、芝公園福祉会館横の住友不動産芝公園タワーに仮移転しています)
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日韓投資協定NO!活動者ワークショップ・
日時:2月2日(土)午後1時から・会場:文京シビックセンター(地下2F)消費生活センター研修室 (地下鉄・丸の内線・南北線「後楽園」、三田線・大江戸線 「春日」下車徒歩2〜4分)・内容:緊急キャンペーン・民主労総・KoPAの報告後、日韓投資協定の国会批准反対運動の今後の方向を討論

<主催> 日韓投資協定NO!緊急キャンペーン <連絡先> ●日韓民衆連帯全国ネットワーク     東京都文京区小石川1-1-10-105 TEL/FAX 03-5684-0194 ●全統一労働組合東京都台東区上野1-1-12 新広小路ビル5F TEL 03-3836-9061 / FAX 03-3836-9077

■なお、私たちは今回の「日韓投資協定NO!国会批准NO!キャンペーン」に賛同して下さる個人・団体を募っています。賛同いただける方は、上記連絡先までFAXにてご連絡下さい。また、賛同金個人1口1000円、団体1口3000円を郵便振替(名義「日韓投資協定NOキャンペーン」、口座番号00290−7−53417)で振込んで下さい。よろしくお願いします。