征服者がカンクンに戻ってきたCONQUISTADORS ARE BACK IN CANCUN

「サンドインザホイール」日本語版2003年第22号
7月2日号(通巻第180号)
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目次

WTOの看板はどこへ?(But Where is the WTO Sign ?)
5月30日、ジュネーブのWTOの玄関から2つの金属製の看板が消えた。それは人から人に渡り、何人もの人たちによって装飾が施された。それは恐らく9月上旬にカンクンに運ばれ、そこで大衆動員によって沈められるだろう。そのための準備として、大衆動員は7月にモントリオールで行われ[WTOミニ閣僚会議に反対する行動]、8月8-10日にフランスのラルザックで行われる http://www.larzac2003.org/。われわれはこの看板の旅に同伴し、その消息を知らせる写真を公開するだろう。もしこの看板が近くを通ったら、あるいはこの看板をどこかで見かけたら、写真を送ってください。

1. 競争力の神話を解体する(Exploding the myth of competitiveness)
私たちは、経営者の拠出を増やしたり資本や金融商品に課税したりすれば、労働力コストが高くなり、会社の競争力を弱め、そうなれば会社は人員整理や工場移転を宣告せざるを得なくなる(経済のグローバル化はそのほかの選択肢を許さない!)と聞かされてきた。これにどう答えるのか? 競争力を弱めることなしに、あるいは会社が移転を余儀なくされることなしに、そうやって将来の年金の財源を確保できるのか?(1723語)

2. コーヒーの危機(Coffee Crisis)
・・・ラテンアメリカ諸国の首脳はこれが「この100年間で最悪のコーヒー危機」であると言っている。規制のない世界市場の破滅的な失敗によって、世界はまたしても過剰生産と生活の破滅の危機に直面している(897語)

3. 企業が征服者としてカンクンへ(Corporate Conquistadors in Cancun)
WTO第5回閣僚会議(9月10-14日、メキシコ・カンクン)で、WTO加盟国は多国間投資協定に関する交渉を開始するかどうかを決定する。さまざまな市民社会グループ(および多くの発展途上国の政府)が、WTOの投資協定は非常に否定的な社会的・生態学的影響をもたらすことを明確な証拠を持って明らかにし、そのような交渉の開始に断固として反対している(3948語)。

4. 水カルテルを破綻させる(Busting the Water Cartel)
世界水フォーラムは、その主宰者によって「水資源を守るための委託を受けた国際機関」として描かれている。人権活動家たちは、そうではなく、現実には市場の要求にだけ責任を負う排他的なクラブだと言う。フォーラムのワークショップには「貧困層はいかにして顧客になるのか」などのテーマも含まれていた。このレポートはフォーラムに参加した市民グループの活動家の連合によるものである。彼ら・彼女らは多くの参加者に対して水をめぐる論争を、水を支配する企業家たちのビジョンとは違って、基本的人権や環境の問題として枠組みを設定することの重要性を確信させた(1227語)。


競争力の神話を解体する
Exploding the myth of competitiveness
By Michel Husson
私たちは、経営者の拠出を増やしたり資本や金融商品に課税したりすれば、労働力コストが高くなり、会社の競争力を弱め、そうなれば会社は人員整理や工場移転を宣告せざるを得なくなる(経済のグローバル化はそのほかの選択肢を許さない!)と聞かされてきた。これにどう答えるのか? 競争力を弱めることなしに、あるいは会社が移転を余儀なくされることなしに、そうやって将来の年金の財源を確保できるのか?
競争力をめぐる議論の第1の問題は、それには終わりがないということだ。この経済的至上命題に対して譲歩を行うごとに次の譲歩が求められ、それを通じて資本家は生み出された富のより多くの部分を手に入れることができる。しかし、利益の分配は実体のない経済法則によって決まるのではなく、社会関係の変化によって決まる。もし前の世代がこのタイプの議論を信じていたとすれば、私たちはいまだに19世紀の労働条件を経験していたことだろう。

1.  競争力をめぐる議論は現実と違っている
この20年ほどの間、ヨーロッパのほとんどの国でGDPに占める賃金の割合が減少してきた。つまり、実質賃金の上昇は労働生産性の上昇よりも小さい。したがって労働力の単価が下がり、コスト競争力は大きくなったはずである。しかし、実際にはこの生産性向上は一部だけが競争力の強化のために使われた。なぜなら、生産性が上がった分だけ価格が下がったわけではないからだ。つまり、労働コストの削減は物価の引き下げにつながらず、利潤の増加に繋がっただけである。しかも、利益の増加は投資の増加に繋がっていない。
・・・資本に対する誘引力という点では、われわれはグローバル化という状況の中で、全体的な視野を持たなければいけない。たとえばフランスの対外投資とフランスへの外国からの投資は国内投資を上回る速度で増えている。したがって、フランスの市場が魅力を失っていると言うのは作り話である。フランスの対外投資について言えば、低所得国の国に対する投資はそのごく一部である。

2. 犠牲を省みない競争の広範な影響
賃金コスト引下げの影響がすべてプラスであるとは限らない。資本主義は高利益を求めるが、同時に需要も必要である。しかし、賃金の引き下げにより競争力を得ようとすると需要を押し下げる事になる。さらにヨーロッパのような経済統合圏の国々が協調して、このような政策をとることにより、その影響は増幅する。
そのもっとも良い例--あるいは逆の例--が、EU圏で1000万人の雇用を創出した1997〜2000年の経済の「上昇期」である。この雇用の創出(長期にわたる雇用の停滞の後に起こった)は競争力の強化によってもたらされたわけではなく、全く反対に、新自由主義構造の若干の緩和によるものである。

3. 資本の逃避(と頭脳流出)というこけおどし
高すぎる課税は資本と人材の流出を招くと言われる。しかし現状を見ると、それは単なる錯覚である。フランスは所得税廃止論者が言っているほど資本を排斥していない。しかし、これは単なるこけおどしではない。なぜなら、問題は創出された価値の分配を受ける権利に関わっているからである。もしそのような特権について少しでも強制的に問題にするなら、移転や、資本の流出、脱税という形で報復的方策が採られるだろう。
・・・しかし、そうした報復にも限界がある。国外に出ることは市場を失う事となり、資本は簡単に輸出できるが、人、ノウハウ、機械やネットワークといった実際の生産力は簡単には移動できない。トービン税の場合と同様に、歳入をヨーロッパ・レベルで分配するための新しい方法の展開が、その実現性の条件となる。しかし、それでも、為替と資本の移動をコントロールする技術的メカニズムによって緩和することはできるが、完全に取り除くことはできない対立が依然として存在する。年金について言えば、基本的な問題は、年金受給者の数が増えたときに、年金に割り当てられる資金が増えるのかどうか、あるいは資本の所有者が固定的な財政を強制するか(この場合、年金給付額が引き下げられる)ということだ。
・・・そのような政策の政治的実現性は別の問題であり、政策決定は経済的なこけおどしに左右されてはならない。


コーヒーの危機
Coffee Crisis
By Sarah Cox  -Alternatives (Quebec)

ラテンアメリカ諸国の首脳はこれが「この100年間で最悪のコーヒー危機」であると言っている。規制のない世界市場の破滅的な失敗によって、世界はまたしても過剰生産と生活の破滅の危機に直面している。
直接の原因は、世界市場における供給過剰による価格の下落である。コーヒーの輸出価格は(インフレ調整した値では)この100年間の最低の水準に落ち込んだ。その結果、コーヒー農家(そのほとんどは収穫の一部を小作料として納める貧しい分益小作人である)は現在、生産原価よりかなり安く売っている。オックスファム・インターナショナルは2500万人に及ぶコーヒーの小規模生産者が生活の危機に瀕していると推定している。「コーヒーにより生計を立てる家族は、子供達、特に女の子に学校をやめさせ、最低限の薬も買えず、食事も抑えられている。」しかし、ラテやエスプレッソをすする人たちの大部分が、このような危機について知らない。それもそのはずだ。消費者の世界では、ほとんど変化はない。Maxwell、Nescafe、Flogers、French roastの製品の値段は少し下がっただけ、あるいは全く変わっていない。
このコーヒーの市場の崩壊は、既に貧困に苦しんでいるラテンアメリカやアフリカの諸国を一層危機的な状況に追いやっている。ニカラグアやグアテマラで多くの農場が倒産し、労働者が職を失い、餓死が報告されている。アフリカの諸国では、負債、干ばつ、疾病の上にさらに災禍が降りかかっている。
ICO(国際コーヒー機構)によると、数年前には途上国がコーヒーの輸出で得ていた収入は100億ドルほどだったが、今ではその半分以下になっている。コーヒーの輸出はブルンジでは全輸出の約80%、エチオピアでは50%を占めている。コーヒーによる収入がなければ、負債の返済やエイズ対策や学校の建設に使える資金が一層限られる。

コーヒー貿易の規制緩和

1962年以来、世界のコーヒー貿易は国際コーヒー協定によって規制されてきた。この協定では生産国に対し輸出割当量が決められ、コーヒー価格の安定がはかられていた。ところが、10年前に、世界最大のコーヒー消費国である米国がこの協定を離脱した。この協定により価格が高く保たれるのは米国の利益に反するという理由によってである。カナダも同時期に離脱した。コーヒーの輸出割り当てと価格管理は終わった。ベトナムのような、生産量の少ない国がいわゆる“ドルの木”に飛びついた。ベトナムはわずか10年の間にブラジルに次ぐ世界第2のコーヒー生産国となった。協定の空文化と軌を一にして、世界銀行とIMFはアフリカ各国にコーヒー産業の自由化と政府による保障価格での買い付けの廃止を迫ってきた。コーヒー農家には適当な収益が約束されたが、グローバル化と自由化は全く逆の影響を及ぼしている。
オックスファムの調査によると、10年前には途上国は消費されるコーヒーの1ドルにつき30セントを得ていたが、現在ではそれが10セント以下になっている。私たちが飲む一杯1.71ドルのエスプレッソに対して、コーヒー豆を育てる農家が得られる収入はわずか2セントである。なんと儲かる商売だろうか。しかし、儲かっているのはコーヒー産業を牛耳っている企業だけである。5つの大手の多国籍企業は毎年、世界のコーヒー豆の半分を買い付けている。オックスファムによると、Nestleはインスタントコーヒーで約25%の利益率を上げており、Sara Leeの場合は約17%である。
企業のコーヒーによる利益を示すグラフは常に上に向かっているが、ウルグアイの作家、エドアルド・ガレアーノによると、「コーヒーの価格を示すグラフは、発作を起こしている患者の臨床カルテのようだ」。グローバル化と規制緩和はこの落差を一層悪化させている。ガレアーノは憂鬱な表情で、「コーヒーを生産するよりも、消費する方が儲かる」と指摘した。


企業が征服者としてカンクンへ
Corporate Conquistadors in Cancun

InvestmentWatch Info Brief, July 2003
http://www.investmentwatch.org/

EUがWTO投資交渉に向けて攻勢

9月10日から14日までメキシコのカンクンで開かれるWTOの第5回閣僚会議で、WTO参加国は多国間投資協定の交渉を始めるかどうかを決定する。多くの市民団体(および多くの発展途上国の政府)は、投資協定に強く反対している。これに対してECは、投資協定を推進しようとしている。

背景

カンクンの閣僚会議では、投資協定(および他の「シンガポール・イシュー」と呼ばれる紛糾が予想される議題)についての交渉は、WTO加盟国の明確なコンセンサスがある場合にだけ開始できる。前回の閣僚会議(2001年、ドーハ)で、EU(および日本)は交渉開始の一歩手前まで進んだが、インドや他の途上国の反対のために、決定は今回の閣僚会議まで延期された。

EUの本当の狙い

ECは投資協定の推進を「発展に貢献する」というレトリックで飾り立て、柔軟で基本的な協定を望んでいるだけだと言っている。しかし、ECの基本モデルは非常に危険である。たとえ「基本的な」協定であっても、WTOの自由化の力学から考えれば、それは各国・地域が外国資本の参入や活動を規制する権利を大幅に侵害することになる。
歴史が示すように、最も成功している経済体制は、外国からの投資のマイナスの影響を抑え、プラスの影響を強化するために、投資を受け入れる分野を限定し、外国の投資家にローカル産業の発展への協力を求め(技術移転、合弁事業など)、国内の企業や投資家が有利になるような措置を導入してきた。しかし、このような国家の介入は、WTOの投資協定が、たとえ「基本的」な協定ですぎないとしても、制限されるだろう。そうなれば、発展途上国は多国籍企業の「規模の経済」に対抗することは不可能になり、民主的に統制され、環境的に持続可能な経済発展の展望は重大な打撃を受けることになる。

「基本」モデルは第一歩に過ぎない

ECの‘基本モデル’はそれ自体が十分に問題であるが、ECが実際にはもっと高いレベルの願望を持っていることが、いろいろな証拠により明らかになってきた。ECが[98年に頓挫した]MAI(多国間投資協定)をスローモーションで導入しようとしているという懸念が強まっている。
EU(および日本)は、対立を避けるために、締結されるべき協定の内容についての論議を避けて、それを今後の交渉に委ねるという方法を取ろうとしているようだ。交渉が開始されれば、多国籍企業の利害を反映した高いレベルの要求が次々と出されてくる。
米国はこれまで、投資協定の問題について沈黙してきたが、今では、米国は交渉に参加の用意があるが、協力・支持は条件付き(「投資」が広い範囲の投資を含むこと、各分野について高いレベルの、つまり企業に有利な基準が合意されること)であると態度を表明している。したがって「基本的な協定」にとどめるというEUの提案と、すべてが今後の交渉にゆだねられるという方法(したがって米国が次々と高いレベルの要求を出してくる)が矛盾すると思われる。しかし、実際にはEUにとって、米国の強硬な政策は、EU提案を穏健なものに見せかける上で好都合となるかも知れない。

誰のため

EUは、WTO投資協定についてのキャンペーンを開始した当初から、産業界の支持を求め、EU提案の作成に際しては民間部門から直接に、大規模に、意見を聴取した。EUは1999〜2000年の間に域内の大企業1万社を対象に、投資協定に関する期待についての包括的な調査を行った。また、ECは「投資ネットワーク」(IN)にテコ入れしている。INは企業寄りの団体であり、ECは投資交渉が始まった段階ではこの団体を有力な支持基盤にしようとしている。
・・・ECが目指している方向は、ECがその提案を準備する過程で作成した文書を公開すれば一目瞭然となるだろう。CEO(企業ヨーロッパ監視委員会)は2002年夏以来、これらの資料の公開を求めてきたが、ECはそれを公開すると「国際関係を損ねる恐れがある」という理由で拒否している。ヨーロッパ・オンブズマンは、ECの秘密主義がEUの情報公開法に違反しているかどうかの調査を開始した。

EUと米国の産業界がドーハ・ラウンドを救うため結束

米国とEUの分裂は各分野に及び、一部にはカンクン閣僚会議が「シアトルの再現」になるという予想もある。このようなドーハ・ラウンドの危機に直面して、企業ロビーはこのラウンドが失敗に終わらないよう、国境を越えて手を結び始めた。最近、世界のもっとも有力な6つのロビー団体(国際商工会議所、ヨーロッパ産業ラウンドテーブル、UNICE、日本経団連、米国ビジネス・ラウンドテーブル、カナダ経営者評議会)が、ドーハ・ラウンドを成功させるための共同のキャンペーンを始めた。このキャンペーンは20003年5〜6月のG8エビアン会議での各国首脳への直接の働きかけで始まった。・・・
これらの団体はドーハ・ラウンドを救う最良の方法が、交渉の主な障害となっている問題(特に農業の分野)の解決に焦点を絞り、サービスや工業製品関税などのあまり議論の対象にならない分野で交渉を進めることだということを認識している。だから、投資協定についてはほとんど取り上げられていないのである。しかし、カンクンの閣僚会議で交渉の開始が合意されれば、カンクン後に投資協定に関する企業のキャンペーンは強まるだろう。


水カルテルを破綻させる

Busting the Water Cartel
By Holly Wren Spaulding

第三回世界水フォーラムの主宰者である世界水評議会とグローバル・ウォーター・パートナーシップは、彼らによる世界の水の支配と分配と保全が世界的なコンセンサスを得ているかのように装うために尽力した。しかし、フォーラムを地球の水の危機に対する企業主導の解決策の宣伝の場にしようとしてもくろみは反撃を受けた。多くの参加者は、水をめぐる問題は人権問題であるという市民グループの議論を支持した。
3月16〜22日に京都で開催された世界水フォーラムは、水資源の枯渇という危機と、誰がこの貴重な資源をコントロールするかをめぐる熾烈な議論の真っ只中で開催された。水事業により金を稼ごうとする巨大企業と、それらを支える政府による一つのビジョンは水を価値のある商品として、市場でコントロールする事だ。他の者は水を基本的な人と環境の権利であり、世界中の地域や人々によって守られなければならないと見ている。

フォーラムの準備プロセスでの対話の道が閉ざされたため、活動家たちは有力水企業の役員たちのパネルで声を上げることを決断した。メインステージは竹細工で作られ、企業のプレゼン用の巨大スクリーンが設置されていた。しかし、ステージ上の20人の男たちは、期待していた熱烈な反応とは全く違った注目を受けた。
草の根の活動家たちがフロアから討論を主導した。企業の役員たちに「地獄へ落ちろ」と叫んだだけでなく、各国で水の民営化によって生じている日々の悲惨な現状を次から次へと話した。カンクンからきたメキシコの活動家は黒味がかった水道水をパネルの人たちに見てもらうようペットボトルへ入れ持ってきた。その水は濃い茶色で、ガソリンのにおいがした。また、先住民の権利を求める活動家は、利益を求める商品としての水の扱われ方に疑問を投げかけた。
世界の水の利益を貪る企業のやり方の一つに、地下水を支配するという方法がある。世界銀行のIan Johnsonは、「地下水の掘削は、社会的コストがほとんどなくてすむ」と言う。Johnsonが知らなかった事は、観衆の中に米国・カナダに挟まれる五大湖から5人のメンバーが参加していたことだ。そこは地下水に関して熾烈な争いが繰り広げられている地域だった。Nestleのボトル・ウォーター事業に反対する住民はまさにJohnsonが無視している社会コストと環境コストの問題を提起している。

津波のような反対意見

フォーラムの進行に伴って、企業の利害がますます明確に打ち出されるようになり、「すべての人々に水を供給するための資金調達」と題するレポートが反対意見の標的となった。前IMF総裁のミッシェル・カムドシュが議長を務めたパネルが、このフォーラムの最大の対決となった。労働組合員、国際河川ネットワーク、先住民ネットワークのメンバーや他の草の根の活動家たちは、カムドシュの報告の間、手製の「嘘発見器」を操作した。嘘の程度に応じて色コード上をメーターが振れる。赤が最もあからさまな嘘を示す。別の活動家たちは「水は命だ」、「水は人々のものだ」と書かれた大きなデコレーションを掲げた。フロアからはボリビアの人権活動家Pablo Solonが提案に反対して「私たちはレポートのあれやこれやのパラグラフについて反対しているわけではない。私たちが反対しているのは、カムドシュ・レポートの精神である。なぜならこのレポートにはハートがないからだ」と述べた。彼はこのレポートで提唱されているような水民営化がボリビアでは暴動を引き起こし、死者まで出したことを指摘した。
・・・最終的な抗議行動の1つとして、カナダの活動家のTony Clark とMaude Barlowが他の活動家たちとともに、世界水評議会の「部外者立ち入り禁止」のミーティングに押し入り、200以上の組織が対抗ビジョン宣言「水は生命だ」に署名したことを明らかにした。この宣言は水を商品、利益の源泉としか考えていないWWFに対する対案である。
世界水フォーラムからWWFから数日後、草の根の活動家たちは各国の闘争現場に戻った-エルサルバドルからガーナ、デトロイトからニュージーランド、タンザニア、ニカラグアそしてインドからオランダまで。彼ら・彼女らは水を支配する者たちが示しているモデルに対する対案を創り出す作業を継続することを決意している。
ヴァンダナ・シヴァがが言うように、「彼らが私たちに与えるあらゆるひどいことに対抗して、私たちは本当に美しいものを生み出さなければならない」。