N° 170 - Wednesday 09 April 2003 3

ローザのこと、その他いろいろのこと
ROSA AND OTHER SMALL THINGS

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目次

1.「平和のための結集」:国連総会は世界平和運動に大きなチャンスとなる "Uniting for Peace": UN General Assembly Provides Crucial Opportunity for Global Peace Movement)
国連総会は、米国のイラク攻撃を非難するための緊急総会の開催をめぐって揺れている。しかし米国の抵抗は強力だ。だが、「もうひとつの超大国」と称される世界の世論--世界的な平和運動に表現された--は、対イラク戦争の即時中止を求める国連総会の開催要求に力を集中することによって、力関係を有利に変えることができる(1497)

2.「戦後」のイラク:民営化のショーケースPostwar Iraq: A Showcase for Privatization?)
先週、レーガン政権時代の大統領補佐官だったマクファーレンと、株式投資管理会社の最高経営責任者であるMichael Bleyzerは「ウォールストリート・ジャーナル」紙に「イラクを民営化せよ」と題する投稿論説を掲載した。その中で彼らは、「米国と同盟国は民間のビジネス・リーダーを集めて、経済の構造再編を監督・監視するための委員会を編成するべきだ」と述べている(1239)

3.「20%80%に分裂する社会」と「ミルクと娯楽」戦略20:80 society and tittytainment)
21世紀に世界経済を維持していくためには、世界の労働人口の20%で十分だろう。では、残りの人たちはどうなるのだろうか? 「もちろん、残りの80%の人たちは深刻な問題に直面する」-The End of Work”(「大失業時代」) の著者ジェレミー・リフキンはこう答える。カーター大統領時代の大統領補佐官だったズビグニュー・ブレジンスキーは、この問題の解決策として”tittytainment”を提唱した。これは”tits”(「乳房」。ここでは栄養源という意味で使われている)と"entertainment"(「娯楽」)の2つの単語を組み合わせた造語である[「不満が爆発しないように、適当に食糧と娯楽を与えておけばいい」という意味]1996年にすでに500の衛星が打ち上げられており、何千万台ものテレビに情報を送っていた(739)

4.資本のグローバリゼーションとミリタリズム結合Links between the globalisation of capital and militarism)
本稿では、資本のグローバリゼーションとミリタリズム[軍事力主義]の発展の関係についての私の考えを示し、その視点から今世紀初頭に始まった新しい段階--「終わりのない戦争」--について考察する(2648)

5.ローザの夢多い人生The colourful life of Rosa)
ローザはニカラグアの9歳の少女、・・・世界を大混乱に陥れるかも知れない戦争が切迫している国際的な状況の中で、これは1つの地方で起こったことにすぎないと考える人もいるだろう。数週間もすれば忘れられるだろう。しかし、これは中心的な社会問題であり、戦争の問題とも密接に関係している。すべては、どのような観点から考えるかにかかっている。これは生命の価値に関する論争である。生命--ローザの夢多い人生、それとも胎児の夢多い人生? それは2つの異なることである・・・(1378)



「平和のための結集」:国連総会は世界の平和運動に大きなチャンスとなる

 "Uniting for Peace": UN General Assembly Provides Crucial Opportunity for Global Peace Movement
ジェルミー・ブレッカー(歴史家)

国連総会は、米国のイラク攻撃を非難するための緊急総会の開催をめぐって揺れている。しかし米国の抵抗は強力だ。だが、「もうひとつの超大国」と称される世界の世論--世界的な平和運動に表現された--は、対イラク戦争の即時中止を求める国連総会の開催要求に力を集中することによって、力関係を有利に変えることができる。

■背景
 1956年、エジプトがスエズ運河を国営化し、その時英国、フランス、イスラエルがエジプトに侵攻した。時の米大統領アイゼンハワーは侵攻停止を望んだ。国連安保理決議で英国とフランスは拒否権を行使、米国は国連総会に対し停戦を求めた。国連緊急議会が開かれ、決議が採択され、英国、フランスはそれから1週間で撤退した。

国連総会への訴えは「平和のための結集」"Uniting for Peace"に基づくもので、拒否権行使で安保理がその責務を果たせない場合、国連が機能するというもの。国連決議377は、「平和への脅威、平和破壊、侵略行為」が存在し、安保理常任理事国の合意が得られないとき、国連総会は国連加盟国に対し直ちに「国際平和と安全の維持と回復」のための集団的措置を取るよう要求すると規定する。「平和のための結集」は、これまで10回行使されている。

■現状
2003324日の会議で、アラブ諸国外相たちは米国と英国によるイラク攻撃を非難、無条件で即時撤退するよう求めた。そして安保理の場での討議を求めた。しかし、戦争反対の決議はされなかった。米国と英国が拒否権を使うかもしれず、また戦争反対決議は戦争を合法だと認めることになりかねないからだ。

アラブ諸国とその他のイスラム諸国及び途上国は、国連総会でのイラク特別総会の開催を求めた。57の国連加盟国が加盟するイスラム諸国会議機構(OIC)は、49日までにイラク戦争を国連総会の場で討議するよう求め、正式にマレーシア大使が特別総会に要請した。

■米国の反対
一方米国は、「この2週間、各国政府に対しイラク緊急総会を避けるよう積極にロビー活動」を行い、「国連総会は必要でない。ただ国連加盟国を分裂させるだけだ」と述べた。

ある国連代表がこれに「腹を立て」、米国と各国連代表のやり取りの記録を暴露した。これをグリーンピース(環境保護団体)が公表した。その中で米国は、「イラクに関する国連総会は、米国の意思に反し、イラク問題の何の解決にもならない」と述べ、さらに「国連に新たな障害をもたらすものだ」と、警告した。

■なぜUFP(平和のための結集)か
<省略>

■なぜUFPキャンペーンか
UfP 世界キャンペーンは、「もうひとつの超大国」である世界平和運動となる。そして、一般市民の戦いと政治的戦いは大きく注目され、世界的に大きな影響を与えるだろう。そして各国の平和運動はその政府に対し、米国を拒否し、UfPを支持するよう求めている。

またUfPは、戦争反対世界運動の第2段階の中心課題になるだろう。現に、英国のCNDやグリーンピース初め多くのキャンペーン、世界中の平和デモで広く実施されている。

さらに、議会がUfpを支持するよう政府に働きかけることもできる。例えば、最近ロシア議会、タイ外交問題常任委員会が安保理に要請した例などがそうだ。米国の平和運動は、ブッシュ政権が国連を妨害していること、また世界各国の政治決定を非合法的に妨害していることなどを非難することができる。

宗教団体、労働組合その他の団体が意志表明できる機会でもある。たとえば、イタリアのカソリック協会は、イタリア政府に対し、「国連総会は、国連決議337(平和への団結)に基づき、平和構築のため国連憲章に反するいかなる行動も阻止するよう」要請し、「イラクで起きている無意味な虐殺を停止する」よう求めた。また国際婦人連盟も、国連緊急総会で「国連加盟国が平和への結束を制定し、米国に断固と反対し、国際機関が再活性化するよう」求めた。

 


「戦後」のイラク:民営化のショーケース

Postwar Iraq: A Showcase for Privatization?
フィリップ・マテラ(「コーポレート・リサーチ・プロジェクト」)

先週、レーガン政権時代の大統領補佐官だったマクファーレンと、株式投資管理会社の最高経営責任者であるMichael Bleyzerは「ウォールストリート・ジャーナル」紙に「イラクを民営化せよ」と題する投稿論説を掲載した。その中で彼らは、「米国と同盟国は民間のビジネス・リーダーを集めて、経済の構造再編を監督・監視するための委員会を編成するべきだ」と述べている。

民営化は、昨年秋に右翼のヘリテージ財団が主催する会議で議論された。そこで出された論文の中で、Ariel Cohen Gerald O'Driscollは、「経済の再建と近代化に関し、サダム後の政権は、外国の民営化キャンペーンや構造改革の経験に学び、数々の経済政策を同時に進行すべきだで、まず必要なのは、民営化の普及だ」と述べた。

昨年9月、米国務省はこの会議の模様を対外交渉サイトに掲載した。 その中でコーエンの言葉を引用し、一番大事なことは「民営化に必要な財産権保護の法的環境を整えることだ」としている。

また英国アダム・スミス研究所「新しいイラクの経済と統治課題」(Toward an Economic and Governance Agenda for a New Iraq)と題する論文を発表した。その中で、「イラク改革が成功するには、民営化は必須」であるとし、さらに「すべてが国営なので、多くの部門(鉱業、化学、建設部門など)で民営化が必要だ」と述べている。

◆企業利益の軽視

開戦以来ブッシュ政権は、イラクに対する米国や他の国の企業の利権について話すのを避けてきた。しかし、すでに、民間企業Stevedoring Services of Americaとの間でウンム・カスル港の管理に関する契約を結んでいる。さらに、International Resources Groupとの間で技術支援契約を結び、英国のCrown Agentsとも提携する。

米国国際開発局は、6つの米企業にインフラ建設契約の独占的入札権を与えた。主な企業はBechtel Parsonsであり、Parsonsはチェイニー副大統領との結びつきのため入札から外されたHalliburtonの関連企業である。

Bechtel Parsons2社は、米国その他の国で民営化を推進してきた。Bechtelは、水処理システムの民営化で主な役割を果たし、その子会社は、水道料金高騰に反対する反対運動が起きボリビアで操業停止に追い込まれ、現在は、補償を求めてボリビア政府を訴えている。

Parsonsは、民営化の実現性調査を請け負い、時にはプロジェクトそのものを請け負っている。ニュージャージーで行った自動監視システムの民営化は、評判が悪く、非効率的で莫大なコストがかかると非難された。

確かに、イラクには莫大なビジネスチャンスがある。ブッシュ政権は農業から銀行まで大幅な改革を実施する計画で、空港、学校、病院などの設備の再建及び運営契約は米企業が結ぶだろう。

◆大きな戦利品

戦利品は勿論、石油。戦後イラクの石油システムを外国企業が支配することは確実だが、要は、所有権を誰が持つかだ。ヘリテージ財団レポートの著者は、オンラインレポートNational Reviewに「イラク石油の民営化」と題するレポートを掲載し、ロサンゼルス・タイムズによると、亡命したイラク石油専門家からなる国務省諮問委員会は、新政権発足後に石油資源の民営化が必要だと述べた。

ブッシュ政権は、石油資源はイラク国民のものだと言うが、注目すべきは戦後の石油生産の監視役にシェル石油の前長官が選ばれたことだ。またワシントン・ポストによると、国連と英国は、国連の「食糧のための石油プログラム」下で実施されているイラク石油の運用を、米国が安保理の委任なしで引継ぐ権利はないと述べている。

Platt's Oilgram Newsによると、1976年にイスラエルがエジプトによって開発されたシナイ油田を占領した後に米国国務省が作成した「法律に関する覚書」によると、国際法は占領軍が石油開発利権を持つことを認めていない。だが、国務省は今新たな法的解釈を探っている。

 


20%80%に分裂する社会」と「ミルクと娯楽」戦略

20:80 society and tittytainment
Mauro J. Zuniga (医師、コラムニスト、作家)

素晴らしい本がある。Hans Peter-Martin Harald Schumanによる「グローバリゼーションの罠」。この本は1995年9、10月にゴルバチョフ財団がサンフランシスコで開いた円卓会議に刺激され著されたもので、この会議には、世界中の政治家やその他の指導者500人が21世紀の新文明について議論した。

議論の結果は、2つの言葉と一つのコンセプト、「2080」と「Tittytainment」。21世紀の世界経済を維持するには、労働人口の20%で十分だという。では、残りは。The End of Work Jeremy Ritkinは、「残り80%は深刻な問題に直面する」と言う。かつてのカーター大統領審議官Zbigniew Brzezinskiは、2つの言葉を述べる。まず「tits」。これは豊富な栄養を備えているという意味。もうひとつは「entertainment」。2つを合わせて、「tittytainment」(豊富なエンターテインメント)となる。

この本の中で紹介されている国連開発計画(UNDP)、the International Organisation for Work、世界銀行の統計、世界的食糧不足予想している大企業は大幅な人員削減をし、中小企業は倒産する。最大の不安が、失業と不安定な仕事。社会利益はゴミとともに処分され、生物学的に見てもこの世界には住むことができなくなる。2080の世界はやってくる。だが、誰がその責任を負うのか。「誰もいない」とMarketは言う。

この本は、マクロ経済問題を知らない人にも理解しやすい。過去20年間で、状況は悪化している。米国のレーガン元大統領と彼の副官であるミルトン・フリードマン、英国のサッチャー元首相とフレドリック・フォン・ハイエクは、新しい神のために新しい三位一体(自由化、規制緩和、民営化)を発明しなければならなかった。彼らは福祉国家の古き良き時代に一撃を与えた。

政治は経済に、国民国家は資本に、人間は市場に屈服する。大企業は、コストの安いところへ移動する。世界人口の80%とその人々の回りの環境は、大きなビニール袋に入れて捨てられる。国際金融では、118億ドルが取引される。だが、そこから何が一体得られるのか。苦痛だけだ。

世界は終わりに向かっているのか。いや、そうではない。この本には、トービン税、短期金融取引に対する国際課税について述べている。ここに書かれていることが実施されると、貧困もなくなるだろう。アタックの運動はこのような問題を論議するために設立され、今はヨーロッパ以外の世界にも大きく広がっている。ユートピアは近いのだ。

 


資本のグローバリゼーションとミリタリズムの結合
Links between the globalisation of capital and militarism

Claude Serfati

本稿では、資本のグローバリゼーションとミリタリズム[軍事力主義]の発展の関係についての私の考えを示し、その視点から今世紀初頭に始まった新しい段階--「終わりのない戦争」--について考察する。

1980年代、世界の軍事費は天文学的レベルに達し、90年代には激減した。だが再びそれが増加し、1998年から2001年で7%増加している。今21世紀が始まり、世界の軍事費は増加の気配を見せている。・・・

イラク戦争を決断したのは、キリスト教原理主義の「一派」と言う言葉では片付けられない。大統領関係者は、前ブッシュ政権の穏健派を追い出し、911が現ブッシュ政権に引き金を与えた。「終わりのない戦争」には複雑な要素が絡んでいる。3つの点を述べる。

−まれに見る覇権主義。ブッシュ政権は、1990年代の軍事化と軍事介入の規模を変えた。

−軍事産業システム。2次大戦後の数十年で確立され、90年代に金融資本構造と密接に結びつき、その後幾世代も続いている。

−新自由主義政策と「市場」確立に基づく矛盾した蓄積システム。多くの地域でまた911以前の米経済を破壊させた投機的資本の権利を強要すること。

この3つの原因を考えよう。地政学的観点から、米国の覇権主義は共通の認識だ。「帝国」というレッテルは適切か。アタックの示す方向性か。軍事化やアフリカの人殺しの戦争に対するNGOの活動、アタックの活動をどう位置づけるか。

近年の軍事化の中、軍事産業システムの役割は非常に重要だ。なかでも米国の軍事産業は重要。戦後の政治経済メカニズムが米国の軍事産業を形成し、技術発展に大きな影響を与え、主な産業(航空学、宇宙開発、電子工学など)を発展させてきた。90年代は軍事化が進み、米国の軍事と安全保障に関する情報通信技術は「軍事―安全保障複合体」を出現させ、そしてそれは「冷戦」時代の「軍事―産業複合体」よりも重要な役割を果たしている。

 アタックは、90年代に多くの地域に波及したグローバリゼーションの政治経済と、それがもたらした破壊を認識している。2002年には、景気回復の兆しもなく、富裕層と投機家は減税される一方で、予算と貿易の赤字が増加している。このような状況の中、軍事費増加の新計画が出された。これに関して、ビジネスウイークは「階級戦争か」と題する文書を出版した。この政策は、「金融市場」と「終わりのない戦争」に拍車をかけ、悲劇をもたらすものだ。

前述の3つの要因の相互作用と相対的重要性についても、議論をすべきだ。ミリタリズムと戦争が如何に全てのものを破壊するのか、注意深く分析すべきだ。 経済理論の中心である自由貿易と平和がどのような関係を持っているかは過去の歴史が証明しており、「幸福」と「平和」から程遠い(資本の)グローバリゼーションは、力の行使を求めている。

いま新しい時代が始まり、資本のグローバリゼーションと戦争・ミリタリズムは密接な関係を持っている。米国では投機資本の支配は行き詰まり、政治エリートと支配層は自らの利益を守る方法を探っている。この戦略は、被害を受ける人にも、平和的に資本主義を実施する代替案を求める人々にも「持続不可能」だ。ブッシュ政権は、これまでと異なる新しい「世界支配」を探っている。これはこの10年間の新自由主義、金融支配、ミリタリズムの関係と異なったもので、イラク戦争に関しては、米国指導者たちの国連に対する対応をみると問題は深刻化するだろう。

今必要なのは、討論と入念さだ。イラク戦争は確かに利益を生み出すが、この問題を詳しく検討することも必要である。アタックはこの問題を深く検討し、イラク戦争に強く反対しなければいけない。

以下にいくつかの注目点について述べる。

−ヨーロッパの防衛と兵器の問題。過去10年間、米国及び拡大EUの軍事産業システムが変化してきたこと。兵器産業の“transatlanticisation”(大西洋化)と言う言葉がなぜ生まれたか。兵器産業も、その他の産業と同じ問題に直面している。大西洋の向こうで再構築された「金融市場」の役割、産業の民営化の増加、軍事巨大企業の「統治」など。

また、ヨーロッパ軍事産業を強化し兵器市場の調整する手段、武器調達手続きなどが増えたので、新しい組織も設立された。このような産業の変化と欧州安全保障防衛政策(ESDP)の方向性はどう関連付けられるか。このような疑問は、EU拡大と米国が東欧をその中継基地としてどう使うかということに大きくかかわってくる。

−金融が支配するグローバリゼーションの進行とミリタリズムの関係。

ミリタリズムが戦争を導くことは明らかだ。一般的に兵器産業は北に存在し、戦争は「南」で起きる。「民族間の戦争」と言われる。略奪を目的とする経済が必然的に引き起こすアフリカの戦争は、グローバリゼーションの必然的結果だ。戦争で国家組織は崩壊し、天然資源を略奪する経済が形成される。戦争は、必然的にグローバリゼーションに寄与する。多国籍企業が天然資源を搾取し、略奪目的の経済の利益は、国際市場で「リサイクル」される。

世界は混沌とし、多くの専門家たちが「新自由主義帝国主義」を求めている。この言葉は皮肉にも、米国の公式文書では「国家建設」と書かれている。イラク解体で始まるパウエルの中東「再建」は、実はこの理論を推し進めるもの。また、新自由主義帝国主義は、経済不況と社会崩壊している国々の監視を「国際社会」(国連)が行うと言う計画にも表れている。良い例は、米国が崩壊したイラクの再建で、国連が主な役割を果たさねばならないということだ。

2002年、ブッッシュ政権の米国「国家安全保障戦略」には、「先制攻撃による戦争」と言う言葉はなく、「平和、民主主義、自由市場、自由貿易」は「人間の尊厳に必ず必要な」ものだと述べられている。だが当然、軍事的手段で強制的に行われるだろう。ラテンアメリカ大陸では、グローバリゼーションと「終わりなき戦争」の関係は近いうちに最高潮に達する。「市場」拡大と米国の軍事が結びつき、そこで経済と軍の関係が明かになる。

 


ローザの夢多い人生

The colourful life of Rosa
Carlos Powell(ジャーナリスト、作家)

 9歳のニカラグアの少女、ローザは、家族とともにコスタリカのコーヒー園に出稼ぎに来て、レイプされ妊娠した。そして、中絶か否か議論を巻き起こした。

世界を大混乱に陥れるかも知れない戦争が切迫している国際的な状況の中で、これは1つの地方で起こったことにすぎないと考える人もいるだろう。数週間もすれば忘れられるだろう。しかし、これは中心的な社会問題であり、戦争の問題とも密接に関係している。すべては、どのような観点から考えるかにかかっている。「家族保護センター」が報告しているように、レイプは頻繁に起こっている。毎日のように生存権が犯されている。

■生命の権利のための闘い

飢えで3人の子供がなくなり、母親も死にかけているとEl Nuevo Diarioの特派員が伝えた。まさにSOSだ。このようなことも、何千件と起きている。この死は、明かに誰かの責任だ。この母親は病院が治療費を要求しても支払えない。支払えば、食料が買えないからだ。彼女は治療も受けず、食べ物もなく、仕事もなく家にいて一体どうすればいいのか。

このような議論は重要だが、まだ始まったばかりだ。私たちはどこに向っているのだろうか?

多くの母親たちが不衛生で危機的状況の中で死なないよう、命を守るため中絶は多くの国で合法とされている。だが現在は、中世よりも状況は悪い。中世には物事はもっとわかりやすかった。火あぶりや拷問によって「悪魔」が排除された。現在は、私たちは民主主義という天使の服を着ていて、あたかもそのまま天国へ行けるかのようだ。火あぶりや拷問は姿を変えて、依然として存在するのだ。

「ラ・プレンセ」紙の記者は、中絶に反対する同紙の方針にも関わらず、独自の観点から、ローザに子どもを生むことを強制し、彼女の人間性を侮辱するような「セカンドレイプ」について指摘している。これはいかなる法典にも、憲法にも、科学的、道徳的、宗教的議論にも基づいていない。この問題は、常識のみに従って対処された。この記者は、母親だけの問題でなく父親の問題でもあると述べている。たぶん根本的には男の問題だろう。歴史的に見ても、なぜ男性は法律を制定し、支配し、政治的・宗教的組織を支配するのか。そして男はまた、レイプし、暴力をふるい、脅迫する。

■男の価値観を変えるには、女性の力が必要だ。

このような問題は、一般的無知のためだろう。息子は価値観を母親から受け継ぐが、女性の体は男に対するものだと考え、将来はレイプ犯になるかもしれない。母親は自分と息子にとって何がもっと威厳のある価値観であるか知らないからだ。そしてその結果として、男は力を持つようになる。

キリストはその弟子たちに、聖書を理解するためには聖なる精神の助けが必要だと言ったが、聖書はオウム返しに繰り返し暗記するものではなく、良識だ。

聖なる精神は、聖書によると何か新しい方法で人を変える何かを意味する。もし自分の中に何か不思議な精神を感じるなら、「啓蒙され」、物事がより良く理解できると考えられる。

自分自身が良識で導かれるなら、どんな規範も役に立たない。何世紀も前のスペインでは、恐喝と恐怖により魂が天国に行き社会問題が解決できると、多くの指導者たちが信じていた。剣でも、火災でも、追放でも、純粋な心は養えない。牢獄を増やしても、犯罪を減らすことはできない。ブッシュは爆弾でテロを防ぐことは出来ない。Miguel de Unamunoが述べたように、剣と恐怖で征服することはできる、しかし人を納得させることはできない。信念があれば勝利する。