テキスト ボックス: Sand in the Wheels
N° 158 - Wedneday 25 December 2002

 



VENEZUELA BLACK DECEMBER
ベネズエラ:「陰謀の12月」

ATTACニュースレター「サンドインザホイール」日本版2002年第49号(1225日)
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目次

1. ベネズエラ:「陰謀の12月」Venezuela Black December (By La Jornada)

2.連帯行動(Solidarity Action)(By ATTAC Venezuela)

3.ベネズエラ クーデターに抵抗する手紙に署名を(Venezuela Sign on Letter Against Coup (By CEPR)

4.WTOあれこれ(WTO Tidbits)(By the ATTAC workgroup on International Treaties)

 

[要約]


ベネズエラ:「陰謀の12月」

Venezuela Black December

La Jornada

 

石油産業によるベネズエラ政府に対する新たなクーデターが今年9月までにあると予測されていた。これは今年4月に失敗したクーデターの続きだ。だからこれまでいつも登場していた狙撃兵は必要なかったし、有力な経済グループにコントロールされたマスコミも必要なかった。

しかし、「革命家」たちがウーゴ・チャベズ大統領の退陣をこれほど急いだのは驚きである。4月のクーデターの際に、民衆の支持を得て復活した政権であり、「ボリバール憲法」には政権が任期の半分を過ぎた後はすべての任命や決定を取り消すことができる(したがって、03年8月以降は、国民投票を通じてチャベスを解任できる)にもかかわらずである。

アナリストたちによると、米国は対イラク戦争の切迫という状況の中で、この地域の石油資源に対する支配を強化する必要がある。ベネズエラは、4月のクーデターへの米国の関与にもかかわらず、1日100万バレルの石油を米国に売っており、ガソリンスタンドと精錬所の何百万もの株を所有する。

反政府勢力の一部が急いでいるのは、外国人の顧問たちがあせっていて、財政支援の打ち切りをちらつかせていることと関係している。また、2003年1月に炭化水素に関する法律が施行されるからかもしれない。同法律の施行で、政府はPDVSA(ベネズエラ国営石油会社)に保護された理事会に反した運営が可能になる。反政府勢力の知事や市長とつながりの深い大規模土地所有者にとって不利な内容の土地改革の法律も施行される。

「陰謀の12月」は、企業家によるクーデターの一部といえる。彼らは政府に近い同類のセクターを非難した。「民主調整派」(反政府グループの1つ)の文書では、PDVSAの経営者の重要な役割は政府の資金を枯渇させることによってチャベズを追い詰めることだと述べている。政治家と民間グループが共有する腐敗した権力の支配下にあるPDVSAは、収益の20%程度しか国家に納めておらず、残りは不明瞭な運転コストに消えている。

80年代への類似:1998年の選挙でのチャベズの勝利以来、革命の脅威はあった。影響力を持つ企業家グループと古い政治グループのメンバーから成る民主調整派は、ワシントンに援助されたニカラグアやパナマに介入した連合に似ている。

■チリで市民がアウグスト・ピノチェトとクーデターを準備した際使われた公式:ベネズエラでは、CTV(ワーカーズ・セントラル)のボスがそのパトロンのストに参加した際と同じ状況が見られた。ベネズエラでは、米政府とその連合が舞台に上がり、ベネズエラのマスコミは対抗勢力に味方した。最高裁判所は、大統領が軍事基地に誘拐され議会や他の民主制度が閉鎖されたにも拘わらず、4月11日はクーデターではなかったと決めた。これら事件は石油に導かれている。ベネズエラの雑誌Procesoは捜査員と分析者による石油クーデターの詳細を報告。4月の行動は、OPEC(石油輸出国機構)とキューバへの代表派遣の停止に始まった。分析者は、2001年9月に元軍隊のメンバーGuaicaipuro LamedaがPDVSAの社長に選ばれたことと、PDVSAの前社長で現在は米エネルギー諮問委員のLuis Guistiの活動によって、同社での陰謀は勢いをつけたと分析する。2001年4、5月に専門家が出した報告によると、PDVSAの民営化およびチャベズ追放の陰謀計画はすでにあった。Lamedaは就任期間中に、軍の革命派とのつながりを補強。彼らは市民セクターと対抗勢力の市長らとの関係を改善。国の情報機関はLamedaがワシントンのLuis Giusti、ニューヨークのヘンリー・キッシンジャー、マイアミのCarlos Andres Perez(ベネズエラ元大統領)、商工会議所と会議を開いていたことを知った。Lamedaの退職後、今度はPDVSAの労働者らの間に給料削減の噂が流れ、ストが起き、精錬所は停止され、地域のガソリンスタンドは閉じられ、石油ターミナルは停止された。Lamedaに近い陰謀を謀る軍隊の将校らはPlaza Francia de Altamiraに腰を据え、ここを政府への反乱を促す自由地区だと宣言。しかし十分な追従者が得られず、企業家らと石油クーデターに印籠を渡した。Jovenes Revolucionarios Bolivarianosグループが、ファシスト的対抗勢力が再度革命を準備していると主張。CTV会長がChuauのPDVSA工場前デモの呼びかけ人に指名された。右翼は外国の関係者を買収し、急進グループのBandera Roja(赤い帯)は傭兵を募集。Plaza Franciaの将校らと共に準軍隊メンバーの何名かを動員。米国大使からペンタゴンに送られた計画の進展を報告する内部文書には、これら行動に関係ない米国民全員にベネズエラから離れるよう警告する必要が書かれていた。なぜ米大使館が危険を知っていたのか? さらに、文書には「最高裁判所とその他の国の機関に政府に反対する決定をさせるよう圧力をかけよ。石油産業に関わるわれわれの全ての人的資源を使い、少なくとも70%が停止するようにせよ。車、バリケード、道路閉鎖を使いガソリンと食品の供給を停止せよ。目的は混乱を起こし人々を不安定にすることだ」「私たちを支持するベネズエラの経営者らとその家族は、12月最初の日曜までに同国、少なくともカラカスから避難せよ。われわれは軍事化された状況を利用して暴力行動を作りだすべきだ」とある。

■カトリック教会に対する告発:教会は、政府に対して12月2、3日に多数の死者を出したことを非難する文書を作るためのミサを準備していた。なぜ教会関係者は多数の死者が出ることを知っていたのか? もう一つの計画は「ベネズエラを非難する国際声明を出すようマスコミの全ての力を使う」ものだ。「オプス・デイ運動(カトリック教会の中の超保守的な組織)を支持したバチカングループを活発化せよ。マクドナルド、ゼネラルモーターズ、コカコーラなどの国際的な企業はストを支持すべきだ」

以上の要素が若者たちによって告発された。ベネズエラは同国の歴史の中で最も危機的な時を経験している。陰謀者たちの疾走を止めなければ、流血を見ることになるかもしれない。

La Jornada(メキシコ)より、 http://www.jornada.unam.mx/index.html




連帯行動

Solidarity Action

ATTAC Venezuela

 

ATTACベネズエラはIACHR(米州人権委員会)が今年の同国の状況の中で果たしてきた役割に注意を喚起している。IACHRは最も裕福な層と経済・マスコミの保守的なセクターの利害に助力している。これらセクターはベネズエラの民主主義と、公正な選挙で選ばれた合法な政府を不安定にしている。

ATTACベネズエラの組織憲章、民衆の利害、政治倫理、国際法、社会権・人権に基づき、同国の憲法と世界人権宣言により確立された権利を守るため、これらの権利を個人の利害のために侵すグループに対抗する闘いとして、ATTACベネズエラは「もう一つの世界は可能だ」と信じる人々に緊急行動を呼びかける。下の手紙のサンプルをコピーし、名前、組織名、日にち、町の名前を記入して、この記事の最後にリストアップされたメールアドレスに送ってほしい。反民主主義の陰謀による阻害が起きる中、IACHRは明らかに合法なチャベズ政府を転覆させようとするセクターに味方している。IACHRに対して、政府の不安定化に関心を持つ人々により操作されたIACHRの立場を皆さんが非難していることを知らせよう。そしてIACHRが全ての国の人権と民主主義を支持する公正でバランスの取れた行動を起こすよう求めよう。この緊急行動は、IACHRの保護的役割を取り上げるためでも、ベネズエラでの人権に関する深刻な問題という事実を無視するものでもない。しかし、IACHRが取っているバイアスのかかった政治的立場は、太平洋とベネズエラ国内の問題解決にはまったく寄与せず、反民主主義的なセクターの一方的な見解を提供して問題を深刻化しているだけだ。私たちは、米州人権システムの発展とベネズエラおよびこの地域の民主主義のために、IACHRのバイアスのかかった行為を止めるべきことを知らせる必要がある(詳細はwww.geocities.com/attac_vzla)

 

手紙のサンプル

To: cidhoea@oas.org

CC: cidhla@oas.org, corteidh@corteidh.or.cr, attac-venezuela@cantv.net

宛先:OAS・米州人権委員会(ワシントンDC)

 

委員諸氏へ

ここに、ベネズエラの危機における米州人権委員会(以下IACHR)の行為と、その名声ある仕事が反民主主義的な利害に味方する方向に間違って使われている可能性があることについて、私の懸念を伝える。すでにいくつかの組織が、IACHRが未確認の事実を早まって判断し、民主主義政府の党派の人々を犯罪化し、ベネズエラの民主的な政権を転覆させた政府を認めるという傾向に対して、懸念を伝えてきた。これらの懸念は、法律の役割とベネズエラの人権の現状評価が不公平な上、OASメンバーに対する呼びかけが米州民主憲章に反していると取れる12月12日の記者発表によりさらに増大した。ベネズエラがさらなる対立化を避ける努力を要する政治的危機にあることには同意する。公共機関の不審な行為やよくない人権の現状があるとはいえ、憲法と民主的に選ばれた政府を無視した政治的対抗勢力による反民主主義的な行為がこの危機の主な原因であることは明らかだ。そのためIACHRが政府の対抗勢力による多くの場合根拠のない一方的な非難を集結していることに私は大きな懸念を抱く。この行為は、平和的な解決に貢献せず、対立を激化し、民主的に選ばれた政府の転覆を正当化するための歪んだ見解に味方している。実際、IACHRが合法な政府に対する対抗勢力の戦略にも、現在も続くストにも、軍隊による反乱を求める多数の声にも、国の経済と特に石油産業を求める声にも言及しないのは不可解だ。IACHRは、対抗勢力がその利害のために操作している暴力行動を指摘する行為を犯罪と見なす戦略を、記者発表の場で踏襲している。一方IACHRは合法な政府に反対するセクターが犯している、多くの農民のリーダー殺害や最近起きた二人の高官の殺害未遂を含めた多くの暴力には言及していない。さらにIACHRがOAS国に「可能な全ての方法を」駆使して現状の悪化を避けるよう求めたことは軽率であり、民主的体制に対する攻撃に備えた唯一のメカニズムである米州民主憲章の17条を無視している。そのため私たちはIACHRが完全に独立した公正な行動を取るよう求める。さもなくばIACHRは、ベネズエラ市民全員の人権を支持する民主的で平和的な解決に貢献する意志を害する結果になる。私はIACHRが、ベネズエラの民主主義の安定への懸念に関する公式で公正な声明を速やかに発表し、そこに暴力的で反民主主義的な対抗勢力のセクターがこの脅威の原因であることに言及することを求める。また私はIACHRが南米の人権と民主主義の保護に関して行ってきた仕事に対する尊敬の念を伝えたい。以上の提案と事実に対してお返事いただくよう要請したい。

〔署名など〕

 



ベネズエラ クーデターに抵抗する手紙に署名をVenezuela Sign on Letter Against Coup

CEPR(経済・政策研究センター)

ベネズエラでの政治的危機の悪化にホワイトハウスは沈黙を保っている。私たちは、ブッシュ大統領と政府に対して、現在の危機を解決するために違憲で暴力的な方法に訴えることに反対する明確な声明を出し、米国政府がクーデターによって成立する政権を容認せず、そのような政府とは外交も通商関係も築かないと表明するよう求める。私たちのアピールに加わることを呼びかける。

署名したい人はMarya Murray Diazへ。Murraydiaz@cepr.net (202) 293-5380 内線 208

 

■手紙の内容:「ベネズエラのクーデター政府に反対する米国行動」2002年12月

ジョージ・W・ブッシュ大統領へ

ベネズエラで高まる政治的緊張に関して、対抗勢力の一部があらゆる方法を使ってウゴ・チャベズ大統領を解任しようとしていることを認識した上で、以下に署名した組織と個人は、あなたが米政府がベネズエラの民主的に選ばれた政府を軍事クーデターその他の違憲な方法により退陣させようとする試みに反対する声明を出すよう求める。またホワイトハウスは、米国がクーデターにより設立された政府とは外交も通常の商業的関係も持たないことを断言すべきだ。4月11日のクーデター以降のホワイトハウスの沈黙は、さらなるクーデターの試みに対する支持だと解釈されている。私たちはこのことが対抗勢力とチャベズ政府の対話および現在の危機の平和的解決に対する動機を減らしていると懸念している。私たちはさらに、西半球に対する米国務省の特使オットー・ライヒが最近「選挙は民主主義の国と言うには不充分」とベネズエラ政府を非難したことを懸念している。これはベネズエラ政府の高官にワシントンの動機に対してさらに疑惑を抱かせた。4月11日の反乱での米政府の役割は不透明なままだ。反乱の1ヵ月前に米国トップの高官が反乱のリーダーらに会っており、対抗勢力グループは米政府から資金も得ていた。ブッシュ政権はチャベズ政府に明らかな敵意を示していた。米国務省観察総監室によると、この摩擦の理由の一つは「チャベズ大統領のベネズエラ石油企業の活動への関わりが石油価格に影響を与える可能性があること」だ。さらに同観察総監室は、「4月の反乱に対する米国による警告は十分でなかった可能性がある。これら警告のうち、儀式的な標準を超えたものはほとんどない。クーデターにより設立された政府を認めないという警告や、経済制裁、その他の具体的な罰則的行動はほとんどない」「米国が定期的にチャベズ政府の放遂に関心を持つ人々と会っていたという事実は、彼らの活動への支持だと見られてきた」としている。政府の転覆を決めた対抗勢力のリーダーたちは、彼らが何をしようと米政府が彼らを支持すると信じていたとすれば、対話や平和的解決策を追求する動機をほとんど持たない。米政府は民主的に選ばれた政府に対して継続的な支持を示すべきだ。米国が暴力的で違憲な行動に反対し、クーデター政府を許さず、制裁を加えるという声明だけが、南米の他の政府およびベネズエラの政治関係者に正しいメッセージを送ることができる。私たちは、ベネズエラが内戦になる前にホワイトハウスが立場を明確にすることを求める。

【現在の署名者の名前を見たい方は、原文参照。】

 



WTOあれこれ

WTO Tidbits

ATTAC workgroup on International Treaties

 

1.漁業補助金を支持する韓国の議論に全ての国が同意してはいない:アルゼンチン、オーストラリア、アイスランド、ニュージーランド、ペルーは、韓国が主張し日本が支持する「補助金と消滅する魚の量の関係を示す確実な証拠はない」との議論に同意しないとした。彼らは9月にWSSD(持続可能な開発に関する世界首脳会議)で採択された、各国に魚資源の過度の搾取を増大させる有害な漁業補助金を止めるよう求める実施計画に言及。韓国は現在ある補助金に関する合意だけで十分で、責任は他国にあると考えている。OECD(経済協力開発機構)とAPEC(アジア太平洋経済協力)によると、これらの補助金はこのセクターの収入の15〜20%を占める。日本は、この魚資源の問題はドーハの権限外だと考えている。現在漁業政策を見直しているEU(欧州連合)は、補助金が魚減少の要因だと納得していない。

2.先進国は他の国々に推奨しているルールを自分たちにも採用すべき:10月17〜23日の特別セッションで、貿易・開発委員会は補助金と対抗措置において進展を目指した。オーストラリア、米国、スイス、日本は、これらの補助金が開発に役立つと論じた。パキスタン代表はこれら国々が農業交渉でも同じスタンスを取ってほしいと強調した。ザンビアは貿易・開発委員会が提案を議論するだけで行動しないのか質問し、同国が代表するLDC(後発開発途上国)に具体的な結論を持ちかえれない不満を表明した。アフリカグループは、貿易の技術的障害の義務を満たすための技術的補助、および途上国が技術的規準に従った場合の影響を見積もるための技術的補助に充てられる、基金を作ることを求めたが、先進国は反対した。

3.途上国へのジェネリック薬の輸入に関する妥協案は見つからず:代表らは途上国のための強制実施権において妥協案を見つけていない。TRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)理事会が今年最後に一般理事会に報告書を書くが、途上国と先進国の間には大きなかい離がある。委員会議長は、LDCが自動的に最も安い医薬にアクセスできる提案を提出。他の途上国は十分な能力のある医薬品産業がないことを証明した場合のみこのシステムを使うことができる。ブラジルとインドに支持されアフリカの国々はこの提案を拒否し、全ての途上国が最も安い医薬を買う権利があると宣言。ブラジル代表は、「米、EU、カナダ、日(QUADグループ)は現在のTRIPSよりも制限のあるシステムを設置しようとしている」と話す。(QUADグループ)は外国の強制実施権に定められたジェネリック薬の供給者を途上国での供給者に限定しようとしている。この問題が今年中に解決を見ない場合、全ての交渉が停滞する。次の今年最後のTRIPS委員会は11月、最後の一般理事会は12月にある。

4.特恵的な貿易協定が南米南部共同市場と他の地域の間で準備されている:南米南部共同市場(メルコスール)の4つの国がカリブ共同体(カリブ海コミュニティ)との特恵的関税協定特恵関税協定を結ぶ準備をしている。カリブ共同体は15カ国で形成されており、ジャマイカ、バハマ、ハイチ、中米共同市場が含まれる。メルコスールではこれら地域からの輸入品関税の30〜40%が免税される。これは米大陸の3つの地域での自由貿易協定の第一歩になるかもしれない。

5.米国はWTOで農業補助金を攻撃する気がない:10月17日の声明で、農業協定の13条の期限が切れる2003年の後、米国はWTOの貿易パートナーの農業補助金に反対する行動を取らないことを発表した。しかし米国はいくつかの国の農業補助金、例えば中国の綿に対する補助金を懸念していると話した。この条項が無効になったらおそらく他国にこの条項を止めるよう求めるであろう米国と違い、他国は(EU含めて)その効力を延長したがっている。ケアンズグループのメンバー国の多く(特にアルゼンチンとブラジル)は農業交渉に満足のいく進展がなければ2003年の後に紛争解決機関においてこれらの補助金に対する苦情を申し立てると強調。ブラジルは米国と綿生産者に対する補助金について協議中。オーストラリアとブラジルは砂糖産業への補助金についてEUと協議中。

6.ボリビアの地域グループが政府にケアンズグループを脱退するよう求める:ボリビアで10月18〜21日に開催されたケアンズグループの第24回閣僚会議と平行して、国際セミナー「農家と国際貿易協定」が開催された。ここでボリビア農家の組織はアグリビジネスの利害のみのために行動するケアンズグループを批判し、ボリビアの政府に同グループを脱退して自国の生産者を保護するよう求めた。彼らは政府が農業貿易政策を作る際、議会と市民社会にもっと発言権を与えるよう求めた。彼らは政府が、途上国が小規模農家を保護できるよう一定の柔軟性を持つことができる戦略を取ることを望んでいる。彼らはボリビアが途上国に特別かつ差異のある待遇を主張する他の国々と連合を組むべきだと話す。カナダ農民連合は、政府の支持を得て、カナダの農家の利害に反するとしてケアンズグループの最終声明に署名することを拒否した。カナダは最近ケアンズグループがWTO農業委員会に提出した提案に署名することも拒んでいる。

7.農家が農業研究の方法に抗議:10月30日に、マニラで行われている国際農業研究に関する諮問グループの年に1度の会議に平行して、コロンビア、タイ、インド、インドネシアからの民衆組織と農民組織が会議を開いた。平行会議の参加者は、資金の供給者と国際社会に対して、このピラミッド型の研究機関をもう一つの「農家中心の、農家主導の、底辺の農家を支持する、農家の権利の保護と確実な農地改革と食の主権を原則として適用した」組織に交代させるよう求めた。OECDの開発援助委員会の加盟国がこの研究グループの資金の3分の2を提供している。このグループはバイオテクノジーに関する研究に集中した新たな国際指令を採用したため、最近いくつもの農民連合に攻撃された。

8.APECの国々は、米国に支持され、農業補助金を止めるよう求めた:多くのAPEC国(うち日本と米国がトップに来る)は、自分たちの農業セクターに関してセーフガードを発動する一方で、10月27日のメキシコでの会議でEUに対して農業セクターを自由化するよう、特に輸出補助金を止めるよう圧力を強めた。APECは、「WTO交渉の目的の一つは、すべての農業輸出補助金の廃止であるべきだ」と宣言し、補助金の廃止を目的とする削減に言及しただけのドーハの文言をさらに進めた。米国にとっては、この圧力は最も多くの補助金を与えているEUに対して発したものだ。APEC加盟国の中で唯一輸出補助金を与えているにも拘わらず、米国はこの新たに宣言されたAPECの目標に満足している。「米国の補助金はメキシコの農家を苦しめており、FTAA(米州自由貿易圏)のもとで廃止されるべきだ」とのメキシコ大統領の発言は、鋭さを持っていた。

9.北大西洋でタラが絶滅の危機:国際海洋調査協議会の報告によると、北大西洋のノルウェー海岸からスコットランドの海岸に生息するタラが、トロール漁業による過度の捕獲のために絶滅の危機にあり、タラを保護するにはこの地域での全ての漁業を今すぐ止めるべきだという。この報告は国内および全体の捕獲量に関する交渉においてEU閣僚が科学的根拠として使った。しかし、EU委員のF.フィシュラーは海岸地域の経済に影響を与えることを理由に漁業の中止を拒否。WTOでは、日本と韓国と同様、EUは過度の漁業の原因の一つになるとして漁業補助金を廃止するよう求められている。

10.ザンビアがGM(遺伝子組換え)輸入を拒否:ザンビアは10月29日、現在国の250万人の人々を苦しめている配給の欠如を軽減するための、GMとうもろこしを受け入れることはしないと宣言。この決定はザンビアが科学者のチームをGMO(遺伝子組換え生物)を勉強するために米国、EU、南アフリカに送った結果だ。結論は、GMOがリスクを持たないという明確な証拠が十分ないというものだ。

11.タイが米国との二国間貿易協定に署名:この協定により、二国間の貿易と投資を促進するための2者協議会が設立される。これは知的所有権、情報技術、バイオテクノロジーの保護を取り扱うためのものだ。米国人はタイへの最も大きな外国投資家だ。米国はすでにインドネシアとフィリピンとの間に貿易と投資の同様の枠組み合意をしている。

12.カナダはバーゼル条約の約束を破った:カナダは有害廃棄物の越境移動に関するバーゼル条約に反して有害な電子機器廃棄物の中国への輸出を承認した。2000年4月、中国はこの種の物質を含めて、特定の種類の廃棄物の輸入を禁止した。同条約は、輸出する側の国が廃棄物を危険だと考えていなくても、その輸入を禁止している国にそのような物質を輸出することを禁止している。

13.ミニ閣僚会議はより安全な開催地を選んだ:2002年11月15日にシドニーで開催予定だった会議が街の外で行われることが決まった。これは、何千人もの反グローバリゼーション抗議者が集まることが予想されると発表された後の、安全確保の理由からだ。世界の貿易の80%を占める主要加盟国25カ国の貿易担当大臣らが2003年のカンクンでの第5回会議の準備のために主な議題を話し合う。うち17カ国が途上国。多くの議題(知的所有権と公共の保健、協定の実施に関する問題、途上国のための特別かつ差異のある待遇)は2002年の終わりまでに話し合われる。

14.欧州議会のメンバーが欧州委員会に対して議会と協議するよう求める:10月22日、77の欧州議会議員が欧州委員会に対して、自由化に関して「提供するもの」にかかわる決定がなされる場合は事前に議会に協議することを求めた。署名には、サービスに関わる指令が委員会に渡される場合、委員会も参加した欧州議会での討論が必要である。彼らは同様の討論が各国の議会でも開かれることを求めた。このコミュニケはさらに、EUがWTOでの途上国のサービス自由化に関してより柔軟になるべきで、加盟国は教育や保健などの公共サービスを保護できる可能性を残すべきで、経済・社会・環境への影響に関する独立した調査なしにこれ以上の義務を負う約束をすべきでないとつけ加えている。