ATTACニュースレター日本版2002年第46

Sand in the wheels

Weekly newsletter - n°155 –Wednesday 04/12/02

ラミー(EUコミッショナー)にプレゼントを贈ろう

SEND A GIFT TO LAMY

「サンドインザホイール」(週刊)

2002124日号(通巻155)号

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1.ラミー(EU貿易委員会コミッショナー)にプレゼントを贈ろうSend a gift to Lamy

・・・GATS(サービス貿易一般協定)についてのポスターやパンフレットで、創意に満ちた飾りをつけよう。彼が私たちの名において、私たちに何の相談もなく与えてきたすべてのプレゼントの「お返し」あるいは「ごほうび」だ(116)

2.アルゼンチン:倒産企業の労働者管理が拡大Argentina: the workers take over the reins of ruined companies

仕事を続け家族を養うことを唯一の目的に(他の仕事を見つけるのはほとんど不可能である)、約1800社の企業で、従業員たちは企業閉鎖を避けるために事業を引き継いだ(806)

3.WTOをめぐる動きWTO Tidbits

10/3-4の通商交渉委員会の会合で、途上国は先進工業国が自分たちにとって重要でない分野について引き延ばし戦術を取っていることに苛立ちを示した/アフリカの6カ国は、GMOをめぐるアフリカ地域内での論争を取り上げた。情報収集のため米国に代表団を送る/Glaxoは、アフリカ向けに抗HIV薬を低価格で供給しているが、それが他のヨーロッパ諸国に横流しされていると訴えた/EUとチリは、自由貿易圏を確立するパートナーシップ協定を締結しようとしているが、EUACP(アフリカ・カリブ・太平洋諸国)との2段階交渉を拒否している。これらの諸国が砂糖をめぐる紛争ではEUに協力したにもかかわらず/WTOルールとMAE(多国間環境協定)の関係をめぐって依然として対立/EUではGMOをめぐって対立/LDC(後発発展途上国)が紛争調停ルールの修正を勝ち取る(2224)

4.シェル石油と偽善の政治(Shell Oil and the Politics of Hype

・・・では、最大の石油会社、エクソン、BP アモコ、ロイヤルダッチシェルに何が起きているのか。ロックフェラーは子供たちに10セント硬貨をあげたが、なぜか。理由は、口止めと善意。現在、石油企業が環境グループと活動家に金を与えているが、これもまた同じ理由だ(743)

5.ウォールマートは貧しい女性を搾取している(Wal-Mart Values

Wal-Martの顧客と従業員には多くの共通点がる。貧しい労働者は一般のアメリカ人よりWal-Martでより多く買い物をする。買い物天国であるからでなく、ディスカウントが必要であり、また都市中心部から離れた場所では他に店がないからだ。Wal-Martは貧しい女性たちから、客として、また従業員として、数十億ドルを絞り上げている(2508)

 


[要約版]



ラミー
(EU貿易委員会コミッショナー)にプレゼントを贈ろう

Send a gift to Lamy

 

包みは大きくて、中身が空っぽでないといけない。それをGATS(サービス貿易一般協定)についてのポスターやパンフレットで、創意に満ちた飾りをつけよう。彼が私たちの名において、私たちに何の相談もなく与えてきたすべてのプレゼントの「お返し」あるいは「ごほうび」だ。

送り先は、ATTACブリュッセル:

ATTAC Bruxelles

"For Mr. Lamy"

89, avenue du Parc

1060 Brussels, BELGIUM

ATTACブリュッセルで宛先を彼の住所に書き換えて、ベルギーの郵便配達人が1211日、彼の週1回の記者会見が終わるころに配達する。

 


アルゼンチン:倒産企業の労働者管理が拡大

Argentina: the workers take over the reins of ruined companies

By ECHLA

 

仕事を続け家族を養うことを唯一の目的に(他の仕事を見つけるのはほとんど不可能である)、約1800社の企業で、従業員たちは企業閉鎖を避けるために事業を引き継いだ。

最近では、ほとんどの中小企業の経営が破綻し、経済危機は深刻で、すでに5人に1人が失業し、国民の半分以上は貧困にあえいでいる。商工会議所連合とアルゼンチン商業センターによると、国内20万の中小企業のうち約1,800社で、従業員たちが会社を倒産に追いやった経営者に代わって経営している。企業が倒産すると、労働者は資産の売却を回避するため、協同組合経営の企業にすることを政府に申請できる。許可が与えられると、その会社は労働者の手に渡ることになり、以前の経営者は経営権を請求することはできない。

90年代後半、政府が抱える債務のために財政圧力を強たこと、公共サービスのコスト増加、高い税率、競争力の低下などによって、国内企業は危機にさらされた。・・・「企業経営者はこの国の経済・財政の不安定な状況のため、企業を救うつもりがない。そこで、労働者たちが、仕事を確保するため、この機会をとらえた。しかし必要な資金がなければ、彼らの行動は無駄になるだろう。」とFedecamarasの社長は言う。

Impa社(金属加工)は1961年にブエノスアイレスで設立された。1997年、給与をめぐる問題が起きた。経営者は、何時間も待たせたあげく、23ペソしか支払わなかった。結局従業員と以前解雇された従業員50人が18日間会社を引き継ぎ、ついに労働者が経営を引き継いだ。一方、Impaは薬ビン、容器、アルミホイルと製造しており、諸決定事項に関しては、従業員が補佐し、評議会が決定する。「決議が非常に重要なものなら、従業員全メンバーの理事会で解決する」と社長のCamposは言う。従業員は仕事の内容に関わらす同一賃金だ。「給与は業績結果が出るまで分からない。予算によるが、業績が伸びると給与も上がる」とCampos。現在の給与は750-800ペソ、それでも会社は前の経営が残した借金を支払っている。Impaの従業員150人、総収入は199720万ドルに対し、現在は152,000ドル。この企業は労働者経営のモデルだ。また、「文化工場」と言われ、作業所や実験室の設備をプラスチックで作ったり、音楽、映画なども作っている。

また、荒れ果てたPompeya地区の印刷会社Chilavert Artes Graficasの例もある。1923年に設立されたが、2002年倒産。従業員たちは協力を決定し、今週操業を再開した。「実際、何も出来ることが無かった。会社が閉鎖されると、状況は酷くかなりの額の未払い給料が残った。最初は、代替策が残されている訳でもなく、倒産から何も得られなかったけど」と従業員の一人は話すが、今は操業を行っている。

 


WTOをめぐる動き

WTO Tidbits

Attac 国際条約に関する作業部(マルセイユ)

 

1)途上国は「途上国への特別かつ差異のある待遇」が進展しないことに不満を述べた。

1034日の貿易交渉委員会で、途上国は特に農業部門に関して「途上国への特別かつ差異のある待遇」の進展が無く、他の部門もこの進展しだいだと述べた。公約が12月半ばまでに実施されなければ、悪い結果を引き起こすと警告した。

ドーハ宣言の12項で、協定の申請はWTO関連機構により優先事項決めると規定している。輸入国(カナダ、EU, 米国など)が織物、衣類の割り当てを緩やかにすることは、まだ合意していない。また、ジンバブエは、アフリカ諸国やLDC諸国を代表し、Trips協定66.2に従い、先進国がLDC諸国に技術を移転する公約を実施する必要があると述べた。

 

2)南アメリカ開発委員会(SADC)はGMO問題を明確にするため米国に代表団を送ることを決めた。

南部アフリカ開発委員会の会議が今年1010日に開かれ、GMOの論議についての情報提供をWHO に求めた。加盟6カ国のうち、ザンビアはGMOを公式に禁じているが、その他はただ厳しく規制するだけにとどまっている。同委員会は、GMOに関する規範を要請する専門家会議を設立し、「この地域でGMOの知識を深めるため」米国に政府関係者と科学者を派遣することを決定した。

 

3)Glaxoは、アフリカ向け抗HIV薬が乗っ取られたと不満を述べた

イギリス企業GlaxoSmithKlineは、エイズ治療のため安価($O.78)でアフリカ5カ国向けの抗HIV薬が、ヨーロッパ企業(ドイツ、オランダなど。これらの諸国では価格は$5.5)に乗っ取られたと述べた。Glaxoは安価で提供を継続するとしているが、規制強化とパッケージを変えるよう要請しており、現在WTOTrips協議で論議中。

 

4)EUチリ協定締結へ

欧州委員会が103日採決し、効力を発するには欧州議会とチリ議会の採決が必要だ。 この協定は貿易に関するもので、現WTO公約を越え、この2つの地域に貿易圏を構築するもの。関連部門はサービス、行政サービス、投資、知的財産部門。

 

5)なぜEUACP諸国との交渉を拒否したか、市民団体は疑問視している。

103日の会議で、委員会は市民団体の代表団を作り、交渉を2段階に分けるというACP諸国の要請を受け入れないとした。良い方法は、各国が交渉にどのくらい対処できるかに従って、交渉は柔軟でなければならない。NGOEurostepは、このやり方に反対し、ACP諸国の統一が損なわれ、最終段階で持続性の問題は無視されるだろうと述べた。

 

) WTOルールとMAE(多国間環境協定)の関係をめぐって依然として対立

環境委員会特別セッションの第3回会合(2002/10/10-11

日本はMAEの下での貿易に関連する義務を特定し、それをその性質によって分類し、それがWTOルールに適合するまたは適合しないことを明らかにすることを提案した。MAEの貿易に関連する分野は次の4つである:ワシントン条約、有毒廃棄物の国際的処理に関するバーゼル会議、オゾン層破壊物質に関するモントリオール規約、漁業に関するいくつかの地域条約。交渉の結果、WTOMAEルールの解釈を巡る拘束力のある基準が採択されるかもしれない。日本は、WTOは国家がMAEを遵守するために制限的な措置を取れる場合と取れない場合を明確にすべきであると提案した。EUもこれを支持し、ドーハ宣言31(i)に従い、WTOはまず、原則について論議し、それを貿易に関連するMAEの措置に適用するべきである(トップダウン方式)とした。

ノルウエーもEUを支持しているが、委員会は31(i)MAEを弱めるために使われないよう注意した。これに対し、オーストラリアは米国を支持した(ボトムアップ方式)。米国はMAE交渉に反対している。米国はまた、WTOMAEを関連づけることに固執するなら、途上国から現在の協力体制の基盤そのものが疑問視されるようになると述べた。オーストラリアを支持しているのは、他にブラジル、中国、インド、韓国。

ところで貿易と環境に関する交渉は、農業問題とリンクする可能性がある。

WTOの環境に関する委員会へのMAEのオブザーバー参加について、まだ結論が出ていない。EUは「ヨハネスブルグ・スピリット」を具体化するため、MAEUNEP(国連環境プログラム)にこの資格を与えるよう、早急に結論を出すことを求めている。

 

7)EUGMO協定で合意せず

10月の会議では、農業大臣はGMOのラベル付けとトレーサビリティーに対する委員会に対する要請で合意しなかった。米国がGMO認可手続きの再開に圧力をかけのだ。ラベル付けは最も困難な問題だ。イギリスもGMO関連商品のラベル付けに対する委員会の要請に反対している。その他はGMO飼料とした動物の肉と乳製品にさらに厳しい規制を求めている。

オーストリア、ベルギー、デンマーク、ギリシャ、ルクセングルグ、イタリーはラベル付けとトレーザビリティが実施されるまで、GMO禁止が解除されることに反対している。修正命令では、10年以内に認可され、製品化の全段階とGMO全てのラベル付け、トレーザビリティが実施される。

108-9日に開かれたWTO貿易と環境に関する委員会(TE)では、環境を基準とするラベル付けの問題で意見が分かれた。WTO事務局は、(WT/CTE/W/219) 提言で、ISO及び「貿易の技術的障害に関する委員会」(TOT)などの報告を取り入れて、エコラベルの定義を示し、それに関連する通商上の問題を検討している。しかし、途上国(エコラベルが輸出に影響及ぼすことを懸念している)と一部の先進国は、これをTOT委員会に委ねることを望んでいる。スイスは問題を取り扱うのはドーハで委任を受けたTE委員会だと主張したが、EUはこれに介入せず、スイスは完全に孤立した。

 

8)LDCDSBルールの改正を求めている

後発発展途上国(LDC)は、論争解決手続きの第8.11条の改正を求めた。「途上国に関する論争の全てで、委員会は途上国の代表を少なくとも一人に決める」と言うもの。「もし先進国が求めれば」と言う句が削除されるだろう。

 

9)WTO常駐代表のセミナー(200210/11-12

途上国、先進国からの約100人の大使が集まり、「世界貿易の関係とWTOの役割」「WTOアジェンダと統治」「WTOと私たちの参加する世界」などについて論議した。この目的は、平和、生活水準の向上、持続可能な発展の促進などの基本的目的を達成するためにWTOの果たす役割に各国が満足しているか、コンセンサスの原則が拒否権を適切に使うよう変えるべきか、WTOは議会、労働組合、NGO、民間部門と強力な関係を築くべきかを考えるもの。

スパチャイ事務局長は、交渉対象となっている種々のセクターについて、加盟国間のコンセンサスをとる目的で、諮問グループをつくるため要請を回覧した。だが、この提案は事務局長と事務局は別々の役割を持つべきとして、途上国数カ国が反対した。これらの諸国は、現在のコンセンサス原則を変えないことを求めた。

 

10ACP諸国がEUを支持

フィジー、モーリシャス、キアナ、スワジランドは、EUとブラジル・オーストラリアの間の協議への参加を要求した。ブラジルとオーストラリアは、EUWTOでの公約を越えて精糖産業に輸出補助金を出していると非難し、11月末まで同意されないなら、委員会を設置することを求めた。P. Lamyは、これは貧しい国にとって好ましくないので、他の国もこのACP4カ国に合流するよう呼びかけた。EUACPから年間150200万トンの砂糖を輸入した。EUの砂糖価格は国際価格の2倍である。

 


シェル石油と偽善の政治

Shell Oil and the Politics of Hype

By Russell Mokhiber and Robert Weissman

 

 BP Amoco は、石油採掘でアラスカに北極野生生物保護区を作るためのロビー活動を行っていると述べた。BPが太陽エネルギー時代に向け、「石油より別のもの」へと変わっていることを人々にアピールするためだ。 先月、ExxonMobilは、トラを保護するため魚類及び野生生物協会に500億ドルを寄付したと宣言し、子供たちにトラのぬいぐるみをプレゼントした。自然界と全ての生物に配慮していることをアピールしたかったのだ。

20005月、Royal Dutch Shellは、世界中で進んでいる持続可能なエネルギーと社会投資プロジェクトのために3,000万ドルで協会を設立した。先週シェル協会は、ルイジアナの湿地帯の喪失がどのような影響を与えるかについてキャンペーンを開始し、ルイジアナ沿岸地の保護を訴えるキャンペーンに300万ドルを費やすと述べた。またShellは、環境活動家Amory Lovinsを呼びデンマークの石油施設のエネルギー調査を行わせ、都市部輸送の石油問題を環境に配慮し解決策を探るためワシントンに世界資源研究所に700万ドル寄付すると宣言し、さらに今年、ライス大学に「持続可能性のためのシェルセンター」設立に350万ドルを寄付した。

勿論、良いことだ。でもなぜ石油会社がそのようなことをするのか。環境を破壊するからと言って石油経済を諦めようとさせるのか。本当に太陽エネルギーを望んでいるからか。

昔はロックフェラーだったが、今はJack Doyleの番だ。彼はRiding the Dragon: Royal Dutch Shell & the Fossil Fireと題する本でShellの歴史を述べている。これは、ボストンのEnvironmental Health Fundが出版し、http://www.shellfacts.org/ でも読める。この中で彼はShellやその他の石油大企業は、人権侵害、石油汚染、労働者災害や死亡、癌を引き起こす化学薬品製造など多くを隠していると述べた。「石油以外のものへ」という美辞麗句にも関わらす、石油経済と人権侵害や環境破壊など地政学的危険を持続させようとしている。

Doyleの論点は、Shellは社会、環境的に責任を持つ企業であるとする印象を生み出しながら、世界第2の石油企業は今なお世界最大の環境破壊者であるということだ。たとえば、新Shell は、南アフリカのダーバンで最大の地下石油漏れの清掃を拒否しているという。

Shellはナイジェリア人評論家Ken Saro-Wiwaの処刑に関与したとされているが、内部改革を目指して新原則を導入したとしている。Doyleによると、「この件に関し、ニューヨークで裁判が進行しているが、Shellは人権、環境保護、持続可能な開発を守る新しい企業変わろうとしていると厚かましく述べている」。

[筆者はワシントン在住の、企業犯罪に関するレポーターと編集者。 http://www.multinationalmonitor.org/ ]

 


ウォールマートは貧しい女性を搾取している

Wal-Mart Values

By Liza Featherstone

 

アメリカ人女性の10人に4人が毎週Wal-Martで買い物をする。安い商品が好きで、便利だからだ。Wal-Martはアメリカ人の大好きな買い物場所であるばかりでなく、国内最大の雇用主でもある。またほとんどの「従業員」が女性である。彼女たちは平均時間給は750ドルで、その中から健康保険を払わねばならない。

 Wal-Martがけちな雇用主であるだけでなく、男女差別主義者だと従業員の多くが言う。安い製品をつくる第3世界の工場から、それが陳列されるWal-Martのフロアまで、企業の冷酷なコスト削減の矛先は女性たちだ。Brandeis大学の女性問題研究部門のEllen Rosenは、世界中のWal-Martを調査し、「世界中で新しい形態の男女差別主義」を実践しているとのべた。

 現在Dukes Wal-Mart訴訟で、元Wal-Mart従業員7人の女性が、昇格、 職務、研修、手当に関して組織的性差別だとして会社を訴えている。Dukes52歳のアフリカ系アメリカ人で、現在もWal-Martに勤務している。Dukesは以前、性差別の不満を訴えると、白人男性従業員から嫌がらせを受けたり、不満を述べると昇格が無くなり、レジの仕事に戻された。Wal-Mart地区事務所に訴えたが、会社は何も手を打たなかったという。似たような例は70以上もある。

Dukesのケースは、少なくとも1981年までさかのぼると、性的嫌がらせ、妊娠差別などの性差別のWal-Martの長い歴史の頂点に立つものだ。裁判所はこのようなケースでしばしば原告側を支持し、また性的嫌がらせの損害補償として数百ドルを命じたこともある。

Wal-Martに対する訴えは、働く女性の共通の不満や不平等を反映しており、女性の支持者たちは世界最大の企業に対し特別の怒りを持っている。たとえば、Smith Mauldinによる訴えは集団訴訟と認められ、2001年から産児制限の支払いを自己負担していたWal-Mart女性従業員に対し、払い戻し、そして今後食品医薬品局(FDA)が処方した避妊薬をWal-Martの保険制度に加えるよう要求した。

Wal-Martはまた特に若い女性従業員に対する取り扱いで非難された。Wal-Martで取り扱う衣類のほとんどが中国で生産されており、そこで働く労働者には自由はない。Wal-Mart は多くの企業とは異なり、その工場の場所、透明性があるかどうかを労働者の権利活動家にも明かしていない。昨年、Wal-Martは労働者の権利を守らないと言う理由で、企業の社会貢献度を示す、社会貢献株価指数(DSI)から外された。これはナイキとWal-Martだけだ。

昨年7月、全米女性機構(NOW)はWal-Martを「恥ずべき企業」と呼び、教育キャンペーンを開始。「経済的公正の面から、Wal-Martは女性にとって働きにくい職場だ」とNOW副議長は述べる。また、Wal-Martが不満について議論をする機会を与えないと言うことで、全米のWal-Martでデモを行った。

NOWは国際食品商業労働組合(UFCW)と密接に協力し、数年間Wal-Mart従業員たちを組織してきたが、それに会社側が抵抗している。Gretchen AdamsWal-Martを退社し、現在はUFCWのオーガナイザーである。彼女はその処遇だけでなく、従業員の苦境に腹を立てている。「あの給料じゃ生きていけない。シングルマザーがたくさんいるのだから。子供を医者に連れて行くべきか、家賃を稼ぐべきかに苦悩している。」

Wal-Martはまだ労働組合が結成されていないが、多くの女性従業員の苦悩が組合の取り組みによって解決されてきた。UFCW の助成でInstitute for Women's Policy Researchが出版した「衣料食品産業で働く女性の調査」によると、組合に入っている女性労働者はジェンダーと賃金格差が小さく、非組合員の女性労働者より賃金が31%高い。また、女性組合員の3分の2が健康保険に加入しており、非組合員は3分の1が加入している。

UFCWはラスベガスでWal-Martボイコットを呼びかけている」と、UFCW 代表Doug Dorityは言う。Wal-Mart はラスベガスで多くの組織化の権利を侵害し、国内で最も組織化がなされていない。だが、「ボイコットと組織化を同時にすることは困難。Wal-Martは『組合は、君の仕事を奪うよ』と言っているのだから」

だが、Wal-Mart女性従業員と女性顧客の団結は可能だ。UFCW 副代表Susan Phillipsは、「私たちは女性、大きな力がある。私たちはレジ係でもあるし、客でもある。もしお互いレジ越しに手を握れば、米国の将来の経済を変えることが出来る」と述べる。裁判所の命令、労働者組織化に加え、Wal-Mart多くの支持者が圧力を加えている。1121日に「Wal-Martに正義を」キャンペーンのデモが行われ、さまざまなグループが参加した。