ATTACニュースレター日本版2002年第42

Sand in the wheels

Weekly newsletter - n°151 – Wednesday30 October 2002.

 

フローレンスへ!

Everyone to Florence!

「サンドインザホイール」(週刊)

20021030日号(通巻151)

 
  ホームへ

ヨーロッパ社会フォーラム:116-10日、イタリア・フローレンス(フィレンチェ):www.attac.info/fse

1-フローレンスの男たち・女たち:私たちのヨーロッパはここから始まる!All Men and Women of Florence: Our Europe begins here!

ポルトアレグレで開かれた世界社会フォーラムの後で、私たちは最初の全ヨーロッパ規模のフォーラムを準備することを決定した。私たちが実現可能であると考え、そのために努力しようとする「もう1つの世界」の構築を開始するために(568)

2-みんなでフローレンスへ!Everyone to Florence!

ヨーロッパ社会フォーラムとは? 誰が? いつ? 参加する方法は? たくさんの質問が寄せられている。このレポートでは、多くの質問に答える。初めてのヨーロッパ社会フォーラムは116日から10日まで、フローレンスで開かれる(1837)

3-戦争に対するAFL-CIOの立場:「戦争は最後の選択であり、最初の選択ではない」(Unions Lend Voice to Anti-War Opposition: AFL-CIO: ‘War is the Last Option, Not the First’

10月7日、米国AFL-CIOのジョン・スウィーニー会長はイラク問題について議会に書簡を送った。スウィーニーの書簡は、どっちつかずの感がある。たとえば、彼は次のように述べている。「米国はたしかに国益を守るために必要とあらば、単独でも行動する権利がある。しかし、AFL-CIOは、米国の国益が、多国間の協力による行動によって、よりよく守られると強く確信している」(959)

4-「集団的な安全」が機能しているCollective Security is Working

私は米国人として、私の国を戦争の瀬戸際から引き戻すのを助けてくれている全世界の人々と国々に感謝したい。あなた方の努力が、米国内に大きな影響を与えていることは間違いない(1963)

5-反テロ世界戦争は何を覆そうとしているのかWhat is the world war against terror turning over? (The operation against Iraq)

サダム・フセインは独裁者だが、米国と協力しているゲイダー・アリエフ(アゼルバイジャン共和国の大統領)よりもひどいわけではない。イスラム諸国の人々は、西側の道徳相対主義を見て、そこから然るべき結論を導いている。西側諸国は何世紀にもわたってアジアやアフリカ諸国を支配してきた。それらの国の人々は、自分たちが現在直面している問題の起源を、植民地支配の遺産に求めている。今、新植民地主義の新しい時代が始まっているのか?(820)

6- 温室効果ガスのギャングたちに立ち向かう”Climate Justice”運動Greenhouse Gangsters vs. Climate Justice

21世紀になっても石油は依然として王として君臨しているが、その統治は慈悲にあふれたものではない。産油国の政治を支配する人々は、依然として民主主義を圧殺し、人権侵害と地球環境破壊を助長している。このレポート(Corporate Watch掲載の同じタイトルのレポートの抜粋)は、石油メジャーが気候変動(これまでのどんな問題よりも大きな影響を及ぼしかねない全地球的問題である)の主要な原因であると指摘し、温室効果ガスのギャングたちの支配に代って”Climate Justice”を打ち立てるための方法を提案している(2106)

要約版


フローレンスの男たち・女たち:私たちのヨーロッパはここから始まる!

All Men and Women of Florence: Our Europe begins here!

By Claudio Jampaglia

 

ポルトアレグレで開かれた世界社会フォーラムの後で、私たちは最初の全ヨーロッパ規模のフォーラムを準備することを決定した。私たちが実現可能であると考え、そのために努力しようとする「もう1つの世界」の構築を開始するために。私たちは全ヨーロッパから何百もの団体、ネットワーク、組織、NGOが集まり、討議し、ヨーロッパを市民と参加のための場所にするためのイニチアチブとキャンペーンを組織することを呼びかけた。私たちは社会的排斥に反対し、移住者の権利に対して閉ざされた「ヨーロッパ要塞」に反対し、戦争に反対し、流れを変えること、社会的公正のヨーロッパと、オルタナティブな経済と権利の拡大をすることを望んでいる。

ここ6カ月間、私たちはヨーロッパに市民社会と民主主義と平和を愛する心を取り戻すためのさまざまな方法を提案できるようなフォーラムを実現するために奮闘してきた。東ヨーロッパ、バルカン半島、近東そして全ヨーロッパから、多くの団体・ネットワークが私たちの呼びかけに応えてくれた。

フォーラムを妨害するために、昨年のジェノバでのG8に対する抗議行動を引き合いに出した無責任な警告がなされているが、今年は(阻止の対象となるような)正統性のないサミットもないし、(突入するべき)レッドゾーンもない。どこにも敵はいない。フローレンス市は、私たちを歓迎するために大きな努力を払っている。「フローレンス・オープンシチィ」などのプロジェクト、あらゆる組織、協会、地域団体が積極的に参加している。

・・・(フォーラムへの妨害には)政治的意図がある。彼らはジェノバの亡霊を振りかざして、私たちをフローレンスに近づかないようにしたいのだ。新自由主義は擦り切れてしまった。もはや経済的にも社会的にも機能しない。彼らは自らの間違いを消し去るために戦争を始めようとしている。その一方で、貧困と排除は危機をもたらしている。この危機は偶然的なものではなく、金融が支配する経済によって導かれた社会モデルの危機である。私たちをフローレンスに近づかないようにすることは、私たちが政治的信頼性も正統性もないと宣告し、欧州人権規約と、すでに破産が明らかな改良主義こそが唯一の解決策であると宣言することにほかならない。

フローレンスでは、新自由主義反対を掲げることは戦争に反対し、人種差別主義に反対することである。なぜなら、私たちは参加と差異の政治を創り出そうとしているからだ。

 


みんなでフローレンスへ!

Everyone to Florence!

By Granello di sabbia

 

初めてのヨーロッパ社会フォーラム(ESF)は2003年1月末にポルトアレグレで開催される世界社会フォーラムの一環である。ESFのほかに、アジアフォーラム、アマゾンフォーラムも予定されている。

ESFのタイトルは、「もう一つのヨーロッパは可能だ。新自由主義、戦争、人種差別主義に反対する」

 

組織

世界社会フォーラムの”Charter of Principles(原則についての憲章)”を承認するすべてのヨーロッパの団体・ネットワークも、ヨーロッパ社会フォーラムに参加できる。ヨーロッパ作業グループは、ブリュッセル、ウイーン、サロニコ(ギリシャ)で準備会議を開いてきた。最後の会議は1056日バルセロナで開かれ、東西ヨーロッパと地中海沿岸諸国から数百の組織が参加した。

 

参加者

全ヨーロッパの活動家たち、ロシアやバルカン諸国の指導者たち、トルコ社会フォーラムとしてトルコ人とクルド人。フランスとオーストリアでは特別な活動が組織されている。また、地中海沿岸諸国、パレスチナとイスラエル、アフリカ、アジア、ラテンアメリカそれに米国からも参加する。

 

フローレンスで何が起こるのか。

3日間にわたって討論、文化イベント、劇、音楽、映画、大衆集会が行われる。多くの有名な文化人やアーチストが招かれている。他の都市でも種々のイベントも行われる。

11月9日には戦争反対の大規模なデモが行われる。これはヨーロッパ最大で最も重要な戦争反対デモになるだろう。その後、大コンサートが開かれる。公式イベントのほか、それぞれの組織などが独自に企画した討論、集会、その他のイベントが開催される。

1110日には社会運動のヨーロッパ会議が開催され、今後の会議の予定と、行動、アジェンダを話し合われ。フォーラム最終日には、ポルトアレグレ社会運動の国際組織が加わり、2003年のプログラムが話し合われる。

 

プログラム

1. 集会スペース

誰でも参加できるスペース。様々の議論、国際的運動と世界的運動の活動家たちが企画する討論が行われる。

毎日午前中に、3つのメインテーマ(自由主義、戦争、民主主義と権利)についてそれぞれ6つのセッションが企画されている。

 

2.セミナー

午後のセミナー。現時点で150以上の企画が登録されている。各テーマについて、討論を深めることを目的としている。また、国際的キャンペーンやネットワークづくりのための場ともなる。ヨーロッパ規模の移住者の運動や、戦争、民営化に反対する運動が計画されている。また、参加型民主主義、国連改革、環境や自然資源を守るためのセミナー、教育、臨時雇労働者に関するセミナー、女性問題、国際的組織に反対するキャンペーンなどについてのセミナーも計画されている。

 

3.世界への窓、討論、対案

夜は、世界への窓、討論、対案。政党、労働組合、組織との意見交換。主要に3つのテーマ:公共経済と社会経済の関係、参加型民主主義、運動の方法(非暴力・非服従と社会的闘争の間の対立。また、他の世界(アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、地中海諸国、イスラエルとパレスチナ)への5つの「窓」と、グローバリゼーション批判の6つ目の「窓」ある。

 

4.イベントと集会

11月9日のヨーロッパ初の戦争反対デモと1110日の「社会運動のヨーロッパ会議」。この会議は、今後のアジェンダを決定し、2003年のヨーロッパ規模の運動を計画する。

 


戦争に対するAFL-CIOの立場:「戦争は最後の選択であり、最初の選択ではない」

Unions Lend Voice to Anti-War Opposition: AFL-CIO: ‘War is the Last Option, Not the First’

By Chris Kutalik

 

911の直後、米国の多くの組合リーダーや労働者たちはテロに対する戦争への支持で団結した。米軍がアフガニスタンでの軍事作戦に入ったときも、戦争への支持はかなりの高率だった。

しかし、軍事介入の拡大をめぐって、このコンセンサスに亀裂が始まり、最近では多くの労働組合の州組織、執行委員会、支部が対イラク戦争反対を決議し、多くの労働者反戦グループが声を上げている。

 

10月7日、米国AFL-CIOのジョン・スウィーニー会長はイラク問題について議会に書簡を送った。スウィーニーの書簡は、どっちつかずの感がある。たとえば、彼は次のように述べている。「米国はたしかに国益を守るために必要とあらば、単独でも行動する権利がある。しかし、AFL-CIOは、米国の国益が、多国間の協力による行動によって、よりよく守られると強く確信している」

しかし、スウィーニーの書簡は、戦争を急ぐべきでないという結論に落ち着いている。「私たちは米国の労働者の息子や娘たちを、国民を守るための戦争に送る前に、戦争が最初の手段ではなく最後の選択であることを保証しなければならない」と述べている。

彼はまた、プッシュのタイミングについて疑問を呈している。「突然、戦争か平和かをめぐる緊急事態について語られているが、そのような緊急事態は1カ月前には存在しなかった。これはイラクの情勢よりも、(米国内の)政治スケジュールによって決められているように思われる。多くの人々にとって緊急である経済危機に対する対策が行われていない時に、これは明らかな矛盾である」

 

労働者にとって大事な問題

SEIU(サービス従業員労組)第1199支部(ニューヨークの保健・介護サービス組合)の執行評議会は104日に、より明確な声明を発表した。「米国の労働者家族は、新たな戦争回避することに特別の関心を持っている」。この支部(22万人)は、戦争反対のデモを呼びかけた。

この支部の声明では、労働者の経済事情の悪化と軍事予算の増強を比較して、健康保険の行き届かない労働者が増える一方、ブッシュ政権は軍事予算を2002年に450億ドルに増やしたと指摘している。軍事予算の増加は、仕事、健康保険、教育その他人間に必要なものを削ることになる。また、ブッシュ政権の「先制攻撃」政策は「世界を無秩序にする政策」である。

同支部は1010日付けの「ニューヨークタイムズ」紙に、デニス・リベラ委員長の名前で、戦争反対の全面広告を掲載した。

カリフォルニア州教員組合(10万人)は、921日の州評議会で、戦争反対する決議を採択した。

このほかに、この2カ月の間に次の組織が戦争反対の決議を採択した:ワシントン州労働評議会、全米電気労組、ニューメキシコ大工組合、ウィスコンシン州 SEIU、「Pride at Work」、西海岸のいくつかの労働者評議会、ニューヨーク労働者評議会。

 

港湾からイラクへ

労働組合の戦争反対決議の多くは、ブッシュの対イラク政策と国内の労働組合政策を関連づけている。

ILWU(港湾・倉庫労組)第10支部の9月10日の決議によると、ブッシュは「国家の安全」という論理で労働組合の協約交渉を妨げ、その一方で石油会社のための戦争に組合員を駆り立てようとしている。

スウィーニーの議会への書簡:www.aflcio.org

 


「集団的な安全」が機能している

Collective Security is Working

ジェルミー・ブレッカー(Jeremy Brecher

[歴史家、"Strike!" "Globalization from Below"の著者。

 

私は米国人として、私の国を戦争の瀬戸際から引き戻すのを助けてくれている全世界の人々と国々に感謝したい。あなた方の努力が、米国内に大きな影響を与えていることは間違いない。

残念だが、ブッシュ政権はイラクへの先制攻撃を決定し、最近ではコーリン・ポウエルも「イラクが査察に応じても、イラクの「政権交代」を支持していくとBBCに語った。すでに兵士や軍事物資は運び込まれ、戦争の準備は完了している。

ブッシュ政権は、国連と議会に対して米国の攻撃を正当化するため、またサウジアラビア、トルコ、パキスタン、ヨルダン、その他の国に対しては攻撃の際、軍事基地の許可を取り付けるための周到な準備を行ってきた。

しかしその後、興味深い動きがあった。世界中の人々が怒りを表明し、イギリスとイスラエルを除くほとんどの国が米国に反対したのだ。

イラクの大量破壊兵器の査察には広範な支持があるが、米国内で、国際的支援のない米国の一方的先制攻撃を支持している者はほとんどいない。

一方、空軍を除く軍は、兵士や犠牲者など経費が掛かるとして怒りを表明したが、軍上層部は単独攻撃に反対はしていない。

ところでこの夏には、有権者と議会はブッシュを支持したが、有権者たちの地元では戦争に反対していた。ブッシュ政権が戦争キャンペーンを開始すると、民主党議員には電話や電子メールが殺到し、ゴア前民主党大統領候補をはじめ民主党議員は沈黙を破りブッシュの政策に反対した。

一般の人々はイラク攻撃に対する反対ではなく、単独での攻撃に反対したが、戦争反対の動きは国内の力のバランスを変えた。意見ははっきりと分かれ、政策エリートは幅広い支持が得られないので戦争に強く反対した。

さて、安全保障理事会が米国の軍事行動とイラクの国連査察を認めると、ブッシュの戦争を擁護する者たちには少なくとも2つの問題が起きる。米国市民もエリートもいわれのない単独攻撃は支持しないだろう。近隣諸国は米国のイラク攻撃のための軍事基地の使用を許さないかもしれない。

イラクの全面攻撃が支持されないと、ブッシュ政権は3つのことを実施するだろう。まず、国連査察を出来るだけ妨害する。次に、すでに開始している爆撃を拡大する。3つ目に、他国を買収するなどして新しい道を探る。

米国の動きを抑制するためには人々や諸国が連帯し、査察実施期間中の米国の攻撃を止めさせるべきだ。そして国際的反対運動は、米国内の国民とエリートによる反対運動を強めることになろう。

査察が順調に進むことは大切だ。イラクがなぜ再び査察を受け入れたか知るよしも無いが、他の国々が米国の攻撃を暗に回避しようとしたことは明らかだ。大切なのはイラクに、査察が十分に行われれば、安全なのだと知らせるべきだ。戦争を回避しようとする国が、査察が順調に行われている限りはイラクが米国からの攻撃を受けないよう保証すると示唆するべきである。しかしイラクの協力が不十分であれば、それは実現こんなんである。

また、米国が他の諸国をだまさないことも必要だ。米国の殺人に加わる見返りとして、イラクの石油、戦後の復興の契約などといった戦利品の分け前を他の国々に与えるだろうということも報じられている。

ブッシュ側近は世界をフットボールの試合のように考えており、その戦略は敵を打ちのめすこと。長い目で見れば集団的安全保障は必要で、米国の力を抑制するのは1国でなく、われわれ全体の責任だということを世界は認識しなければならない。たとえば、ヨルダンはもし基地を提供しなければその見返りに米国の報復があると脅され、経済的またはその他の支援を行っている。

大切なことは世界中の政府に継続的に声を届けることである。国と人々が連携し、米国のイラク攻撃に反対し、米国人の心に打ち勝つことだ。彼らは、9.11以来恐怖に脅え、「反テロリズム」政策を簡単に支持している。CBSの世論調査では、57%が査察が行われるよう国連の決議を任すことを、52%が独自に行動せず国連決議にまかせることを求めている。

米国のイラク攻撃を阻止することは、世界支配の欲望を抑制するための重要なステップだが、それはまだ最初の一歩でしかない。これは米国の攻撃性を封じ込めるための「集団的な安全」のための政策が暗黙的にだが現実に形成されつつあることを示している。このような「集団的な安全」が維持されるなら、先制攻撃を抑止することができ、また地球温暖化、貧困、経済危機、エイズ、大量破壊兵器などの脅威に対抗するための基盤もまた構築することができるだろう。

http://www.focusweb.orgを参照]

 


反テロ世界戦争は何を覆そうとしているのか

What is the world war against terror turning over? (The operation against Iraq)

By Arzu Abdulayeva アゼルバイジャンの人権活動家)

 

すべての戦争は、第1に、言論の自由、移動の権利などの市民的権利の制限を想定している。現在これが大陸規模で起きている。

2に、非民主的な国家を含む広範な連合を想定している。そのため、全体主義的、独裁的政権の国がしばしば反テロ戦争の前面に出る。

3に、平和的な人々を殺す。

4に、全てを破壊し、再建するのに莫大な費用が掛かる(その復興のために世界は経済的支援をする準備が出来ている)

5に、軍事的勝利により、強制的やり方を好む人々の立場と論理を強化する。

6に、イラクに対する戦争は、国際法と国連の力と影響力を弱めるだろう。

7に、独裁的ではあるがイスラムの国であるイラクに対する勝利を通じて、イスラム教とキリスト教の対立というプリズムで歴史を見ている東の勢力に新しいカードを与えることになる。

8に、アラブ諸国のリーダーたちは、ブッシュが選挙と米国経済の問題のために好戦的な政策を取っていると論じているが、これは根拠のないことではない。こうした側面を、非民主的な国の人々の目から見た、民主的西側の道徳な外見であると見なすことができる。

たとえば、アゼルバイジャンはアルメニアによって領土の15.7%を占領されているが、西側は戦争を起こさず、対話で解決するよう勧告した。イラクは米国との対話を求め、米国の上院議員を招請し、査察のために民間及び軍事施設を公開した。しかしブッシュはフセイン体制の転覆に固執している。サダム・フセインは独裁者だが、米国と協力しているゲイダー・アリエフ(アゼルバイジャン共和国の大統領)よりもひどいわけではない。イスラム諸国の人々は、西側の道徳相対主義を見て、そこから然るべき結論を導いている。西側諸国は何世紀にもわたってアジアやアフリカ諸国を支配してきた。それらの国の人々は、自分たちが現在直面している問題の起源を、植民地支配の遺産に求めている。今、新植民地主義の新しい時代が始まっているのか?

サダム政権が崩壊すると、イラク共和国は北のクルディスタン、中央部(イスラム教スンニ派)、南部(シーア)の3つに分裂すると懸念される。クルド人の最初の独立国が形成されると、シリア、トルコ、イランのクルド人分離独立運動の触媒になろう。そしてこの地域全体が戦場となり、民主主義、市民の自由、開発は失われるだろう。

フセインの後は、クルド人、アラブ・スンニ派、シーア派、トルクメンなどがイラク国家を形成し、民主的連邦主義で、寛容で多元的国家が、米国の支援と莫大な石油収入によって形成されるだろう。

イラク封じ込め、民間部門を刺激するなど、独裁者の血を流さない平和はたくさんある。西側諸国が戦争より他の方法でイラクの民主主義を支持する準備が出来ているなら、イラクの反政府勢力に対して協力できることはたくさんある。

 


温室効果ガスのギャングたちに立ち向かう”Climate Justice(公正な気候変動対策)”運動

Greenhouse Gangsters vs. Climate Justice

By Kenny Bruno, Joshua KarlinerChina Brotsky

 

気候変動は人と物に影響を及ぼす。

消費者が間違っていると言われる。たとえば車に乗ったり、セントラルヒーティング、電気の消し忘れなどだ。しかし大企業に比べれば個人が環境に与えることが出来る能力は小さいものだ。企業による石油精製、輸送などが二酸化炭素排出と地球温暖化の主な原因である。わずか122社の企業が2酸化炭素排出の80%を占め、Exxon MobilBP Amoco, Shell, Chevron, Texacoの5社の世界企業が世界の2酸化炭素排出の10%を占めている。

ところがこの5社とその支持議員たちは、米国人消費者がエネルギーを大量に消費し、「途上国」が地球温暖化に適切な措置をとっていないと非難している。また、温室効果ガスのギャングたちたちは、温暖化をもたらす石油産出のほか、気候変動のその他の分野に影響を与えている。

・一般の意見と科学的意見を金で買う

彼らは石油とガスを精製し商品化する。技術革新をせず商売を従来どおりに行うため政治力を利用し、人々の意見や科学的理論を金で買う。

Climate Justiceとは何か。

Climate Justiceは、温暖化の原因を取り除き、地球をすべての生き物が安全に住めるようにすること。

また、温室効果ガスのギャングたちたちがもたらす破壊に反対すること。新規石油開発を一時停止すること、車排気ガスを国内で大幅に少なくすること、効果的公共交通機関をさぐることもそうだ。

また、多くの国が温暖化ガス排出を大幅に削減する一方、地球温暖化に最も責任がある先進産業国は先頭をきってこの問題に取り組まねばならない。米国は温暖化ガスの25%を排出しているのでその先頭に立つべきだ。

つまり、Climate Justiceとは石油会社が温暖化に責任をもつことだ。故に、あらゆる側面から企業に挑戦することが必要。たとえば、石油開拓、市場取引、政治的影響力、公正でない「解決策」に対して挑戦することだ。多国籍企業から力を剥ぎ取り、国内外のそのような分野で民主主義を確立することだ。

ところで、グローバリゼーションは以下の点で多国籍石油企業を支えている。

合併。世界経済で大企業の競争力を高めるため行われる。

構造調整プログラム。世銀とIMFが課している。

国営企業は民間企業と共同企業体を形成している。

自由貿易と投資協定。AFTAWTOなどの機関は次の点で石油企業を支えグローバリゼーションの一端を担っている。たとえばNAFTAは石油企業の利益を環境の持続可能性よりも優先している。NAFTAは石油・天然ガスの大型プロジェクトへの政府の補助を「貿易障壁」の基準から除外することによって、これらのプロジェクトに対する政府の補助を促している。NAFTAはまた、見せかけの「自由」貿易のもとで、各国が輸出用のエネルギー資源を開発しないようにしている。

一方、WTOは世界中の貿易と投資障壁を撤廃しようとしており、輸送、農業などはますます石油に依存させようとしているので、石油企業はかつて無いほど繁栄している。

WTOは各国が京都議定書に従わないようにしている。

ニューフロンティアはグローバリゼーションによる石油採掘への道を開いている。自由貿易、投資協定が国際経済障壁を打ち崩すと、多国籍企業は新しい分野へ進出し、温室効果ガスのギャングたちは、途上国に進出するための資金を蓄積している。

石油開発は莫大な資金がいる。その理由は私たちが石油を豊富に持っているからだ。短期的にも、長い目で見ても事実だ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の科学者たちの試算では、CO2濃度を現在のレベルで安定するには、二酸化炭素排出量を60%削減する必要がある。だが、石油消費量を大幅に削減し、代替エネルギーの開発がなければ難しいことだ。

・排出権売買のリアルポリティクス

気候変動を防ぐには、石油使用量を減らすことが一番。だが米国や産業はそれを遅らせ実施しないよう、排出権売買の原則に基づいて企んでいる。

この取引は、京都議定書の下の「柔軟なメカニズム」として知られ、それは共同実施とクリーン開発メカニズム(CDM)がある。共同実施は、先進国は排出量を減らすより、ある他の国がそれを削減すると信用を金で買うことができる。CDMは、途上国が排出量を抑えるためのプロジェクトに参加する見返りに、自国内では削減しない。

空気汚染の排出権売買は、見掛け倒しの削減と、最も歴史的汚染源を奨励し、欺瞞を助長し、技術革新を遅らせている。

気候変動の解決策としての排出権売買の擁護者は、温室効果ガスのギャングたちの他、地球防衛基金、関係科学者団体などがある。気候変動のリアルポリティクスだ。・・・

企業主導のグローバリゼーションで、石油企業は投資機会と新規市場を広げている。そしてNAFTA WTO,  世銀、IMFなどは、企業利益と地球温暖化を進める世界経済機構を構築している。

真のClimate Justiceとは、京都議定書が特に問題の根本に焦点を当てることで、そして企業は温暖化に寄与していることを公に公表すべきだ。

Climate Justiceは、世界経済が人権、環境のために寄与することだ。ILOの労働基準、世界人権宣言、京都議定書などがその前例になるべきだ。

[http://www.corpwatch.orgを参照してください]