ATTACニュースレター日本版2002年第38

Sand in the wheels

Weekly newsletter - n°147 – Wednesday 02 October 2002.

 

権利のために

FOR OUR RIGHTS

 

「サンドインザホイール」(週刊)

2002102日号(通巻147)号

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目次

1.IMF・世銀年次総会反対デモから:3つのレポートFrom the Quarantine Against Greed

     (トロイの木馬(IMF/世銀)から企業ロゴが見え隠れ)

私たちの抗議行動がなかったとしても、IMF・世銀の年次総会に出席した蔵相たちには、この2つの機関がいかに病んでいるかは明白だったはずだ。この1年が終わって、ワシントンDCの本部に常駐していた人たちは気分がすぐれないのも当然である。この1年間、エンロンを始めとして彼らが生み出し、育ててきた企業が次々と倒産した。警告もなく、慈悲もなくである。アルゼンチンのように長い間彼らの処方箋を受け入れた国々の経済は疲弊し、次々と民衆の蜂起が起こった(1610)

2.シアトルの闘いが変えたものThe Legacy of the Battle for Seattle

BS(「シアトル以前」)の世界は、目もくらむような、「何でもできる」の時代であり、一夜にして億万長者になった者たちが強欲の網で地球を覆い尽くそうとしていた。そこに抗議の声が上がった。この時代の最大の市民的不服従運動だった。何万人もの人々が世界の支配者たちに、これまで通りにはやっていけないことを教えた。そしてファンタジーの世界は激震に見舞われたのである(1541)

3.WSSDで、「企業の責任」をめぐって激しい闘争The Battle for WSSD's Endorsement of the Need for Corporate Accountability

持続可能な開発に対する世界サミット(WSSD)は失望だったが、数少ない成果の1つは、多くのNGOWSSDに対して行った、企業に自分たちの行動とその結果について責任を取らせるためのキャンペーンの成功だった(1419)

4.チアパスは企業の搾取に反対するChiapas' Stand Against Corporate Exploitation

チアパスのモンテス・アスーレス自然保護区は古代マヤのピラミッドによって、また、絶滅に瀕した生物種の天国として知られている。ところが、ここがPPP(プエブラ・パナマ計画)という名の開発計画に反対する闘争の焦点になっている。PPPはメキシコ南部と中央アメリカ全体を企業による搾取の天国にする計画である。地元のコミュニチィー(多くはサパティスタを支持している)は軍隊によって強制される“再定住”の対象となり、それによって“民間投資”の安全が保証されることになる(1936)[プエブラ・パナマ計画については反差別国際運動のwebに詳しい解説と資料が多数掲載されています(日本語)http://www.imadr.org/japan/project/guate/ppp/introduccion.html]

5.ヨーロッパ社会フォーラム−権利のためにEuropean Social Forum -- A Call for Rights

“社会フォーラムの移民委員会”は、移民に関するヨーロッパのネットワークをフローレンスで開催されるヨーロッパ社会フォーラムに招待した。昨年のジェノバG8に対する反対運動の中で、1999年のシアトルにおけるWTO反対の運動以来拡大し、強化されてきた世界的な運動の歴史の中で、重要なことが起こった(738)


[要約版]


IMF・世銀年次総会反対デモから:3つのレポートFrom the Quarantine Against Greed

マーク・エングラー(Mark Engler

 

最初のレポート

私たちの抗議行動がなかったとしても、IMF・世銀の年次総会に出席した蔵相たちには、この2つの機関がいかに病んでいるかは明白だったはずだ。この1年が終わって、ワシントンDCの本部に常駐していた人たちは気分がすぐれないのも当然である。この1年間、エンロンを始めとして彼らが生み出し、育ててきた企業が次々と倒産した。警告もなく、慈悲もなくである。アルゼンチンのように長い間彼らの処方箋を受け入れた国々の経済は疲弊し、次々と民衆の蜂起が起こった。

蔵相たちが抗議者たちに耳を傾ける気があるのなら、この病気の少なくとも1つの病名がわかっただろう--それは「伝染性の強欲」である。抗議者たちはこの病気の伝染を防ぐために、彼らを「隔離」するデモを行った。ワシントンDCの街頭で、グリーンピースは白衣を着て、パフォーマンスを行った。警官隊は大量逮捕で抗議をかき消そうとした。しかし、彼らもまた、この見世物に組み込まれていた--彼らのバリケードは抗議者を締め出すためというよりは、蔵相たちを一般社会から隔離するためのようだった。

「公正な世界を」の唱和が会議場まで響いたことは間違いないが、IMFや世銀にとっては、抗議の声よりも、この1年間の世界的な経済の状態の方が、より深刻だったに違いない。・・・

ワシントンではあらゆる面で問題が起きている。個人投資家たちはIMFを信用せず投資をためらい、またエコノミストや世銀のウオフェンソンも、20年間開発理念を支配した「ワシントンコンセンサス」から離れようとしている。特に「南」の諸国からの怒りはIMFと世銀に向けられ、また政府の中には「危機から抜け出せる道はあるのか」と疑問を投げかけている。

「隔離」のデモで、CEPR(経済政策研究センター)のマーク・ウェースブロート氏は「2-3年前にはアルゼンチンのIMFに対するデフォルトは予測できなかった。一方、IMFはブラジル新政権を縛りつけようとしているが、うまくいっていない。しかし、IMF.を変えようとする動きはゆっくりと確実に起きている」と述べた。しかし閣僚たちは、病気はたいしたことはなく,単なる風邪だと思っている。

 

2番目のレポート

3週間前、FBIの「全米インフラストラクチャー(社会基盤)保護センター」の刊行物が、9.11一周年前後にテロの危険があると警告したが、その大半は反IMF/世銀デモを取り上げていた。警察は「重要な国家的インフラストラクチャーを保護するため」と称してラディカルな活動家を取り締まり、"予防措置"と言う言葉で抗議者たちを逮捕した。

今週末の抗議は、米国政府の問題をIMF及び世銀と企業スキャンダルを関連付けた。マスコミのトップ記事は、ブッシュ大統領のイラク侵攻を議会が承認するかだった。カナダ人評議会のモード・バローは、「ブッシュは貿易条項を進展させるため、テロに対する戦争を見逃さないだろう」と述べた。またブッシュは、先週の安全保障政策の発表で「国家の成功に普遍のものは、自由、民主主義、自由企業だ」と述べた。

私たちの恐怖が、政治問題化している。ブッシュ大統領が「敵」と言う時、公開討論と民主的自己決定に基づく自由を考える余裕はない。むしろ「自由市場」と「自由貿易」の「モデル」を強化する軍事力を確信しており、われわれの側に付くのか、それとも敵に回るのかと言う。

 

3番目のレポート

ナオミ・クラインは、2年半前の2000416日の反IMF/世銀デモを想起しながら、「この時のデモの方が多くの人が参加した。(今回のデモには)多くの人はいない。関心がないからでも、怖いからでもなく、行動をやめてしまったわけでもない。人々は自分たちの地域に散らばり、不当な難民追放の問題をはじめとして、コミュニティーに根を張った運動に忙しいのだ」と言う。これは楽観的な見方で、部分的には正しいかもしれない。しかし、戦争と不景気の中で、国内で公正な世界のための運動を組織することが難しいということも事実である。99年のWTOに反対する運動がメディアの喧騒やインターネットの魔法によって実現されたというのは嘘である。シアトルの闘いは1日で実現したのではない。

・・・

米国における公正な世界のための運動は復活するだろうが、今は「全世界が注目している」というよりは「われわれは注目している」という方が実態に近い。それでも、ワシントンの一方的外交が展開されている中では、それも意義のあることだ。南アフリカで、水道サービスの低下に抗議する直接行動がある。ブラジルに人々は、「経済が破滅する」という警告を無視し、民衆を代表する議員を選ぶ権利を行使した。ロンドンでは、イラク侵攻に反対し35万人がデモを行った。

ボリビア・コチャバンバの活動家、オスカー・オリベラは、「米国政府の勝利は、米国民の勝利ではない」と述べ、世界の民衆運動の成功に学び、それを自分たちの成功として祝福しようと呼びかけた。

[「ニューインターナショナリスト」誌(http://www.newint.org/)より。筆者はニューヨーク・ブルックリン在住の作家、活動家]




シアトルの闘いが変えたもの

The Legacy of the Battle for Seattle

トム・ハイデン(Tom Hayden

 

Mike Dolan3年前の"シアトルの戦い"の中心的なオーガナイザーの1人だった。彼は8月末にこの町に帰ってきた。今回ペトロビスキー公園を覆っていたのは催涙ガスではなく、太陽だけだった。約5000人が、1999年の反WTOの運動から始まった運動を思い起こすために集まった。

BS(「シアトル以前」)の世界は、目もくらむような、「何でもできる」の時代であり、一夜にして億万長者になった者たちが強欲の網で地球を覆い尽くそうとしていた。そこに抗議の声が上がった。この時代の最大の市民的不服従運動だった。何万人もの人々が世界の支配者たちに、これまで通りにはやっていけないことを教えた。そしてファンタジーの世界は激震に見舞われたのである。

シアトルは、企業主導のグローバリゼーションに反対する運動の荒々しい誕生を誇りとすることで新しいアイデンティティーを守った。騒動の後、警視総監は辞任し、WTOに反対したキング郡の郡政執行官は次の選挙で敗北した。市長はショックから回復できず、昨年の再選選挙で敗北した。一方、進歩的な議員の受け入れにあたったVelma Veloria州議会議員は秋に再選出馬し、デモ隊を守ったNick Licataは市議会で今も健在である。VeloriaLicataは共に、ペトロビスキー公園での集会に参加していた。Veloria は州議会で、貿易協定がワシントン州に及ぼす悪影響について監視するための監視委員会を設立した。

シアトルの闘いの意味を考えるこの集会のために帰ってきたもう1人の人は、Lori Wallachである。彼女はワシントンのGlobal Trade Watch事務所から精力的に、フェアトレイドのためのロビー活動を行い、テレビで企業のロビイストたちと果敢に論争をしているハーバード出身の弁護士だ。Wallachは、シアトルは米国人の進歩的精神を指す国際的なコードになったと述べる。米国の外交官が海外の聴衆に対してグローバリゼーションについて説教をすると、「シアトルは何だったんだ」という反論が返ってくる。しかし、帝国は逆襲した - シアトルの抗議行動は偶然だったと描き出すことによって。企業はグローバリゼーションは避けられないものだと言うが、Wallachは「私たちの成果を完全に取り戻すことは可能だ。企業は私たちが知らなければならないことを知っている - つまりそれが(グローバリゼーションが)紙でできた家にすぎないということだ」と述べる。

Wallachは、その証拠として、「ファーストトラック」(貿易交渉に関する大統領一括承認権限)法をめぐる、メディアではほとんど伝えられていない事情について述べた。この法案は7月17日に下院で3票差で可決されたが、それが議会のルールを破って行われるしかなかったことに反対運動の力が示されている。フェアートレード運動は、これまでの常識から考えれば、議会での法案成立阻止に成功していたはずだったが、最後に大統領自身が議会に介入し、政治取引を行った。それだけでない。下院は300ページに及ぶ「概念的な法案」について、非公開のヒアリングを開いた。公開ヒアリングも法案の印刷物もなかった。その代わり、下院議員には法案へのリンクが付いた電子メールが送られ、24時間以内の採決が通告された。一切の民主的手続きが無視された。

Wallachは、2003年メキシコ・カンクーンで開かれるWTO閣僚会議に向けて、NAFTA、米州31カ国を含む自由貿易圏構想、そしてWTOの拡大に対する抗議の運動を強化することを呼びかけた。Wallachは、最近の一連の企業スキャンダルについて「私たちの分析が正しかったことが証明された」と述べた。アルゼンチンはこれまで、企業グローバリゼーションの申し子だったが、今はIMF政策の犠牲者だ。また、Bechtel企業に水の権利を売り渡すことに反対するボリビアの「水戦争」のように、新たな抵抗運動も生まれている。彼女は最後に、「自由貿易は彼らが言うように神が決めたルールではない。それがうまくいかないなら、今やそれを捨て去って、私たちのものを取り戻す時だ。彼らが勝利できる唯一の可能性は、私たちが沈黙しつづけることだ」と述べた。ペトロビスキー公園に集まった人々は、このメッセージをしっかりと受け止めた。シアトルの精神は今も彼女の言葉の中に生きている。民衆が選挙したり、行進したり、キャンペーンを行うなかで、失っていけないものはその中で生きている。

[The Nation. http://www.thenation.com/ より。筆者のトム・ハイデン氏は元カリフォルニア州上院議員(民主党)。「1960年代後半のベトナム反戦運動で活躍した左翼活動家で、1968年の民主党大会で反戦デモを挙行して大会場を席巻し、反戦方針を党中央に突きつけて民主党の方向性を変えさせた武勇伝で知られている」(「田中宇の国際ニュース解説」2000511日)]




WSSDで、「企業の責任」をめぐって激しい闘争

The Battle for WSSD's Endorsement of the Need for Corporate Accountability

マーチン・コー(Martin Khor、第三世界ネットワーク)

 

持続可能な開発に対する世界サミット(WSSD)は失望だったが、数少ない成果の1つは、多くのNGOWSSDに対して行った、企業に自分たちの行動とその結果について責任を取らせるためのキャンペーンの成功だった。

多くのNGOは、企業を規制し、企業に責任を負わせることをWSSDの優先課題に設定した。1992年リオの失敗の原因は、企業を規制する必要性を認めなかったことにあると考えているからだ。リオから10年の間、TNCはますます強力になり、自分たちの利益のために政府を動かしてきた。

WSSDは最終的には、企業の責任に関する重要な項目(「実施計画」第45.ter項)を採択したが、この項目をめぐっては、最後まで激しい闘いが展開された。[実施計画の全文はhttp://www.johannesburgsummit.org/html/documents/summit_docs/2309_planfinal.doc からダウンロードできます(英語)]

この第45.ter項は、「リオの原則に基づき、政府間協定や諸政策、国際的イニシアチブと官民パートナーシップ、および適切な国内規制の全面的な確立と効果的に実施等を通じて、企業の責任を積極的に増進させ、すべての国における企業の行動の継続的な改善を支持する」と規定している。この項目は、他の項目と同様に9月3日の夜、この項目を骨抜きにしようとする一部諸国の最後の試みがエチオピアとノルウエーの強力な主張によって退けられた後に承認された。これが今回のサミットの数少ない成果の1つである。

 

草案が午前1時近くに採択された直後、国連事務局の1メンバーが用意されていた声明を読み上げ、「企業の責任に関する項目は、現存の政府間協定と国際的イニシアチブを指しているというのが実施方法に関するコンタクト・グループの共通見解であり、それが会議の最終報告に反映されるべきである」と述べた。しかし、この声明の手続きは透明性を欠き、疑問が残る。NGOの発表によると、この声明は、米国の代表が企業の責任に関する規定を実質的に無効にするために画策したものである。

コンタクト・グループでは、企業の責任に関して、EU案、G77案、米国案の3つの案が出されていた。EU案は、「・・・既存の政府間協定や諸政策・・・の全面的かつ効果的な実施等を通じて、企業の責任を積極的に増進させ・・・」となっていた。31日(土曜日)にコンタクト・グループの議長のJohn Asheが新しいテキストを提案した。それはEU案の「現在の」を削除し、「全面的な確立」という言葉を付け加えたものだった。

 

国連事務局のメンバーが声明を読み上げた後、エチオピアの代表のTewoldeが、その声明がコンタクト・グループでいつ合意されたのかと追及した。エチオピアの代表団はそのような声明について何も知らされていなかった。彼は、「既存の」という解釈は非論理的であり、「全面的な確立」ということが新しい協定を含意していることは明らかだと主張した。

John Ashe は、コンタクト・グループの全代表が出席してはいないが、代表が出席していたのだから、これはコンタクト・グループの総意とみなされるべきであると弁明した。Tewoldeはコンタクト・グループの声明の撤回を要求した。

 

その後、本会議議長のEmil SalimTewoldeの話し合いが行われ、議長は第 45ter項は同意されるベきであり、コンタクト・グループの声明は破棄されるべきだという結論を下した。ノルウェーの国際開発相もコンタクト・グループの声明を非難した。

 

だが、話はそれで終わらなかった。

次の日(94日)、WSSD最終日、南アフリカのムベキ大統領が議長を勤めた最後の全体会で、米国代表はWSSDの採択文書の解釈について4つの見解を発表した。その1つは企業の責任、説明責任に関する項目についてである。米国代表は、「本会議議長は、企業の責任に関する項目が、現存の政府間協定と国際的イニシアチブを指しているというのが共通見解であり、それが会議の最終報告に反映されるべきであると述べた」と述べた。これは事実について誤っており、前日の会議の議長であったインドネシアのEmil Salimは、コンタクト・グループによる声明を明確に拒否しており、エチオピアとノルウエーの抗議の後、そのことを明確にしている。そのことは筆者自身が Emil Salimから確認している。

WSSDの最終報告書が、この米国の立場を擁護するかどうかはまだわからない。もし擁護するとすれば、それは全くの虚偽に加担することである。

次のステップは、NGOと政府と国連が第 45ter項を実施し、企業に責任ある行動を取らせるために国際的な規制を行うための一方を踏み出すことだ。




チアパスは企業の搾取に反対する

Chiapas' Stand Against Corporate Exploitation

By Ryan Zinn

 

チアパスのモンテス・アスーレス自然保護区が、PPP(プエブラ・パナマ計画)という名の開発計画に反対する闘争の焦点になっている。

PPP計画の中心は、マキラドーラの組立工場から商品をすばやく輸送するための輸送インフラのネットワークである。環境保護の観点からの批判をかわすために300"生物保護地区”が構想されているが、これは見せかけだけの環境保護である。

 

■ラカンドンの密林とモンテス・アスーレス自然保護区の将来

モンテス・アスーレス自然保護区は、北アメリカ最後の重要な熱帯雨林である。

この自然保護区に28の“入植者”の集団が住んでおり、メキシコ政府や体制派の環境保護グループ(米国のConservation Internationalなど)は、この人々を環境破壊者であると非難している。

しかし、現地の人々は、彼ら・彼女らはスケープゴートにされているという。メディアでは彼ら・彼女らを「焼畑農業をしている無知な農民」、あるいは「環境を破壊する左翼の反乱者」として単純化し、誤った認識に導いている。

住民のひとりGomezは、「私たちは先住民として環境を守り、ジャングルと共に生きている」と話す。彼は、昨年のコーヒー価格暴落以前はコーヒーを栽培していたが、現在は生計を立てるためわずかな土地でコーン、豆類などを栽培している。

この密林は、天然資源搾取と人権侵害の小宇宙である。スペイン侵略以来、天然資源が搾取され、19世紀末から70年代には木材、その後は家畜放牧のため密林の80%の森林伐採された。 続いて、石油搾取、水力発電、道路建設、現在は水と生物多様性の民営化だ。

 

■水

2000年政権についたフォックス政権は「水(と森)は国家の安全保障の問題である」とのべた。メキシコ北部のほとんどが干上がっているが、フォクスと地元当局は水を民営化したいとし、町の設備、谷あいの村全体は危機にさらされている。

メキシコ南部が民営化のターゲットとなり、モンサントとコカコーラ(フォックスは以前、コカコーラに雇用されていた)は、それを新しい市場にしようしている。すでにコカコーラは、行政に町の都市区画法などの手続きの必要な水の民営化を迫り、チアパスの地層に手をつけ、主な水資源の近くの学校と水供給をするため信頼関係を確立している。

 

■石油

石油は世界的に枯渇し価格が上昇しているので、メキシコは経済的圧力をかけられ、社会・環境的に影響の大きい地域のラカンドン密林などの石油の採取を迫られりだろう。国営石油独占企業・メキシコ石油公社(PEMEX)はやがて民営化されるだろう(フォックスは任期中にそうするだろうと言われている)。米国の主な石油供給限としてメキシコはサウジアラビアに取って代わり、ラカンドン石油はその中心になろう。

PEMEXはラカンドンに莫大な石油はないとしたが、国内外の専門家はその反対だと言う。Seine River Resources (カナダ)、General Geophysics Company(フランス)、その他の企業は、すでにラカンドンの採取を開始した。

 

■ダム

PPPのエネルギー政策で、米州開発銀行(IADB)Usumacinta川の5水力発電へ24,000万ドルの初期融資を発表した。計画では、ラカンドンその他の川にダムが建設される。水力発電のほか、Usumacinta からユカタン半島までの農産物輸出のため水がくみ上げられ、これはメキシコ(とグアテマラ)の重要な沿岸地システムに被害を与えるだろう。

メキシコ連邦電気委員会(CFE)は次第に民営化され、ダムの社会環境的影響は無視されてきた。土地特有の生物多様性を持つエコシステムは永遠に失われ、数万人の先住民はコミュニティーを追い出され、マヤ文明の跡地や新しいエコツーリズムの中に放置されている。

 

■土地

地元経済は、チアパスの豊富な天然資源のほかマヤ文明遺跡、滝などの観光地にたよっている。しかし、1992年北米自由貿易協定がメキシコ憲法の修正を強制し、公共土は民間の手に渡ることが可能で、また実際にそうなってきた。現在多くの土地が地元コミュニティーで運営されている。

今は現地コーヒー経済は低迷し、共同コミュニティーは千祖伝来の土地の売却を強いられ、そのために米国に移住したりまた他の仕事を探さねばならない。コミュニティーが運営する事業はツーリスト企業に売却され、また厳しい状況にある。

 

■生物多様性

 "バイオテクノロジーの世紀"に入り、生物多様性は未来の戦略資源となった。そして、生物資源調査、市場価値を持つ遺伝子植物の研究が21世紀の新たな産業になるだろう。

チアパスは生物資源調査領域として知られ、伝統的植物医薬や昔から栽培される農作物などの歴史がるので、生物多様性と伝統的知識の特許を探す生物的盗難のオアシスとなっている。

そこで、メキシコ政府、Washington DCに本部を持つ Conservation International (CI) Grupo Pulsarはラカンドンに「生物学研究所」を設立した。 CIは世界中で様々な企業と生物資源調査に関する協定を結び、保護のために生物資源調査を進めている。その他Romo Pulsarなどバイオテクノロジー市場に乗り出している。

しかし、地元コミュニティーや活動家は、研究所は天然資源の生物的盗難だとしているが、メキシコ政府環境天然資源省はこれを無視している。

 

■市場による保護

PPPと並んで、Mesoamerican Biological Corridor (MBC)、世銀のイニシアチブ、グローバル環境Facility (GEF)、その他の官民の組織がある。生態的回廊は、メキシコ南部からパナマ運河まで300地域につながっている。計画の主な焦点は「野生」の生物多様性であるが、ここでは生物学と文化の多様性の重要な関連付けとそれを維持している地元先住民が無視されている。

回廊の60億ドルの予算のうち、5億ドルが伝統的保護活動に使われ、残りは従来型世銀開発プロジェクトとなり、地元コミュニティーには何の配慮もされていない。

ところで、メソアメリカ生態的回廊は、天然資源搾取、生物的海賊行為,、単一文化、植林、石油採取を"環境保護をうたいながら利益を貪る"ものである。「政府と企業は、水、石油、植物の支配のために私たちの土地を奪いたいのだ」とGomezは言う。

 

■軍による保護

Laguna Ocotalは生物多様性が豊富な湖だが、同時にサパティスタの拠点でもある。密林のこの地区はチアパスの武装地区で、メキシコ軍基地が点在する。メキシコ軍はなぜゲリラ活動が盛んなこのような先住民地区を軍事力で包囲するのか。サパティスタの脅威よりチアパスの戦略資源か。

フォックスはサパティスタ軍を解体することは出来ず、彼らを環境犯罪と位置づけた。環境問題の弁護士Campillo Garciaは「ラカンドン地区は民間投資を遅れ、無統治下に置かれているので、軍が代わって民間投資の保護を行うだろう」と言う。軍の役割は拡大し、環境法の施行、自然保護区保護地域にあるコミュニティーの再植林、暴力的「再定住」を保留に及んでいる。

だが、皮肉なことにメキシコ軍は危機に瀕した種の取引や、密林の森林伐採に巻き込まれている。人権侵害を行ってきた軍隊が環境保護のためにあるのは、軍事化のための口実である。地元の人々は「軍は密林保護のためでなく、私たちを排除するためにやって来た」と言っている。

 

■誰が勝利するのか

チアパス危機の責任は、メキシコ政府にある。政府は、先住民コミュニチィーを天然資源「管理」のためのイニシアチブから遠ざけただけでなく、その土地から立ち退かなければ、暴力で脅した。「ここは私たちの住処だ、“立ち退き”は私たち、この文化、この土地に死ねと言うことだ」

[Corporate Watchwebに関連レポートがあります。

http://www.corpwatch.org/issues/PID.jsp?articleid=3953(英語)]




ヨーロッパ社会フォーラム権利のために

European Social Forum -- A Call for Rights

 

“社会フォーラムの移民委員会”は、移民に関するヨーロッパのネットワークをフローレンスで開催されるヨーロッパ社会フォーラムに招待した。昨年のジェノバG8に対する反対運動の中で、1999年のシアトルにおけるWTO反対の運動以来拡大し、強化されてきた世界的な運動の歴史の中で、重要なことが起こった。

移住問題に関する論議の中で、移住者とその主張が論議と運動全体の中心となった。これははじめてのことである。719日のデモによって、移住の問題が運動の中心に登場し、今後の運動の戦略的な課題となった。

 

 20017月のジェノバ(イタリア)のデモは、現右翼政権の新移民法に対する反対運動を含んだ重要な闘争であった。人種差別的法令(Bossi-Fini 法)が議会を通過したが、それは運動全体を後退させることはできなかった。移住者の参加や活動が増え、移民に対する政治論議が活発になった。ジェノバの後「社会フォーラムの移民委員会」が設置され、Bossi-Fini 法ボイコットのキャンペーンを始めようとしている。ヨーロッパがすべきことは差し迫っている。(EUの首脳の間で話されているのは)「不法移民との戦い」、「EU国境線の軍事化」、「第3世界諸国との間の移民規制協定」、「移民が権利を持たない低賃金労働者なるのを阻止すること」であるが、これは私たちの要求ではない。

11月フローレンスで開かれるヨーロッパ社会フォーラムは大きなチャンスだ。ヨーロッパを謳歌している強権的な方法に反対し、差別のない政治的、社会的市民として働くため、また移民の権利を保障するためのキャンペーンを企画しよう。