アスベストの何が問題になるの?

最近、アスベストのことをよく耳にしますが、なぜ問題になっているんですか。
健康に良くないものの中で、アスベストが特に問題になるのはどうしてですか。

アスベスト繊維は非常に細い繊維なので、吸い込むと気管から気管支、さらに肺の一番奥の肺胞にまで入り込み、がんをひき起こすおそれがあります。アスベストは、発がん物質なのです。                             [画像準備中]
アスベストによって起こるがんとして、はっきりしているものが二つあります。 一つは最近急増している肺がん(Q9)です。もう一つは悪性中皮腫(Q10)といって、肺のまわりをおおっている薄い胸膜(昔は肋膜と言いました)や腸のまわりの腹膜にできるがんです。肺がんはいろいろな発がん物質で起こりますが、悪性中皮腫の原因はアスベストと考えて、まずまちがいありません。肺がんと悪性中皮腫のほか、喉頭がん、胃がん、大腸がん、直腸がんなどもアスベストによって起こるのではないかと疑われていますが、まだ定説にはなっていません。           [画像準備中]
アスベスト繊維をある程度吸い込むと、胸膜の広い範囲で線維が増加して厚くなってきます。これを胸膜肥厚といいます。病気ではありませんが、アスベスト以外では起こらないので、アスベストを吸い込んだ証拠になります。              [画像準備中]
アスベスト繊維を大量に吸い込むと、じん肺の一種でもあるアスベスト肺(石綿肺 Q11)になるおれがあります。アスベスト肺は、仕事でアスベストあるいはアスベスト含有製品を扱う人など、比較的大量のアスベストを吸い込んだ場合に起こります。それ以下ならアスベスト繊維を吸い込んでもアスベスト肺にならない「安全な濃度」があると考えられています。しかし、アスベスト繊維をすこし吸い込んでも、がんになる可能性があります。発がん性に関しては、「安全な濃度」というものはないと考えられています。アスベスト繊維をたくさん吸い込めば、それだけ発がんの可能性が高くなります。                                [画像準備中]
 
例えば、こんな例が知られています。アスベスト製品製造工場で働いていた父親が、アスベスト肺で亡くなりました。奥さんは悪性中皮腫で亡くなりました。三人の子どものうち、二人は悪性中皮腫と診断されました。奥さんも、子どもたちも、工場に行ったこともないのに、どこでアスベスト繊維を吸ったのでしょうか。原因は、父親の作業服に付いてきたアスベスト繊維でした。作業服を洗濯する前に、奥さんがパタパタとほこりを落とす−−奥さんも、子どもたちも、そのときにアスベスト繊維を吸い込んだのでした。                               [画像準備中]
アスベスト製品製造工場の近くに住んでいた主婦や子どもも悪性中皮腫になりました。アスベストを使った物置の屋根に登ってワイヤブラシでコケを落とした姉妹が、二人とも悪性中皮腫になったという報告もあります。ほんの少しのアスベスト繊維を吸い込んでも、がんになる可能性がある−それがアスベストのおそろしさです。   [画像準備中]
アスベスト繊維を吸い込んでも、自覚症状はありません。ここがやっかいなところです。おまけに、潜伏期間が非常に長いのです。吸い込んだアスベストの量によってもちがいますが、肺がんや悪性中皮腫で一八年から四〇年くらい、アスベスト肺で八年から二五年くらいの潜伏期間を経て、発病します。そのころには、どこでアスベストを吸ったか、思い出せないことが多いのです。                 [画像準備中]
アスベストと、ほかの発がん物質との相乗作用で、肺がんを起こしやすくなることが知られています。例えば、たばこを吸う人は吸わない人の11倍肺がんになりやすいのですが、アスベスト製品製造工場の労働者は一般の人の5倍、そのうちたばこを吸う人の場合は53倍も肺がんになりやすいのです。アスベストとたばこによる肺がんの発がん性は、足算ではなく、掛算で効いてくるのです。アスベストが特に問題になるのは、ほかの発がん物質との相乗作用があるからです。     [画像準備中]
悪性中皮腫の場合は、アスベストとたばこの相乗作用はありません。       [画像準備中]
アスベストは身近な発がん物質です。建材をはじめ3000種類もの用途に使われ、私たちの身の回りにあふれています。非常に細い繊維なので、空気中に飛散すると、なかなか落ちてきません。風に乗って2500キロメートルも飛んで行ったという報告があるほどです。肉眼では見えず、臭いもしません。放射能なら測定器で簡単に計ることもできますが、空気中に飛散したアスベスト繊維の測定は素人には困難です。自然界ではほとんど分解しないので、環境中にどんどん蓄積していきます。アスベスト汚染は確実に広がっています。                        [画像準備中]
体内に入ったアスベスト繊維のまわりにある種のたんぱく質が付着し、ちょうど鉄アレイのような形をした「アスベスト小体」ができます。ほかの繊維でも同じような形の小体ができるので、繊維の種類が確認できないときは「含鉄小体」と呼ばれます。東京および周辺住民のうち、肺内に含鉄小体が検出された人は、1930年代には10%でした。しかし1980年代には、80%以上の人から検出されています。   [画像準備中]
いろいろな病気で亡くなった方の肺の一部を取り出して薬品で溶かし、残ったアスベスト繊維を電子顕微鏡で調べると、1965年から1974年には、肺の中にアスベスト繊維が見つかる人は52%でした。ところが、1984年から1988年には、99%の人の肺からアスベスト繊維が検出されています。アスベストが特に問題になるのは、こうした事実があるからです。                         [画像準備中]
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最終更新日 2000年7月16日

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