日韓歴史共同研究計画 発表

2002年3月5日

日韓両国政府が歴史共同研究計画を発表

3月5日、日韓両国政府は、歴史共同研究機構について合意した内容を発表しました。それによると、この計画は以下のようになっています。

日韓歴史共同研究推進計画

「日韓歴史共同研究推進計画合同支援委員会」と「日韓歴史共同研究委員会」を設置する。支援委員会は、日韓両国の民間有識者及び政府関係(基本的に局長級)で各々6名程度。日本側政府関係者は、内閣官房、外務省、文部科学省の局長クラスと民間有識者(3名程度)。

「日韓歴史共同研究委員会」は、「日韓双方でそれぞれ10名程度の民間人(専門家・学者・教師等)で構成し、歴史学者を中心とする。日韓関係史につき、学者・専門家間で議論する。特に、両国間で学説・解釈に相違があると思われる分野については、両国における現状を共同で調査・研究を行う。このような調査・研究を通じて、学説・歴史認識について、共通点を見出すよう努めるとともに、相違点は相違点として正確に把握することを通じ、互いに理解・認識を深めることを目指す。古代史、中世史、近現代史の分野別分科委員会を構成する。」隔月1回程度の会合、2年程度を目途として研究成果をとりまとめる。

日韓政府間で対立していた「研究結果の活用」については、「共同研究は、共同研究委員会の責任において実施し、その研究成果は共同研究委員会の責任でとりまとめ合同支援委員会に提出する。」「合同支援委員会は、両国において政府及び関連機関、国会議員、大学等を含む研究機関、各種図書館、教科書作成者、民間(マスコミ各社、日韓関係や歴史に関する有識者等)等が研究成果を然るべく活用すべく、広く配布し周知させる。これにより、本歴史共同研究の目的が最大限達成されることが期待される。また、インターネットのホームページで公開し、日韓両国民間での相互理解が広まるようにする。これらにより、学者、専門家、教料書会社等が報告書の内容を承知することとなり、将来、歴史教科書が編修される過程で参考として考慮されることが考えられる。」

この両国政府の合意内容は韓国政府が大幅に譲歩したものになっています。日本政府が教科書問題は扱いたくない、研究成果の教科書への反映はできないと、強行に主張し、韓国政府が主張していた「歴史教科書共同研究」という名称も拒否し、そのため大幅に協議が遅れ、このような結果になりました。この合意内容は、当初の「歴史教科書問題を解決すための共同研究」という目的からも逸脱し、また、「歴史教科書間題を巡るこれまでの経緯」で韓国政府の35項目の修正要求を、日本政府が「教科書検定制度に基づき、これを精査した結果、必要な措置が講じられた」などと、あたかもこの問題が解決したかのように述べているのも問題です。韓国の「日本の教科書を正す運動本部」(運動本部)はこれに対する批判声明を出しています。またアジアネットと運動本部は、「日韓歴史共同研究機構」について共同見解を出しています。

下記に詳細を掲載しておきます。



  

[官房長官発表(速報)] (福田康夫官房長官)

2002年3月5日(火)午後
〇日韓歴史共同研究について

日韓歴史共同研究について申し上げます。

昨年10月の日韓首脳会談で合意された日韓歴史共同研究の実施について、今般、韓国政府との調整を終了し、「日韓歴史共同研究推進計画」を設立することとなりました。この計画の下では、両国の専門家による「日韓歴史共同研究委員会」を設置するとともに、歴史学者の交流、学術交流等、歴史に関する各種取り組みが統一的なコンセプトの下に推進されることとなる。また、この計画が円滑に実施されるよう必要な支援を行うために、日韓両国の民間有識者及び政府関係者から構成される「合同支援委員会」を設置し、今月中を目処に第1回会合を開催することとしております。

政府としては、本件計画は、正確な歴史事実と歴史認識に関する相互理解を促進するために、極めて意義深いものと考えております。

本件詳細は、外務省から説明をさせます。

−−−以 上−−−


外務省アジア太平洋局北東アジア課資料
日韓歴史共同研究推進計画

  1. 設置目的
    • 昨年10月15日に行われた日韓首脳会談において、歴史教科書問題(別紙参照)に関連し、正確な歴史事実と歴史認識に関する相互理解の促進が重要であり、そのために専門家による協議の場を設けることに一致したことを踏まえ、日韓関係史に関する共同研究会を立ち上げるとともに、日韓両国間の歴史関連事業をより効果的に実施するために官民で構成される合同支援委員会を設置する。
    • 共同研究の成果が広く周知されること等により、正確な歴史事実と歴史認識に関する相互理解が促進され、日韓両国の若者達が近隣諸国との間で未来志向的な友好協力関係を構築するための土壌を整備する。
  2. 概要
    • 「『日韓歴史共同研究推進計画』合同支援委員会」を設置(詳細は別紙1)。
    • 「日韓歴史共同研究委員会」を設け(詳細は別紙2)、「歴史学者の交流の場」及ぴ「学術研究・各種交流の支援」とともに3本柱とする。
    • 「合同支援委員会」は、歴史共同研究委員会をはじめとする本取り組みの下、歴史教育関係者の交流及び相互理解の促進を含め、各種の取り組みを有機的に関連づけ、統一的なコンセプトに沿って円滑に実施されるよう支援する。
  3. 活動期間
    • 合同支援委員会及び共同研究委員会については、まずは2年間の活動を基本とする。
    • 必要と認められれば活動期間を延長する。

【別紙】

歴史教科書間題を巡るこれまでの経緯

  • 平成13年3月に検定決定された中学校の歴史教科書について、同年5月、韓国政府よリ、正確な歴史記述が必要であるとして35項目の修正要求が提出された。
  • 日本政府においては、教科書検定制度に基づき、これを精査した結果、必要な措置が講じられた。
  • 10月15日及び20日に行われた日韓首脳会談において、両首脳は、歴史教科書問題について議論し、両国政府が歴史専門家の共同研究会を早期に立ち上げるために協力し、同研究会の円滑な運営を支援していくことで一致した。

【別紙1】

「『日韓歴史共同研究推進計画』合同支援委員会」について

  1. 概要
    (1) 目的:効果的かつ責任ある実施体制の整備
    (2) 方針:日韓両国間の歴史関連事業を有機的に関連づけ、統一的なコンセプトの下に推進するとともに、日韓両国政府が責任をもって個々の事業が円滑に実施されるよう支援する。
  2. 構成
    (1) 日韓両国の民間有識者及び政府関係者(基本的に局長級)で各々6名程度で構成する。
    (2) 日本側政府関係者は次のとおり。
      ・内閣官房
      ・外務省
      ・文部科学省
      基本的に局長クラス
    (3) 民間有識者(3名程度)の具体的な人選については関係省庁間で調整する。なお、合同支援委員会のメンパーが共同研究委員会のメンバーを兼ねることを妨げないこととする。
  3. 具体的任務
    (1) 次の3つの取り組みについて、これらが円滑に実施されるよう必要な支援を行う。但し、それぞれの取り組みに直接関与することはない。
      1)「日韓歴史共同研究委員会」(新設)、
      2)歴史学者の「交流の場」の設置
      3)学術研究・各種交流の支援(新設、既存)
    (2) 「日韓歴史共同研究委員会」の人選等立ち上げに必要な準備を行う。
    (3) 上記の3つの取り組みの成果につき、広報・啓発を行う。
  4. 開催頻度
    (4) 日韓歴史共同研究委員会等、新規事業が立ち上がるまでは必要に応じ随時開催する
    (5) 各事業が軌道に乗った後においては、実施状況をフォローするために、年間1〜2回定期的に会合を開催する。
  5. 事務局作業
    ○事務局は、両国が各自の事情に沿って適切な事務局を置くこととする。
    (本件支援委員会の開催等にあたって必要となる事務局的作業は、日本側においては外務省、韓国側においては外交通商部において行うこととする。)

【別紙2】

日韓歴史共同研究委員会:事業実施案

  1. 目的
    • 日韓関係史につき、学者・専門家間で議論する。
    • 特に、両国間で学説・解釈に相違があると思われる分野については、両国における現状を共同で調査・研究を行う。
    • このような調査・研究を通じて、学説・歴史認識について、共通点を見出すよう努めるとともに、相違点は相違点として正確に把握することを通じ、互いに理解・認識を深めることを目指す。
  2. 構成
    • 日韓双方でそれぞれ10名程度の民間人(専門家・学者・教師等)で構成し、歴史学者を中心とする。
    • 両国の座長は、歴史をはじめ幅広い分野に見識を有する者とする。
    • 古代史、中世史、近現代史の分野別分科委員会を構成する。研究の進展状況を見つつ、必要に応じ他の分科委員会を設置する。
  3. 活動
    • 隔月1回程度会合をもち、2年程度を目途として研究成果をとりまとめることとするも、頻度は必要に応じその都度調整することとし、研究成果の発表後も必要に応じ随時会合をもつこととする。
  4. 研究結果の活用
    • 共同研究は、共同研究委員会の責任において実施し、その研究成果は共同研究委員会の責任でとりまとめ合同支援委員会に提出する。
    • 合同支援委員会は、両国において政府及び関連機関、国会議員、大学等を含む研究機関、各種図書館、教科書作成者、民間(マスコミ各社、日韓関係や歴史に関する有識者等)等が研究成果を然るべく活用すべく、広く配布し周知させる。これにより、本歴史共同研究の目的が最大限達成されることが期待される。また、インターネットのホームページで公開し、日韓両国民間での相互理解が広まるようにする。これらにより、学者、専門家、教料書会社等が報告書の内容を承知することとなり、将来、歴史教科書が編修される過程で参考として考慮されることが考えられる。
  5. 事務局
    • 事務局は、両国が各自の事情に沿って適切な事務局を置くこととする。
      (本件共同研究の日本側事務局は日韓文化交流基金に、韓国側事務局は韓国教育開発院の中の国際教育情報研究センターに置く。)

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