先住民自立プロジェクトのリーダー、 アユトン・クレナキさんは語る

Ailton Krenak
アユトンさん


インタビュー詳細

「現代の人類にとって最大の課題は、自然と交流する能力と物質文明のバランスを取ることです。その点、私たち先住民は森で生活し、自然界のすべての存在は聖なるものがこの世に顕現した姿である、と考えてきました。このような伝統的な世界観を受け継ぐ必要性は、今後ますます高まっていくでしょう。

 伝統とは過去の記憶であり、私たちの内なる自然でもあります。祖先の智慧は、私たちが進むべき道を明るく照らし出してくれます。祖先たちが木の幹であるとすれば、現在の私たちはその枝に咲く花なのです。そこで、お祭りや夢によって、私たちと祖先のスピリットは交流することができます。私が政治活動を始めたときも、伝統文化を伝承する活動を始めたときも、祖先が夢に現れ、導いてくれました。

 本来の人生とは、ハート(こころ)とマインド(あたま)の矛盾を解消し、否定的な感情や言葉から自由になるプロセスではないでしょうか。あらゆる局面に喜びを見いだし、今この瞬間にスピリットを輝かせて生きていれば、必ずすばらしい明日が拓けるのです。そして、そんな生き方を選ぶ人々が地球にはたくさんいて、ちょうど毛細血管のように、命あふれるこの世界を支えているのです」

(1999年1月4日サンパウロにて)
アユトン・クレナキ:1953年、クレナキ民族としてミナス・ジェライス州に生まれる。76年にUNI(先住民族連合)を結成し、88年ブラジル憲法に先住民の権利を保障した先進的な条項を入れることに貢献。世界の先住民たちと交流しながら、次の世代に先住民独自の文化を伝えるため、テクノロジーと伝統文化の共存を目指して活動中。