No.16
発行者:ジャパ・ベトナム事務局
発行日:1998年10月01日


'98ベトナムツアー報告
小野 浩美



1998年のツアーは、7月21日からの北の行程から参加した安藤勇、高山親(カオ・ソン・タン)、出原久美子、小野浩美と、7月28日からの南から参加の水野信利、西山正子、加藤隆子がホーチミン市の空港で合流し、後半は総勢7名のにぎやかな旅となりました。以下旅のスケッチをご覧ください。

ゲアン

  • 洪水と資金難のため、診療所の工事が去年から全く進んでいない。薬局はよく利用されていて、1日70人から100人位の人が薬を買いに来ている。「薬代を払えない人はどうするんですか」と聞いたら、名前がビッシリと書き込まれたツケのノートを見せられた。軍隊で薬剤の勉強をしたというもの静かな若い職員は「注射器や簡単な手術道具等あれば、もっと診療ができ、診察室が整えば泊まり込みもできるのだが」と語った。あと2,000ドルあれば3ヶ月で診療室を完成させることができるのだが…

  • 村人の多くは5月の田植えが終わると、ホーチミン市に出稼ぎに行く。秋に「洪水があって収穫ができない」と口コミで伝わると、そのまま残って働き続けるそうだ。ホーチミン市では登録証を持っていないので「3月にも、この周辺の村人が100人位つかまった」とフイン神父は話していた。

  • 出原さんは、ポラロイドカメラで教会に集まった村人達の写真撮影に奮闘した。
カオバン

  • 1992年から続けている母子健康教育のための看護婦、医者研修コースも、あと2つの郡を残すのみとなった。今年の支援金1,000ドルで、そのうちの1つハラン郡での研修を行う。今後は、教育の成果がどのようにあらわれているか、その評価の調査も行わなければ、と話し合われた。

  • 2年前までプロジェクトの責任者だったルー先生が、省の認可もおりていよいよ自宅で診療所をはじめた。教育科学省に勤めるかたわら子ども向けの民話や詩の執筆もしている多忙なルー先生だが、「休日を使って貧しい村の健康診断等を行って行きたい。子ども達のためにやる事はいくらでもある」と熱っぽく語った。こちらへも病院側と並行して支援を続けたいものだ。

ビントゥアン省フックアン

  • 3年前開墾した150haの農地を見に行った。1戸に1haずつ分けられた畑には、トウモロコシ、キュウリ、インゲンなどが思い思いに植えられていた。残った畑15haには、ロンアンの苗を植え果樹園にする予定。

  • 畑でパパイヤの木を見ている出原さんの足元に顔を近付け、じっと地面をのぞいていた高山さんが「地雷だ」と叫んだ。まさか冗談と思ったら本当に地雷だった。あとでヒヤッとした。
ビントゥアン省ファンティエット

  • 司教館に車イスに乗った人達とボランティアの人達が集まった。15年前テレサ会という教会のグループが、障害者と外の社会を交流させる活動を始め、徐々に広まってきている。介護の仕事をしている西山さんは、車イスに座り、具合を確かめていた。

  • 司教館から歩いて5分位で海岸に出る。浜辺は遠くの方まで貝をむく大人と子どもでいっぱいだった。足元には、身をとった貝殻が山になっていた。タイの業者が貝の白い身の部分だけ買い取っていくという。子ども達は朝6時から夕方7時頃まで働いてたった2,000ドン(約20円)しかもらうことができない。
ビンフック

  • 去年の10月頃から8ヶ月間、ほとんど雨が降らなかった。おかげでゴム畑へは、バイクで行けたが、途中何ヶ所か水たまり、ぬかるみが残っていた。水野さんが乗ったバイクが水たまりの中に横転してしまい、シャツとズボンが赤土で染まった。「このズボンの色、洗濯で落ちるかなー」「いっそ、全部泥水につけてしまった方がいいかも…」。でもケガがなくて本当によかった。

  • 今、寮の子供は30人。新しい台所と食堂もでき、周辺には、パパイヤ(食用)の苗が植えられ、去年いなかったうさぎ(売って学用品を買う)、魚(食用)も飼われていた。寮の環境が行く度に少しずつ整ってきているのがうれしい。もっとたくさんの子供を預かれるようになるといいのだが。
ソックチャン

  • 今回はカントーの民家に泊まり、そこからフンヒエップへ日帰りで訪問した。今年は、朝4時に鳴り響く教会の鐘の音に起こされずにすむと思いきや、カントーでは、まだ暗いうちから何やら外が騒がしい。目が覚めてしまって時計を見たら朝の3時半だった。何事かと思ったら、近くの市場で野菜を売る人達が、道路に野菜を広げ作業をしていたのだ。加藤さんは6時頃起き出し、市場に写真撮影に出かけた。

  • 運よく井戸掘りの現場に遭遇し、はじめて作業を見学できた。長さ3m位の細い鉄パイプと塩ビのパイプがたくさん置いてある。もう泥水が、地面にさしたパイプからふき出している。3〜4人の作業員で朝6時から掘り始め、夕方4時頃には約100mの深さの井戸を掘り終わってしまうという。



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