食と安全



「G8は食の安全とどうかかわるのか」    日本消費者連盟 山浦康明



Q1:中国産冷凍ギョーザ事件とG8と関係があるってほんとうですか?

A1:ほんとうです。中国産冷凍ギョーザ問題で明らかになったように、日本の食は中国などの冷凍食品にその多くを依存するようになりました。問題とされた「天洋食品」はJTフーズが冷凍ギョーザの製造工程や工場管理などのノウハウを与えており、いわば日本企業が現地で日本向けの食品を作り日本に輸出しているものです。こうした貿易の仕方を「開発輸入」といいますが、G8はこうした先進国の資本を途上国に投資することを推し進めています。



Q2:投資が拡大すれば中国の人々も働くチャンスが増えて日中ともによくなるのではないですか?

A2:そうともいえません。日本の食品会社が中国で冷凍食品を作り、日本生活協同組合連合会がコープ商品として日本で販売したのは中国での原材料を確保し、安い労働コストでさまざまな加工食品を安く扱えるからです。中国では人々の格差・貧困問題があり、安い労働力を簡単に確保できます。労働管理を強化して日本企業の思い通りに働かせることができるのです。製造現場では労働者のたくさんの不満がくすぶっています。



Q3:中国野菜の残留農薬問題が話題となりましたが、G8と関係がありますか?

A3:あります。G8はWTO(世界貿易機関)の貿易自由化交渉を後押ししており、貿易促進をうたっています。WTOの農業交渉では農産物を安く作れる国がどんどん輸出すればよい、としていますから、各国の食料自給はないがしろにされます。日本の農業はこれまでにも貿易の自由化の大きな波によって衰退させられました。農産物でも開発輸入が進み、みばえがよく安いものが輸入されてきたのです。安全性は二の次とされ、危険な農薬が使われることになったのです。



Q4:厳しい安全基準を世界的に作れば人々は安心して食べることができるのではないですか?

A4:G8が後押しするWTOにはSPS(衛生と植物防疫のための措置)協定というものがあり、各国が国際基準に従って衛生対策をとることになっています。食品の安全については、国連のコーデックス委員会という機関が安全基準を作り各国に守ってもらうというルールになっていますが、G8が進める貿易促進の考え方が優先し、途上国でも守れる基準にしようとして甘い基準になりがちです。途上国をはじめ世界の生産者、消費者が安心できる厳しい農薬使用基準を一緒に作りあげる必要があります。