小樽港・ドイツ活動家の入国拒否について(入管当局への要請文)

ドイツからロシア経由で入国しようといたマルティン・クライメルさんが入国拒否されました。反グローバリズム運動の活動家が、まったく不当な理由で入国を拒否されるケースが今月に入って2回も続いています。以下は、Save Martinから法務省入国管理局宛の要請文です。

要請文

法務省入国管理局 札幌支局 殿

2008年3月10日、ドイツの農学博士マルティン・クライメル氏は、サハリン−小樽間を結ぶ船に乗って来日しました。しかし入国管理局小樽出張所はマルティン氏の入国を拒否しました。マルティン氏は入国管理局に異議申し立てを行いました。そして、日本の友人と日本の弁護士と協力しながら、入国の交渉を行なっています。私たちは、マルティン氏を日本に招聘した人々を中心に、救援会「SAVE MARTIN」を結成しました。

「SAVE MARTIN」は、日本政府に対して、次の3点を要請します。

①マルティン・クライメル氏の日本入国を妨害しないでください。
②マルティン・クライメル氏をロシアに送還しないでください。
③今回の入国妨害の詳細を、マルティン氏とマルティン氏を招聘した日本人/日本側団体に釈明してください。

①入国妨害について
 入国管理局小樽出張所は、マルティン氏はお金を持たずに入国しようとした、と主張しています。
 しかしマルティン氏は充分な旅費を持って来ています。入国管理局小樽出張所は、事実に反する嘘の主張をしています。
 また入国管理局小樽出張所は、マルティン氏が帰りのチケットを持っていないことを、入国拒否の理由に挙げています。いったい何が問題なのでしょうか。帰りのチケットを持たない旅行者はたくさんいます。帰りのチケットを持たないことが旅行者を追い払う理由になるでしょうか。
 さらに入国管理局小樽出張所は、マルティン氏が滞在予定の内容を充分に説明しなかった、と主張しています。充分な説明とは何でしょうか。旅行者は滞在予定の内容をすべてつまびらかにしなければならないのでしょうか。もしそうであるならば、なぜ日本政府は日本ドイツ間の査証を免除しているのでしょうか。90日間以内の旅行について査証を免除すると決定したのは、日本ドイツ両政府です。この免除措置は、両国の国際交流にとって意義深く、厳密に遵守されるべきものです。マルティン氏に対する侮辱は、大小の国際交流活動すべてに対する侮辱です。
 日本政府はただちに入国拒否を撤回し、マルティン氏の入国を認めてください。

②ロシア送還について
 マルティン氏は、ロシアへの送還を強く拒否しています。理由は二つあります。
 第一の理由は、彼のロシアでの査証の期限が切れているからです。
 第二の理由は、彼は来日する直前にロシアの政治警察に逮捕され、拷問を受け、脅迫をされたからです。
 マルティン氏が査証のない状態でロシアに送還されれば、ロシア警察が彼を拘束することは明らかです。前回は、軽微な罪をでっちあげた不当な逮捕だったので、ロシア警察は起訴することができず釈放したのです。しかし次にロシアに戻れば、彼は査証のない「不法滞在」の外国人として長期拘留される恐れがあります。彼はロシア警察による拘束と拷問を恐れています。これは現実的な恐れです。
 日本政府はマルティン氏の人身保護に配慮し、ロシアへの送還をやめてください。

③招聘側の日本人/団体への釈明
 入国管理局は、一人の外国人の入国を妨害しています。しかし彼は一人ではありません。彼ら外国人は、多くの場合、親族や友人や読者・支持者と会うためにやってくるのです。一人の外国人が来日するために、どれだけの人々が働き、待ち望んでいるか、想像してみてください。一人の外国人が拘束されたとき、彼を待つ親族や友人や彼を尊敬する人々が、どれほど落胆するか、想像してみてください。
 家族や友情や知性は、国境を横断して拡大しています。国際交流活動は、大小さまざまなレベルで成長しています。もしも入国管理局が職権を濫用することがあれば、私たちは断固としてこれに抗議し、国際キャンペーンを展開し、日本政府法務省入国管理局を訴追する用意がある。
 入国管理局がマルティン氏に何をしたのか、マルティン氏をどうしようとしているのか、私たちに釈明してください。

2008年3月14日
SAVE MARTIN(代表 矢部史郎)