HRW(Human Right Watch)
 2002年3月3日
アフガニスタンに広がるパシュトン人の暴力
Anti-Pashtun Violence Widespread In Afghanistan

(原文)http://www.hrw.org/press/2002/03/afghanistan0303.htm


 HRWは本日、次のように発表する。アフガン北部の武装集団が民族的にパシュトン人である人々に対して、殺人、殴打、性的暴力、誘拐、略奪、恐喝等をふるっている。暴力と脅しの行動が続くために、何千ものパシュトン人が故郷の村を離れることを余儀なくされている。
この4週間の間、HRWはアフガン北部一帯、北西部のファリャプ州から北部の中央高地、バグラン州まで20以上の村々・コミュニティを訪れた。HRWのメンバーはこの3ヶ月間におこった150以上のそれぞれ異なる暴力、略奪の事例を記録した。そのうちのいくつかはこの1週間の間に起こった出来事である。(調査の対象とした)広い範囲でパシュトン人の証言者は皆、同様に暴力、略奪、脅しを地方のコマンダーから受けている。調査隊は数十人の村人、コミュニティのリーダーにインタビューを行い、彼らは全員もっと強力な国際的な治安出動(greater international security presence)を欲していると語った。彼らはまた地方の政治勢力が武装解除されることを望んでいる。HRWは国連安保理に対してアフガニスタンに展開中のISAF(国際治安支援部隊)がカブール以外の地域を含めて当地範囲を拡大するよう要求する。
「暴力が短期間に制限されるようにするためには、国際部隊の存在による以外に方法はない。」とHRWの上級研究員、ピーター・ボカート(Peter Bouckaert)は語っている。「現在の北部のパシュトン人には保護が必要だ。彼らは国軍(訳注:アフガン国軍)が訓練されるまで待って入られない。」
北部ではイスラム国民運動(Junbish-i Milli-yi Islami)、イスラム協会、イスラム統一党の3つの政治党派が活動中である。各派はそれぞれ主として民族的にはウズベク人、タジク人、ハザラ人から構成されている。タリバン没落以来、いずれの各派も支配下にあるパシュトン人コミュニティをターゲットとしてきた。そうしたコミュニティはある場合はパシュトン人主体のタリバンと実際に関連を持った集団であるか、またはそのように受け取られて、報復を受けたり、またある場合はアフガン北部での政治的な競争の結果として攻撃を受けた。暴力はさまざまな武装グループによって幅広く乱用されているが、その中でも北部で政治的、軍事的な力を持っていないパシュトン人が実際には被害を受けやすい状況である。
こうした攻撃の典型的なパターンはファリャブ州のショール・ダリヤ(Shoor Darya)地方の村人の証言者から得られる。彼らの報告によれば、イスラム国民運動に関係を持っている武装したウズベク人たちが11月半ばに彼らの銃器を持ち去り、(ただし他の民族集団からはそのようなことをせず)、その後に続く数週間の間に村々を徹底的に略奪し、家畜、貯蔵してあった穀物、家財、現金や貴金属を暴力的に取り上げた。この期間を指してある村人は「恐怖の40日」と表現した。サマンガン州の州都であるアイバクの周辺の村人達はイスラム国民運動と関係のある武装した男達によって地域のパシュトン人達が拘留を強要されたと語る。
パシュトン人を標的としてきた武装メンバーの属する政治党派はイスラム国民運動だけではない。バルフ州のChimtal地方で最も暴力的な攻撃の幾例かがおきている。そこではパシュトン人村民の略式処刑が何回か行われ、これにはイスラム統一党の部隊が関与している。バグラン州のナヒリ地方とKilagai渓谷ではイスラム教会に属するタジク人らがパシュトン人の住宅を略奪した。
HRWはアフガン北部で女性に対する性的暴力、誘拐が広く一般的に発生しているという証言を得た。そうした事柄を論じること自体に社会的タブーがあるゆえ、証言は特に衝撃的なものである。パシュトン人の女性達はとりわけ攻撃対象に選ばれると思われる。バルフ州の中央ではイスラム統一党とイスラム国民運動の両派はパシュトン人女性を性的暴力の標的とした。過去に彼ら自身のコミュニティで類似の攻撃を受けている。
地域によっては最もひどい暴力はおさまっている。しかしHRWはアフガン北部でここ最近の深刻な略奪、暴力事件に数例遭遇している。ファリャブでの暴力沙汰に関与した部隊の指揮官はその後アブダル・ラシッド・ドスタム将軍により除名され、これによりこの地方のパシュトン人に対する暴力は減少してきた。しかし、他の地域では腐敗した指揮官と複数の部隊が抑制や叱責をうけることなく行動し続けている。現在、政治党派各派の間で権力を巡る競争がおきている地域でも暴力が深刻になっている。例えばマザリシャリフ周辺では3派全てのグループが活動中である。
「そうしようと選択すればいつでも各党派は地方の部隊に命じて暴力の乱用をきっぱりと止めさせることができる」とボカートは語る。「しかし彼らの過去の履歴を見る限り、彼らが治安を回復させて人権を尊重することを頼みにする、などということは現実離れしている。」
暫定政権が暴力の責任を特定できる能力は限られている。良い話もある。アフガンの暫定政権議長であるハミド・カルザイは先週3人の独立した委員会を作り、北部アフガンにおける民族的少数派に対する差別の申し立てを調査する、と約束した。最初のいくつかの過失は別にして、委員会のメンバーは非常に慎重に事実確認の作業を進めているように見えるが、彼らの作業がどのようなインパクトをもたらすのかはいまだ不明である。
HRWは反パシュトン人の暴力が難民帰還を脅かすものとなりうると、警告する。このような暴力はまた、暫定政権を将来もっと恒久的な政権に置き換えるために開催されるロヤジルガのプロセスを掘り崩す可能性もある。ボンでの合意では緊急ロヤジルガは2002年6月に行われる。参加メンバーはさらなる代議政府が選挙承認されるまでアフガンの首長をつとめることになる人物を選出する。
HRWは近日中にアフガン北部の完全な調査結果報告を発表する予定である。「

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