各地からの声
アメリカ〜9/16)反戦ラリー報告(9/20) ●ドイツ1. ●ドイツ2.

 米国テロ事件以降、多くの人々が私たちのHPを訪ねているようです。アフガニスタン人支援のHPのためか嫌がらせのmailも増えました。残念ながら、アフガニスタン人というだけでテロリストであるという偏見を持つ人々がいるということを今回頂いたmailによって知ることができました。憎むべきはテロやテロリストであってアフガニスタンやアフガニスタン人ではありません。当然のことながらタリバンはイスラムを代表しているわけでもありません。

 海外在住の友人から事件に関する報告を送ってもらいました。みなさんがテロ事件、そしてアフガニスタンを考えるときのご参考にしていただければ幸いです。

●アメリカから(9月13日〜16日)
 こんにちは。米国在住の山口です。 今回のテロ事件、私の住む地域(デトロイト近郊)は直接的な影響はありませんでしたが、事件当日は空港閉鎖、政府系建物閉鎖、学校閉鎖など、日常生活上の影響が出ました。
 私の所属している大学も、20年近くぶりに授業が全面キャンセルされ、私の学部の建物にいたずらの爆弾予告があり、皆ビルから避難させられたり、、と、普通ではありませんでした。
街にでかければ皆テロ事件の話題をしているし、事件当日の夜に大学キャンパスで行われた祈りの集会には、15,000人もの学生などが集まったということです。


 ニューヨーク、ワシントン地域出身の学生も多く、大学コミュニティそのものがかなり感情的に揺れている状態になっていると思われます。
同時に、全米最大規模のアラブ系アメリカ人コミュニティを抱えるエリアであることもあり、アラブ系の人々に対する嫌がらせ、暴力、差別などが、非常に緊迫した問題となっています。事件による感情的ショックに加え、怒りに基づいた人種差別への対応もコミュニティとして迫られている状態です。


 私も事件報道のテレビに釘付けとなっていますが、"America under attack"などというフレーズを使い、「パールハーバー以来」あるいは「パールハーバーを超えて最大」という表現が連発され、いかに危機的事態であるかということを、繰り返し繰り返しコメンテーターとして出演する政治家や、元FBI職員、ジャーナリストなどが述べています。
昨日など、MSNBC(ケーブルニュース局)のキャスターが、「パールハーバーの時には、間違いだったとはいえ日系アメリカ人を強制収容キャンプにいれた。今回はそういう議論は出ないのか」などと言い出しており唖然としました。
 CNN, ABC, NBCなど、どの局を見ても、軍事報復を行うということがすでに前提になっており、関心は「いつ」「どのように」行うかということになってしまっています。


 昨日の朝のニュースでは、9割以上のアメリカ人が軍事的報復行動を支持しているという世論調査の結果だとか言っていました。テレビを見ている限り、アメリカ人のショックと怒りは相当なものという印象です。
反面、昨日はパレスチナ人たちがテロ事件を拍手して笑いながら喜ぶ映像が繰り返し流されたこともあり、今まであまり聞くことなかった、「自分たちは世界で嫌われているのか」という話題は出てきています。ただ、話題が出されるだけで「でも我々はアメリカの自由と民主主義を守らねばならず、テロには断固として闘わねば、」というような意見にかき消され、 なぜ嫌われてテロにまで発展したのかという理由についてはあまり追及されずに終わっています。
政治家たちが、ブッシュのもとに党派を超えて連帯する、というメッセージをメディアを通じて流し続け、メディアも非常事態という理解だからか、表立って政権の対応を批判することを避けているようです。
今朝のニュースでも、通常はリベラルなはずのニューヨーク市民が、軍隊にむかって拍手、応援している姿が映し出されており、怖いものを感じます。 (9/13)

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 今日はブッシュの呼びかけで"National Day of Remembrance"ということになり、テレビではつい先程までワシントンでのセレモニーの様子が延々と映し出されていました。
 アメリカ国旗をかかげろというキャンペーンがはられ、アメリカ版AOLのトップページからは「国旗をダウンロードして印刷して掲げよう」と、国旗サイトへのリンクまではられているという始末。私の通う大学でも、昼間にキャンパス内2か所で、ブッシュの呼びかけにこたえてのセレモニーが行われました。
 テロで亡くなった方への追悼の意味だけのセレモニーなら参加するところですが、メディアでも繰り返し強調されている、アメリカとしての"unity"という言葉を使っての呼びかけで、ナショナリズムの色が濃いため行かないことにしました。
 日に日にナショナリズムがひどくなっていくのを感じますが、特に今日は怖い雰囲気です。今日が終わったら攻撃開始のつもりじゃないだろうな、と本当に恐れています。(9/15)

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私は家にいる間はテレビつけっぱなし状態でチャンネルもころころ変えたりしているので、アメリカ政府側発表だとか、被害の状況などはフォローしているのですが、メディアは日に日に戦争にむけて片寄った報道になっています。
CNNは、特番タイトルが昨日から既に"America's New War"になってしまっています。
 湾岸戦争のときも、思い出せばこんな感じでした。それに毎年、Memorial Dayや7月4日になると、こんな雰囲気になるんだった、、メディア情報は一面的ですが、メールなどを通じて反戦系、反政府系メッセージはアメリカ人からも流れてきます。
 政治家は「ブッシュのもとに一致団結」メッセージしか流さないし、、大統領選挙のときにあれだけ敵対していた人たちとは思えません。結局は似たような2大政党が牛耳る弊害なのでしょうか、、(9/15)

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 カリフォルニア大学バークレー校の学生たちの呼びかけにより、9/20をNational Day of Action Against Scapegoating Arab Americans and to STOP THE WARと指定し、デモや集会などを全米大学キャンパスで行おうという動きの情報がはいってきました。
 このような反戦関連の運動の動きは、全くマスメディア(特にテレビ)を通じては報道されていません。
昨晩の9時から、テレビは一斉に通常のプログラムに戻しました。すべての局が同時に行ったのでこれもまた、何だか無気味でした。 (9/16)

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●アメリカから・・・・反戦ラリー報告(9月20日)
 今日正午から大学内で行われた、"Coalition to stop scapegoating and the War"反戦ラリーに参加してきました。その報告です。
 私の大学だけでなく、全米約200のキャンパスで本日同様の行動が行われたそうです。そのラリーの場で、29日の土曜日にワシントンDCで、全米から学生たちが集まって反戦デモを行う予定だという発表もありました。
私の大学では、もっと多くの学生の参加があるかと私は期待していたのですが、思った程集まっていませんでした。人数はあまり把握できていないのですが、200人ほどでしょうか。もし参加人数の発表がありましたら、またお知らせします。それでも、反アラブ人差別/反戦の意思に満ちた熱心な学生たちや、地元の運動家が集まっていました。取材のテレビカメラも来ていました。

 アラブ系の人たちへのサポートの意味をこめて、緑のリボンを腕に巻きつけ、思い思いの看板を持ちながら集まりました。看板の中には、「本当のテロリストたちはホワイトハウスにいる」"The real terrorists are in the White House."というのもありました。デモ行進を行い、高校生からベトナム戦争時から反戦運動をしている運動家まで、10人程によるスピーチがありました。
 デトロイトの非常に貧しい地域の高校出身だという黒人女性の学部生は、結局軍隊が必死に人員をリクルートするのは、人種的マイノリティの多い貧しい地域の高校で、戦争が始まり、兵士として派遣され、死ぬのはマイノリティや貧しい階級の白人、そして中東の罪のない人たちであると語りました。
  別の白人女性は、「私はアメリカ人であることは誇りだなんて思っていない。人間であることが誇りなんだ」と主張。
感情のはいったスピーチが多い中でも、特に親類の叔父さんがワールドトレードセンターのテロ事件での行方不明者のうちの1人だという女性の発言が胸をうつものでした。「私の叔父の名前が、こんな形で何百万人の無実の人たちの命を奪う目的で利用されるなんて、耐えられない」という、泣きながらの訴えでした。

 しかし、同じ場所の一角には、アメリカ国旗を持ち、ブッシュや復讐のための戦争をサポートする若者の集団が。1人を除き、白人ばかりの15人ほどのグループです。USA! USA!と大声で大合唱し続け、反戦集会の邪魔をしにきたのが明らかです。
 反戦グループと対峙し、緊張感も走りました。反戦グループのほうは、STOP THE WAR!の大合唱で対抗。デモ行進しながらも、車で通りかかる人や歩行者などに罵声を浴びせられることも。また、このようなラリーが行われているにも関わらず、全く無関心で芝生に寝そべっている学生たちの多いこと。
  今日の夕方のローカルニュースで、どの局も短いながら、このラリーについて報道していました。テロ事件以来、恐らく初めての、反戦運動に関するテレビでの報道だと思います。局によって多少の違いはあるものの、反戦グループと、復讐戦争サポートグループの対立に焦点の置かれた報道になってしまっており、いかにも復讐戦争サポートの学生たちの声が大きかったように描かれていました。実際には、15人ほどしかいなくて、人数的には圧倒的な差があったのですが。

 少人数の学生が反戦と騒いでいる、という印象を与えるような報道で、「戦争へむけて国が準備を整えている最中というのに、もう反戦なんて言っている学生たちがいる」という調子の、否定的な論調が目立っていました。それでも報道があっただけ、今までよりはマシなのかもしれません。
 もっと変だったのは、ABCの夜の全国ニュースの直前の予告編で、キャスターのPeter Jenningsが出てきて、キャンパスでの反戦運動の"small, small beginning"についてのレポートもあると言っていたのに、その直後のニュースでは、そのストーリーが結局放映されないまま終わってしまったことです。他のニュースのためにカットされたのか、それともこのような内容は問題だという判断でカットされたのか、謎ですが、、そう緊急を要するようなニュースは別になかったと思います。

 私の住む街は、比較的リベラルな地域なのですが、それでもかなり割れています。そして、無関心な層も非常に多いと思われます。まだ反戦の声はアメリカではマイノリティなのだと今日は肌で感じました。でも、このマイノリティの声をどんどん大きく育ててマジョリティにしていくんだと、学生たちは気合いがはいっています。(9/20)

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●ドイツから
1.(ドイツ在住のOさんから)

私の意見で一般的風潮というものが伝わるのかどうかわかりませんが。

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 テロがあった11日は,ちょうどベルリンのユダヤ博物館のオープニングの日でしたが,延期になった他,多くの催し物がキャンセルされました(ただし,サッカーは決行されました(笑))
  ニュースは当然テロ一関係一色です。被害の大きさ,犠牲者に対する感情的な反応は当然ですが,「戦後アメリカのおかげで復興できた」という理由によって,アメリカへの協力を惜しまない,という政治家も少なくありません。ただ現在の親アメリカ的空気は,ドイツの表向きの顔であるという感も否めません。
新聞などで見る限り,(ドイツに限らず,ヨーロッパ全体にいえることだと思いますが)アメリカの軍事報復には距離をおきたい,という意見が過半数のように思います。
 これには,軍事報復そのものに反対なのではなく,軍事報復に協力したくない,自分の手を汚したくない,という本音も含まれているでしょう。 
 また,パレスチナでの平和がまた遠のいたということを憂慮する声,またイスラム文化への理解を促す意見も聞かれます。アメリカでのナイーブな愛国主義の高揚や,消防士が今や英雄かロックスターであるかのように祭り上げられている状況には,口アングリ,的な報道もありました(もちろん,直接的な批判はありません。淡々とした事実の報道に,ジャーナリストの白い視線が感じられる,ということです)反アラブ,反イスラム感情というものは,確かに高まっているのでしょうが(警官にむかってテロへのシンパシーを口にしたイラン人労働者が「公共の秩序を乱した」楞で連行されたということがあったそうです― アメリカの比較ではありません。デュッセルドルフではユダヤ教,イスラム教の聖職者の参加する上での混合ミサが開かれました。もちろん,ユダヤ系知識人の中には,断固とした軍事報復を叫ぶ人もいます。ユダヤ人の中でも,ショル・ラトゥールのように,オサマ・ビン・ラデンのようなテロリストを育成してきたのはそもそもアメリカである,というかなりアイロニカルな立場をとる人もいます。

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 私の周囲の人の反応ですが,直接的な影響を受けた人を含め(WTCの銀行で働いている兄をもつスイス人の知人は,事件後長いこと連絡がとれずに相当まいっていました。結局お兄さんはその日寝坊して助かったとか),最初のショックが過ぎた後は,沈黙してその後の成りゆきを見守っている,という感じでしょうか。あってもあまりその話題にはなりません。嵐の前の重苦しい静けさ,ということなのかもしれません。
 もちろんユダヤ系,アメリカ系の施設の警備は厳しくなっていますが,市民生活への直接の影響はまったく見られません。 (9/20)

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2.(ドイツ旅行中に事件に遭遇したYさんから)

 テロのことは、私は13日になってようやく知りました。というのも、テレビをまったく見ていなかったのと、12日にプラハに移動したのですが、この日に新聞を手に入れることができなかったからです(駅売りの新聞はほぼすべて売り切れていました、今から思えば理由がわかりますが、当日はなぜなのだろうと訝しかった)。
 13日午後に、電車の中で盗み見したHerald Tribuneの写真と見出し、それから友人との会話ではじめてテロのことを知りました。そこで14日からはドイツ語の新聞を買い、情報をなるべく集めようと思いました。
 プラハだったこともあり、ドイツ語の新聞の種類も限られており、わたしは14〜15日にかけては「南ドイツ新聞」という、リベラルな論調で有名な全国紙を買いました。16日はベルリンに戻りましたので、ベルリンの「Tagesspiegel」という新聞、やはり全国紙で、こちらは保守的な論調で有名な「フランクフルター・アルゲマイネ新聞」、スイス・チューリヒのの「ノイエ・チュールヒャー新聞」を買いました。そして17日にベルリンを離れる前に、これらの新聞の他に、「シュピーゲル」というオピニオン雑誌と「ツァイト」という週刊新聞を買いました。
 どれも長く詳しい記事を載せており、すべて読みきれてはいません。いちばんよく読んだ南ドイツ新聞に関して言えば、テロの背景の中東問題の記述にもかなり紙面が割かれていました。なぜテロが起こるのか、アラブ・イスラムの市民によって広範に支持されるのか、という背景説明が割合によくなされているようでした。

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ドイツの政治家の対応はまちまちで、政権党の社民党からして一枚岩ではありませんでした。シュレーダー首相が「軍事行動への参加も除外しない」と述べたのに対し、ラウ大統領は「軍事行動への参加は反対」。これをフランクフルター・アルゲマイネ紙ではシュレーダー首相の発言を見出しに引用し、南ドイツ新聞ではラウ大統領の発言を見出しにして、まったく異なった論調の記事が書かれていたのが興味深かったです。
 いくつかの記事、そして新聞に引用された政治家の発言などを読んだ限りでは、武力行使を正当なそして有効なテロ対策と考える声は少なく、むしろ武力はテロに対抗する有効な解決策にはならないのではないかという、深い疑念が感じられました。「シュピーゲル」誌にも、「ドイツ人の理解では、強大な軍事的報復は新たな焦土を作り出すだけだ」とあります。

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 プラハやベルリンでは人々が哀悼の気持ちを表現して、広場や教会に花や蝋燭をそなえているのが目に付きました。
  また、チェコもドイツもNATOに加盟しているため、アメリカの出方によっては軍事行動への参加を余儀なくされるのではないか、戦争に巻き込まれるのではないか、という不安を、かなりの人がもっているように思いました。ドイツに住む友人(日本人)も、チェコの友人も、戦争への恐れを口にしていました。アメリカが戦争を始めたら、ヨーロッパの方が中東に近いわけですから。(9/25)

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