正論・異論・反論
ACT読者アンケート
「日の丸・君が代」強制・教育基本法改悪
私はこう考える

 年を追うごとに教育の場で強制に拍車がかかっている「日の丸・君が代」。その一方で、政府自民党は教育基本法の改悪を着々と進めています。
 そこでACTではこの問題についての読者アンケートをおこない、集まったご意見を、本紙213号に掲載しました。そのあとも、いくつか回答が寄せられましたので、ここでご紹介します(本紙に掲載された13人の回答は後日アップする予定)。
 なお、編集部では引き続き、この問題に対するご意見を募集しております。


設問
    
Q1.
「国旗及び国歌に関する法律」 (国旗国歌法)が1999年8月に公布・施行されて、4年半が経ちました。あらためてお聞きします。この法律について、あなたはどう思いますか?
  @ このままでよい
  A 廃案にすべき
  B 「強制しない」条項を追加すべき
  C その他 (          )
Q2.
国旗国歌法の施行以前と以後では、あなたの周辺、あなたのまちで、どのような変化がありましたか?
Q3.
東京都では卒業式・入学式等における日の丸・君が代の強制、そして、これに反対する教職員への不当な処分が進み、学校現場での日の丸・君が代強制はこの春にも完成する、とわれています。このような行政側の動きについて、ご意見を。
Q4.
国会の勢力関係からは、いますぐ上記Q1.BまたはAを実現することは非常に困難ですが、思想信条の自由のみならず生活権まで脅かす「日の丸・君が代」強制に対抗する有効な手段とて、具体的にどのような方法があるでしょうか?
Q5.
9条改悪を柱とした改憲とともに、教育基本法の改悪もいよいよ政治日程にのぼり始めました。義務教育とはそもそも国民を作る為のものという言い方もありますが、時代の流れに逆行するあまりにも露骨なナショナリスティック、かつ中央集権型の改悪です。教育現場に経済至上主義を導入する国立大学の独立行政法人化もはじまっています。教育基本法改悪の動き、また今日の教育全般の問題点について、ご意見を。


回答

       

山村 直樹(書家・分筆業) Q1 @ このままでよい

Q2 特別ない

Q3 強行するのならされればよい。抵抗しない従順な姿勢で、しかし真実を教室で教えればよい。このことは、いわば「転向」の思想問題とリンクすることです。反体制の姿勢を貫くことで 教壇に立てなくなることよりも、体制順応の顔をして子どもたちに「日の丸・君が代」の歴史と真実を教えるべきです。まず子どもたちを信じることから始めるべきではないでしょうか。

Q4 とにかく、またゾロ日本は「墜ちる」道を選んだ方がいい。なし崩しの平和より今度は自分たちの努力と力で本当の民主主義を勝ち取ったほうが、どれほどよいことか――。そのために、たくさんの人たちが犠牲になるのもやむを得ないと思います。一度墜ちるとこまで墜ちた方がいい。

Q5  政府には「やりたいことをどんどんやらせる」こと。そうして国民がとたんの苦しみに至ったとき、本当のイミでの革命が起こるでしよう。そういうイミでは、日本人は中途半端で甘い政治姿勢しか持っていないような気がします。
匿名(無職)
Q1 A廃案にすべき

Q2 近くの公立学校で「日の丸・君が代」が強制された。

Q3 とにわけ石原ファシズム都政のもと、何事も「人権侵害」的な行政が貫徹していっていると思う。人間としてのあたりまえの抗議の声を。

Q4 人権教育の推進。子どもたちの自尊感情の育成とエンパワーメントの教育推進。PTA組織の戦略的奪取。教職員との共闘。

Q5  教基法改悪についての見解は、自民・民主ともにネジレがある。保守リベラル・民主党リベラル・社民党・市民派の各級選挙の勝利を。また二大政党論ではなくオールタナティブの政党の創出を。
鈴木 哲男(元自治労組合員) Q1 A 廃案にすべき

Q2 今まで、地域社会と関わりがほとんどなかったので、変化など感ずることができません――わかりません。

Q3 法制化するにあたっては「強制しない」と言いながら、結局強制しているわけで、東京都は立法の精神をも踏みにじっていると言わざるを得ない、不当な行為である。しかし、そもそも法制化そのものに問題があったのであり、廃案に向けて運動を強めていきたい。

Q4 若かりし頃、核実験禁止等の反対署名を集めるため戸別訪問に歩いた記憶があります。もっと、戸別訪問等で(街頭宣伝、署名だけでなく)、生活者の中へ入って対話をすべきではないかと思いますが……。

Q5  2月11日に千葉市で「教育基本法改悪反対の県民集会」がありましたが、350名ほどの結集でしかありませんでした。この集会参加にも制服警官が威圧的に会場を取りまき、市民との接触を阻むかのような対応が目立ちすぎました。教育基本法改悪は、改憲への地ならしであり、反対運動の弱さが気になります。もっとジャーナリズムへの登場、啓蒙・宣伝など工夫の余地があるのではと思います。
渭原 武司(元全国精神科看護者共闘会議代表) Q1 A 廃案にすべき

Q2 変化なく、周辺の人びとの無関心が、戦争が始まると急に体制(権力)順応に動きやすくなるのではないかと思うと、それが怖い。

Q3 これは戦後民主主義が否定したはずの「戦前」の復活である。その先陣を石原都政が行くものである。

Q4 有効な手段として、共産党抜きにして闘うだけの力が市民派にもどこにもない。また共産党も独自で闘うという力はない。まず、市民派から市民派へと呼びかけていくなかで、共産党、社民党、新社会党にも呼びかけ、人民の総力を結集した“共闘”組織をつくりあげる新しい試みがいま必要ではないか(私は老弱で悔しい)。

Q5  憲法や教育基本法の改悪は、旧日本的な政治秩序の復活、奪回をめざす反動勢力による戦後民主主義に対する反革命である。彼らは自衛隊を軍隊に改組し、対米従属の枠組みのなかで日本帝国主義の復活をめざしている。人民の統一共同闘争戦線の結成が、いまこそ必要である。
石井 彰(すぎなmix) Q1 A廃案にすべき

Q2 区役所に国旗が堂々と翻っている。

Q3 もちろん異議あり!

Q4 しつこく反対することも大切ですが、日の丸は天皇に背いた賊軍の旗、君が代は実は外国のメロディということも声を大にして言いましょう!

Q5 まずこうしたナショナリズムの隆盛がなぜ起きるのかを、きちんとわかりやすく解き明かすことです。と同時に、小中学校選択自由化のような一見自由主義、実は階級社会の新しい到来に対して、あらためて平等主義(どこの学校に行ってもきちんと教育が受けられる)の旗を立てるときです。
松井 毅彦 Q1 A廃案にすべき

Q3 この底抜けの状態がほとんど看過されているに等しい状況は、いったいどう考えるべきなのか? ワイマル末期よりヒドイ。他者への想像の欠落だろうか。

Q4 自分の帰属集団のなかで、孤立を恐れず、毅然と生きるしかあるまい。要は覚悟の問題。現況はこのレベルと考える。絶望的だが、しょせん主義の問題は、自分で護るしかない。
匿名(無職) Q1 A廃案にすべき

Q2 卒業式や入学式以外の儀式でも日の丸が上がるようになった(天皇「罪位」10年行事など)。

Q3 個人の思想・信条はどうであれ、儀式には従わねばならないという考えが露骨に出たもので、何ら驚くに値しない。企業でおこなわれてきたことが行政の場でも現れただけ。

Q4 共産党議員や無所属市民派の議員に儀式に参加してもらい、監視活動をする。儀式がいかに悪影響を持っていたかを戦前の例も踏まえて学習し、サボタージュする。親・生徒も学校行事の持つ教育効果を期待しない。

Q5 教育基本法も憲法と同じで全部読んでいる人は多くない。まず教育基本法の読了を。教育基本法とその下の法令が違うことが多すぎる。東京都の教員採用の一次試験は全面公開されているので、おかしな部分には抗議していく活動を(教員希望の受験生に批判させるのは酷だ)。教員と父兄の間に交流がないことを行政にうまく利用されているので、意見が合わなくてもよいから、話し合える土俵づくりを。教育に大切なのは、効率ではなくて、人間関係であることの強調を。
千葉 浩之(日新製鋼株式会社 技術者) Q1 A廃案にすべき

Q2 とりあえず変化ありません。私は独り者ですので、教育現場の状況にはうとくて。日の丸掲げ企業は昔も今も掲げてますし、自社については、私が大騒ぎしたためか、寮・社寮前の祝日掲揚と、事務所前の常日掲揚はなくなりました。それもあってか、自分が「浮いて」しまっていますが。

Q3 教育関係者と、あと親の方々はどうしているのだろうか、と本州の端で思う。

Q4 元号も含めて拒否するしかなかろう。

Q5 教育ってのは、家庭・個人が主体と思う。で、教育問題が発生しているというのは、社会が先に問題を抱えている気がする。最高学府とやらを卒業して早15年。毎年少しではあれ、学生に接してみると、思考の鋭さは結構かわらねど、気質・資質はずいぶん変わったかと。でも、その変化を生みだしているのは、社会に溢れる物品・情報だと思う。
猪浦 宏三
(年金生活者)
Q1 A廃案にすべき

Q2 あまり変わらない。

Q3 遺憾である。

Q4 思想・信条の自由を保障しなくては教育者が教えるときに困ることを訴える。そして、理解してくれる人やグループと協同して運動をする。

Q5 自分で物事を考える思考力が弱くなるのではないだろうか。
鈴木 康之
(牧師)
Q1 A廃案にすべき

Q2 教員の訴えをしばしば耳にするようになった。

Q3 なぜ執拗に強制しなくてはならないか正当な理由を表明してほしい。また、行政の言いなりになっている教育機関の怠慢を憂う。

Q4 現場を知っている教員を中心にした市民団体を組織化する。

Q5 改悪反対のための抗議行動は当然やりながら、既成事実にのみ込まれない対応を考える。既成の教育に依存しない主体的な学習内容を編み出し、本来の教育を展開する。そして、教育基本法が改悪されても、堅実に人間形成を押し進めていける同志的教育団体を興す。みなさん、やってみませんか!?
 
諸橋 博 Q1 A廃案にすべき

Q2 特に変化なし。

Q3 本来、強制しないはずのこの問題が、現実的に末端では文部科学省→都道府県教委→市町村教委といった一連の行政側の指導によって、強制という方向で取り組まれている。そして、市町村議会でも都道府県議会でも国会でも、野党議員がこれについて追求していない。

Q4 労働組合の強化がすべてであると思う。それによって、労働組合と国会の民主勢力が帯同して、闘いを展開するしかない。

Q5 教育基本法が改悪されれば、もはやわが国の進むべき道は暗闇である。民主的に発展し、育成されなければならない教育界が一握の権力者と管理職者によって自由に運営されてしまうという最悪の事態が成立してしまう。
八重樫 好 Q1 A廃案にすべき

Q2 テレビに日の丸が映ることが多くなった。

Q3 再び日本を戦争に引き込もうとする動きでしょう。国家権力が教育を統制することが恐ろしい。

Q4 最終的には政治を変えることでしょう。

Q5 平和教育を、経済主義より優先すること。金で平和は買えない。
匿名 Q1 A廃案にすべき or
   B「強制しない」条項を追加すべき

Q3 小泉・石原路線の強化である。反対側も、がんばってほしい。

Q4 なぜ反対なのか分からない人も多い。天皇制のことも含めて分かりやすい本を出す。

Q5 反対する「こちら側」も日本人論をきちんと持つべき。武士道は結局、女を悲しませる男性のエゴだと思う。そういう美意識に対抗していけるだけの美意識(言葉足らずでスミマセン)を持って、ACTもやっていってほしい。
匿名 Q1 B「強制しない」条項を追加すべき

Q2 小学校、PTA役員ですが、公式の行事の時ステージに掲げてある旗に、うやうやしく礼をする人が増えた。

Q3 戦争をしたい国に持っていこうとしているのを感じる。

Q4 国旗への敬礼の仕方を、ヨーロッパ方式の胸に手を当てる方式でも、広めたらどうでしょうか(頭を下げずに、敬意を表す真意で)。

Q5 小派閥・同志間で争いをしている時ではなく、なにか大きな動きを感じます。気づいた人々が力をあわせて立ち向かわなければと思います。
栗木 黛子
(大学教員)
Q1 B「強制しない」条項を追加すべき

Q2 子どもも社会人になり、特になし

Q3 法があるのは仕方ないこととして、強制しないことが必要

Q4 思想・信条の自由という基本的人権の主張をしていくこと

Q5 なりふりかまわぬ経済主義が人を押しのけ追いやる社会で、良い教育ができるはずがない。人を中心にすえ、人を育て、生かす社会づくりをどうするか。
匿名 Q1 B「強制しない」条項を追加すべき

Q2 特に感じられない。

Q3 学校が管理化され、息苦しくなるだろう。

Q4 時代的に思想・信条の自由さえ奪われる時を迎え、有効な手段はなかなか難しい。信念にもとづいた人がいろいろやっても、つぶされる可能性の方が大きい。

Q5 学校を見限る覚悟こそが最後の拠り所となる気がする。通信制や独学なら「日の丸・君が代」も強制されることは少ない。戦争による景気回復をもくろむ国になろうとしているこの日本では、その流れが止まるのはかつてのように多くの犠牲者が出るまでは無理なようにさえ思われる。
久保田 美佐子 Q1 B「強制しない」条項を追加すべき

Q2 信頼できる隣人が減る。立ち話程度でも不自由さが増加、健康美容以外の話はできない

Q3 第二次大戦準備のため。天皇崇拝、国家全体主義。

Q4 戦っている方は、歴史に残る立派な方々と思う。違憲訴訟を皆々でやるしかない?

Q5 人間存在が自主独立のものであるという近代思想に逆行している。人間が家畜ドレイかのごとく、ごくごく一部の支配権力者の利権に急行便の役目をしている。
竹内 隆 Q1 B「強制しない」条項を追加すべき

Q2 変化を感じない。

Q3 立法化されると公立高校の教員は特別権力関係におかれてしまうのでこうなってしまう。

Q4 ないと思います(再立法化以外ない)。

Q5 お金本位主義が教育現場を支配している以上、それ(経済至上主義)を「導入」するということではなく、ただ整理するということだけに見えます。お金本位主義が教育を駄目にしてしまったと思います
匿名
(自治体嘱託)
Q1 B「強制しない」条項を追加すべき

Q2 とりあえず、身の回りではありません。

Q3 Q2との関連でいえば、学校教職員の拒否が困難になってきたかと思います。だとすれば、たとえばPTAとか、父兄の立場からこれに抵抗していくことはできませんかね。当方、30代・独身・子なしなんでよくわかりませんが。

Q4 「生活権を脅かす」は、学校教職員の処分の問題ですか? それはさておき、とりあえず、相撲のときとか拒否できるときは拒否し、それがままならないようなところにはなるべく出かけないといった自衛策を個人個人が取るしかないと思います。

Q5 教育委員会制度が完全に形骸化しています。実質的に○○市教育部(課)になっています。教育委員(教育長を除く)、教育委員長は審議会委員程度の実権すら有していません。ここまで形骸化したのなら、いっそのこと廃止したらいいと思いますね。もちろん、かつて東京・中野区がやっていたように公選制にして、制度どおりに機能させることができるのならそれが一番とは思いますが。
坂本 美幸
(青森市在住)
Q1 B「強制しない」条項を追加すべき

Q2 それ以前から、県の機関等で県旗とともに「日の丸旗」を掲げていた。それで、「なぜ日の丸か、誰が上げ下げの作業をするのか」などについて当局と交渉したことがある。いま翻っている「日の丸」を、組合員があげたのかもしれないと思うと、ゾーっとする。

Q3 「君が代」を「相撲の歌」と覚えていた年代の教師たちもいると思うので、現在の強制化について生徒ともに悩んだことだろう。行政側は教師・生徒・保護者会の意向に任せるべきである。

Q4 教室での授業を、教師はセーター・ジャージ上下でできたものが、いまやスーツ着用を強制されている。つっかけサンダルは靴になった。これらに一つ一つ対応できなかった組合運動の弱さが、この法律施行につながったのだと思う。私は町内会の会合では日の丸を掲げません。君が代を歌わせません。

Q5 不勉強で分かりませんが、県立工業・農業・水産高校では以前から産学協同です。実習のプラスチック製品、野菜、花、卵、魚などは、行政側から収入(販売額)を強制されていた。生徒が労働力として扱われていた面も――。