沖縄一坪反戦地主会・関東ブロック


96年度活動報告

 関東ブロックは、政治中枢の場における米軍用地の強制使用を許さない闘いにおいて(1)強制使用問題の当事者であること(2)83年結成以来、本土において唯一、反戦地主を支援する活動を一貫して行ってきた歴史的成果にもとづいて、沖縄を代表する団体として、その最先頭で闘いぬきました。
 前代未聞ともいうべきこの1年間の激闘を闘い抜くことができたのは、すべての運営委員の固い団結と、沖縄出身の運営委員の増員、そして会員の積極的参加によるものです。
 本土における沖縄闘争の第三の高揚期において、関東ブロックは労組・市民団体などに呼びかけて「沖縄の米軍用地を取り返す実行委員会」形式と、諸団体との協力・共同の形式を中心にして、以下の闘いを行いました。

 1. 米軍用地の強制使用を許さない闘いについて

  1. 代理署名訴訟について

     代理署名を拒否した大田知事に対しての職務執行命令訴訟は一昨年12月22日から始まりました。県内のみならず、本土の多くの人々も関心をもつこの裁判で、実質審理を求める世論を盛り上げ、強制使用を許さない闘いを大きくつくりあげていこうと、裁判のたびに3度の報告集会を開催、代表団の派遣、実質審理を求める署名活動(3500人分)、首相官邸への抗議・要請行動を行いました。

    1. 12・22「職務執行命令訴訟取り下げ」首相官邸抗議・要請行動
       第l回公判の当日、現地の闘いと連帯し、首相官邸に提訴取り下げを求める行動を行いました(参加者50人)。「首相は提訴を取り下げろ!」の横断幕を官邸前に広げて、要請文を提出し、抗議のシュプレヒコールを行いました。
       また上原成信代表が現地の闘いに参加しました。

    2. 1・9代理署名訴訟報告集会
       沖縄弁護団の宮里邦雄弁護士が、県の国側への反論内容と、県の公益論が国の公益論を圧倒したことなどの公判報告と、裁判所外の大衆運動の盛り上がりの重要性を訴えました。

    3. 沖縄に軍事基地はいらない!すべての軍用地に花を2・12集会
       (第2回公判報告集会)
       2・12集会は参加者1000人、沖縄の軍用地を取り返す実行委員会主催で開催。宮里邦雄弁護士が国側の主張内容に対する県側の反論と、国寄りの裁判所の訴訟指揮についての批判の報告、崎原盛秀・一坪代表世話人が国側の論理と裁判所の国寄りの立場での進行を批判しました。

    4. 3・4軍用地強制使用を許すな!トコトン審理をつくせ!集会
       (第3回公判報告集会)
       参加者250人。宮里邦雄弁護士が大田知事の出廷にあたって、裁判官が国側の立場にたっていることや、米軍用地強制使用の認定を審査の対象外としたことは、安保や基地の強制使用について憲法判断を放棄し、国側の安保公益論を裁判所が前提として認めていることと同じである、と裁判所を批判、さらに土地物件調書作成にあたっての国側のデタラメさについても報告しました。
       有銘政夫(違憲共闘・議長)氏は安保再定義に反対する闘いのとりくみを訴えました。

    5. 3・18第4回公判報告集会
       参加者130人。富里邦雄弁護士が、県民の思いを代表した大田知事の証言の内容と、前回の国側の証言のデタラメさ(署名・押印が捏造されたことなど)の追及について報告。新崎盛暉氏が第3回公判の施設局の手続きのズサンさについての指摘や今後の動きについて報告。

    6. 3・8〜11実質審理を求めるすわりこみ行動
       第5回公判に代表団を派遣(3人)。

    7. 実質審理を求める署名活動のとりくみ
       会員を対象に、約3500人を集約。裁判への関心が高い中で、街頭での署名活動をとりくみ、世論へ訴えていくこと行動提起ができませんでした。今後は情勢に応じて街頭行動を行うことが課題です。

    8. 代理署名訴訟・最高裁闘争について
       県が4月1日に上告したことにより、歴史的な代理署名訴訟は最高裁に舞台が移りました。関東ブロックは中央における事実中の受け入れ団体として、一連の行動の準備を行い、沖縄からの代表団、本土の仲間とともに最高裁闘争をその最先頭で闘い抜きました。

      1. 7・10最高裁闘争:歴史的な最高裁闘争に向けて、違憲共闘会議と連絡をとりあって本土の中央3団体(護憲フォーラム・全労協・全労連)ヘ集会への メッセージと参加要請、地元の千代田区労協をはじめ、多くの労組への参加を呼びかけました。
          当日は沖縄の15人の代表団とともに街頭での情宣活動を行い、最高裁前 に結集しました(約400人)。
          関東ブロックは沖縄の代表団の全員傍聴のための傍聴券の確保、事前集会 報告集会。そして夕方には市民・大学人の会との共催で最高裁審理報告を行 いました(参加者約600人)。

      2. 8・28最高裁闘争:前回と同様に中央3団体への参加要請のとりくみを行 いました。事前に協力のビラを配布し、沖縄代表団全員の傍聴を確保し、事 前集会を開催、判決に臨みました(参加者約700人)。
          最高裁はわずか30秒の言い渡しで知事の上告を棄却する不当判決を下し ました。裁判所前の怒りの緊急集会を直ちに開催、不当判決を糾弾し怒りを新たにして闘う決意を打ち固めました。また法廷内でも30分以上の抗議行動 を行いました。
          最高裁判決抗議集会には4000人が参加し、沖縄と本土の仲間が不当 判決を糾弾しました。関東ブロックは集会参加者に弁護団声明を一坪通信・号外として配布しました。

  2. 全ての軍用地に花を!基地も安保もいらない3・31集会─沖縄反戦地主とともに─の開催


      沖縄の米軍用地を取り返す実行委員会主催で開催。4月1日の不法占拠状態を前にして、政治中枢の東京で沖縄現地の闘いと連帯し、国の不法占拠を糾弾し世論に広く訴えていこうと開権しました。3.200人の大結集でした。有銘氏と桑江氏の訴え、知花畠一さんとの電話メッセージ、沖縄民謡、海勢頭豊:ミニコンサート、ETC.と内容も非常に豊かであり、マスコミにも大きく報道されました。
     デモ行進も沖縄の青年のエイサーが先頭にたち、道行く人々の注目をあび、人々に大きくアピールすることができました。

  3. 緊急使用の却下を求めるとりくみ

     会員や3・18集会参加者に、県収用委員会に対して緊急便用申請の却下を求める激励・要請のハガキ・手紙を送ることを呼びかけました。

  4. 4・1首相官邸・防衛施設庁抗議行動

     知花昌一さんから依頼された立ち入り要請の文書を持って、首相官邸に対して不法占拠を糾弾し土地の返還を求める抗議行動を行いました。参加者は40人。その後防衛施設庁に対しても長時間にわたる正門前での行動を展開しました。

  5. 沖縄にもヤマトにも基地はいらない6・23集会

     参加者700人。最高裁判決を前にして、強制使用手続きの一環である「公告・縦覧」代行が焦点化していく中で、代行拒否を求める闘いの構築と、4・16東京行動の成果を引き継ぎ運動の拡大そして日米安保の強化・拡大に反対していく闘いを作りあげていこうと、本土の労組・市民団体などとの協力・共同の形で集会を開催しました。
     知花氏のビデオの上映、三宅俊司弁護上から公告・縦覧問題について、藤井治夫氏から日米安保再定義の問題と沖縄米軍基地の整理・縮小について、宮城晴美氏から「軍隊による沖縄の女性抑圧の50年にわたる歴史について」の報告を受けました。またあらたに、沖縄での高校生平和ゼミナールに参加する本土の高校生からのカンパの要請もありました。この新鮮な訴えは運動の広がりを実感させるものでした。

  6. 反戦地主との交流キャンペーン

     職場や地域で反戦地主と交流し、沖縄の基地問題の理解を深め、沖縄の反戦地主の闘いを支援する基金のカンパを募り、強制使用反対の闘いをさらに大きく広げていこうと開催しました。
     9月16日から27日まで開催、有銘政夫・照屋秀伝・宜保幸男氏に上京してもらいました。
     地域・市民集会での交流12ケ所・1600人、組合の職場や執行委員での交流16ケ所。500人の他、東京地評定期提起大会・国労東京定期大会・全水道青女部定期大会など、多くの労組での挨拶約3000人近くの人々に訴えることができました。大田知事が代行に応じた直後だけに、多くの人々が注目しました。このキャンペーンで本土の仲間に、大田知事の代行以降も闘いが本格化することを訴えて闘いの方向性を明らかにしたこと、会員がそれぞれの職場・地域の集会に参加したこと、80万円の基金を集めたこと、職場交流で組合員一人一人との交流ができたこと、新たに多くの自治労・都職労の積極的参加、全労協の全面的協力頬などの大きな成果がありました。

  7. 沖縄から訴える/基地のない未来を共に11・23集会の開催

     大田知事の公告,縦覧代行により沖縄問題が解決したかのような流れが作られていく中で、沖縄の現実をいま一度訴えて闘いが続いていること、公開審理に向けた大きな結集を作っていくこと、基地の県内たらい回し・本土移転に反対していくことを訴えた、マスコミも注目するような大集会めざして開催、参加者は2000人。
     本土の仲間との協力・共同の形で進めていきました。
     県内の移転先(予定)自治体からのメッセージ・沖縄からの反戦地主(大西照雄)・女性(源啓美)からの訴え、本土の移転先からのあいさつ(日出生台)、コンサート、琉球国祭り太鼓など、内容豊かな集会でした。とりわけ地位協定の見直しを求めて闘っている海老原氏の報告には大きな反応がありました。
     自治体の長の参加をかちとれなかったのが、今後の反省点として残ります。

  8. 強制使用問題についての学習会の開催

     12月14日に公開審理が近づくにあたり、会員を対象にした今後の公開審理闘争に向け学習会を開催、参加者は40人。安里さんの報告は、これまでの公開審理の歴史め今後の展望などと、非常に内容のあるものだっただけに、会員参加者が極端に少なかったのは今後の課題と言えます。

 2. 沖縄から訴える4・16東京集会について

 4・1集会は沖縄の3団体(反戦地主会・違憲共闘会議・一坪反戦地主会)が主催者となって開催されました。沖縄側が主催し、沖縄的共闘体制を維持する中央での初めての集会でした。本土では同席することの難しい政党系列の団体や労働組合。市民団体など約15000人が結集した大きな、熱気あふれる集会でした。
 関東ブロックは主催者の一員として、そして中央における事実上の受け入れ団体として、集会の準備をはじめ護憲フォーラム・全労協・全労連の中央3団体のメッセージと集会参加の要請、それぞれの傘下組織への呼びかけ、市民団体などへのオルグ総力をあげてとりくみました。  関東ブロックは献身的な活動によってこの歴史的な集会の成功に大きく貢献しました。また翌日の米大使館への要請行動を、上原成信代表が国会議員と連絡をとりあって準備し、沖縄代表団と共に大使館前行動を長時間にわたり行いました。
 さらにシンポジウムにも多くの会員が参加しました。

 3. 5・15闘争について

 米軍用地強制使用阻止!不法占拠糾弾!日米安保の拡大・強化を許すな!沖縄からすべての軍事基地撤去──をスローガンにして復帰24年を糾弾する5・15闘争を行いました。参加者は、沖縄の闘いの盛り上がりとこの間の関東ブロックの運動の広がりをうけて、5・15闘争としてはこれまで最高の300人。
 今回初めて反戦地主会の照星秀伝さんに来てもらいました。集会に先立ち、照屋氏を先頭にして防衛施設庁にたいして不法占拠を糾弾する抗議行動を行いました。集会にはあらたに全労連から連帯の挨拶を頂きました。この集会は護憲フォーラム・全労協・全労連の3団体からの挨拶・メッセージがありました。本土における4・16以降の沖縄的共闘体制の広がりの成果として確認することができました。

 4. 県民投票に対するとりくみ

 戦後50年、米軍基地に対して初めて県民の意志を問う歴史的な県民投票が昨年9月8目に行われました。
 地元の新聞への意見広告運動の賛同と会員への協力の要請、9・8渋谷駅頭での模擬投票実行委員会への賛同などの協力を行いました。また沖縄現地での島田正博氏(一坪幹事・那覇市会議員)の県民投票キャラバンにカンパを行いました。

 5. 重課税裁判について

 昨年10月31日、予想外の反動判決が出て逆転敗訴し、最高裁に上告されています。「一坪通信」上で、現地からの裁判の報告とカンパの要請をとりくんでいます。

 6. 防衛施設庁及び首相官邸・総理府への抗議行動

 2・13、4・12、4・15、5・15、11・18と、緊急使用問題・特別立法問題・県内への基地たらいまわしの件などで、長時間にわたる抗議行動を継続して行いました。

 7. 知花昌一さんの土地への立ち入り

 上原成信代表が6月22日、立ち入りに現地参加しました。

 8. 会員への呼びかけ

 会員の意識を高めようということで、6月に東京での公開審理開催についての参加の可否を問うアンケートを実施(約150人が「参加可能」と回答)。また7月10日の最高裁傍聴の可否を問うハガキを送付、会員への呼びかけの努力もしました。

 9. 一坪通信の発行

 通信部会の献身的努力により、月刊体制を堅持しました。

 10. パンフレットの発行

 4・17沖縄から訴えるシンポジウムのパンフレットを発行(700冊)。

 11. 国労支援闘争のとりくみ

  国家的不当労働行為により働くものの人権を奪われて闘い続けている国労の仲間、米軍基地により平和的生存権を奪われていることに対し闘っている沖縄県民、その根は一つということで、 10・20国労団結まつりに参加。また11・29東京総行動に初めて防衛施設庁行動が入り、国労を先頭とする全国の争議団と共に行動を行い、その後の国労支援の集会にも参加しました。また6・26の国労支援集会にも参加しました。

 12. その他

 代表・事務局長を中心にして、数多くの労組・市民団体が開催する集会などで沖縄の現状について訴えました。


97年度活動方針

 5・14以降の不法占拠の確実な現状、県内のたらい回しに反対する闘いの広がり。
 沖縄県民の闘いは日米安保体制を大きく揺るがしている。危機感を持つ日本政府は大田知事をとりこみ、米軍用地特別措置法の一部改悪などで危機を乗り切ろうとしている。昨年以上の大きな力で、政治中枢の場での闘いを沖縄と連帯して作っていかなければならない。

  1. 米軍用地の強制使用を阻止するために、公開審理闘争に全力を投入する。
    • 毎回公開審理に参加する(第1回は2月21日、第2回は3月12日)。
    • 東京での公開審理開催を要求する。
    • 公開審理報告集会を開催する。
    • 県収用委員会に対する実質審理を求める要請行動を行う。
  2. 4月上旬に強制使用を許さない大集会を開催する。
  3. 5・15闘争を、米軍用地を取り返す大行動としてとりくむ。
  4. 米軍特別措置法改悪の動きに対して、国会への要請行動を含む大衆行動を行う。
  5. 県内外への米軍基地のたらいまわしに反対する闘いを作っていく。
  6. P3C送信所阻止の闘いを行う。
  7. 重課税裁判を引き続き支援していく。

 出典:沖縄一坪反戦地主会・関東ブロック > runner > yellow-ML
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