要請趣意書




2004年11月26日

辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会



 今年9月以降、那覇防衛施設局は名護市辺野古沖合に新しい米軍基地を建設するためのボーリング調査を開始しています。この調査に対して地元住民から環境破壊であるとして中止要求が出されています。

 最近の辺野古の調査作業によるサンゴ破壊について、小池環境大臣は「防衛施設庁に対して、しっかりアドバイスする」と発言されてようであるが、環境省として具体的にはどのようなアドバイスを行われるか伺いたい。

 11月25日、世界自然保護会議IUCN日本政府に対して「ジュゴン・ノグチゲラ・ヤンバルクイナの保全を求める勧告」を採択したと報じられていますが、貴環境省としてはどのような対応をなされるか伺いたい。

 併せて、現在進行中の那覇防衛施設局による環境破壊の工事を即時中止するよう、防衛施設庁に働きかけることを要請いたします。






環境省への要請




2004年11月29日


 私たち「北限のジュゴンを見守る会」は那覇防衛施設局の2004年4月19日から普天間移設に係る現地技術調査の着手及び、同年9月9日からの強行着工、加えての11月15日からボーリング調査実施のための暴力的な対応に対し、非常に憤りを感じています。

 4月19日からすでに225日を数え、地元住民や全国の支援の人々が作業ヤードを造らせないために辺野古漁港に座り続けていることや、9月からは海上におけるカヌーや抗議船だけでなく、生命を賭けた海中座り込みまでしてジュゴンの棲む生態系を守ろうとしています。その人々に対し、防衛施設局の取った手段は信じられない非道なものでした。

 私自身、カヌーで海上で施設局の雇った業者や漁民に乱暴な言葉を投げ付けられ、なれないカヌーが転覆する危険も多々ありましたが、私たちは常に「非暴力」でこの海を守ろうと懸命に漁民たちに呼びかけ説得し続けてきました。それでも調査を強行する作業者にカヌーから海面に飛びこんで抗議する若者に対し、アンカー(錘り)を取り上げて戻る母船を流したり、アンカーを彼の頭に向けて投げ付けたり、一歩問違えば大きな事故に至るものでした。

 しかし、11月15日以後の海底掘削の強行に向けてなされた暴力行為は許されるものではありません。27日にはついに海上保安庁からも厳重注意がされるほど危険な行為が繰り替えされていました。私はそれらの現場に立ち合い、多くの証言を聞いています。

 10月7日に小池百合子大臣がキャンプ・シュワブから海上を視察された時にも、そのエメラルドに輝く海面に揺られながらカヌーの上から「ジュゴンの海を守って下さい!」と訴えていました。しかし、その時も、それ以後も環境大臣として「この海を守る」と言う発言は一度も聞かれませんでした。11月25日の参議院環境委員会にも、翌日の衆議院環境委員会でもこの国の自然環境を守るべき役割を完全に放棄したとしか考えられない大臣の答弁でした。ある国会議員は「この内閣には環境大臣は存在しない!」とまで言われました。

 また、沖縄県の環境影響評価審査会の傍聴も幾度もして、審査会のメンバーの全ての方々が環境影響評価手続きの方法書の不備と、この事前調査への大きな疑問を指摘され「方法書の差戻し」さえ示唆される方もありました。

 この25日には環境省の方々ともお目にかかりましたが、このような様々な批判や疑問に対して真摯に答えるどころか、何と「方法書」は事業者の計画案なのだから不備があって当然のような発言さえ聞かれ我が耳を疑いました。環境を守るべき使命を持った環境省の方々自身が環境アセスメントの精神を踏みにじり、事業者の都合の良いように法律の手続きの抜け穴を利用して、環境破壊を促進して恥じないのでしょうか?

 すでに現地ではリーフの外洋に迫ったスパット台船の足場を据えただけでサンゴ礁が壊され、白化現象から回復途中の幼いサンゴが犠牲になっています。この上、63か所もの海底掘削が強行された場合にどのような生態系の破壊が起きるかは想像を絶します。

 那覇防衛施設局西局長の「サンゴとサンゴ礁は別」などという無知も甚だしい発言を環境省は唯々諾々と受け入れるのでしょうか?生態系はひとつの繋がりにおいて存在できるもので、例えば、ジュゴンの食物である海草は藻場があってこそ育まれるものではないでしょうか?だからこそ環境省はこの間の調査においても「ジュゴンと海草藻場」の調査をされて来たのではないでしょうか?

 シーグラスベッドがあってこそのシーグラスであり、サンゴ礁なくしてはサンゴは生育しないのは自明のことではないでしょうか?

 我が国の自然環境を保全し、次世代に生物多様性を伝える使命を持った環境省としての本来の役割に立ち帰り、この違法な調査と危険極まる作業を那覇防衛施設局及び防衛施設庁にただちに中止させることを強く要請します。


北限のジュゴンを見守る会代表 鈴木雅子