防衛庁長官 大野功統様

防衛施設庁長官 山中昭栄様


ボーリング調査の即時中止と辺野古への新基地建設計画の白紙撤回を!


 4月19日、那覇防衛施設局(以下:施設局)がボーリング調査への着手を抜き打ち的に試みてから今日まで204日間。この長い期間にわたって、辺野古のオジィ、オバァをはじめとした人たちは、国の暴挙に対して、その場に座り込んでそれを阻止するという、過酷な闘いをつづけています。それは言うまでもなく、基地を絶対につくらせないという思いを実現するための行動であり、その中で体を崩される方も多く出ています。この闘いの重さを、本来、国は無視できるものではありません。にもかかわらず、9月9日、姑息な手段で海底調査を強行的に開始し、今日にいたっています。それは国家による違法・違憲行為であることは火を見るより明らかです。辺野古の闘いは、それを告発・暴露するとともに、国家とは何か、国家とは何を「守る」ものなのかを根底的に問う闘いでもあります。

 施設局は、依然として違法・無法な調査を強行する中、基地建設の工期を9.5年に短縮するとしています。先月末には「36ポイントの潜水調査を終えた」と発表していますが、実際は住民の阻止行動によって実質的な調査はほとんど行えていないことは明らかです。工期の短縮とは、形ばかりのずさんな「潜水調査」とつづく「磁器探査」をもって事前調査を終わらせたことにし、本格的なボーリング調査(地質調査)を急ピッチでおしすすめようという目論見にほかなりません。しかもそれは、15〜16年といわれる長期の工期に対して懸念を表明していた米政府・国防総省の意向に沿うかたちで基地建設を強行しようとするものであり、断じて許すことはできません。

 また、海上での抗議・阻止行動は、文字通り命の危険すら伴うものです。「ダミー船」が阻止船やカヌー隊を波の高い外洋へと引き付け、全速力で逃げる、そうした撹乱攻撃の中での船の転覆や追突などの事故の可能性は常につきまといます。施設局の調査船に立ちはだかる住民の阻止船に対して、「警戒船」が船体をぶつけ、阻止船の船体に穴があくということも起こっています。これらの責任を防衛庁・防衛施設庁はいかにとるというのでしょうか。海上での調査−ボーリング調査を即刻やめるべきです。

 政府はこの間、沖縄の「基地負担軽減」を掲げながら米軍部隊・訓練、基地の「本土」あるいは国外への移転の可能性に言及しています。しかし現に政府が行っているのは、辺野古への新基地建設の強行や、金武町の都市型戦闘訓練施設(陸軍特殊部隊による市街地でのゲリラ戦を想定した実弾使用も可能な訓練施設)の建設容認など、沖縄への新たな基地の押し付けにほかなりません。また、沖縄基地の国内外移転への言及の背景には、米軍再編のうごきがあるのは明らかです。米軍再編とは、「先制攻撃戦略」にもとづく「対テロ」を名目としたアメリカの侵略戦争遂行を目的として、兵力構成や基地のあり方を編成・配置し直すものです。

 神奈川・キャンプ座間への米陸軍第一司令部の移転や横田基地の空軍司令部強化と航空自衛隊との共用化などは、中東までをも見据えた司令塔を日本に置こうというものです。現に狙われているのは、「本土」の米軍基地の強化、米軍と自衛隊の統合・一体化にほかなりません。それを、あたかも「沖縄の声を聞く」かのようなポーズで行う政府の欺隔を私たちは見抜いています。

 現在、在沖海兵隊約5200人(第4連隊三個歩兵大隊3000人、第31海兵機動展開部隊2200人)がイラクへ派兵されています。それは、沖縄をアメリカの侵略戦争の出撃拠点としていくものであり、「人殺しのための基地をつくらせたくない」という辺野古で闘う人々の思いをも踏みにじるものです。一方、日本政府は、イラクへの自衛隊の派兵期限(12月14日)を延長することを明言しています。私たちは、イラク戦争を一貫して支持し自衛隊派兵を強行してきた政府を糾弾し、イラクからの即時撤兵と第四次派兵の中止を要求するものです。

 私たちは、座り込み、海上阻止行動をつづける辺野古の人々、基地の全面撤去を求める沖縄の人々と共に、防衛庁・防衛施設庁がボーリング調査を中止し、新基地建設計画を白紙撤回することを強く求めます。

2004年11月8日

イラクからの自衛隊撤退と沖縄の米軍基地撤去を求める実行委員会
     (新しい反安保行動をつくる実行委員会 IX)
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