抗議文


 先日の参議院選挙において、沖縄では米軍基地の縮小・撤去を掲げる糸数慶子氏が当選した。この結果は、普天間基地の早期全面返還、辺野古への新基地建設反対という沖縄の人々の声が反映されたものに他ならない。日本政府・防衛施設局は沖縄の人々の声を聞き、辺野古におけるボーリング調査の中止、新基地建設の白紙撤回を決断するべきである。

 95年、在沖米兵による少女レイプ事件を契機に、沖縄では基地の縮小・撤去を求める運動が大きく高揚した。日米両政府は、その声を聞きいれるかのようなかたちで、SACO(沖縄に関する特別委員会)を設置、「最終報告」として基地政策のガイドラインを打ち出した。しかしそれは、沖縄の人々が要求する基地の縮小・撤去ではなく、「県内移設」=沖縄における基地のたらいまわしによる米軍基地の再編・強化計画に他ならなかった。さらに97年、名護住民投票によって、辺野古への新基地建設が明確に拒否されたにも関わらず、日本政府はそれを一貫して無視しつづけ、「代替施設協議会」を設置し新基地建設計画を強行に進めてきた。

 沖縄の入々の基地撤去の要求を逆手に取り、あくまで基地強化・固定化おしすすめるという欺瞞極まる政府の姿勢に対して、私たちは憤りをおぼえる。こうした日本政府の対沖縄政策は、90年代以降、日米安保体制の世界大の拡大・強化−新ガイドライン安保体制の構築に突き進もうとする日本政府が、その最大の桎梏となっていた沖縄の反基地・反安保の運動の終息をねらうものに他ならず、決して許すことはできない。

 現在、沖縄には在日米軍基地の75%が集中している。それは、「本土」−沖縄の支配−被支配の歴史的な関係が今なお存続していることをあらわすものに他ならない。「琉球処分」以後の沖縄に対する「本土」による過酷な支配、その帰結としての沖縄戦、敗戦後の米軍政、「復帰」後、日米安保体制下の米軍基地の維持・強化。同時に私たち「本土」の人間が、このような日本政府を事実において容認し続けてきたことを何度でもとらえかえさなければならないと考える。私たちは「本土」による沖縄に対する差別を許さず、沖縄から米軍基地を撤去し、あらゆる戦争を許さない行動こそを継続していかなければならない。私たちは、辺野古の座り込み行動に連帯するために、この間新基地建設を許さないという主旨で情宣活動をおこない、支援カンパを呼びかけてきた。私たちは今後も座り込みに連帯し、沖縄からすべての米軍基地が撤去されるまで闘っていく。

 この間の米軍再編の動きは、在日米軍の役割を「最重要」と位置付けている。イラク戦争においては沖縄の基地から米軍が出撃し、いまだにイラク民衆を抑圧し続けている。今後もアメリカ・ブッシュ政権が掲げる「対テロ」戦争において沖縄を中心とする在日米軍・海兵隊が「重要」な位置を占めていくことは確実である。辺野古への新基地建設は、「対テロ」と称した侵略戦争を視野にいれた海兵隊の基地の強化に他ならない。新基地建設の事実上の着工であるボーリング調査は断じて認めるわけにはいかない。

 私たちは沖縄の人々とともに、沖縄からそして日本から米軍基地を撤去するまで闘い続ける。防衛庁・防衛施設庁に対して、辺野古における新基地建設のためのボーリング調査を即刻中止し、普天間基地の早期全面返還を実現し、新基地建設計画の白紙撤回を要求する。


防衛庁長官  石破 茂 様
防衛施設局長 山中 昭栄 様



2004年7月12日    

明治大学駿台文学会