第3回公開審理 議事録

○当山会長

 こんにちは。定刻となりましたので、これより起業者那覇防衛施設局長より、平成12年9月6日付けで裁決申請及び明渡裁決申立てのあった楚辺通信所及び牧港補給地区の2施設に係る第3回の公開審理を開催いたします。収用委員のご紹介ですが、前回申し上げまして、前のほうに名前も掲げてございますので、割愛させていただきたいと思います。

 本日の審理は、まず最初に、前回の楚辺通信所の審理で起業者側が持ち帰り、検討事項とした件について、土地所有者側から求釈明をしていただきます。次に、牧港補給地区について、土地所有者、土地所有者代理人から求釈明をしていただく予定になっております。その後、牧港補給地区の求釈明に対し、起業者那覇防衛施設局からの釈明を行います。最後に、総括の意見陳述として、楚辺通信所及び牧港補給地区の土地所有者より意見陳述をしていただきます。

 審理の運営にあたりまして、当事者等のご理解とご協力は不可欠でございます。円滑な審理運営のため、審理に参加していらっしゃる皆さんには、次のご協力をお願いしたいと思います。まず、私から指名された方のみ意見を述べてください。勝手に意見を述べないようにお願いします。次に、審理記録作成のために意見陳述者はマイクを使用して、土地所有者等は自己の権利に係る施設名及び氏名、起業者那覇防衛施設局の方は、職名及び氏名を述べて意見陳述を行っていただきます。

 起業者、土地所有者、関係人及び傍聴人は、審理会場における注意事項を遵守してください。審理会場における注意事項は、入場券及び傍聴券と併せて配布しておりますので、再確認のほどお願いします。それから、初回にもございましたが、携帯電話、ポケベル等をお持ちの方は、電源を切るかマナーモードに設定して、審理進行の妨げにならないように、ご協力をお願いしたいと思います。

 それでは、楚辺通信所の土地所有者側から、前回の持ち帰り検討事項についての求釈明をお願いします。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 代理人の阿波根でございます。前回、楚辺通信所に関して、求釈明という形で質問したんですけれども、その中に何点か積み残されているというか、宿題があります。その2〜3についてお聞きしたいと思うんですけれども、その前に、現地立入関係での書面がいただけなかったかなということをお尋ねしたいと思うんですけれども。前回のご説明では、平成13年1月29目付けで、沖縄県の収用委員会から現地調査を実施したいということで、那覇防衛施設局に通知の書面を送ったと。その書面に対して、収用委員会の皆さんだったらよろしいんですけれども、地主の皆さんは駄目ですよという回答があったというところがあるんですけど、そのいきさつを、電話とかじゃなくて、文書でのやり取りがあったのでしたら、その文書を出していただけないかなと思っているんですけど、それはいかがですか。

○当山会長

 収用委員会に対するご質問ですね。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 そうです。

○当山会長

 これは、収用委員会のほうに、こちらの作成の書面等でございますので、申請をしていただければ、差し上げます。ですから、手続きをとっていただければ、いつでも差し上げます。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 施設局から収用委員会に出された回答書みたいなものもございますでしょうか。

○当山会長

 それも、差し上げます。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 書面で回答があるんですか。

○当山会長

 はい、来ております。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 分かりました。では、それはそれでよろしゅうございます。

 それから、積み残し部分の中で、前回、起業者のほうから書面でもって回答いたしますということをご返答いただいた部分があります。

 具体的には、これはこういう質問に対する回答に関することなんですけれども、日米安保体制と日米安全保障条約との関係で、日米安保体制が範囲として考えているのはどこまでなのかと。アジア・太平洋地域なのか、極東地域なのか。安保条約では極東地域と。地理的な範囲は同じなのか。日米安保体制ということで考えている地理的範囲と、日米安保条約で考えている地理的範囲は同じなのかどうかを、どういう考えをもっているか、答えてほしいということを聞きましたところ、前回の回答では、施設部長さんは、私としましては本件につきましては、ここでは即答できませんので、後ほど委員会のほうとも調整しまして、文書等で回答させていただきますということの回答があるんです。それを文書等で回答いただけないでしょうか。

 ○当山会長

 文書での回答は来ておりませんので、口頭でお答えいただけますか。今、答えがほしいという趣旨でしょうか。

 では、一つ一つ。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 だから、文書で出すと前回おっしゃっているわけですから、当然文書はあるべきだと思うんですけど、文書がないということを確認されてましたので、どうして文書で出すと言いながら出せませんかということなんです。

○当山会長

 では、施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 私、那覇防衛施設局の施設部長の栗原精治でございます。ただいまの件についてお答えいたしますが、前回の公開審理の際、私のほうから、文書等でお答えすると。それで収用委員会のほうとご調整をしてというふうな趣旨でお答えしたつもりでございますが、本日、この件に関しまして、もう一度私のほうから、本席でお話をさせていただきたいと思います。

 繰り返しますが、日米安保体制と日米安全保障条約との関係についての補足説明ということで、お答えさせていただきます。この件につきましては、前回の釈明の中でお話ししたことと重複する部分が大半でございますが、もう一度話をさせていただきます。

 我が国の憲法の下で進めている防衛政策は、昭和32年5月に国防会議及び閣議で決定した国防の基本方針にその基礎を置いており、国防の基本方針は、まず国際協調など、平和への努力の推進と、民生安定などによる安全保障基盤の確立を、次いで効率的な防衛力の整備と安全保障体制を基調とすることを基本として掲げております。この安全保障体制は、日米安全保障条約を基調とするものであり、我が国の安全に対する直接的な貢献、我が国周辺地域の平和と安定の維持への貢献という役割を果たしてきており、さらに日米関係の中核をなすとともに、我が国の幅広い外交関係の基盤ともなっているものでございます。

 また、平成7年11月に作成されました、平成8年度以降に係る防衛計画の大綱では、日米安全保障体制については、米国との安全保障体制は我が国の安全の確保にとって必要不可欠なものであり、また、我が国周辺地域における平和と安定を確保し、より安定した安全保障環境を構築するためにも、引き続き重要な役割を果たしていくものと考えられるとされております。

 なお、関連でご質問がございました、極東とアジア・太平洋地域のことに関しましては、前回の公開審理のときにも、事前に文書で、審理になじまない旨、お答えしているところであります。

 以上、この件に関する補足説明を終わります。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

あまり長くそういうことをおっしゃられては、かえってうちらは何を言っているかさっぱり分からないんで、こういうのは端的にお答え願いたいと思うんです。要するに、何で文書で出さないんですかということなんです。文書で出せると前にしていながら、文書を出してないのはどうしてですかと、理由がありますかというだけの話です。どうでしょうか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 この件に関しましては、前回、収用委員会さんのほうにご提出してある文書で、審理になじまない旨、お答えしてございます。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 審理になじむかどうかは、収用委員会が決めることであって、皆さんが決めることではないと思うんですけれども、結局は、そうするとこのように理解していいんでしょうか。日米安保体制の地理的範囲も、それから、安保条約上の地理的範囲も同じだというふうに理解してよろしいですね。特に皆さんの文書にそういうことがありませんので、そのように理解してよろしいでしょうか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 私のほうでお答えできるのは、今、私がご説明したとおりでございます。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

説明になっていないということだけはっきりしましたので、前に進みます。

○当山会長

阿波根先生、どなたが発言されるか分からんものだから、テープにとる関係上、一応、お名前だけお願いします。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 代理人の阿波根です。これ以上このような禅問答みたいなものを続けてもしょうがないですから、前に進みたいと思います。言っていることは、結局は審理になじまないという言葉を使っていますけれども、そのことが審理の重要な点だから、私は聞いているんです。要するに、皆さんが日米安保体制が重要だと言っているわけですから、そのために沖縄の基地は使うと言っている。その日米安保体制が目指している、その範囲はどこまでですかということを聞いているんですが、これ、お答えにならない。安保体制を基軸にしているということですから、結局、その地理的範囲は同じだと理解できると思いますので、前に進みます。

 それから、きょうの先ほど回答がありますので、楚辺通信所に関わる求釈明についての回答書をただいまいただきまして、中身を見させてもらっています。その中で、これ返還のめどでしょうか、要するに強制収用の期間との関係で、新しい施設、楚辺通信所にかわる新しい施設の用地選定から、楚辺通信所明け渡しまでのタイムテーブルを具体的に示してくださいということを、これはおそらく収用委員会からの質問ではなかったかと思うんですけれども、その中にいろいろ回答がございます。この回答の中身をかいつまんで説明していただけませんか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

それでは、お答え申し上げます。3月1日に収用委員会さんのほうから、追加の釈明要求がございました件のうち、2項目がございますが、そのうちの1項目日のお話かと思いますので、まず、釈明10項目の内容から、念のため申し上げて、お答えさせていただきます。

 釈明事項が、楚辺通信所に代わる新施設の用地選定から、楚辺通信所用地明け渡しまでのタイムテーブルを具体的にお示しくださいというものでございます。

 回答につきましては、少々長くなりますが、私のほうでお話しさせていただきます。

 楚辺通信所に代わる新施設の用地選定から楚辺通信所用地明け渡しまでの手順は、次のとおりこれまで進められ、また、今後進める予定でございます。

 まず楚辺通信所移設用地の選定は、次のとおり行われました。

 平成8年12月、日米安全保障協議委員会において、楚辺通信所については、アンテナ施設及び関連支援施設がキャンプ・ハンセンに移設された後、平成12年度末までを目途に返還する旨のSACO最終報告が承認されました。

 これを受け、当局は、同月SACO最終報告の内容を金武町に説明し、以降、楚辺通信所の移設適地等について米軍と調整し、その結果について、金武町の理解と協力を得るべく調整を行いました。

 平成11年3月、移設受け入れについて、金武町の理解を得ました。

 平成11年4月、日米合同委員会において、楚辺通信所のアンテナ施設及び関連支援施設を、キャンプ・ハンセン内オストリッチ地区に移設した後、同通信所を全面返還することに合意いたしました。

 次に、当局は、キャンプ・ハンセン内オストリッチ地区における測量、土質調査等を平成10年3月から平成12年3月の間に実施しました。造成、通信及び局舎の設計を、平成12年6月から平成14年2月までの間に実施する予定であります。

 移設先での整備工事につきましては、平成13年9月頃から順次、造成、通信、局舎の工事を行う計画であります。これらの工事は、平成16年5月末に完了する予定であります。

 次に、既存施設については、米軍財産の通信設備があるため、移設工事完了後、米軍が撤去工事に着手し、平成16年11月末にこれを完了し、楚辺通信所が米側から日本側に返還される見通しでございます。

 その後、当局は、建物の撤去など、土地の返還に必要な工事を実施する予定でございまして、その期間は約6カ月を見込んでございます。

 なお、SACO最終報告で示された返還の時期は、沖縄県民の負担を軽減するための措置をできる限り早く実現するため、日米間で最大限の努力を行うとの考え方のもと、その目途として示されたものでございますが、米側との移設適地及び移設条件の詳細等に関する調整並びに移設先となる自治体との調整等に、日時を要しているところでございます。

 具体的には、楚辺通信所の返還について申し上げますと、SACO最終報告に示された12年度末までに実現すべく、最大限努力を行ってきたところでございますが、移設作業にあたっては、地元の頭越しには進めないとの方針の下での移設先の金武町との調整、並びに環境などの影響の少ない移設場所、及び通信機能に配慮した施設の配置等についても、米軍との調整に予想以上の日時を要したことから、現在の状況に至ったものであります。

 今後の移設作業に係る米側との協議を踏まえれば、楚辺通信所の土地を土地所有者に引き渡すことが可能となる時期は、平成17年5月末となる予定でございまして、当局としては、これから遅延しないよう万全を期したいと考えております。

 以上、長くなりましたが、ご説明とします。ありがとうございました。

○当山会長

 ありがとうございました。では、阿波根代理人。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 ご苦労様です。

 かいつまんで、私がちょっとようやくすると、平成8年12月に日米安全協議委員会で、平成12年度末までに返還するんだということのSACOの最終合意が承認されたと。それで移設作業をすることについて、金武町と協議したところ、平成11年3月に金武町との理解を得たと。それは、何らかの合意があったと思うんです。

 それから、平成11年4月に日米合同委員会で、オストリッチ地区にしましょうというような日米間の合意が成立したということですね。

 そうすると、前回、強制収用で、これはわざわざ前回、知花さんの使用期間は10年として申請されてましたね。ところが、このSACO合意でもって、平成12年度の未までだとういうことで、結局13年3月31日までにということで、期間をわざわざ短くして申請し直してやっているわけですよ。ところが、この説明書を見ますと、今後、移設するにしても、あと4年2カ月かかりますよということになっているわけですね。

 前回の収用期限を短縮した判断と、これから返還する人は4年2カ月かかりましたよという今の説明とは、どうも説明における整合性がないというふうに考えるんですけれども、これは本当におっしゃっているようなことが本当だったならば、前回の強制収用をわざわざ10年から2年7カ月間に短縮したことは、皆さんの前回の防衛施設局の申請期間についてのこの判断にはミスがあったということが明らかだと、私は思うんですけれども、どうでしょうか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 お答え申し上げます。役職と氏名は、省略させていただきます。

 今のご質問の件につきましては、先ほどちょっと長くなりましたが、お話しした中にもございますが、SACO最終報告で示された返還の時期につきましては、沖縄県民の負担を軽減するとの措置をできる限り早く実現するため、日米間で最大の努力を行うとの考えのもと、その目途として示されたものでございますが、米側との移設期間の調整、あるいは移設条件の詳細に関する調整等で、あるいは移設先となる自治体の調整に時間を要したということで、現在になっているということを重ねて申し上げて、ご説明に代えます。

○当山会長

 阿波根代理人。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 非常に議論をかみ合わせて、お話ししてもらいたんですけどね。

 やっぱり申請期間を短縮したのは間違っていたわけでしょう、前回の判断は。どうでしょうか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 繰り返しになりますが、SACOを受けました私どもの考え方は、今述べましたとおりでございます。

○当山会長

 阿波根代理人。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 今の回答は、さっぱり意味が分からないので、もっと正直に、素直に間違っていたら間違っていたということを認めるのが、公平な立場だと思うんですよ。

 だから、そういう判断は明らかに誤っていたわけだから、こういう形で再度、強制収用の申請がなされているわけです。

 そこで、本当に皆さんがこのような形で返還スケジュールができて、平成17年5月末に返還できるでしょうということを書いているんですけれども、これは本当に信頼できるかどうか。このようなことが本当に信用できるのかどうか。また強制収用しませんという保証はどこにもないんですよ。

 そういうことですから、この判断はやっぱり政府としてきちっとやるわけですから、間違いなく返還できるという約束してもらいたいです。平成17年5月末までに、間違いなく返還できますか、楚辺通信所は。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

お答えいたしますが、先ほどお話ししたことと重複しまして、大変恐縮なんですけれども、私どもとしましては、平成17年5月末が土地所有者に土地をお返しできることが可能となる時期というふうにしてございますので、当局といたしましては、これが遅延しないよう、万全を期したいと考えております。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 時間がありませんので、どんどん進めます。

 それで求釈明の2番目についてお願いしたいと思うんですけど、これ楚辺通信所が現在、日本の米軍のどこが管理して、どこに所属しているのかということについて、皆さんは、米国防省の米国防通信部隊の国防通信沖縄分遣隊が使っているんだということなんですけれども、その分遣隊というのは、これはどこにも所属しないということでしょうか。

 陸軍でもないし、海軍でもない、空軍でもない、海兵隊のいずれでもないということでしょうか。どうでしょうか。国防通信沖縄分遣隊という組織は、どこに所属しているんでしょうか。

○ 当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 収用委員会さんのほうから、求められております求釈明項目の2番目についてのお話でございまして、求釈明の事項につきまして、ちょっと私からお話ししますと、楚辺通信所は現在、米陸軍、海軍、空軍、海兵隊のいずれかの軍が所管し、米国防省直轄部隊である国防通信沖縄分遣隊は、その軍の委託を受けて、同通信所の管理運営に当たっているのですか、それとも国防通信沖縄分遣隊が直接これを所管しているのですか、お示しください。そういう求釈明項目でございまして、私どもがお答えしておりますのは、楚辺通信所は、米国防省直轄部隊である国防通信沖縄分遣隊が直接これを運用しており、米国陸軍、海軍、空軍及び海兵隊のいずれの軍からも委託を受けていないというふうにお伺いしてございます。

 ご質問のほうが、その軍の委託を受けて云々というふうになってございますので、こういうお答えをさせていただきました。

○当山会長

 阿波根代理人、どうぞ。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 米国防省の直轄部隊である国防通信沖縄分遣隊という部隊があるわけですね。これは楚辺通信所だけにある部隊なんでしょうか。楚辺通信所でやられる部隊が、米国防省直轄の部隊がこの土地を使用できる根拠ですね。要するに、どういう根拠に基づいて使えると言い得るのか。どういう根拠で、日本から提供を受けているのか。

 ということは、その使用するという根拠を明らかにしてもらいたいんですけれども、ちなみに米国陸軍、海軍、空軍については、安保条約に基づいて、日本が提供している土地であることははっきりしているんですけれども、この国防省の沖縄通信分遣隊というのは、どういう条約で、どういう法律に基づいてこの提供を受けているのか、その根拠を明らかにしてもらいたいと思います。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 ただいまの件につきましては、先ほどの求釈明項目の質問のご趣旨として私どもとらえてございませんでしたので、先ほどお答えしたような形で、収用委員会さんのほうにお答えをしてございます。今のご質問が、もし収用委貝会さんのはうからのご質問ということで調整がいただければ、私、この場では即答できる内容ではございませんので、別途、調整して、それこそ文書等でまたお答えを差し上げたいと思います。

○当山会長

 実は、今の点につきましては、収用委員会も関心をもって見ているところでございまして、実は始まる前に委員会をもちまして、先ほどお答えいただいたものに加えて、新たに求釈明として、これはわれわれも初めて聞くものですから、どういう根拠でそこに駐留できる、あるいは使えるような部隊なのか、そのへん明らかにしていただきたい、あるいは示していただきたいという求釈明書を出す予定でございます。おそらく、今そこで聞いたつて、答えは出できません。ですから、後で文書でいただこうと思っています。

 どうぞ、阿波根代理人。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 文書で出すとおっしゃっていますから、間違いなく出してください、撤回しないでください。また審理になじまないということで出さないということになってはいけないものですから、必ず文書で出してください。これ重要なことですから。要するに、本件は米軍用地収用特措法に基づいて強制収用しようとしているわけです。米軍用地収用特措法で使用権が取得できる部隊なのかどうかを、これ審理のまさに対象ですから、書面で回答するということは、ただいまそういう回答してますけど、それは撤回しないようにしてもらいたいために、もう一度書面で間違いなくやるということを、明言をとっていただきたいと思います。

○当山会長

 はい、知花さん。

○地権者(知花昌−)

 関連してですが、特に僕の土地は、米軍用地特別措置法によって強制収用の手続きをとられているわけです。そうすると、米軍用地特別措置法は安保条約における地位協定の中で、日本がアメリカの基地を提供する、そういう中でなされているわけです。そして、安保条約においては、陸・海・空、3軍の施設を提供するということになっているわけです。海兵隊もこの間ずっと問題だということで、僕らは言ってきたんですが、今回に関しては、国防省という新たな行政機関が乗り出してきているわけです。それが沖縄にいる根拠、そして、そのものが使っているために、私の土地が強制使用されるということに関しては、何の法的根拠があるかということをはっきりしなければ、この収用委員会は成り立たないんじゃないか。
 だから、継続して、きょう含めて、継続してその審理が適当であるかどうかということは、この国防省の沖縄通信分遣隊というのがどういう部隊であるかということを明確にしなければ、この収用委員会は成り立たんじゃないかという気がします。そのへんの判断を、ちゃんと委員会はやっていただきたい。

 そうしないと、法的根拠もなく、ただ自分たちが使おうと思ったら使える、こういうような形で申請がされてくる。それを皆さんは受理し、そして、続けて審議するなんていうのはおかしい話だと思っています。そういうことをはっきりさせてから、審議を進めていただきたいと思います。

○当山会長

 求釈明はもうよろしいですか。

○地権者代理人(有銘政夫)

 有銘です。今、収用委員会のほうが、同じようなことで求釈明を求めるということですから、大事なことなので、これはそれで結構だと思います。しかし、この間、私たちが追及したときに、なじまないと言った本質が出てきているようなので、少し意見を述べさせておいてください。

 実は、このなじまないというときに、一番重要なのは、防衛施設局はこの間、何回も地主に会って、貸してくれと説得工作をしたけれども、応じてくれなかったと。これは実態として成り立ってないから、そのとおりでしょう。しかし、ここの場に来て、防衛施設局の責任ある方がこちらに見えて、審理の場でさえなじまないとか言って、全然答えてくれない。そして、今も、これについては私の責任ある立場で言えませんという、こんな無責任なことでいる防衛施設局の体制、それが事務的に来て、地主に会ったときに、何を聞かれても答えてないんです、今まで。

 だから、こういったことで、借主は国だはずなんです。又貸しするのに、とにかく貸してくれと、何に使うんですか、これは分からないけどとにかく貸してくれと。こんな話をやっているんでは、茶番だと思います。
 だから、この件については、私たちもここだけは明確にしてもらわないと、審理したという実態はないと、こういうふうに繰り返し言ってきたことの本質が今出てきたと思いますので、ぜひ、その後、私たちにきちっと分かるような場を与えていただかなければ、地主の理解、納得はいかないと思いますので、重ねてよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 地主代理人の弁護士の仲山です。今、問題になっております国防通信沖縄分遣隊について、釈明していただけるということなので、それに関していくつか求釈明をお願いしたいと思います。

 まず、米国陸軍、海軍、空軍、海兵隊、それらと国防通信沖縄分遣隊がいかなる関係にあるのかどうか、それの機能の一つなのか、それと違うのか。回答いただいたものでは、どうも違う組織のような感じがいたしますので、そのあたりをはっきりさせていただきたいということです。これは、これまで求められたことです。

 さらに、それに関連して、国防通信沖縄分遣隊がいつできたのか、それの創設時期とその任務、それを明らかにしていただきたい。

 さらに、3点目は、楚辺通信所が現在この国防通信沖縄分遣隊が直接運用しているということになっておりますが、いつから、どういう経過を経て、運用するようになったのか。

 さらに、第4点目が、陸軍、海軍、空軍及び海兵隊のいずれの軍からも委託を受けていないということで、明確に回答がありますが、そのとおりだと思います、回答がありますので。委託もないのに、先ほどの関係ですが、どうしてそういうふうな感じで管理するようになったのか、そのあたりを詳細にお願いをしたい。

 それと、第1回の公開審理の中で、施設部長が使用の裁決の申請理由の中で、楚辺通信所は現在、在沖米海軍艦隊活動指令部管理のもと、国防通信沖縄分遣隊の通信所として使用されているというふうに述べております。きょうの求釈明に対する回答書では、管理について、いずれの軍からも委託は受けていないというふうに述べています。

 そうなってきますと、第1回公開審理で述べた在沖米海軍艦隊活動指令部管理のもとというふうに書かれておりますが、それは事実と違うということになると思うんですが、どうしてそういうふうな事実と違うようなことを申請理由として述べたのか、そのあたり含めて、明らかにしていただきたいと思います。

 これは本件強制使用にあたって非常に重要なことですので、正面から、できるだけ詳細に答えていただくことを特に要望いたします。

○当山会長

 次、ご意見になりますか。阿波根代理人、どうぞ。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 前回の分のあれは、楚辺通信所についてこれまで一応求釈明は終わりますので、次から牧港補給地区についての求釈明を、本人からやります。

○当山会長

 古波蔵さん、どうぞ。

○地権者(古波蔵豊)

 こんにちは。牧港補給地区の土地で契約を拒否している古波裁と言います、よろしくお願いします。私のほうで思うことを述べながら、防衛施設局のほうにいろいろと資料提供なり、あるいは回答なりを聞いていきたいなと思っております。

 まず、牧港補給地区なんですけど、牧港補給基地は国民に見せてはいけないものがたくさんあるのかなというのを受け止めております。それはなぜかと言いますと、今月の9日、県の収用委員会のほうが調査をしましたけれども、その前に、県の収用委員会のほうから基地内への地主の立ち入りを要請したにもかかわらず、米軍としては現地確認作業を拒否したと。そういった意味においては、牧港補給基地、施設局の話によりますと、補給基地だとか生活住宅地域というような形でうたわれているんですけれども、そこを見せないというようなことは非常に国民にも見せてはいけないたくさんのものがあるというふうに、私としては受け止めざるを得ないということがあります。

 そういった中で、自分の土地の所在地、あるいは使用状況が分からない中で、どういうふうにして施設局が言うような契約ができるのかというようなことで、非常に気持ちの上で許せないなということで、非常にあいまいで無責任な行為はできないということを考えております。

 そういった意味で、私は今回の米軍の対応を許している日本政府、特に防衛施設局がいかなる立場で沖縄の軍事基地を維持しようとしているのか、何かその立場というのが非常にかいま見えたような思いをしております。

 そういった意味で、まず私の気持ちを述べながら、まず最初の点なんですけれども、私の土地の所在地がキャンプキンザーの中のどこにあるのか、そしてまた、現在、その私の土地が何に使われているのか、そこらへん求釈明を求めていきたいなと思っております。

 あと、順次項目に従って、説明を求めていきたいと思います。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 牧港補給地区につきましては、1月17日の公開審理の場での説明理由の中にも申し上げましたけれども、本件土地のある牧港補給地区は、昭和47年5月15日に沖縄の施政権が我が国に返還されるにあたり、地位協定第2条第1項の施設及び区域として閣議決定の上、提供され、現在、海兵隊キャンプバトラー基地指令部の管理のもと、海兵隊の各部隊により後方支援施設及び家族住宅施設等として使用されている施設でございます。

 それで、本件ご審理いただいています土地につきましては、牧港補給地区の道路敷及び倉庫用地として使用されております。

○当山会長

 古波蔵さん、どうぞ。

○地権者(古波蔵豊)

 道路敷と倉庫というふうにして今お話がありましたけれども、具体的にどういったところにあるのか、前回はキャンプ・キンザーの北側の部分だというふうなお話がありましたけれども、北側の部分といっても、非常に広い地域だと思います。そういった中で、具体的な場所というのが示されないことには、あのへんですというわけにはいかないと思います。

 それはなぜかといいますと、この文書の中にもあるんですけれども、私のほうがこの契約を拒否したときに、何も場所の位置指定も示さなかったというふうなことの文書があるんですけれども、それは間違っております。

 私のところに来た方には、2回とも場所を確認しました。「どの場所にあるんですか」というようなことを聞いたら、まず1組目の方は、「あなたの土地は、キャンプ・キンザーの中の、このアパートの基礎の部分に当たるんだ」というふうな話がありました。

 そして、2回目の方に聞いてみたら、今度は駐車場のところに当たるんだというふうなことで、その話が二転三転をしている。そういうふうな状況がありました。

 そういった意味で、今回、施設局の方がおっしゃるような、本当にそこがどういった形のものなのかということが具体的に示されないことには、一体全体、施設局の話をどういうふうにして信用していいのか、そこらへん非常に疑いを持たざるを得ませんので、具体的な位置というのを示していただきたいと思います。

○当山会長

 今のお話は、図面か何かで示してくれという趣旨ですか。

○地権者(古波蔵豊)

 そうです。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 本件の土地につきましては、先日、収用委員会の委員の皆様方が、現地で場所等をご確認のために調査をなされて、私どもも立ち会いまして、現状等をご説明してございます。また、申請書の中に関連の図面等も漆付させていただいております。以上のお話で、今のお答えにさせていただきたいと思います。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 使用状況について、道路敷及び倉庫用地ということでおっしゃいましたが、それについて、もう少し具体的に釈明をさせていただきたいと思います。

 まず、本件土地は、148.05平米、坪数で言いますと約45坪くらいですけれども、そのうち道路敷に使われている土地はどのくらいなのか、倉庫用地に使われている土地はどのくらいなのか、その比率を示していただきたい。それが1点。

 第2点。この道路というのは、例えば住宅地に向かう道路なのか、それともほかの倉庫から倉庫に行く道路なのか、その道路の主要な使用状況。

 第3番目に、一部が倉庫用地として使われているということなんですが、その倉庫とは、何を保管している倉庫なのか、具体的に明らかにしていただきたい。現在、その倉庫として使われているのか。使われているとしたら、どういうものを保管しているのか。収用目的の関係で非常に重要ですので、特に使用目的をお答えいただきたいと思います。

   (「地主を入れないからだ。地主を入れれば問題ないんだ」と言う者あり)

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 今の件についてお答え申し上げますが、私どもは、申請をさせていただいている古波蔵さんの土地につきましては、先ほど来申し上げていますような目的で使われており、かつその面積が、先ほどお話ありました148.05uということでございまして、裁決の申請に必要な関連書類として、収用委員会さんのほうにご提出をしてございますので、収用委員会さんのほうでは、その内容等はご確認いただいているというふうに確認します。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 今の釈明について、反論させていただきます。

 要するに施設局としては、地主は全く知る必要はないんだと。収用委員会が知れば、それで事足りるという趣旨でしょうか。明確にお答えください。

 権利を制限される地主については、説明義務はないんだと。そういうご趣旨でしょうか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 お答え申し上げますが、私はそういった趣旨で申し上げているわけではございませんで、裁決申請するに必要な書類として、関連書類と一緒に収用委員会さんのほうにご提出をしているという事実関係を申し述べているだけでございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 私は、裁決に必要な書類を収用委員会に提出したかどうかということで、釈明したわけではございません。本件土地が、具体的にどのように使用されているのか、その使用状況を明らかにしていただきたいということで、釈明をしたのであります。

 栗原部長のほうで、具体的に分かりませんというならば分かりませんとお答えください。今お答えできるんでしょう。あなたは現場に入られて、見られたという話も聞いておりますので。

 特に、倉庫用地について、その倉庫が、現在、本当に使われているのか。使われているとしたら、どういうものを保管しているのか。そのくらいお答えできると思うんですが。地主としては、強制収用される立場から、自分の土地がいかに使われるかについては、非常に重大な関心事であります。それについて、収用する側として明確に説明をしていただきたいと思います。

              (「そうだよ」と言う者あり)

○当山会長

 施設局、どうぞ。

            (「常識だよ、これは」と言う者あり)

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 私のほうとしましては、本件土地につきましては、道路敷及び倉庫用地として使用されているということを、重ねて申し上げます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 部長さんね、そういうことを聞いてないことは、あなたもはっきりしてますよね。そのことは分かってます。分かった上で、その具体的な中身を聞いているんです。これ以上お答えできないということは、多分、あなた自身が掌握されていない証拠じゃないでしょうか。

 もし、そうであれば、国民の権利を制限するにあたって、具体的な使用の状況も全く分からないで、強権的にされると。それが施設局の正体なんでしょうか。自らの正体を暴露しているような感じがするんですが。

 改めてもう一度だけ聞きます。これ以上は聞きません。分からなければ分からないで結構です。それだけは具体的にお答えください。

○ 当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 大変、申しわけございませんけれども、私がお答えできるのは、先ほど来申し上げてあるとおりでございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 もうこれ以上、議論してもしょうがありませんので、ただはっきり分かったことは、収用する側が具体的にどういう目的で収用するか、それを全く把握していないということが、きょう明らかになっただろうと思います。

 それを踏まえて、最後に総括意見の中で、意見を述べさせてもらいたいと思っています。国の求釈明については、これで終わります。

○当山会長

 古波蔵さん。

○地権者(古波蔵豊)

 前回の11ページからなんですけれども、順次、説明をしていきたいと思います。

 私は、稲福氏からこの土地を購入しましたけれども、その購入したときに、これから数えて20年というような形で、文書のほうには書かれております。

 そういう点で、稲福さんが契約をした契約書を、一体全体これが施設局がおっしゃっているような始めの時期というんですか、56年4月1日からという形でなされているんですけれども、これ本当にそうなのかどうなのかを含めて、そういった契約書があるんであれば、提示をしていただきたいというふうに思っております。まず、これが1点です。15番については、以上です。

○当山会長

 今、質問でしょうか。

○地権者(古波蔵豊)

 資料の提供です。14番について、資料の提供ができるかどうかということの質問です。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 収用委貝会さんのほうから、私どもに提出されています釈明事項の14番の件ということなので、14番の釈明事項を確認させていただきまして、お答えさせていただきたいと思いますが、14番の釈明事項は、賃貸借の期間が平成13年3月31日に満了するとあるが、賃貸借の始期、賃貸借の期間を明示されたいということでございます。

 これについてお答え申し上げますが、申立人の古波蔵豊さんが所有する本件土地は、前所有者である稲福静氏と国との問において、昭和56年4月1日を始期とする賃貸借契約を締結し、申立人が契約を承継していることから、この日にちが賃貸借の始期であり、契約期間は、民法第604条の規定により、20年を経過したときに満了します。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 ちょっと確認いたしますが、稲福さんとの間で、1981年(昭和56年)4月1日を始期として、20年の契約を結んだと。それを古波蔵さんが貸主の地位を承継したと。したがって、本年の3月31日で期間は満了すると。そういう趣旨でしょうか。いかがですか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 今お答えしましたように、昭和56年4月1日に、稲福さんと契約を交わしてございますので、それを始期としているというふうにお話ししてございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 その契約には、古波蔵さんは直接関与しておりませんので、確認の意味で、本年の3月31日が満了になるんだということの契約書を示していただけないかということなんです。あくまでも確認の趣旨でですね、それ、お願いできないでしょうか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 稲福さんとの契約書につきましては、相対する当事者問の契約でございますので、私どもがご提出できるというふうに、直接お答えするというわけにはいかないかと思います。

 なお、この土地につきましては、先だっての私どもの説明のときにも申し上げましたけれども、この土地につきましては、稲福さんとの契約を終えました後、新たな土地所有者である古波蔵豊さんと、昭和63年の8月9目付けで、賃貸借契約の改定を締結してございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 その改定契約書について、ちょっと本人のほうが所持しておりませんので、できたら見せていただければありがたいですが、確認のためだけですので、ひとつ、お願いいたします。本人のものでしたら、見せることはできますよね、もし改定契約書がおありになれば、お願いいたします。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 大変恐縮ですが、事前の釈明事項の関連するご質問の中に、その改定契約書の提出というのはございませんで、今、私は持ち合わせてございませんので、別途、検討して収用委員会さんのほうに提出できるものは、ご提出したいと思います。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 そういう方向でご検討いただいて、審理外でも結構ですから、見せていただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

○当山会長

 古波蔵さん。

○地権者(古波蔵豊)

 次に、16についてということで、牧港補給地区においては、食料、医療、医薬品等の保管、補給を行っているというふうな形で、キャンプ・キンザーの中にというのが示されているんですけれども、その中で医薬品等ということですけど、わざわざそこの中に等という言葉で結んでいるところがあるんですけど、一体、そういう医薬品等という、その物というんですか、どういったものなのか、貝体的にそこらへんの説明をお願いしたいと思います。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 関連で。等ということで記載されておりますので、その等は食料、医療、医薬品、それ以外にもあるという趣旨なのかどうか。もし、そういう趣旨であれば、食料、医療、医薬品以外にどういうものがあるのか、そのあたりを明らかにしていただきたいという趣旨です。よろしくお願いします。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 私どもとしましては、この16番の問いが、後方支援活動の具体的活動の内容を明らかにされたいという釈明事項であったものですから、牧港補給地区につきましては、後方支援活動の内容の代表的なものを列記してご説明したということでございます。これ以上の詳細につきましては、私、とりあえずそういう意味でお答えさせていただいたということで、ご理解いただきたいと思います。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 とりあえずの説明ということで分かりました。しかし、後方支援活動の、これが本件施設の主要目的になっておりますので、そのあたりで具体的に、等以外にあるのかないのか、なければないで結構です。あるとすれば、どういうものがあるのか、今、お答えができなければ後ほどでも結構ですから、そのあたりを具体的にお答えいただきたい。

 さらに、本件土地が、先ほどの問題の要旨に戻りますが、倉庫用地として使われているということですので、その倉庫が、今言った食料、医療、医薬品等の保管なのかどうか、それ以外の保管なのかどうか。文献によりますと、軍需物資の修理等も行っているということもありますし、この修理等はこちらに修理には出ておりませんので、そのあたり含めて、具体的にお教えいただきたいと思っております。

○ 当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 先ほど来申し上げておりますが、本件土地の使用目的については、先ほど来お話ししてあるように、道路敷地及び倉庫用地というということでございますし、今、ご質問ありました件につきましては、食料、医療、医薬品等を等ということで、これはあくまで代表ということでご説明を差し上げているということで、くどいですが、ご理解いただきたいと思います。

○当山会長

 仲山代理人、どうぞ。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 実は、ご存じのように、キャンプキンザーでは危険物も保管されているんじゃないかという噂があります。現に、ここから被害が生じてという報道もありました。

 そういうような関係から言いますと、本件施設が県民の生命や財産、身体、そういうふうに危険な物質まで保管されているんじゃないかどうかという不安を、本件地主含めて多くの県民は不安がっているわけです。疑念をもっているわけです。そういう意味で、倉庫というふうになっておりますが、具体的にそういうようなことを含めて、県民の生命や身体との関係でどうなのかということを明らかにしていただきたい。

 実は、米軍が本件立ち入りについて、地主の立ち入りを拒否いたしました。拒否したこと自体、先ほど古波蔵さんが申し述べておりましたが、県民に明らかにできない危険物質が保管されているんじゃないかということを、米軍自らが裏づけているんじゃないかという疑問もあるわけです。

 そういう観点から言いましても、貯蔵物質についての具体的な内容を教えていただきたいと思っています。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 私は、先ほど来申してますが、牧港補給地区の使用の状況、あるいは本件土地の使用の状況については、今までご説明してあるとおりでございまして、個別の詳細な事項については、私自身も承知してございません。本席で申し上げられるのは、先ほど来申し上げておりますように、本件土地は道路敷及び倉庫用地として使用されておりますし、牧港補給地区につきましては、海兵隊の各部隊により後方支援施設及び家族住宅施設等として使用されているということを重ねて申し上げます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 今の施設部長の話で、具体的な使用状況については、自分は掌握してないという話がありました。実は、施設部長の栗原さんは、本件の使用裁決について、この場で最高の責任者として、国の最高の責任者として、その説明をされている立場にあるわけです。そういう責任者の立場が、具体的に使用状況を把握してないということ自体、非常に大きな問題だろうと私は理解いたします。

 それを踏まえて、総括意見の中では述べさせていただきたいと思っておりますので、これについてはその程度で求釈明を終わらせて、次に移りたいと思います。

○当山会長

 次の予定は、古波蔵さん、どうぞ。

○地権者(古波蔵豊)

 17番なんですけど、17番については、後方支援施設及び住宅施設として使用されているんだけども、それについては用途で区切られた範囲であるとは承知してないということなんですけど、私の土地は、きょう聞いて、道路敷と倉庫というようなことを聞きました。そういう中で、ちょっと違うところになるかもしれませんけど、日米安保条約第6条に基づいて施設区域を提供するというふうに書かれているんですけれども、軍隊の構成員というのは一般民間人が生活するために、基地内の土地を強制収用するというんですか、アパート群だとかそういったところのまず根拠は何なのかということを教えていただきたいと思っております。

 そして、また安保条約が言うところの施設及び区域は、軍事基地を意味するものだと理解してしているんですけど、なぜ家族住宅が基地として認められているのか、そういったところも含めて、教えていただきたい。

 これは、どの法律の第何条に記載があるのか、そういったところを含めて、キャンプ・キンザーの中にはそういった多くの施設がありますので、そういったことも含めて、ぜひ教えていただきたいというふうに思います。

○ 当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 17番の求釈明事項につきましては、ご質問が後方支援.施設と家族住宅施設のそれぞれの場所的範囲を明らかにされたいということでございましたので、私どものほうのお答えは、牧港補給地区は後方支援施設及び家族住宅施設等として使用されており、それぞれの用途で区切られた範囲があるとは承知してないというふうにお答えをしてございます。釈明事項に対するお答え、以上のとおりでございます。

○当山会長

 古波蔵さん。

○地権者(古波蔵豊)

 私が聞いているのは、日米安保条約で、皆さん方が第6条に基づいてそういった土地を収用していく、あるいは基地を維持していくというような形の話が出てくるんですけれども、日米安保条約で言うところの施設区域は軍事基地だと私は思っております。そういった中で、なぜ家族住宅とかそういったものが基地として認められているのか、どこに書かれているのかということを私は聞いているんであって、区域がどうですかということを今聞いているわけではありません。

○当山会長

 今のはこ意見になりますか、再度、求釈明なんですか。

○地権者(古波蔵豊)

 求釈明であります。

○当山会長

 何か、堂々めぐりになりますけど。次のご質問があれば、お願いしたいんですけど。

○地権者(古波蔵豊)

 分かりました。じゃあ先に進ませてください。後で詳しい説明をお願いしたいと思います。18番についてなんですが、1、2、3、4というような形で答弁がなされております。私に二つだけ教えていただきたいと思います。

 まず、予約締結書というのがあるんですけど、この予約締結書の予約というのは一体全体どういうことを意味しているのかということを、まず1点、お聞きしたいと思います。

 もう1点は、18の3なんですけれども、予約締結依願に際し、土地所有者たる私から、対象土地の位置確認の申し出がなかったというふうに、このように文書が書かれているんですけど、私は先ほども言いましたように、2回とも聞いて、2回とも違う場所を教えていただきました。

 そういったことが栗原部長のほうには通じてないのか、あるいは意図的に聞きながら、場所を示すことをしてないのか、そういったところを明確に説明していただきたいと思います。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 まず、ご質問のほうをちょっと整理させていただきたいと思うんですが、釈明事項の18番では、三つのご質問がございましたが、これについてまずお答え差し上げたいと思います。

 まず、18番の一つ目としまして、平成10年1月に賃貸借契約の予約締結依頼書を発しとあるが、発した予約締結依頼書のひな形を提出されたいというお話でございました。

 私どものお答えとしましては、土地建物等賃貸借契約用地締結依頼書については、当局から申立人古波蔵豊氏に対し、送付してありますので、改めて提出する必要性はないと考えたというふうなことでお答え差し上げてございます。

 それから、18の2番目として、予約締結依頼に際し、賃貸借契約の期間を何年として説明をしたのかというお話でございましたので、これについてのお答えを差し上げますが、土地建物等賃貸借契約予約締結依頼書には、民法の規定によりまして、賃貸借契約の存続期間が20年とされており、現契約の満了する期限が近づいておりますという記述がありますので、依頼に対して、あえてご説明は行っておりません。

 それから、もう1点、18番で、3点目のご質問がございまして、土地所有者から対象土地の位置を確認したいとの申し出があったか否かと。あったのであれば、これに対して起業者はどのような態度をしたのかということでございますが、私どものほうは、賃貸借契約の予約締結依頼に際し、土地所有者からは対象土地の位置確認の申し出はありませんでしたというふうにお答えを差し上げてございます。

 それから、求釈明事項は3点なんですが、今のに関連して、賃貸借契約の予約依頼とはどういうことなのかというお話がございましたので、関連事項としてお答えさせていただきますが、賃貸借契約期間満了後も引き続き防衛施設用地として使用する必要のある上地につきましては、契約を更新する必要がありますので、事前に土地所有者の方々から、契約の予約合意を得た上で、契約を更新しているところでございます。

 予約締結依頼は、予約同意をいただくための手続きの一環として、当局から土地所有者の方々に依頼しているものでございます。以上で、説明を終わります。

○当山会長

 仲山代理人、どうぞ。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 今の予約に関して、若干、釈明をさせていただきたいと思います。

 一つは、なぜ本契約ではなくて、予約をされるのか。ご存知のように、予約というのは、現在、本契約を締結することが不都合である場合に、将来に本契約を結ぶということを言うわけですね。

 本件土地については、期間が満了するのがはっきり分かっているわけですね。そうであれば、期間満了後、事前に本契約をすることについて、何ら支障はないはずです。

 それにもかかわらず、なぜ予約をしなければいけないのか。本契約ではなくて。まず第1点、それを明らかにしていただきたい。

 第2点目に、予約の場合、法的には二つのことがあるみたいですね。一つは、双務予約、あと一つが片務予約と言われるものですね。ご存知だと思うんですが、双務予約というのは予約をして、それが本契約になるときに、双方の合意に基づいて本契約をする場合、それを双務予約ということですね。片務予約というのは、契約者の一方的な意思表示によって、本契約が行われる場合、これが片務予約ですね。

 本件の予約は、どれに当たるのか。まず、そのあたりを明らかにしていただきたいと思います。

 それを踏まえて、次のまた釈明に移りたいと思います。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 今のお答えは、先ほどの回答とちょっと重複してしまいますけれども、私どもとしては、賃貸借契約期間満了後も、引き続いて防衛施設用地として使用する必要がある土地について、契約を更新する必要がございますものですから、そのことにつきまして、事前に土地所有者の方々にお願いをするということで、契約の予約という形をとらさせていただいてございます。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 双務予約と片務の関係はどうなんですか。

○当山会長

 何かそれ以上のご説明がありますか。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 はい。

○当山会長

 どうぞ、仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 双務予約か片務予約かについては、いかがでしょうか。それについては、お答えになっていませんので。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 お答えしますが、今の予約の法的な位置づけにつきましては、私はここで答える知識を有していませんものですから、別途その件に関しましては、収用委員会さんのほうと調整をして、お答えについて検討させていただきたいと思います。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 皆さんが、地主あてに送付したとされる土地建物等賃貸借契約予約締結依頼書というのがありますが、それの中では、「この予約は国において、別途、通知することにより、完結するものとします」という文案があるんですね。
 というのは、これから言うと片務予約じゃないかと。要するに、施設局が一方的な意思表示によって、本契約に成り得ると。地主の意向とは関係なく、本契約になる。そういう趣旨の予約、いわば、片務予約じゃないかと思うんですが、いかがですか。

○ 当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 大変申しわけございませんけれども、ご質問の片務予約、双務予約ということに関する、私どもの予約締結依頼書の位置づけというか、見方については、本席で即答できませんので、重ねて先ほどのような形でご調整させていただきたいと思います。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 分かりました。

 わざわざ本契約をせずに更新する必要性が、皆さんにはあるということは認めます。更新する必要性があったとしても、それは本契約をすれば足りることです。それを本契約をしないのに、わざわざ予約するということは、一方的な通知によって本契約にさせるということで、まず地主を縛る。

 しかも、賃料の問題が後で求釈明になっていますが、予約時点においては、賃料については具体的に提示をされてませんですよね。求釈明の18の4項でありますが、予約締結に際し、予定賃料は明示してない。

 そのことを含めて、実は賃料も明示せずに、契約を結ぶための詐欺的手法として予約があるんじゃないかというふうに、これは私自身の意見ですが思っておりますが、それとの関係で、どうして賃料を予約時に提示しないんでしょうか。それをお答えください。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 お答えいたします。

 今のご質問を整理しますけれども、釈明事項の18の4番目としまして、予約締結に際し、予定賃料を明示したのか。しなかったのであれば、なぜしなかったのかという事項がありますので、これについてお答え申し上げますが、土地建物賃貸借契約予約締結依頼書には、「賃貸料については、予約完結時の適正な賃貸借料額とし、具体的金額については予約完結後、速やかに協議の上決定します」と記述してございますので、賃貸借契約の予約締結依頼に際しましては、賃料については明示してございません。

○ 当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 賃貸借を締結するにあたって、賃借人として、最も重要な契約締結をするに当たって重要な要素というのは、賃料ですね。そういう賃料も明らかにしないで、予約をする。そして予約をした後、一方的な意思表示によって、契約を本契約に移行させる。そういうような仕方を施設局はされているんじゃないでしょうか。

 本来なら、予約が一方的な意思表示によって本契約に移る以上、予約時点で賃料を提示できるはずなんです。それを、どうして賃料を提示しないで、予約締結をしょうとなされるんですか。もう一度明らかにしてください。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 重ねてのお答えになりますが、私どもが予約締結に対し、予定賃料を明示しておりませんのは、先ほど申し述べたようなことでございます。

 なお、予約締結依頼に関する関係人とのご調整の中では、いろいろなお話が、そのケースパイケースでお話があったりしている場合があろうかと、私は推測いたします。そういったときに、ちなみに当該事項の賃貸料がどういう状況であるかというようなお話も、一般的にはなされる場合があるかと思いますが、私、今、本日、予定賃料を明示したのかというご質問でございましたので、先ほどのようなお答えを申し上げている次第でございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 今、ご意見はご意見として承っておきますが、そのご意見を前提として、次にちょっと教えていただきたいんですが、予約を締結して、その後、予約完結の意思表示をして、先ほどの話では具体的な金額については、予約完結後、速やかに協議して決定するというのがありますね。

 一旦、予約をして、それが完結をして、その後、賃料について地主が不満を述べた場合、これには契約できませんと言ったときに、その契約は解除できるんでしょうか、できないんでしょうか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 ご質問の趣旨からは、ちょっと外れるかもございますけれども、私どもは予約締結依頼書の中には、この予約が先ほどありましたけれども、国において現契約の期間満了までに別途通知することにより完結するということですとか、賃貸料については、予約完結時の適正な賃借料額として、具体的な金額については、いわゆる完結後速やかに協議の上、決定することなどが記載されておりまして、予約を締結していただく際には、こういった内容を地主の方々にご了解をいただいた上で、予約締結のための作業をさせていただいているところでございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 今のご説明については、先ほどから言っていることと同じで、私の求釈明には全く答えておりません。私がこたえているのは、予約締結後、具体的な賃料については、協議の上決定するということになっているわけです、皆さんの予約締結依頼書の中に。

 私がそこでお聞きしているのは、予約完結後に具体的な賃料について、協議が整わなかった。地主がそれについて不満であるという場合、それでも契約解除ができるかできないかを聞いているんです。

 賃料というのは契約の重要な要素でありますので、その要素に合意ができなくても、契約はもう解除できない、絶対できないというふうなのかどうか。そのあたりを明らかにしていただきたいということです。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 ご質問でございますが、私ども先ほど申し上げましたような手続きをとる過程で、賃貸借契約に関しますお話を、合意の上でご説明させていただいておりますので、事実関係として、法律的なお話ですと別ですが、実際問題としては、今のような形で作業をさせていただいているということを、私は申し述べているわけでございます。

○当山会長

 どうぞ、仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 地主代理人の仲山です。私のほうから、予約締結依頼書について、あと若干、求釈明させていただきます。

先ほどの釈明の中で、予約締結依頼に際し、賃貸借の期間を説明したかということについて、説明はしておりませんというふうに答えておりました。その理由としては、予約締結依頼書に民法の規定によりまして賃貸借の存続期間は20年とされており、前契約の満了する期間が近づいておりますと、そういう説明があるので、当然に分かるだろうという前提だろうと思うんです。

 そこでお聞きいたしますが、この賃貸借の期間を示さなかった、説明しなかったのは、古波蔵さんについてのみなのか、それとも古波蔵さん以外の地主についてもそうなのか、まずそのあたりからお答えください。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 予約締結依頼に際し、賃貸借の期間を何年として説明したのかというお話に関連していたと思いますが、私ども、賃貸借契約の予約につきましては、古波蔵豊さん以外の土地所有者の方が大勢おいでになりますが、そういった方々へのご説明を同じような趣旨で対応してございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 分かりました。では、古波蔵さん以外の方にも特に説明はしてないということで、承知いたしました。

 それで、説明をしなかった理由として、皆さんの回答では、民法の規定によりまして賃貸借の存続期間は20年とされているというふうになっておりますね。

 民法の何条に賃貸借の存続期間は20年と定められているんでしょうか。私はそういう規定は知りませんが、教えてください。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 今、お話ししましたのは、私どもの依頼書の中にそういうことで記載されている項目があるので、そういう話を、民法の云々の話について細かくご説明をしていくものではございません。

 ちなみに、これは私が承知していることで、民法第604条に、読み上げますけれども、「賃貸借の存続期間は20年を超えることを得ず、もしこれにより長き期間をもって賃貸借をなしたるときは、その期間を20年に短縮す」という規定がございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 皆さんの出した、施設局の出した文書の中で、賃貸借の存続期間は20年ということが明記されておりまして、その法的根拠は、今の部長の話では604条だということで、わざわざ条文まで読んでいただきました。604条、今読んでいただいたとおりです。604条は、賃貸借の最長期間、最も長い期間を20年と決めて、これより超えてはいけないと書かれておりまして、20年と、一律に20年とは決めておりません。20年以下なんです。皆さんの説明書では、存続期間は20年とされているということで、一律に20年だというような理解に読めるんです。だから、賃貸借期間は一律20年だから、あえて説明をしなかったという趣旨だろうと思うんです。20年以下ですよ、20年じゃないんですよ、民法の規定は。

 どうしてそういうような法律の規定を、あえて曲げてまで、一律20年のような依頼書をつくられて、だから説明が必要ないんだと、どうしてそういうふうになるんでしょうか。そのあたりをお答えください。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 重ねてこ答弁するのも恐縮でございますが、私どもは賃貸借契約予約締結依頼書に書かれている内容をご説明し、地主さんの方々にご理解を得た上で、予約作業を進めさせていただいておりますので、今のご質問へのお答えは、予約締結依頼書に書かれている内容をご説明をして、ご了解を得て、作業を進めさせていただいていると。これは一般的なお話でございますが、その事実関係をご報告して、説明にかえさせていただきます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 ちょっと今の説明納得いきませんが、皆さんの説明は分かっているんです。私が言うのは、予約締結依頼書にわざわざそういう形で、一律20年、確定的に20年であるかのような書き方をされて、文書をつくられている。しかも、それについては、現在使用しているものについて、今後使用することについても、民法上一律20年という決まっているから、あえて説明をしなかったんだと言い方されているんで、それは間違いじゃないかと。

 そうであれば、今後、それを訂正すべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 私のほうは、先ほど来申し上げてますが、収用委員会さんのほうからの釈明事項の18の2に関してのお答えとして、今、申し上げているような、事実関係をご報告しているわけでございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 ちょっとそれ以上議論がかみ合いませんので、いずれにしろ、施設局の文書の書き方は明らかに間違っておりますので、そういう間違いのもとに説明を省くというような契約締結の仕方は、これは明らかに国民を愚弄するものだと思いますので、やめていただきたいということをご要望して、次に移ります。

 古波蔵さんの件ですが、予約締結の際に、土地所有者からは対象土地の位置確認の申し出はなかったということで明確にお答えをしております。それについて、古波蔵さんは、いや、自分はちゃんと位置確認の申し出をしたと、それで確認ができなかったから、契約締結については進まなかったとい話もされているわけです。

 そこで、施設局にお尋ねいたします。

 申し出はなかったということを、部長はだれから、担当の施設局員の具体的にだれからそういうお話をお聞きになったのか、明らかにしていただきたい。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 お答え申し上げますが、私どもとしましては、だれからというより、賃貸借予約の予約締結依頼に際し、位置境界確認の申し出はなかったということを繰り返させていただきます。

 いずれにしましても、私どもそういう調整、多々、担当のものがいろいろやってますが、結果としまして、私どものほうでお答え申し上げておりますので、予約締結依頼に対しまして、われわれとしてそういう認識をもっているということを、改めてご説明させていただきます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 では、具体的に担当者の名前を明らかにできないということですね。

 それで、今のご説明の中で、予約締結依頼に際しということを強調されていたようにお聞きいたしました。そうであれば、予約締結依頼以外にそういう申し出があったかどうかについては、いかがでしょうか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 私は今お答え申し上げていますのは、予約締結依頼に、土地の位置を確認したいと申し出があった否かという、上記に関し、土地所有者から、こういうことがあったか否かというご質問の流れになっていまして、上記に関してというのは予約締結依頼に関してということなものですから、予約締結依頼にということでご説明を差し上げている次第でございます。

 なお、私どもは、古波蔵豊さんに賃貸借契約のご依頼については、いろんな局面でお願い申し上げてございますので、そういった場面でのやり取り、どういった内容があったかということについては、私はつまびらかに検証してございませんので、とりあえずご質問の趣旨に即してお答えしているということでございます。

○当山会長

 仲山代理人、よろしいですか。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 予約締結依頼については、結構です。次の求釈明に移ります。

○当山会長

 古波蔵さん。

○地権者(古波蔵豊)

 19番について質問したいと思います。

 二つあるんですけど、まず1点目に、施設局のほうとしては、牧港補給地区の施設運営上、施設全体の有機的一体としてこの土地は機能しているので、必要欠くべからざるものであるというふうな形でお答えなさっているんですけれども、この私の土地がどういうふうな形で、キャンプ・キンザーの基地の中で有機的一体として機能しているのか、そこらへんのところを具体的に明らかにしていただきたいと思います。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 関連質問です。

 これは使用期間を10年とした根拠について、本件土地は牧港補給地区の施設運営上、施設全体の有機的一体として機能して、必要欠くべからずものであるという前提でされているわけです。

 今、古波蔵さんからもお話がありましたように、施設全体と有機的一体として機能しているという言葉が、あちらこちらで散見されます。

 そこで言う有機的一体とは何か。まず、それの具体的な中身、内容、その定義をしていただきたいと思います。お願いします。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 私のほうから、ご説明の手順としまして、19番目の求釈明項目がございますので、もう一度確認する意味で、お話をさせていただきますが、使用期間を10年とした根拠が何かというご質問でございます。

 牧港補給地区についての強制使用の裁決期間は10年と認められたものもあれば、5年と認められたものもあるということが記されてございますが、それで、今ご質問がございましたけれども、私どもの報告としまして、本件土地は牧港補給地区の施設運営上、施設全体と有機的一体として機能し、必要欠くべからざるものであり、返還の予定がない、引き続き駐留軍に提供していく必要である土地であることから、今後とも円滑かつ安定的に使用の確保を図る必要があります。

 二つ目として、一方、昭和62年の収用委員会の裁決において、使用期間を10年とされたことの事情も考慮し、使用期間を10年といたしましたということで、答えてございます。

 関連の事項で、有機的一体とはどういうことかということでございますが、私としましては、今お答えしましたように、本件土地につきましては、牧港補給地区の施設運営上、施設全体として有機的一体的に機能し、必要欠くべからざるものであるということを、重ねてご説明申し上げます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 部長さん、私は施設全体と有機的一体として機能しているという、その内容は何かと聞いているのに、同じ言葉でお答えになったら、答えになってないでしょう。

 だから、そこで言う有機的一体とは何なのかということを、その内容を具体的に説明していただきたい。

             (「そうだよ」と言う者あり)

 有機的一体として機能しているということは、書いてありますから、言葉として分かりますよ。その中身が分からないから、聞いているんです。

 皆さんの書いた文書ですよ。有機的一体の中身を、具体的に明らかにしてください。これは非常に重要なことですので、ぜひ明らかにしてください。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 私としましては、先ほどから申し上げてますが、10年とした根拠は何かというご説明を求められたものですから、先ほどのようなお答えをしているということでございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 実は、これが一番本件で最も重要なことなんですよ、本件土地の使用にあたって、この間、ずっと有機的一体という言葉は、あらゆる場で施設局は使ってきているんです。国は、しかし、その中身を具体的に明らかにした例は、これまでないんです。今回もまた、性懲りもなく有機的一体を使っているんです。それで、あえてその内容をお聞きしているんです。皆さん、あれでしょう、必要欠かざるものであると、有機的一体として。

 そうであれば、私のほうから質問しましょうか。もし、古波蔵さんの土地が返還されれば、牧港補給地区の機能が喪失してしまう、そういうことを意味するんでしょうか、有機的一体とは。

 施設の機能として、もう成り立たないと。だから、それは返せないと。それが返れば、施設全体の機能が喪失してしまう、なくなってしまうんだと、そういう趣旨で理解してよろしいでしょうか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 重ねて申し上げますけれども、使用期間の10年とした根拠については、私は求釈明を求められてましたので、お答えをしているということでございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 あなたたちが、10年とする前提として、有機的一体論を出しているんです。それとの関係で、私は聞いているんです。

 収用委員会において、使用期間をどうするかというのは、非常に重要な問題なんです。それで、あえて10年とする根拠に、それの背景的な根拠というんでしょうか、その中で皆さんが有機的一体という言葉を使っているもんですから、あえて私はお聞きしているんです。自ら書いた文書ですから、その中身については承知しているはずです。

 私の書いた文書ではないですよ。栗原さん自身が書かれた文書ですよ。その中身を明らかにしてください。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 先ほど来、申し上げているとおりでございまして、本件土地につきましては、牧港補給地区の施設運営上、施設全体と有機的一体として機能し、必要欠くべからざるものであるという認識を持っているということを、重ねて申し上げます。

(「こんな公開審理でいいんですか、本当に」「ちゃんと指示をやってくださいよ。とんでもないよ」と言う者あり)

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 再三のお答えを結論づければ、答弁不能というふうにしか、言いようがないと思うんです。

 私が、わざわざ助け船を出して、この土地がなくなったとすれば、施設全体として機能しないのかと、そういう趣旨かということについても、お答えがありませんでした。

 私は、まさに答弁不能だと。そこに、本件強制使用の本質的な問題点が潜んでいるだろうというふうに感じるものです。
 そこで、それとの関係で1点だけ、ちょっと確認したいんですが、瀬名波通信所の新垣昇一さんの土地、それの土地についても、皆さんは有機的一体であるということで、強制使用の裁決申請をして、それについて収用委員会は、短期間で返還をされたわけですね。

 皆さんの論理によれば、瀬名波通信所は新垣昇一さんの土地が返還されたことによって、有機的一体が損なわれたということになると思うんですが、それについて、現在、瀬名波通信所の施設がどうなっているのか、新垣さんの土地が有機的一体との関係でどうなのか、ご説明をお願いしたいと思います。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 私は、今のご質問に対しましては、即答できる材料を持ち合わせてございませんけれども、ご指摘のとおり、瀬名波通信施設につきましては、ある時期に返還をされたということは、事実でございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 皆さんは確かそれについて、前回、申請は5年でしたでしょうか、10年でしたか。だけど、収用委員会は1年と3カ月でしたか。

 それで返還されても、その施設の機能に何ら影響がないと思っているんです。そうであれば、皆さんの有機的一体論がいかにごまかしであるかということが、過去の事実に基づいて明らかになったと思うんです。

 それにもかかわらず、今回、また有機的一体論を出して、その中身について説明できないということは、これは国民の財産を強制使用するという立場として、いかがなものかというふうに思います。これは、意見として申し上げます。

 では、10年とした根拠について、昭和62年の収用委員会の裁決が10年だったということも考慮したというふうに記載されております。

 そこで、あえてお聞きいたしますが、過去の裁決を考慮されて10年とされたという趣旨だということで、ご理解していただいてよろしいでしょうか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 お答え申しますが、先ほど2点目のところでお答えしておりますので、重ねてになりますけれども、62年の当収用委員会の裁決において、使用期間が10年とされたことの事情も考慮しということの説明で、今のお答えの説明をさせていただきます。

 使用期間を10年とされたことの事情も考慮した上で、本件につきましては、13年4月1日から10年としたということでございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 牧港補給地区については、過去3回、米軍用地特措法による強制使用がなされてきました。最初が82年です。そのときは5年間でした。次が87年、皆さんの言う昭和62年。そのときが10年です。そして、98年の9月に5年の使用裁決が出ているはずであります。

 そうであれば、直近の使用裁決は5年です。それにもかかわらず、直近の98年9月の5年を参考にせずに、どうして87年(昭和62年)の10年を参考にされたのか。

 普通、参考にするんであれば、直近のものを参考にするというのが通例だと思うんですが、わざわざそれを飛ばして、前の前を参考にされたのか。そのご説明をお願いいたします。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 先ほど来申し上げてございますが、釈明事項の請求の中の括弧書きに、10年と認められたものもあれば、5年と認められたものもあるという括弧書きがございますが、私どもとしては、収用委員会さんが裁決した期間として10年とされた例もあることの、その事情を踏まえて、今回こういう形でお願いをしているということでございまして、いろいろな裁決の期間はご指摘のとおりでございますが、私どもとしまして、委員会さんが従前に10年でご裁決されたということもあるという事情を考慮してお答えしているという、ご指示をしているということで、同じような言い方になって大変恐縮ですが、私どもの趣旨としましては、まさに収用委員会さんが過去に10年という裁決期間をお示しなされたということもあるというような事情も考慮して、申請させていただいているということでございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 その前提としてお聞きいたしますが、過去に2度、収用委員会が5年という裁決期間をしたということ事態は知っていらっしゃるんでしょうか、いらっしゃらないんでしょうか。まず、それからお答えください。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 収用委員会さんが、5年の裁決をされておるというのは、私どもは起業者として当然、承知してございます。

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 5年であったということも知っていますし、10年あったということも知っていますね。では、直近が5年だということもよく知っているわけです。それなのに、直近じゃなくてその前の前をとったのは、どうしてですか。ただ単に過去にそういうことがあったということは分かりましたが、どうして5年と10年が両方あるのに、なぜ10年をとられたのか、そのあたりを説明してください。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 栗原精治)

 重ねて恐縮でございますけれども、この件につきましては、裁決期間の中で10年という例があるというような事情も考慮して、裁決したということの繰り返しをお答えするしかございません。(「全然、答えになっていないよ」と言う者あり)

○当山会長

 仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)

 皆さん、これが官僚答弁というものですね。

 こういうようなあいまいな形で、国民の権利を侵害するのが国だということが、よくお分かりいただけただろうと思うんです。

 私は、率直に非常に頭にきて、怒鳴りたい気持ちがありますが、今じっと我慢しておりまして、とりあえず求釈明はこれで終わります。

○当山会長

 それでは、ご意見を伺います。手順は、知花さんから。どうぞ。

○地権者(知花昌−)

 地主の知花昌一です。私の土地の、土地取得経過を少し述べて、そしてなぜ私が契約を拒否しているかということを述べていきます。

 象のオリのある場所は、私たち読谷村波平の前島(トジマ)と言います。私の住む家は内島、前島に対して内というふうに呼んでおりますが、内島からすると南のほう、いわゆる前のほうにあります。ここは、次男や三男が分家するときに家を建てる、いわゆる集落地でありました。だから、戦前は住宅地、集落地であったわけです。私の土地も宅地です。戦前、私のおじいさんが住んでいた場所であります。

 1945年4月1日に、米軍は読谷村から上陸をしました。そのときに私のおじいさんは、自分の娘を逃がすために竹槍でアメリカと戦い、米軍に打ち殺されて、その場に埋められたと聞いております。遺骨は戦後間もなく収集したようですが、そういう私たちにとっては大事な宅地でありますし、じいさんが死んで埋められた場所であります。

 上陸した米軍は、読谷村一帯をすぐ占拠し、1946年8月頃から徐々に地元へ捕虜収容所から帰還が許されて来るんですが、象のオリの地域はそのまま米軍基地に取られてしまいました。フィリピンから捕虜として引き揚げてきた私の父、昌助というんですが、土地を引き継いだんです。ところが、その引き継いだ土地は、今、米軍基地として占領され、黙認耕作地としてのみ使用を許されていました。結婚した私の両親は、象のオリにしか宅地がなかったものですから、仕方なく、海外移民で土地を処分するという方から購入して、今の土地、宅地ですが、波平174番地、私の住むところになったんです。

 1955〜56年ぐらいから、象のオリが建設されたようです。それ以来、私たちは自分の土地に一歩も入れない状態が続いてきました。1971年、沖縄が日本になる直前、私の父親は、国が賃貸借契約を求めてきたにもかかわらず、象のオリの地主80名とともに契約を拒否して、反戦地主になりました。ところが、日本政府は沖縄にだけ適用する憲法違反である沖縄公用地暫定使用法を沖縄が日本でないときに、卑怯にも、1971年の11月につくり、それで復帰して1972年5月15日、その日に適用をし、日本復帰と同時に適用してきました。そして10年間も土地の強制的な暫定使用を続けながら、反戦地主への切り崩しをしてきました。細切れ返還、経済的差別、契約地主とのともづれ返還をちらつかせされたり、地主間の反目をあおり、契約を強要してきました。80人いた象のオリの反戦地主たちも切り崩され、60人くらいになった段階で、1976年4月1日に、契約地主と私たち親父たちの反戦地主との反目が地域共同体を崩してしまうという親父たちの配慮によって、不本意ながら、契約に親父たちは応じてしまいました。

 それから、1994年、契約が切れる2カ月前に、防衛施設庁から再契約の要請があったとき、親父から私に、契約をするか拒否するか、相談がありました。親父も20年前に契約に応じた無念さがありましたので、契約拒否をすることで一致し、象のオリの土地を、1994年6月1日に私が生前贈与をすることになったんです。これが、私が土地を取得した経過であります。

 次に、契約を拒否している理由について述べます。

 この土地は、さっきも言ったんですが、次男、三男の分家をする地域でありましたが、象のオリに取られたことによって、次男、三男の分家をするところが、象のオリを挟んで西側、私たちの波平の部落から西側のほうに大当(ウフト)地区というのがあるんですが、そこに分家するしかありませんでした。いわゆるこの象のオリによって、私たちの波平という部落が分断されているということになります。収用委員会の皆さんも、その現地を見られたので、そこまで気をつけて見られたかは分かりませんが、私たちの波平という部落は、内島の私の住んでいるところと大当地区というところに分断されています。そのことによって、子供会活動、老人会活動、そういうのが阻害されているということであります。これが一つの理由です。

 そしてもう一つは、これまで論議をされてきましたが、象のオリについては、アメリカ海軍省は1997年の4月付けで、日本のハンザ海軍通信保全群(いわゆる楚辺通信所のことですが)活動を1998年6月1日を執行日として、廃止することを決定し、ピーク時には500名ほどいた要員を110名に減った状態で、1997年9月、部隊の解任式を行い、さらに段階的に部隊を削除して、予定どおり1998年9月1日で、最後の隊員がハワイに配属され、部隊の任務は終了したということで、新聞などにも大きく報道されています。

 この新聞は1998年の6月4日付けの沖縄タイムスなんですが、「象のオリ返還へ着々と」「海軍管理班が最終撤退」「米民間会社に業務委託」という形で、このような新聞が報道されています。そして、これにあるように、「アメリカ民間会社に業務委託」、これはチャールズ・ウイリアム中将というのが会見で述べているわけです。その彼らの言ったとおり、現在は、あの民間会社、私たちが調べたところによると、マーティン・マリエッタ・エアロスベース、これはロッキードの子会社ですが、それが管理をしているということが分かっています。いわゆる政府、国が言う国防省通信沖縄分遣隊という部隊ではないということであります。本当かどうか、あるいは楚辺通信所、いわゆる象のオリがどのように使われているか、この1週間、調べてみました。ちょっと報告させてもらいます。

 3月22日、木曜日、午前9時に行きましたら、皆さん現地調査をされていますので、分かったと思うんですが、南側の入り口から入っていきますと、ガードボックスがあります。そのガードボックスの左側に、警備員のガードマンたちの駐車場があります。そして、そこからもう少し行きますと、西側のほうに、アメリカ軍のYナンバーが止まる場所があります。Yナンバーはご存じのように、アメリカ人の車です。そういうことで、何名のアメリカ兵が大体いるかというのが、車を数えれば分かることになります。そういうことで、ガードマン側に車5台が3月22日、午前9時には駐車をしています。Yナンバー、西側には車4台です。同じ午後の4時半にはガードマン側が5台、Yナンバーが5台です。ガードマン側は大体4〜5台でずっと維持しています。アメリカ側の車だけを述べますと、3月23日、金曜日には4時に調査をしました。Yナンバーは6台です。3月24日、土曜日は、午前11時に調査をしましたら、Yナンバー3台、同じく夜の11時、別の用事で遅く帰ってきましたので、そしたら2台です。3月25日、日曜日です。これは、Yナンバーは2台しかありません。26日、きのうですが、12時に食事をとりながらちょっと見たら、西側には3台です。きょう、朝6時半、行ってみましたら、西側に6台ありました。そして、12時にも食事をとって、こちらに来るときに見たんですが、5台あります。そして、このYナンバーは入り口で見てみると、大体1人が乗っています。車1台に1人が乗るような状態で移動しています。そうすると、大体、アメリカ人たちは月曜から金曜までは常に5〜6人程度が向こうにいるだろうと想定されます。土曜・日曜は2人から3名ということになります。その中で軍服姿は、私が調査をした段階では、1人も見当たりません。国防省直轄部隊60名が配置されていると国は言っているんですが、そういう人数としてはいないということで、もはやこの楚辺通信所は使われてないと。アメリカが言うように、米民間会社に業務委託をしている、管理をしているということだけであります。

 そして、もう一つ、反対の理由として、沖縄県収用委員会、皆さんの収用委員会は1998年の5月に、私の土地の収用裁決を行い、1998年9月3日からことしの3月31日までの使用期限を設定しています。国は当初、10年の使用申請をしてありましたが、1996年4月1日からの私の土地への不法占拠が続き、また、SACOによって期限が限定されたということもあって、使用期限の申請を国側自らやり直し、いわゆる2年7カ月に変更しているということで、この変更しているということは、これで返すことが約束したというような意味をもっていると私たちは理解をしていたんですが、また使用するなんていうのはおかしいというのがあります。そして、私の土地に対しては、国は1996年4月1日より使用権原を失い、以来389日間不法占拠をしています。そして、現在、この不法占拠に対して、私は損害賠償の裁判を継承中であります。そういった意味では、国と私の裁判の真っ只中にあるということです。

 そして、もう一つは、1996年4月24日から1998年の9月3目までの問、改悪された米軍用地特別措置法によって暫定使用されたということは憲法違反であるということで、那覇地裁において、これも裁判中であります。この土地には、二つの裁判が関わり、まだ進行中であるということです。こういったことに対して、皆さんの収用委員会が私の土地の強制収用をするなんていうのはとんでもないというふうに思っています。

 そういうことも勘案し、ぜひ私の土地に対しては、使用却下をされるよう、意見として述べていきます。以上です。

○当山会長

 はい、ありがとうございました。では、古波蔵さん。

○地権者(古波蔵豊)

 私は、城間の1556番地の1に土地を所有している古波蔵と言います。

 この間、自分の土地というものが、まだ触れたこともなく、立ったこともないというふうな状況の中で、きょうこの場を迎えております。そういった意味では、非常に理不尽な扱いだなということを今感じているところです。この間、防衛施設局の答弁をいろいろ聞いておりますと、本当に、目というんですか、その立場というんですか、そういったのがどこに向いているのかなというものに、非常に憤りを感じてなりません。そういった意味では、ぜひ、自分たちがどこの立場に立っているのかということを改めて考えていただきたいなということを思っております。

 特に、県の収用委員会のほうから、米軍調整官、あるいは米国総領事あてに送った文書の中にもあるんですけど、本当に「駐留米軍に土地提供を拒否している地主の土地使用については、土地収用法に基づく収用手続きが必要であります。今のままでは、日本法に基づく適正手続きに非協力的な使用者と言われかねません」というような形で、収用委員会のほうも米軍のほう、あるいは調整官のほうに述べているんですけれども、そういったことに対して、防衛施設局がどのような対応をしたのかというふうなことについても、明確な答えもないままに、きょうを迎えております。

 そういった意味においては、本当に先ほど言いましたけれども、お互い沖縄県民、日本国民の立場というものを、どのようにして受けとめてなさっていらっしゃるのか。先ほど、仲山弁護士からお話がありました。官僚の答弁ですねと。そういう官僚の答弁では、本当に血の通った答弁としては聞こえません。そういった意味では、ぜひ、そういうふうな答弁の仕方ではなくて、もっと血の通うような、お互い人間対人問としての対応をしていただきたいなというふうに思っております。

 私は今、キャンプ・キンザーに土地を持っているんですけれども、キャンプ・キンザーというところは、世間一般に言われておりますように、爆音もないです。そういった中で、キャンプ・キンザーは基地の使用が、今回も10年というような形で、長期の申請がされております。

 しかしながら、皆さん、このパンフレットは浦添市がつくったものなんですけれども、この間、何回となく基地の被害が起こっております。こういった基地の被害を、私たちはいつまでも引き続き受けていく、そういうようなことは、絶対許してはいけないと思います。そういった意味でも、私はきょう、こういう立場に立っているわけであります。

 そういった意味で、私はこの土地の状況というものを明らかにしていく中で、ぜひ自分たちの子々孫々にわたるまでの基地の被害というのを被るわけにはいかないと思っております。

 そういった意味で、私はこのキャンプ・キンザー、浦添の大きな面積を占めているんですけれども、この広大な面積の土地を早目に返していただいて、浦添の土地の発展と同時に、沖縄県の発展を含めた、この広大な土地をぜひ大きな生産地、あるいはまた雇用が確保できるような土地に変えていくための一つの礎として、そういうような闘いをつくっていきたいなというふうに思っております。

 どうか、きょう県の収用委員会の皆さんにお願いがあります。

 皆さん方の気持ちをくみ入れない防衛施設局、同時に米軍に対して、地主の立場を守っていただいて、この10年間という長期にわたる基地被害をいくらかでも少なくしていただけるように、裁決については却下というような立場で臨んでいただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○当山会長

 ご苦労様です。

 それでは、代理人のご意見をいただきましょうか。

○地権者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 代理人の弁護士の阿波根です。

 この公開審理を通じて、収用委員会の皆さんもそうだと思うんですけれども、私たちは特に公開審理の審理のあり方というのは、こんな形でいいのだろうかというような大きな疑問を持っております。

 これで本当に審理が尽くされるんだろうかという気がします。中身についての本当のすり合わせもできてないというふうな印象を持っております。

 本当に公開審理をするんであったら、やっぱり対象土地に入っていって、そこで調べながらちゃんと審理しなくてはいけない。これは、絶対不可欠な要件だと思います。このようなものを補うものとして、現地立入りを補うものとして、公開審理の中での十分な説明が求められておるわけですけれども、そのことについても起業者のほうからは十分な説明が全く、十分どころか、全くかみ合った議論をしていないというようなことで、非常に残念に思うし、イライラしながら、しょうがないような感じであります。

 全く上の歯と下の歯がかみ合わないような状況で、口の中でもぐもぐして咀嚼できないまま、無理矢理に胃の中に物を取り込んでいくような感じのイライラが残っておりまして、このままで審理を終わらせていいのかというのが、私の率直な印象であります。

 きょう出てきた中でも、新たな問題が出ております。これは大きな問題が出ております。やっぱりこれは回答をしていただくことになっていると思うんですけれども、いわゆる米国防直属部隊である国防通信沖縄分遣隊、これはそもそも何だろう、どういう組織なんだろうということで、具体的な求釈明事項も限られました。

 これについても、さらにきちんと釈明をして回答をいただいて、その中身を明らかにするのは絶対必要条件であります。本当にこのような部隊が、安保条約に基づいて使用できる部隊なのかどうかを、きちっと審理をしていただきたいというのが、私の気持ちであります。

 それから、牧港補給基地についても、これは本当にこの土地が、皆さん起業者のほうでおっしゃっておられる有機的一体を有する土地なのかどうかは、まさに使用状況を具体的に明らかにする中でしか、それは判断できるものではないというふうに、私は考えております。

 十分、審理は尽くされておりません。ただし、この中できょう多くの問題が指摘されまして、起業者のほうからはぜひ回答するというご回答がありましたので、それを文書でもって回答いただきたいと思います。
 私たち弁護団としての総括的な意見、今出てきた大きな問題もありますので、そのことについては、その意見を、国からきょう出されたきょうのテーマの宿題がたくさんありますけど、それを出された段階で、これを検討しまして、弁護団としてもまとまった意見を出したいと思います。
 結論として、このような審理の中で、強制収用をこの2筆の土地に出されることは、決して認められるものではないことを、今のところ口頭で申し上げて、総括的な意見といたします。
○当山会長
 はい、ご苦労様です。
 求釈明に対する釈明が出た時点で、皆さんにもお配りして、改めて書面等での意見をいただく予定です。
 次に、ほかに、ご意見があれば、仲山代理人。

○地権者代理人(弁護士 仲山忠克)
 今、会長のほうからありましたように、総括的な意見については、追って文書で提出することにしたいと思っております。
 いずれにしろ、きょうの公開審理での私たちが求釈明したのは、正確な事実をまず確定して、それに基づいて、どう法的な評価を下すかという問題があるわけです。

 そういう意味で、意見を述べる前提として、事実関係を確認するということは非常に重要なことであります。しかるに、きょうの国側の釈明については、まさに正確な事実を開陳しなかった。むしろ覆い隠した。できるだけ触れたがらない。そういう態度に終始したように思います。

 現在、情報公開が行政において、非常に問題になっております。その中で、一つとして行政側の説明責任ということが強調されております。とりわけ、一般の行政ですら現時点において説明責任が強調されている時代において、国民の権利を制限する側は、なおさら説明責任を尽くさなければならない義務を持っていることは、私が言うまでもないことであります。

 それにもかかわらず、そういう説明責任をしなかったという、きょうの防衛施設局のあり方は、我が国の民主主義のあり方を、はからずも示しているものではないかという感じがいたします。権力のほうで民主主義を貫かないのであれば、私たち国民の手で政府の不当性を明らかにし、民主主義をこの日本に定着させる。その意味でも、今回の公開審理がそういう立場からでも必要だろうということを痛感しております。本件の具体的土地に対する意見は、追って書面で述べますけれども、今、私たちは、やはり民主主義において、どういうことが行政は求められているのか、そのこと自体を日本の国のあり方を含めて、検討しなければならない。そういうことを意見として述べて、とりあえず締めさせていただきます。

○当山会長

 ありがとうございました。それでは、本日の審理をこれで終了したいと思います。本日は、大変お疲れ様でございました。


沖縄県収用委員会 公開審理 (2001年)