第2回公開審理 議事録

○当山会長

 それでは、定刻になりましたので、第2回目の公開審理を開催いたします。

 収用委員の紹介につきましては、第1回目にやりましたし、前のほうに貼ってございますので、できるだけ意見に時間を割きたいということもありまして、一人一人の紹介というのは割愛させていただきます。

 本日は、前回那覇防衛施設局から裁決申請概要の説明が行われましたので、今回はまず初めに、土地所有者及び土地所有者代理人から意見を陳述していただきたいと思います。次に、土地所有者から事前に起業者に対し、求釈明文書が提出されましたので、起業者那覇防衛施設局から釈明をしていただきたいと思います。

 公開審理の運営にあたりまして、当事者等傍聴人の皆様のご協力は不可欠でございます。円滑な審理運営のために、審理に参加している皆さんには、次のご協力をお願いしたいと思います。

 まず、私から指名された方のみ意見を述べていただきたいと思います。勝手に意見を述べないようにしてください。次に、審議記録作成のために、意見陳述者はマイクを使用して、土地所有者等は自己の権利にかかる施設名と氏名を述べていただきたいと思います。起業者那覇防衛施設局の方は、職名及び氏名を述べて意見陳述を行っていただきたいと思います。それから、関係人の方々は、「審理会場における注意事項」を遵守していただきたいと思います。注意事項は、入場券、傍聴券と併せて配布しておりますのでご確認ください。

 前回での注意事項に関して、若干、指摘がございましたのでお話ししておきますと、携帯電話、ポケベル等お持ちの方で電源を切ってない方がいらして、ほかの方が意見を聞きづらいという苦情もございましたので、電源を切るかマナーモードにしていただくかにして、審理進行の妨げにならないように協力をお願いいたします。

 それでは、土地所有者の方から意見陳述をお願いいたします。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 代理人の阿波根です。意見陳述をやる前に、本日、収用委員会は対象土地に立ち入って調査なさったということを、報道で聞いております。そのことについて、私どもも地権者として、そこに入りたいということで地権者と代理人5人が一緒に入りたいということで、申し入れをしておりました。そのことはできないで、きょうは結局は、収用委員の皆さんだけで、あるいは施設局の方と一緒になって入っていると。そういう状況がありまして、そのことについて地主を代理して、有銘政夫さんから意見を述べさせていただきたいと思うんですけど、よろしいでしょうか。

○当山会長

 はい、では有銘さんどうぞ。

○地権者代理人(有銘政夫)

 代理人の有銘政夫です。よろしくお願いいたします。特に、今申し上げたように立ち入りについての件は、少し述べさせてください。

 その前に、県収用委員会が公平、公正な審理を行うために地権者の現地立ち入りの実現のために、ご努力いただいたことを昨日の新聞で知りました。敬意を表しておきたいと思います。

 立ち入りについてのことですが、少しかいつまんで歴史的なことを申し上げますと、例えば、1972年の復帰の時点での公用地そのものが、全く県民、そして地主の総意を無視して一方的に国会の大混乱の中で、公用地法が制定され、復帰以前にそういった法が制定されて押しつけられてきた。いわゆる占領下の状態のままの土地の強制使用だったと思います。

 続く1977年の地籍明確化法も同じでした。その期限が切れてもなお、1982年の米軍用地特措法によって5年、それから87年には10年と5年、一部5年の強制使用、そして92年には、また5年間の使用と、この3回の強制使用については、申し上げますならば、防衛施設局はもう、ずっと一貫して安保優先、安保によって土地の提供というのは高度な公共の福祉云々、実にわけの分からないことを言ってやってきたし、当時の県の収用委員会は3回とも一応の形式は摘んだものの、やっぱり期限に間に合わせて裁決するのが、収用委員会の任務だと言わんばかりの行動で、問答無用でした。

 1997年の特措法による収用委員会の審理からは、県収用委員会が実質審理をやると、こういう確認のもとに行われたために、いろいろと具体的な事例が収用委員会の場でも論議がされ、実態が明らかになってきました。しかし、ここで、ある意味では追いつめられて期限切れを迎えるという前提に立って1997年4月17日、それから1999年の4月19日の二度にわたる米軍特指法の再改悪、2回にわたる改悪をして、ずっと押しつけてきたのが現在に至る土地の強制使用の実態です。

 この間、私たちはやはり地権者として当然、これを強引にやっているという、強奪しているという不満、真っ向から対立的な立場にはありますけれども、いわゆる県の収用委員会が開かれるとか、それから意見書を出せとか言う、手続き上は法に基づいたその場、その場での現地に立ち入って、具体的なことを実態調査をしながら、具体的に私たちの異議を申し立てたいとする、このことが全部強引に抹殺されてきた。言うならば、地権者の意見など全く無視されたと言って差し支えないと思います。

 例えば、今度の審理に入る知花さんの土地などは、期限切れになったあのときには、いわゆる法的手続きによって裁判所の仮処分によって、実際には立ち入りをやっているんです。

 こういった実質的に具体的に詰めていくと、当然やらさなければならない。当然の権利として認めざるを得ない、認められるべきはずのものが、今度も追い打ちをかけるように軍の管理運営という一方的な言い分だけで、拒否をされてきてます。

 しかし、先ほど申し上げた歴史的な過程とか、この間の状況を見てください。

 最近、明らかになっていることは、沖縄の政治状況、ちょっとかいつまんで言っても海兵隊の削減要求が去った県議会で全会一致で可決されるとか、それから昨日でしたか、一昨日でしたか、金曜日の県の議会における知事の答弁でも海兵隊の削減を要求するということが出ていますし、それから地位協定の見直しという要求の中で、これが今、国の機関の中で前向きにやるとかいう発言が出るほど、緊迫した状況、政泊状況がつくり出されています。これは一貫して、そのような立場にたった状況の中で、なお一方的に拒否されているのが、この立ち入りです。これについては、いろんな事例をみるまでもなく不当です。

 昨日の新聞の内容でも、見ていますと地主の立ち入りは、日米合同委員会で拒否されているという文言があります。それから、米軍の施設管理運営上の理由というのがあります。これなども全く理由が分かりません。管理運営の理由だったら、あとで具体的には述べますから、詳しくは言いませんけれども、実態として立ち入りをやることによって、象のオリの実態を明らかにすることによって、当然、SACOの合意でもあったものを返還すべきだという主張は、私たちはきちっともっているつもりです。そのことを立証する非常に重要な意味をもつ立ち入りまで拒否するということは、これらのすべてを隠蔽する手段以外の何ものでもないというものです。

 それで、もっと言及するならば、防衛施設、いわゆる管理運営を盾にして有無を言わさず断ってくるという米軍。それから防衛施設局と県収用委員会の立ち入りしか認めないと言う、こういった実態ですね。

 そうしますと、日米両政府、米軍と国が結託をして合同委員会で話し合ったということもありますから、そして県の収用委員会に有無を言わさず、これを承認しろと。こういった県収用委員会に対する強制使用の強要の構図だとみる以外の判断は出ません。だから、二重、三重に私たち地権者のすべての権利を圧殺すると同時に、収用委員会に不当な圧力をかけながら、強制使用を強行していこうという、こういったことだというふうに思います。

 だから、これは民主主義国、それから独立国の立場を放棄する、隷属的な態度を容認している日本政府の態度に対し、私たちは腹の底からの憤りをもっております。

 もう一度整理してみますと、占領下の銃剣とブルドーザーによる土地強奪、容認をした公用地法、それから米軍特措法による強制使用の継続、そして道義的にも法的にも追いつめられた日本政府の一方的な米軍特措法の改悪、これ2回も行われております。不当な使用強行、特に中部においては、70%が私有地と言われる米軍用地、こういった実態を有無を言わせず奪い取るという実態は、まさに国内はもとより世界のどこにも例のない実態だというふうに思います。まさに、このことは占領地下、植民地的支配の体制を現実に行っていると言われても仕方のない状況だというふうに思います。そして、さっきもちょっと申し上げましたけれども、この立ち入りによって暴かれることを恐れた基地の実態を隠蔽するための地権者への立ち入りの拒否だと、私たちはこのように規定をしておきたいと思います。

 ですから、県収用委員会の公平、公正な審理を保証するための、地権者への立ち入りの要求は民主主義、人権、主権者の諸権利を保障する立場から、当然なこととは言えますけれども、あまりにも無謀な、しかも地権者の権利を無視した、国及び米軍の態度を見るにつけ、県収用委員会の勇気ある対応を評価した次第です。

 今回の公開審理においても、公平、公正な立場を堅持していただいて、いわゆる実質審理を実現していただくよう、要望して意見を終わりたいと思います。どうぞ、その趣旨を汲んでよろしくお願いしたいと思います。以上です。

○当山会長

 はい、ご苦労様です。では、阿波根弁護士、どうぞ。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 ただいまの件に関連してご質問をいたします。

 前回の強制使用手続きの中で、私たちは裁決申請の前においては、那覇防衛施設局に対して、基地内立入調査のあっせん方の依頼をしたことがあります。裁決申請をされたあとは、土地収用法に基づいて適切な手続きとして、現地立ち入りをするよう申し入れをしました。そのときに、収用委員会のほうは基地内立ち入りをしようということでやりましたけれども、結局、できませんでした。そのときの米軍との、結局、できなかった理由は、米軍がオーケーしないんだということでできなかったわけです。収用委員会の方は入ったんですけれども、そのときは地主のほうはだめだったわけですね。

 そのときの、基地内立ち入りの手続きについて、防衛施設局から私どもに説明された文書がありまして、その文書の中では基地内立ち入りのあっせん申し入れの補充書に対する説明ということで、米軍施設への立ち入りに関して、施設局の説明は次のとおりです、ということで、まず、合同委員会の事務局を通じて申請しなさいというのがありまして、それは国会議員や、日本政府の中央職員の職員が入る場合には、合同委員会事務局を通じて申請しなさいということになっていた。それから、沖縄県外の地方議会議員、それから沖縄県外の地方公共団体の職員等が、基地内立ち入りを要求する場合には、防衛施設庁を通じて、那覇防衛施設局じゃなくて、防衛施設庁を通じて在日米軍指令部に申請してくれと。沖縄じゃなくて、在日米軍指令部に申請してくださいということでした。それ以外の方について、例えば、私とか、沖縄県の県会議員とかですね、基地内立入をする場合には、直接、現地米軍に直接申請したらよろしいということになっていたんです。

 ところで、今回の収用委員会が立ち入りしているのは、第1分類、第2分類、第3分類というと、第3分類の米軍基地に直接申請すべき立ち入りの手続きとなると思うんですけど、そのような手続きで米軍に立ち入りの申請をなさったかどうか、お聞きしたいですけどどうでしょうか。施設局に聞かれてください。

○当山会長

 ちょっと私も、詳しいところは分からないので聞いていたんですが、施設局と収用委員会事務局と調整をして、どういうふうにしてやればいいのかということでやったようですけど、今、お持ちになっているのは前回にいただいた書類、それを今回、それが手元にあってやったわけじゃありませんので、結局、施設局を通じまして、私が聞いたところでは施設局を通じて防衛施設庁、それから外務省を通じて日米合同委員会というルートですか。このへんちょっと詳しいところはよく分からない、むしろ施設局のほうに聞いたほうがいいですね。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 そのようにお願いいたします。

○当山会長

 施設局の方、そのへんのルートについて教えていただけますか。職名と氏名をおっしゃってください。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 それでは、私、那覇の防衛施設局施設部長、栗原精治でございます。

 ただいまの件でございますが、公開審理の前の楚辺通信所の現地調査の際、米側から土地所有者の立ち入りを拒否されたということだが、ということでその間の手続きについてと、いうことで承ってご報告させていただきます。

 平成13年1月29日、県の収用委員会から現地調査の実施について通知を受け、防衛施設庁、外務省を通じまして、日米合同委員会米側事務局に立ち入り申請を提出いたしましたところ、平成13年2月16日に事務局から楚辺通信所の立ち入りについて、収用委員会の委員及び同事務局職員については、米軍への立ち入りを認めるけれども、土地所有者及びその代理人については、施設の管理運営上の理由から認められないとの連絡を受けたので、その旨、私ども那覇防衛施設局から収用委員会のほうにお知らせをしたということでございます。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 ちょっと確認ですけど、早口でメモもとりにくくて、もう一度ゆっくり回答していただきたいんですけれども、収用委員会から立ち入りの要請を受けて、那覇防衛施設局は防衛庁のほうにそれを連絡したということですか、まずは。ストレートに外務省にすぐ連絡したということですか。

○当山会長

 そのルートはちょっと、ゆっくり。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 お答え申し上げます。

 収用委員会のほうから申請がありましたものを、私どもから防衛施設庁のほうに提出しました。その先は、防衛施設庁のほうで調整しているわけですが、外務省を通じ日米合同委員会事務局のほうに提出されて、判断されたというふうに聞いております。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 確認しますけど、那覇防衛施設局から防衛庁に連絡なされて、それから外務省に連絡なされたと。それから外務省のほうから日米合同委員会の事務局に連絡がいったんだと。そういうことになっていますね。これは、いわゆる従前の立ち入りの手続きで言うと、日米合同委員会事務局を通じてやるという手続きは、日米合同委員会というのはトップのクラスの機関ですので、最高の機関のところでそれは却下されたということなんですけれども、本来はこれは現地米軍に直接申請して、現地米軍から意見を聞くべきケースではなかったんでしょうか。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 お答えいたします。職名と名前は省略させていただきます。

 今のご質問でございますが、私どもとしましては、本件立ち入り申請事案につきましては、中央で処理されるというふうに聞いておりましたので、今のような手続きをとったというようなことでございます。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 そうすると、今回の私どもの地権者を入れるかどうかについては、トップのところで政治的な判断でそうされたというふうな説明だったと、私はそのように受け止めました。

 本来は、これはこういう沖縄県の、強制収用事件の中での立ち入り等については、普通は日米合同委員会のほうで、そこで決めるべき事項なのか、私は疑問があると思うんですけれども。そのようなところで本当に日本政府が、日本政府の代表者、大臣クラスですよね。合同委員会ですから、大臣クラス。トップクラスが来るわけです。その中で本件の強制収用事件について現地立ち入りができないということになると、これは単にアメリカ政府だけが、アメリカ軍だけが現地立ち入り調査を拒否したんじゃなくて、日本政府もこの使用手続きの中での現地立ち入りを、それは拒否したんだという構図になると思うんです。これは大きな問題だと思います。これは間違いないことでしょうか。日米合同委員会で大臣さんが出席して、それなりの決定がなされたかどうか分かりませんでしょうか。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 お答え申し上げますが、先ほど局から本庁にあげる件について、本件事実は中央のほうで処理されるというふうにお答えしましたが、立ち入りに関しましては、私ども局としましては、現地米軍に一応こういう立入申請があるということで、サウンドしておりまして、その結果として中央に上申してくれというか、中央判断ということなもので、先ほどのような手続きをとったということでございます。それから、立ち入りの判断の経緯につきましてですが、あくまで私どもとしては収用委員会さんのほうから要請のあった立ち入りについて、先ほど申し述べました手続きをとったということでございまして、中央における調整の経緯というのは、承知してございません。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 先ほどの説明の中では、現地米軍と調整したという説明はなかったんですけど、ただいまの説明の中で、一応はまずは、現地米軍に申請をしたんだということなんですね。まずは、現地米軍に申請をしたということですね、確認します。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 お答えを申し上げますが、収用委員会さんのほうからお話があったときに、この申請について現地米軍に問い合わせてございます。

○当山会長

 よろしいでしょうか。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 この件については、あとでも意見があると思いますけど、進めたいと思います。

 きょう、午前11時からですか、収用委員会の先生方が現地に立ち入られたということですけれども。ちょっとニュースで、ラジオでしか聞いてないんですけれども、30人くらいが立ち会ったんだということをニュースで流れていました。これは防衛施設局の職員も一緒に入ったと思われるんでしょうが、収用委員会の方が何人入られて、施設局の方が何人入られたのか、分かりませんでしょうか。

○当山会長

 収用委員会は、事務局の職員を併せて15名ですね、立ち会ったのは。施設局のほうはこちらで把握しておりませんので、施設局の職員が何名立ち会ったのかというのは、私は分かりませんから、部長に答えてもらいましょうか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 私どもの職員は、収用委員会の委員の方々の調査ということで、施設のエリアのほうに入りましたのは6人でございます。なお、私どもが入り口の入ったところの横の駐車場等、あるいはその途中の路上に私ども職員が、何人かは配置させていただいております。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 施設局の方が6人、収用委員会の事務局併せて15人入られたということですけれども、きょうのニュースの情報なんですけれど、収用委員会の方は現地に入られて施設局の職員の説明で、施設の使用状況等を調べたと、あるいはメジャーでもって対象土地の測量を入れたりしたということであったんですけれども、それ以外にその施設の状況を、収用委員会のほうで十分確認できたのかどうか、ちょっと心配なものですからお聞きしたいんですけど。

 例えば、従来の66年の裁決申請事件のときにも入られまして、緊急収用のときにも入られましたけど、そのときの状況と現在の施設の状況が、その設備がアンテナとか、ワイヤーとか、ワイヤーメッシュとかいろいろあるんですけど、そういう施設に変化があったのかどうか、そこらへん確かめられたのかどうか。それから、施設の機能が従前どおり機能していたか、要するにそこは使われていたのかどうか、そこらへんを確かめることができたでしょうか。

○当山会長

 お断り申し上げますと、細かい基地の機能とかについては、そこでは米軍の担当官が立ち会ったりしませんので、実際、収用委員会が調べる対象というのは土地の利用状況、それから土地の形状等が主体でございまして、その他については施設局サイドからの釈明等もあって、やるという形をとっております。ですから、現地調査においてはそういう細かいところまではやっておりません。

 62年当時ですか、あるいは3年前とかそういう話がございましたが、当時見た人というのは私ともう一人だけでして、あとの委員は全部変わっておりますので、それは比較検討できないと思います。ですから、現状についての確認をしてきたというふうにとらえてください。あとは、求釈明等がございましたら、むしろ皆さんのほうで施設局にお聞きになって、その中で明らかになったものを基にしてわれわれは判断していきたいというふうに考えております。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 具体的な状況については、楚辺通信所の具体的な求釈明の中でお聞きしたいと思います。

○当山会長

 そうですね。求釈明の総論部分に入っていただけますか。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 それでは、私どもから求釈明の申し立てをしておりまして、それについてお答えいただきたいと思うんです。すでに回答をいただいているんですけれども、できるだけみんなに分かりやすく、十分理解を深める意味で口頭でもって質問いたしたいと思います。

 私どもの質問は、総論部分と楚辺通信所と、それから牧港補給地区の三つに分かれて質問いたしましたけれども、きょうはその中で総論部分と楚辺通信所についてだけ求釈明をし、お答えいただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 まず、総論部分についてお聞きいたします。

 総論部分が4点ございまして、その中で2番については馴染まないという、昔よく使われた言葉が出ておりまして、1番と3番と4番には回答があります。その中で1番と2番と3番について、私のほうからまずお聞きしたいと思います。

 一つは、日米安保体制というのは何だろうかと。日米安保条約といかなる関係があるのかという質問であります。体制と条約とは違うんじゃないかと。体制という言葉は、いつ頃どのようにして出てきたのかと、安全保障体制というのはあるけど、日米安全保障体制というのは安保条約が締結されるまでに、そういう体制があったのかどうかです。日米安全保障体制というものは、安保条約の上位概念としてあるのかどうかです。その関係が申請理由の文書だけでは十分理解しにくいということで、まずご説明をいただきたいというふうなことで、日米安全保障体制とは何か、日米安保条約とはいかなる関係があるのかということを、ご説明いただきたいと思います。

 それから、2番目に日米安全保障体制が我が国を含むアジア・太平洋地域の平和と安定にとって不可欠な枠組みとして機能しているとご指摘がありますけれども、これはアジア・太平洋地域と極東地域とは違うのかどうか。違うとすればアジア太平洋地域の地理的範囲を的確にされたいということであります。ご存じのように安保条約第2条によっては、日本がアメリカに対して、基地提供義務を負っている、米軍駐留するのは、極東地域の平和と安全でありまして、アジア・太平洋地域の平和と安全ではありません。ということですので、これが同じことを言っているのか、違うのかということを明らかにしてもらいたいということなんですけど。これについては審理に馴染まないということなんですけれども、これは非常に馴染むことであって、安保条約の2条との関係で、この強制使用が可能になってくるわけですから、安保条約2条のその解釈との関連で、アジア太平洋地域と極東地域の違いを明らかにする必要はあると思います。その点を明らかにしていただきたいというふうに考えます。

 それから、3番目ですけれども、「駐留軍の駐留は我が国の安全ならびに極東における平和及び安全の維持に、今後とも寄与するものである」とありますが、今後とも寄与するものであるということは、これは私たちにとって非常に異論のあるところですけれども、米軍の駐留が今後、相当、長期になるんだということでしょうか。もし、相当、長期になるというのでしたら、沖縄はいつまでもこの米軍基地の重圧の中で苦しまなければいけないのか、ということなんです。その駐留の期間は5年なのか、10年なのか、15年なのか、あるいは永久なのか、そういうことを明らかにしてもらいたいということで、まず釈明をお願いいたします。

○当山会長

 はい、防衛施設局。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 まず、第1番目の日米安全保障体制とは何か、日米安保条約とはいかなる関係があるのかとの事項についてお答えいたします。

 我が国の憲法のもとで進められている防衛政策は、昭和32年5月に国防会議及び閣議で決定された「国防の基本方針」にその基礎を置いており、「国防の基本方針」は、まず、国際協調など平和への努力の推進と民生安定などによる安全保障基盤の確立を、次いで効率的な防衛力の整備と日米安全保障体制を基調とすることを基本方針として掲げております。この日米安全保障体制は、日米安全保障条約を基調とするものであり、我が国の安全に対する直接的な貢献、我が国周辺地域の平和と安定の維持への貢献という役割を果たしており、さらに日米関係の中核をなすとともに、我が国の幅広い外交の基盤ともなっているものであります。

 2点目についてでございますが、2点目の「日米安全保障体制が、我が国を含むアジア・太平洋地域の平和と安定にとって不可欠な枠組みとして機能している」とあるが、アジア・太平地域と極東地域とは違うのか、違うとすればアジア・太平洋地域の地理的範囲を明らかにされたいという事項についてお答え申し上げます。本件につきましては、去る2月19日付の文書で審理に馴染まない旨、ご回答させていただいております。

 次に、3点目の件でございますが、「駐留軍の駐留は我が国の安全、ならびに極東における平和及び安全の維持に今後とも寄与するものである」とあるが、今後とも寄与するものであるということは、米軍の駐留が今後、相当、期間になると解されると思われるが、そのように解してよいのか、という事項についてお答え申し上げます。平成8年4月に発表された日米安全保障宣言では、アジア・太平洋地域においては、依然として不安定性、及び不確実性が存在するとの情勢認識のもとで、日米安全保障条約を基盤とする両国間の安全保障面の関係が21世紀に向けて、この地域において安定的で反映した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認したうえで、日本の防衛のための最も効果的な枠組みは、自衛隊の適切な防衛能力と日米安保体制の組み合わせに基づいた日米両国間の緊密な防衛協力であり、日米安保条約に基づいた米国の抑止力は、引き続き日本の安全保障のよりどころであること。日本が日米安全保障条約に基づく、施設及び区域の提供等を通じ、適切な寄与を継続すること等について改めて確認しております。このことからも駐留軍の駐留は、今後、相当長期にわたるものと考えられます。

 3番目の(2)についてでございますが、仮にそうであるとすれば、米軍の駐留はいつまで必要であると考えているのか、5年か、10年か、15年か、それとも永久かとの事項についてお答え申し上げます。駐留軍の駐留は、今後、相当、長期にわたるものと考えられますが、その期間については確定的に申し上げることができません。以上、お答え終わります。

○当山会長

 はい、どうぞ。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 ちょっとよく分かりません。日米安保条約と日米安保体制のどこがどう違っているのか、よく分かりません。

 ただ、日米安保体制の中核が、日米安保条約を基礎としているんだということは、私も分かります。そういうことを言われていることは理解できます。ただ、日米安保体制という言葉が出てきたのは、昭和32年頃だということのご説明があります。昭和32年頃、昭和27年に旧安保条約が締結調印されておりますけれども、新安保条約ができる前の話なんですね。昭和32年ですか、皆さんがおっしゃっているのは。昭和32年の5月の国防会議でそのようなことが言われたと、日米安保体制という言葉が使われて、あそこで了承されたんだということをおっしゃっているんですけれども、その当時の日米安保体制でカバーできる枠組みは、今おっしゃっている、要するにアジア・太平洋地域だつたのか、極東地域だったのかということなんです。昭和32年当時からすでに日米安保体制ということは、極東じゃなくてアジア・太平洋地域ということで、日米安保体制が考えられていたのか。そうではないのではないかと、要するに平成8年に、日米共同宣言が出されますけれども、その前後において、そこらへんから変わってきているんじゃないかということなんです。

 安保条約は、2条で、これは極東条項があって、極東の平和と安全を寄与するためだと、しっかり書かれているわけです。それを越えて日米安保体制という言葉を出すと。日米安保体制のカバーできる区域は、アジア・太平洋地域だと言っているわけですね。そうすると、沖縄の基地の提供義務がどんどん、どんどん広がっていくという状況になるわけです。そういうことで、日米安保体制と日米安保条約はどう違うのか、日米安保体制でいっているカバーできる地域と、日米安保条約でカバーできる地域は違うのか、違わないのか、そこらへんをしっかりはっきりお答え願いたいと思います。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 ただいまの件につきましては、先ほど申し上げました、求釈明事項の(2)にかかるものかと思いますが、求釈明事項の(2)にかかる私どもの回答は、先ほど申し述べたとおりでございます。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 ちょっと、回答になってないと思うんですけど。

○当山会長

 理解を深めるという意味で、回答いただいてもいいかなと思うんですが、何か差し支えがございますか。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 違うんですか、違わないんですか、体制と安保条約とは。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 今のご指摘でございますけれども、先ほど述べましたように、本件につきましては、私ども先ほど申し上げたように、文章で審理に馴染まない旨お答え申し上げておるものですから、私としてはこのようにお答えさせていただきます。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 審理に馴染まないというところですね、3項であって、第1番目の日米安保体制と、日米安保条約はどういう関係にありますかということについては、一応のお答えをいただいているわけですよ。これが地理的範囲を明らかにしなさいという2番目のものについては、皆さん審理に馴染まないとおっしゃっていますけれども、一応、日米安保体制と日米安保条約はどのように違うかということはご回答いただいているわけです。これに関連して、どのように違うのかというその基調となるものであるんだと、安保体制の基調になるのは安保条約だということをおっしゃっているんですが、同じものなのか、どのようなものですかということなんです。日本とアメリカが安全保障体制の枠組みは、同じような枠組みで考えているのか、アジア太平洋地域として考えているのか、極東地域として考えているのか、それはどのように変化があったのかということを聞きしたいんですけど、お答え願えませんでしょうか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 重ねて恐縮でございますが、私としましては本件につきましては、ここで即答できませんので、後ほど委員会のほうとも調整して、文書等で回答させていただくということでお願いいたします。

○当山会長

 それでは、ちょっと検討していただきましょう。

 有銘さん、どうぞ。

○地権者代理人(有銘政夫)

 今の返答がきちっとできてくるといいと思うんですがね。付け加えておきます。

 事実上、馴染まないというときに、土地を奪う側、使いたい側は安保条約上、そしてこちらに書いてある諸々のことは、日米安保体制のもとにぜひ必要だから、あんた方のものを強制的にでも収用すると言っているわけです。それはどういう枠組みなのか、なぜなのかと言ったら、馴染まないと言う、僕らはどこに馴染めばいいかということですよ。非常に困るのは、もう少し馴染んでください。そうしないと、これは少なくとも、さっきから言っているように、米軍が管理運営上と、米軍の管理運営上は分かります。それはいいでしょう。しかし、僕らの土地を一義的に契約をして、強奪をして貸す権利と義務を履行しようとしているのは、日本政府なんです。それの起業者でしょう。そこが取り上げることには、あんた方、馴染め、馴染めと言って、文句言わずにこちらに馴染んで提供しろと言っておきながら、もし、仮に契約したと仮定しましょう。これも期限ないんですよ。20年経ったら、返してくれと言っても20年は返せませんと。また、強制的にやって、それも全部こういう繰り返しで期限がない。これもわけが分からない。それで安保条約を非常に重要なこととして、最高の公益なんだと言いながら、なぜですかと言ったら、馴染まないと。あんた方聞く必要はないと。認めなさいと。こういうことで、私たちは誠意をもって聞いているのにも答えない。だから、今言ったみたいに具体的なものをやられると、とんでもない結論が出てくるから、これを拒否していると、こういうことですよ。それは回答拒否しますという言葉に置き換えられませんか。なぜか、馴染まないなんて、僕らが馴染もうとしないという言い方なんですか。それとも、皆さん馴染まないというんだったら、沖縄から出ていったらいいじゃないですか。なんでこんなところにおめおめといるんですか。ここだけきちっとやってもらえば、審理は私たちは進められると思います。その面、よろしく、注意をしたうえで次の文書回答は期待をしたいと思います。

○当山会長

 はい、大変ごくろうさん。次に進んでいただけますか。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 総論部分の最後の質問なんですけれども、申請理由の説明書の中で防衛施設局のほうは、常々、土地所有者との間の合意をとりつけることに努めていますが、とあります。ところが、土地所有者からこの土地を使わせてくれということの同意を得るために、施設局は、本件二つの土地については、どのようなことをなされたのかご説明いただきたいと思います。

○当山会長

 それでは、施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 それでは、本件の「常々、土地所有者との合意に努めているが」とあるが、土地所有者の使用承諾を得るため、いかなる努力をしてきたのか、との事項についてお答え申し上げます。当局としましては、駐留軍に施設・区域として提供する必要がある民公有地については、土地所有者との合意により賃貸借契約を締結して使用することを基本と考えております。そのため、当局職員が土地所有者を訪問のうえ、賃貸借契約の締結について依頼するなど、合意が得られるよう努めてきたところであります。以上でございます。

○当山会長

 質問のほうはどうですか。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 例えば、牧港補給基地についてなんですけど、契約してくれと言われても、この土地の場所がどこにあるのかも分からないし、自分の土地がどのような状況で使われているのかも分からないわけです。そういうことについて、あなたは現場に行って土地を、こういう土地の使われ方をしていますけれども、貸してくれませんかとか、一緒に行って土地を見て確認して貸してくれませんかということで、そのような形でなんで契約しないのか、その理由を聞いたことなんかありませんか。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 関連してご説明させていただきますが、楚辺通信所の土地所有者の方に対しましては、平成8年3月31日の賃貸借契約期間満了後の賃貸借契約について、再三お願いいたしましたが、ご理解が得られなかったところ、今般駐留軍用地特措法の手続きをとるに際しまして、土地所有者のご自宅のほうをご訪問し、再度、賃貸借契約に応じていただくようお願いしたところ、契約には応じていただけないというお話を賜っていたところであります。

 また、牧港補給地区の土地所有者の方に対しましては、平成12年1月に賃貸借契約の依頼をして、平成12年3月末まで18回にわたって契約を行ってきておりますが、契約に応じていただけなかったという状況でございます。以上、説明します。

○当山会長

 質問、代わりますか。

○地権者(知花昌一)

 楚辺通信所の地主の知花ですが、防衛施設庁は僕に対して契約を申し入れたときに、応じなかったということでありますが、応じてないんですが、担当の方が何回か来ました。そのときに私はなぜ、来年の、いわゆる去年でしたので、防衛施設庁の職員が来ましたのは。なぜ2001年の3月31日に返還するという約束をしていながら、それができないんだと。その理由をはっきりしてくれということを言ったわけです。そしたら金武町に移設が遅れているということでありましたので、何で遅れているかはっきりしたらいいじゃないかということを質問しましたら、これ以上は担当では分かりませんということでありました。そして、いつまで使おうとしているんだ、期限を聞きましたら、それも担当では分かりませんということでした。使用する理由も明確に答えてくれませんし、使用期限も担当の方は、分からないということではっきりしませんでした。そういった意味では使用理由、あるいは期間もはっきりしないのに契約に応じることはもちろんできないわけです。それだけのことです。そうですよ、言い方は間違っていますよ、あなた。

○当山会長

 今のは意見ということでよろしいですか。質問とはちょっと違うみたいです。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 意見です。

○当山会長

 意見ですね、あと、質問は、総論部分よろしいですか。論に入って50分頃に小休止したいと思いますので、各論、2、3点ほど進めてから小休止したいと思いますが。では、知花さんどうぞ。

○地権者(知花昌一)

 楚辺通信所の地主の知花昌一です。

 楚辺通信所についての求釈明の5番から13番まで質問をします。すでに手元に質問状は届いているはずですので、それに沿って質問いたします。

 楚辺通信所は、私たちは今は使われてないということで思っています。楚辺通信所の現在の使用状況、通信業務を実際に行っているのか、行っているのであればその具体的な内容についてちゃんと答えてほしいということです。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 5番目の楚辺通信所の現在の使用状況を明らかにされたい。通信業務を行っているのか、行っているのであればその具体的な内容。との事項についてお答えいたします。

 楚辺通信所は、現在も通信施設として使用されております。その主たる任務は、アメリカ合衆国及びその同盟国の防衛のための無線の迅速な中継及び通信の確保であると承知しております。

○地権者(知花昌一)

 嘘を答えるようなことはしないでください。

 これでは、無線の迅速な中継及び通信の確保のために使っているということを言っているんですが、中継で使っていると、本当にそうなのかということです。これは中継というのは、中継ぎということだと思うんですが、いわゆる象のオリをご覧になったら分かると思うんですが、傍受施設です。発信施設が一つもありません。それと中継ぎだということは、受けてから別のところにつなぐわけですから、そういった施設がなければ中継ぎの役は果たせないはずです。そして、象のオリはだれが見てもそうですが、傍受施設です。そして解読施設です。いわゆる諜報施設だということです。こういうことですが、中継ぎだということでしたら、どこに中継ぎをしているのか、お答えいただきたい。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 ただいまの点でございますが、私どもは米軍のほうから、先ほどご説明しました任務を聞いておりまして、そのご指摘のあったどこのほうからどこへというような、米軍の運用に関することについては承知してございません。

○当山会長

 知花さんどうぞ。

○地権者(知花昌一)

 言葉の問題でもあるんですが、承知しているということは、米軍が言っていることをそのままオウム返しに言っていると。実際に、国はそうであるかどうかという調査は、一切してないということで理解していいのか。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 承知しておると言いますのは、米軍のほうからそのように聞いているということでございます。

○当山会長

 知花さんどうぞ。

○地権者(知花昌一)

 こういった個人の財産権を侵害すると、強制的に取るということをやっている中で、その理由が、ただ他人からこれがほしいと、あるいはこうであるということを、噂やあるいは一方的に言われたことをそのままうのみにして、それを根拠に憲法で保障された財産権を侵害するということは、全くおかしいと思います。

 私が調べた象のオリの状況をちょっとしますと、ご存じのように象のオリは丸くなっているというのは、どこから出された電波でもキャッチできるようになっているわけです。しかもそれが軍事通信だけじゃなくて、商業通信までキャッチしていると言われています。いわゆるこの象のオリは、この象のオリだけじゃなくて、青森の三沢、グァム、ハワイ、そういったものと有機的に結びついて、電波の発信場所の確定とその内容の解読、それを主な業務としてこれまでなされてきたと言われていますし、また、そうであることは専門家も言っているし、専門家以外でも、常識的なことであります。
 実際、そういうことがなされているわけですが、それさえも言わない、知らないということは、土地を本当にこういう形で土地を取られているのが残念というか、くやしいということもあります。とりあえず、そういう通信施設は、象のオリは諜報施設であるということをちゃんとあなたたちも認識してほしいということであります。

 そして、6番目にいきます。6番目には国防通信沖縄分隊が使用しているということを、第1回目の説明で言われていたんですが、国防通信沖縄分遣隊は、米軍の陸・海・空・海兵隊のいずれに属している部隊なのか。楚辺通信所に配置されている隊員は何名か。お答えいただきたい。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 ただいまの国防通信沖縄分遣隊は、米軍の陸・海・空、海兵隊のいずれに属している部隊なのか。楚辺通信所に配置されている隊員は何名かとの事項についてお答えいたします。

 国防通信沖縄分遣隊は、国防省直轄部隊であり、約60名の人員が配置されていると承知しております。

○当山会長

 知花さん、どうぞ。

○地権者(知花昌一)

 ここも承知しているということで、おそらく米軍の言っていることをそのままうのみに答えているような感じですが、私たちの質問は陸・海・空、海兵隊いずれの部隊に属するかということを質問しているのであって、国防省直轄部隊という部隊が、沖縄に存在すること自体が意味が分からない。もし、国防省の直轄部隊が沖縄にいるということであれば、その根拠は何か。陸・海・空以外に国防省直轄部隊がいるというその理由は、根拠は何なのか、それをお答えいただきたい。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 私どもが本件に関しまして、承知しておるのは先ほどお答えしたとおりでございます。今、このご質問の内容については、私ども承知してございません。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 代理の阿波根ですけど。この分遣隊ですね、60人配置されていると言っていますよね。これは沖縄に60名がいるということなんですけれども、これは象のオリの中に60名いるということなんですか。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 先ほど申しましたが、約60名の人員が配置されているというふうに承知しております。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 楚辺通信所だけに60人も配置されているんでしょうか。それとも嘉手納飛行場かどこかにも、その分遣隊というのがあって、その一部が楚辺通信所にも派遣されているという、そういうことなのかを教えていただきたいということです。

○当山会長

 どうなんでしょうか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 私どもが承知していますことでお答えできることは、60名につきましては、国防省の職員であり駐留軍従業員の方々であり、その他米国政府の業務を委託されている方々が配置されているというふうに承知しております。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 全く承知してないと思うんです。さっぱり何を承知しているのか、分かりません。私も承知できません、それは、あなたも承知してないと思うんです。要するに、60人、分遣隊が楚辺通信所にいるんですか、いないんですかということなんですよ。ほかのところにいるんですか、そこだけにいるんですかということを聞いているわけです。

○当山会長

 ちょっと引き取りましょうか。

 求釈明に対する釈明で、60人の人員が配置されていると、書いてあるものですから、質問は楚辺通信所に配置されている隊員は何名かという質問なものですから、それに対する答えとみてよろしいんですかという趣旨ですね。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 もう一度申し上げますが、国防通信沖縄分遣隊は国防省の直轄部隊であり、現在60名の人員が配置されているということでございます。

○当山会長

 分遣隊というものについてだけ、これだけ答えられる趣旨というですかね。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 ここにございますが、陸・海・空のいずれに属している部隊なのかということと、楚辺通信所に配置されている隊員は何名かという、2点の問題についてお答えしているつもりでございます。

○当山会長

 だからその60名というのは、楚辺通信所に60名いると、聞いてよろしいですかねという趣旨ですが。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 私どもは、60名の人員が楚辺通信所に配置されているというふうに聞いております。

○当山会長

 そういう意味ではちょっと、質問と噛み合ったんだけど、どうなのか、分からない?一応、これは前に・・・

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 いや、もう休憩にしてもらってもいいんですけどね。ちょっと頭を冷やしてもらって。簡単なことなんですよ。

○当山会長

 同じことを繰り返しているので。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 要するに、60人はそんなにいないんじゃないかと思っているわけです。あんなところに・・・。

○当山会長

 ですから、答えが今のお答えなので、答えがおかしいかどうか今度は意見になってきますから、とりあえず楚辺通信所に60名配置されているというお答えととらえていいんじゃないですか。答えとしては。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 いや、それはもう少し考えて言ったほうがいいんじゃないですか。間違ったことでは困るはずです。

○当山会長

 考えてまた言うというふうな感じじゃないですよ。もう、皆さん意見としておかしいんじゃないかというんだったら、それは意見として出されたらどうですか。それじゃ、もう一つ、7番までいきましょう。

○地権者(知花昌一)

 もう一つ、はっきりしてないのは、日米安保条約においては陸・海・空の3軍が、日本に駐留することを認めているわけです。ところが、国防省というものがいる、直轄部隊がいるということ、これはどこで規定されているのかということです。これだけは聞きたいです。

○当山会長

 はい、施設局どうぞ。これは求釈明事項のどれにあたりますか。

○地権者(知花昌一)

 6番です。

○当山会長

 6番の答えとしては、出ているわけですけど、それに関連するわけですね。

○地権者(知花昌一)

 そうです。

○当山会長

 はい、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 求釈明の事項についてのお答えは、先ほど来お答えしているとおりでございます。本件、追加でご質問あったことに関しましては、私は承知してございません。

○当山会長

 これはこうしてもらいましょう。今、ここで改めてまたこれを聞いても答えは出てきませんので、ちょっと検討してもらいましょう。

○地権者(知花昌一)

 国防省の直轄部隊がどうして沖縄にいるか分からないということで、一応、今のところ理解して、ちゃんとあとで答えてほしいと思います。

 一応、意見ですが、実は国防省の直轄の組織CIAが、復帰前は読谷村のトリイ通信施設にいました。ところが、これは日本復帰と同時に、1972年と同時に撤去されています。なぜかと言うと、国防省はその安保条約においては、国防省の組織というのは沖縄に、日本にいることはできないということで、CIAは早々と撤回したわけです。そして、国頭村奥間にあったボイス・オブ・アメリカ(VOA)ですね。これも撤去されています。これも国防省の謀略放送でしたが、これも撤去されています。そういった意味では、国防省、安保条約で規定された陸・海・空以外のアメリカの政府の機関、部隊等に関しては、安保条約上じゃないということで早々と撤退した経緯があるわけです。それが今、残っていたのか、あとできたのか分かりませんが、今いるということ、これ自体も大きな問題だと。その国防省の沖縄分遣隊本部はどこにあるかということも、重ねて次の回に答えていただきたいと思います。
 それと、関連してですが、1998年の6月1日をもって部隊は解隊したということであるのですが、これは国防通信沖縄分遣隊が配備され、いっていることを言っているんですが、民間会社が委託管理をしているということが言われているわけです。これは1998年6月3日の米太平洋軍の機関誌「星条旗」によって、象のオリのチャールズ・ウイリアム中佐というのが発言をしているわけです。各新聞、マスコミ等でも報じられています。ということは、これは民間会社がやっているということです。大体調べたところ、その民間会社はマーティン・マリュック・エアロスベース社ということが分かりました。これは主に商業通信の傍受をしていて、それら情報を販売したりしている会社でもあります。今、ロッキード社に併合されて、子会社になっているわけですが、これが管理しているということです。これは承知しているでしょうね。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 質問内容の確認でございますが、求釈明項目の中に9番に、こういった内容のご質問があるんですが、それと同じということで受け取ってよろしゅうございますでしょうか。

○地権者(知花昌一)

 いいです。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 1997年当時、楚辺通信所は米海軍保全保障グループが管理していると言われていたがそのとおりかという項目と、NSGAいわゆる米海軍安全保障グループですが、1997年9月10日に解任式が行われたとの報道があるが、実際に解隊したのかという項目がございますが、お答えはその求釈明事項に対するお答えということでよろしゅうございますか。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 これについて、あとで、また別の観点から質問させていただきたいと思います。

○当山会長

 今のは違う質問だという趣旨ですか。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 はい。

○当山会長

 違う質問みたいですね。ちょっと小休止しましょう。お互いちょっと頭冷やしましょう。15分ほど休みをとりまして、3時から再び開始したいと思います。

○当山会長

 それでは、よろしいでしょうか。3時になりましたので、再開したいと思います。それでは、各論部分で知花さんからご意見あるようですので、よろしくお願いいたします。

○地権者(知花昌一)

 6番なんですが、この6番に対する回答は、これは現在、「国防通信沖縄分遣隊」が使用としているということになっているんだけど、私たちが調べたところは、米国の民間会社が管理しているというふうに認識しているんだけど、そうではないのか、ということです。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 釈明項目の説明につきましては、先ほどもお答えしたとおりでございます。民間の関係のお話もございましたけれども、私どもそのことについては承知してございません。

○地権者(知花昌一)

 「国防通信沖縄分遣隊」が使っているのか、あるいはアメリカの民間会社が管理使用しているのか、それも分からないということで理解していいんでしょうか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 先ほども追加のご説明の中に、60名のお話の内容をちょっとお話ししましたが、国防省の職員、あるいは駐留軍従業員の方々、あるいは米国政府のという方々が配置されているというふうに承知しておるだけでございます。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 ちょっと11ページの回答文を見ているんですけど、言葉をはっきりしてもらいたいんです。4行目に国防通信沖縄分遣隊は、国防省直轄部隊であり、約60名の人員が配置されていると書いてあるんですね。人員というのは何だろう。要するに、人員というのは兵員なのか、民間人なのか何なのか、何なのかよく分からなくて、そこでどうなんだろうということをお聞きしているわけです。先ほど軍人というような感じも聞こえるし、国防省の要員ということも使っているんですけど、この60人の中身は何だろうと、ほとんど民間人じゃないでしょうかということも聞いているわけですよ。そこらへん分かりませんでしょうか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 ただいまのご質問のありました内容につきましては、先ほど来申し上げておりますが、60名の方々は国防省職員、駐留軍従業員の方々、それからの米国政府の委託従業員で構成されているということを承知しているだけでごさいます。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 職員でしょう。もう一度しっかりおっしゃってください。言葉が速過ぎて分かりにくいんです。職員ですよね。国防省の職員とおっしゃいましたね。それから、米軍の従業員ということも言っていましたね。委託先の職員とも言っていましたね。ちょっと分かりやすくおっしゃってもらえませんか、はっきりと。

○当山会長

 聞き取れなかったという意味ですか。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 そうです。聞き取れなかったものですから、はっきりさせてください。

○当山会長

 ちょっとマイクの調子もありますので、じゃ、もう一度お願いいたします。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 もう一度お答え申し上げます。6番の求釈明事項としまして、楚辺通信所に配置されている人員のお尋ねがございますので、私どもは約60人の人員が配置されているというふうにお答えをしております。関連でのお話がございましたので、その関連で国防省の職員、あるいは駐留軍従業員の方々、米国政府の委託職員で60名が構成されているというふうにお話し申し上げているところでございます。

○当山会長

 はい、どうぞ。質問を。

○地権者(知花昌一)

 大体分かってきました。
 国防通信沖縄分遣隊というのは、陸・海・空、海兵隊に属さない組織であるということになるということでそれを承知して、次に進んでいきたいと思います。

 7番目です。1995年の少女の事件を契機に、私たちは二度とこういう悲しい事故を起こさないということで、米軍基地撤去闘争を闘いました。そういう中で日米政府は、そういう沖縄の闘いを押しとどめるためにやったのが、この日米特別行動委員会(SACO)であると認識しています。そういうSACOの最終報告が出されて、そしてこれは括弧付きですが、平成12年の未までをめどに返還するということが、SACOではあるわけです。これは、日米政府の正式な合意である以上、政府はそれに向かって実現するために努力をするのは当然だと思うのですが、今までいかなる努力をしてきたのか、これをまず尋ねたいと思います。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 それでは、ただいまのSACO最終報告は、日米両国政府間の正式な合意である。政府間の正式な合意は、当然、履行されるべきである。起業者は平成12年度末までを目途に返還するために、いかなる努力をしてきたのか、との項目についてお答え申し上げます。

 楚辺通信所については、SACOの最終報告において、アンテナ施設及び関連支援施設がキャンプ・ハンセンに移設されたあとに、平成12年度末までを目途に返還することになっています。本件については、同通信所のアンテナ施設及び関連支援施設のキャンプ・ハンセンヘの移設について、移設先となる金武町のご理解を得るべく、その調整に努力をしてきたところ、平成11年3月に同町のご理解が得られたことから、同年4月日米合同委員会において、同通信所の返還に関し基本的な合意を行ったところであります。また、米軍との間においては、具体的な移設場所並びに局舎及び道路等の配置などに関する調整に努力したところであります。概ねその調整を了し、現在、移設にかかる細部について調整を行っているところでございます。

○地権者(知花昌一)

 金武町の理解が得られたという言い方をされていますけど、これは当時、向こうでは反対運動もあります。そういう中での動きだと思うんですが、金武町の理解が得られたということは、これは文書で金武町は回答してきたということですか。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 私どもの、調整の経緯につきましては、相手等もあることですから、回答を控えさせていただきますが、いずれにしましても7についてのご説明につきましては、先ほど来申し上げているところでございます。

○当山会長

 知花さんどうぞ。

○地権者(知花昌一)

 文書があるのかどうか、それも確認はしてないと。合意をしていると理解しているというだけで、その文書があるかどうかも確認してないということですか。それともしているけど、言えないということですか。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 先ほど来、先ほども申し上げましたように、地元調整事項については相手もあることですから、ここでご答弁を差し控えさせていただきます。いずれにしましても、金武町のご理解を得、先ほど申しましたような米軍との調整を行い、細部について調整を行っていくところであります。

○当山会長

 知花さんどうぞ。

○地権者(知花昌一)

 僕は、ここで議員をしているんですが、金武町の理解が得られたということは、金武町長の答弁であるのか、議会であるのか、どの範囲で今、現在なされているか、それをお尋ねしたい。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 本件につきましては、相手とのことがございます関係で、答弁は差し控えます。

○当山会長

 ちょっと引き取らせていただけますかね。

 例えば、期間との兼ね合い等もありますので、一体どのへんまで進んで、今後どういう見込みなのかというのは、ある程度、収用委員会としでも非常に関心のあるところなんですよね。ですから、もし、特に差し支えがあるというんだったら別ですけど、そうでなければそこでそれで終わりというんじゃなくて、ちょっとご検討いただけないですか。
 相手との兼ね合いで差し支えがあると言われたら、それ以上進めないんですけど、どの程度進んでいて、今後、どういう進み方をして、それで4年2カ月なんだというふうになると思うんですよ。そのへん、何らかの追加のご説明があるんでしょうか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 求釈明事項の12番に、使用期間を4年2カ月とした理由は何かというご質問がございます。今、会長さんのお話、その件にかかわるお話かと思いますが、いずれにしましても求釈明項目の7の件に関しましては、先ほど来申し上げてありますように、平成11年3月に移設先となる金武町さんのご理解を得、その後、米側との調整を続け、槻ねその調整を了し、現在、移設にかかる細部について調整を行っていくということでございます。

○当山会長

 はい、知花さん。

○地権者(知花昌一)

 政府は今度の3月31日に返すと約束しているわけですから、それができないということだったら、ちゃんと説明をする、いわゆる説明責任があると思います。そういった意味では、細かく聞いているんですが、これは僕の土地の使用の移動の状況を含めて、いろんな問題が出てきますので聞いているわけです。

 もう一つですが、細部について米軍と調整を行っていると、細部というふうに非常に曖昧、細かいとは書いてあるんだけど、曖昧な形で表現しているんですが、これはほかのところはその場所とか、いろいろなことが別のところで書かれているんですが、細部について調整を行っていると、細部とはどういうことですか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 7番の関連事項のご質問として承りますが、移設にかかる細部についての調整ということでございますが、細部と言いますのは、移設する先でつくる建物内部の部屋の配置等に関することでございます。

○当山会長

 知花さん、どうぞ。

○地権者(知花昌一)

 米軍との調整は概ね完了しているということですが、金武町との調整はどこでなされているのか、金武町は理解が得られたとは言っているんですが、金武町との調整はされているのか、どこまでされているのか、これを聞きたい。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 先ほどご説明してあるとおりでございまして、11年の3月に金武町の同意を得られてございます。

○当山会長

 ちょっともう、これ別の観点からやってくれませんかね。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 日米合同委員会で、返還に対して基本的合意が平成11年の4月になされたということですけど、これは文書はお手元にございますでしょうか、合同委員会の議事録。

○当山会長

 これは施設局への質問ですよね。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 はい。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 合意の文書は手持ちにはございません。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 施設局のほうでこれは入手することはできませんか。収用委員会に出せませんか。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 今のお尋ねですが、楚辺通信所のアンテナ施設及び関連支援施設をキャンプ・ハンセンのオストリッチ地区に移設をしたあと、同通信所を返還するということの合意内容であるということをご説明申し上げております。

○当山会長

 説明をするという趣旨ですね。今、ちょっと噛み合っていないかもしれません。文書を出せますかという趣旨ですか。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 そういうことですよ。

○当山会長

 内容を説明してくれというのとは違う‥・

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 いやいや、入手して収用委員会に提出できませんかということです。

○当山会長

 施設局、どうですか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 私、大変恐縮でございますが、合同委員会の合意文書は基本的に対外公表なされてないというふうにございますが、ここは即答できませんので、後日、持ち帰りましてご説明したいと思います。

○当山会長

 はい、そうしてください。次の質問どうぞ。

○地権者(知花昌一)

 7番に関連して、8番の質問条項ですが、「米軍と関係機関と具体的移設場所及び工事の内容等の調整に予想以上の日時を要している」と。移設場所についてはどこを想定し、だれとどのような協議をしたのか。調整の結果はどうなったのかということをお聞きしたいということです。

 もう一つは、移設工事についてはどのような工事を想定しているのか。工事の内容をだれとどのような調整をしたのか。調整した結果はどうなっているか。なぜ、調整が整われていないのか、ということを質問します。

○当山会長

 はい、施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 まず、8番目の一つ目でございますが、米軍と関係機関と具体的移設場所及び工事の内容等の調整に予想以上の日時を要したとあるが、移設場所についてはどこを想定し、だれとどのような協議をしたのか。調整の結果はどうなったのか。なぜ、調整できていないのか、との事項についてお答え申し上げます。

 楚辺通信所の移設については、キャンプ・ハンセン内のオストリッチ地区に移設することとして、その早期実現に向け、移設先である金武町のご理解を得るべく調整を行い、また、米軍との間において環境などに影響の少ない場所及び通信機能に配慮した局舎や、道路などの配置について調整し、場所につきましては、実は別途の図面をご用意していたわけですが、お手元にございますでしょうか。別途、収用委員会さんのほうに提出した文書に漆付してございますが、そこに示す場所に建設することとしてございます。

 8の二つ目の件でございますが、移設工事については、どのような工事を想定されていたのか。工事の内容をだれと、どのように調整したのか。調整した結果はどうなったのか。なぜ、調整が整わないのか、との事項についてお答え申し上げます。移設工事については、アンテナ、局舎及び道路などを想定したものであり、アンテナ、局舎及び道路などの配置計画等の基本的な内容について米軍側と調整を行い、概ね調整を了しているものであります。

○当山会長

 はい、質問者。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 このオストリッチ地区というところで、決まったということですけれども、これはどの程度、確実性がある決まり方なのか、金武町も確定的にお受けしたのか、米軍も確定的にお受けしたのか、間違いない場所なのか、そこらへんはどうでしょうか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 移設箇所につきましては、米軍、地元等々と調整を了しております。

○当山会長

 よろしいですか。次に移ってください。

○地権者代理人(弁護士新垣勉)

 収用委員会の皆さん、本当に長時間ご苦労さんです。

 収用委員会の審理は、大きく言うと二つの役割をもっております。

 一つは、社会的な役割であります。二つは直接、皆さんが職務を執行するにあたって重要な判断事項を入手するという点があります。これまでの質疑応答の中で、まず第1点目の収用委員会が社会的に果たす役割について、二つの問題点が浮き彫りになりました。

 一つは、今、問題になっている地位協定をめぐる問題、いかに不合理な地位協定の構造となっているかというのが、浮き彫りになりました。それは、何かと言いますと、収用委員会が本件審理を行うために、米軍基地内に立ち入りをして、被申請人とともに対象土地を確認したいという申し出に対して、米軍側及び日本政府が合同委員会の結果と称して、地主側の立ち入りを拒否した点であります。収用委員会の皆さんは、すでにご承知だと思いますけれども、地位協定の中には不十分なところがたくさんあります。その不十分な点については、日米合同委員会の協議事項という形で、様々な合意がなされています。本件に絞って言いますと、今、問題になっている立ち入りの問題について説明をいたしますと、合同委員会において、民事裁判手続きにおける合意事項というのがあります。もし、お手元に県が編集をした基地関係法令集があれば、その中に登載をされていますのでご覧いただきたいと思います。そこで決められていることは、裁判所から検証、あるいは裁判所の必要がある場合に米軍に対して基地内への立ち入りを求める場合には、米軍は立ち入りを許可する、こういう基本的な合意事項がなされています。ただ残念ながら、この合意事項は、裁判手続きを念頭においた合意事項になっているわけです。今、問題になっている収用委員会手続きにおける立ち入りというのは、正確に言いますと、裁判手続きではありませんので、この合意事項の直接の対象になるものではありません。

 しかし、言うまでもないことですけれども、収用委員会というのは準司法的な手続き、とりわけ国が収用申請者の一方となり、国民が被申請収用者となる場合には、まさに利害が対立する構造をもっているわけですから、そのような強制収用手続きの構造の中では、収用委員会というのは公平・中立で準司法的な役割を担うというふうに言われております。おそらく、当収用委員会もそのような理解のもとに、本件審理を進めていると思います。そうしますと、今回の立ち入りをめぐる問題で浮き彫りになったことは何かと言いますと、裁判手続きについて合意事項があるにもかかわらず、収用委員会の立ち入りについてはその合意事項を守らない、あるいは適用しないという問題であります。私たち地主の立場から言いますと、裁判に関する合意事項というのは、収用委員会の立ち入りについても当然に準用されるべきものだというふうに考えます。ところが、今回の先ほどのやりとりを見ていますと、どうも那覇防衛施設局の説明によると、これまでとられてきた立ち入りの手続きをとらずに、直接、防衛施設庁、外務省を経由して日米合同委員会で政治的な判断のもとに、立ち入りを拒否したということが明らかになりました。これは、準司法的な手続きであるにもかかわらず、政治的な判断を介して日米両政府に不都合な場合には、いとも簡単に地主側に立ち入りを拒否するということです。これこそがまさに、地位協定が今抱えている問題の大きな一つだと思います。

 実は、私たちこの収用手続き以外にも裁判で争っています。裁判所でも似たような問題があります。私たちは戦後50年間、米軍基地内に入って対象土地を確認をしたい、本当に国が主張するような使われ方をしているのか。その土地は米軍にとって本当に必要なのか。これを確認するために、裁判の中で検証の申し立てというのを行っております。ところが、この裁判においても、国のほうは基地の中には治外法権だと言ったり、あるいは米軍が絶対的な管理権をもっているので、裁判所といえども立ち入りができないんだと言ったり。あれこれの口実をつけて立ち入りを拒否する姿勢を示している。これは先ほど言いましたように、裁判手続きにおいては合同委員会の合意事項があるにもかかわらず、そのようなことをやっているわけです。私たちは厳しくこれを批判しておりますけれども、国側は巧みな言い逃れをしております。それはなぜかと言いますと、原告らが指摘をする合意事項というのは、地位協定18条の民事損害賠償請求事件についての合意であるから。例えば、裁決取り消し、解雇無効と、損害賠償請求事件以外の事件が、米軍をめぐる事件としてたくさん起きるわけです。そのような損害賠償請求事件以外の裁判手続きについては、合意をしていないのだから、立ち入れないんだと、こういう弁解をしております。

 しかし、これは明らかに詭弁であります。地位協定の中には、日本の法令尊重義務がはっきり明記をされておりますし、また、司法というのは、最も権威のある手続きを行うところでありますので、やはり日本政府も米軍も積極的に司法手続き、あるいは収用委員会の準司法手続きについては、積極的に協力をする条約上の義務を負っていると考えるのが、国民の常識でありますし、また、条約上もそのように解すべきものだと考えます。そういう意味では、立ち入りの問題は、直接皆さんが審理対象を判断する場合に、必要でない事項かもしれませんけれども、この収用委員会の毅然たる態度の中で、地位協定の問題点が非常に浮き彫りになりました。これは収用委員会が米軍に対して、地主の立ち入りを拒否したことに対して抗議をしたということは、高く評価をすべき問題だと思います。直接的な審理に関する問題ではないかもしれませんけれども、収用委員会の毅然たる態度が、地位協定をめぐる問題点を明らかにし、それを改善をする、それをなくす方向に動かす大きな原動力になっていることについて、ぜひ収用委員会の皆さんにも正しい受け止め方をしていただいて、根気強い審理を望みたいというふうに思います。

 それから第2点、先ほどから国側の釈明を聞いていると、非常に奇妙な思いを抱きます。それは何か、たえず米軍がこう言っているので、そのように承知をしております。これが一貫して国側のとっている態度であります。しかし、米軍が言っている言い分を伝えるだけでは何の意味ももたないと。私たちがここで指摘をしておきたいのは、日本政府には国民の代表として、政府の責任のもとに調査をし、米軍の実態について日本政府としての独自の見解を表明する責任があるという点です。これは、地位協定の中でご承知だと思いますけれども、日本政府は日米合同委員会の中で、基地を提供することができます。しかし、提供してあとはもう米軍の使いっ放しという行動には決してなってないということであります。つまり、米軍が使う必要がなくなった場合には、米軍は返さなければいけない規定になつています。これは何を意味するのかと言いますと、日本政府は日米合同委員会で基地を提供した後も、たえず日本政府の独自の立場で、米軍の基地の使用状況を責任をもって点検をし、日本政府の目から見て、もはや必要がないという結論を得た場合には、合同委員会にその旨意見を述べて返還をさせる、返還合意をする条約上の義務をもっている。このことは特に沖縄では非常に重要な意味をもっています。公害問題然り、様々な問題について、日本政府は条約上の基地提供国として、自分の責任において基地の実態を調査をすることを一切放棄をしている。ここに大きな問題があります。今回の収用委員会の審理の中でも、本来、政府は自らの責任で象のオリの実態調査をし、牧港補給基地の調査をし、日本政府の調査ではこうなっています。米軍はこう言っているけれども、私たちの見解は違います。はっきり言わなければいけない。何です。米軍がこう言っているということを伝えるだけ。これではメッセンジャーにしかすぎない。ここに大きな問題があると思います。ですから、収用委員会は単に米軍がこう言っているという政府の口を借りての主張に可を傾ける必要は私はないと思います。むしろ収用委員会としてやるべきなのは、国がちゃんと調査をして、その責任のもとに客観的な資料を出しなさい。皆さんがその資料を出しきれないというのであれば、単なる言い分として聞きおきますよと。そういう毅然とした態度をぜひ収用委員会にとっていただきたい。そういうふうに思います。

 それから、もう一つ大きな問題は、収用委員会が直接こういう審理をして、何を最も聞きたいのか、最もどういうことに関心があるのかという問題についてであります。ご承知のように収用委員会というのは、使用期間を決める権限を法律上もっております。そして、もう一つは補償金の金額を定める権限をもっております。

 まず、第1点目の使用期間を定める問題について言いますと、二つ問題があります。

 一つは、那覇防衛施設局の説明によると、象のオリは使用していると答えています。これが真実であるかどうかを見極めるのが一つの作業であります。しかし、注意深く見極めていただきたいと思いますのは、使用しているという意味は二つあります。

 一つは、施設がそこに存在して管理をして使っているという意味での使用であります。

 もう一つは、象のオリの通信施設を運用している。実際に機能を動かしているという意味での使用であります。

 先ほどから質問を聞いていますと、どの意味で国のほうが現在、象のオリは使用しているというのが、よく判然としません。私たち地主側は、以下のような事実から象のオリは運用されていない、単に管理をして使われているだけだというのが、地主側の意見であります。どのような根拠に基づいてそのように言えるのか。それはもうはっきりしています。
 新聞報道でも行われましたけれども、被告、国も釈明に対する答えの中で、自ら認めました。1998年まで象のオリを運用していたハンザ海軍通信保全群が、正式に解散をしたことを認めております。この98年というのは、思い起こしていただければ分かりませんけれども、SACOの最終合意が、日米安全保障協議委員会で承認をされて後、あのSACOの最終報告を受けて、一方の当事者であるアメリカ合衆国政府が象のオリを使っていた部隊を解散をしたわけです。ということは、アメリカにとってはもう、象のオリはいつでも返せる。そして、実際に使っていた部隊はもうそこから解散をして撤収をします。こういうことと考えるのが最も素直な見方であります。ところが、国の弁明は部隊は解散したけれども、別なところが使っているんだという言い逃れをしようとしているんですね。

 しかし、これは毎日象のオリの前を通る村民、特に被申請人、知花昌一氏にとっては、毎日そこを通行して目撃をしている事態です。実際には、管理をする米軍のシビリアンの車がほとんど止まっている。先ほど釈明の中で、60名の国防省通信沖縄分遣隊がいるというふうに答えました。ところが、これはごまかしがあるんですね。先ほどの再三の追求の中で、この鮒名というのは、国防省通信分遣隊の隊員ではなくて、隊員もいるかも分からないけれども、軍隊の従業員もいる。委託された者もいる。そうすると、その割合は何名なのか。60名のうち50名が民間の委託業者で、あと9名が米軍の従業員、残り一人が国防省通信沖縄分遣隊の正式の国家公務員だとしたら、どうしますか。これでも運用していると言えるんですか。私たちはこのような実態というのは、運用ではなくて管理のために使っているとみるのが自然だと思います。そういう意味で、那覇防衛施設局のほうは、沖縄分遣隊として60名いると言うけれども、そのうち民間の委託者が何名なのか。運用していると言われる国家公務員というのは何名なのか。きちっと収用委員会に説明をして、資料を提供する義務があると思いますし、収用委員会もぜひその点の資料の提出を求めていただく。

 それから、もう一つ、沖縄にはたくさんの基地があります。

 この国防省通信沖縄分遣隊というのは、嘉手納基地にいるかもしれません。普天間基地にいるかもしれません。象のオリとは全く関係なく駐留していることだって、あり得ることです。ところが、この点については、どこに駐留しているかという質問に対して全く答えていません。これはごまかしの釈明としか言いようがない。真面目に答えようというのであれば、象のオリを運用しているのは何名、民間の管理業者はどこどこで何名いる。きちっと答えられるはずであります。これは何も軍事機密ではありません。これが答えられないということは、先ほど言いましたようにすでに象のオリの実態は、運用を中止し、単に管理のための人数が駐在していると認めるのが相当だと思います。

 それから、もう一つ。先ほど、国防省通信沖縄分遣隊というのは、国防省の直轄部隊だという説明がありました。これは知花さんも指摘をしておりましたけれども、日米安保条約で提供した基地を使える使用者は限られています。陸軍、空軍、海軍、私たちは海兵隊は入らないというふうに考えていますけれども、仮に海軍が入るとすると、4軍だけです。4軍以外のものが沖縄の米軍基地を使うことは、安保条約上できない。使っている実態があれば、それは脱法行為と言うべきものだとはっきり言えるかと思います。おそらく、国のほうはそのへんまで配慮して、国防省の直轄部隊だと言いきったのかどうか。あるいは今頃、後悔しているのかもしれませんけれども、国防省の直轄部隊というのは、明らかに4軍とは違います。軍隊というのはそれぞれ厳しい指揮系統をもっており、それぞれの独自の指揮命令のもとに行動をしている組織であります。国防省の中には4軍以外にもたくさんの組織があり、機関があります。政府の主張によると、4軍以外でも国防省の所属する部署であれば、提供している米軍基地を自由に使えると、こういう思い上がった解釈があるのではないでしょうか。この問題は非常に重要だと思います。実は、沖縄の復帰から今日までの歴史を振り返ってみれば分かりますけれども、日米安保条約上では、3軍に基地を使用する主体が限られているということで、復帰のときにCIAは撤収をしました。これは条約上使えないから、撤収したんです。

 ところが、象のオリについては、98年に海軍のハンザ海軍通信保全群が解隊をされたあとに、脱法的に国防省直轄分遣隊なるものが、象のオリを使っていると言いわけをしている。これは言いわけ自身、けしからん言いわけですけれども、これ自体、安保条約を逸脱した違法なものだと言わなければならない。

 この2点はぜひ、収用委員会で厳しい認識をしていただきたい。この認識を得ることによって、どういう結論を収用委員会は得ることができるのか。それは使用期間の短縮です。これは皆さんの権限で判断できます。

 実際、過去同じような事例がありました。この近くに瀬名波通信所があります。新垣昇一さんが、そこに土地をもっております。前回の収用のときに私どもは、この新垣さんの土地というのは、米軍基地にとって不要な土地だから返還をしろというふうに言いました。収用委員会は現場を訪れ実態を調査をしたうえ、国側の申請期間を認めずに期間を短縮しました。その結果、新垣さんの土地は無事、期間満了前に返還をされました。これはそれまで国側が、新垣さんの土地はどうしても米軍基地のために必要だと言っていたことが、いかに虚構のものであったのかを現実に示していると言えます。
 同じようなことが、この象のオリについても起きているというのが、地主側の認識です。ですから、ぜひ象のオリの実態を見極めて、収用委員会の権限の範囲内で判断をぜひ導いていただきたい。こういうふうに思います。

 それから、もう一つ、質疑応答の中で明らかになったことがあります。それは収用委員会の当山会長がいみじくも指摘をしましたけれども、何のために国は、強制収用をしようとしているのか。その実質的な理由であります。これまで知花昌一さんは、お父さんが賃貸借契約をして20年間貸していました。ところが、契約期限が満了しても国は返さない。つまり、国民と政府との契約を国は守らなかつた。その後、SACO合意の中で、知花昌一さんの返還が2001年の3月末に返還することが合意されました。私どもはこれは日米安全保障協議委員会の承認事項だというふうに考えていましたけれども、先はどの説明によると、日米安全保障協議委員会の承認だけではなくて、日米合同委員会、これは地位協定上の正式の機関です。日米合同委員会において返還合意がなされたというふうに、先ほど釈明がありました。そうすると、日米安全保障協議委員会の単なる政府間の政治的な合意にとどまらず、地位協定上の日米合同委員会の正式な合意事項となっていることであります。これは国際法的には、国際法上の条約と同じ性格をもつものになります。ところが、日米両政府の国際法上の合意も、いとも簡単に今回また破ろうとしている。契約も破る、日米両政府の条約上の合意も破る。一体、国民は政府の何を信頼して、約束をすればいいんですか。何をしても結局、国は自分の都合で法を破る、これがこれまでの歩みです。そういう意味では、国のやり方は全く無謀としか言いようがない。

 事前に知花さんに交渉したと言いますけれども、ここにも虚偽があります。先ほど、知花さん自身が言っておりましたけれども、確かに来たと、来たけど貸してくれと言うだけで、何のために貸してくれ、どのぐらいの期間貸してくれというのかということに、全く話しをしない。これじゃ、話のしようがありませんというふうに、率直に答えていました。もう知花さんの立場というのは、周知の事実です。知花さんが反対をする理由は単純です。自分の土地を基地に使わせたくないから貸さないんです。もし、政府が象のオリはもう運用してません、使ってないんですけれども、取り壊すのに時間がかかります。土地をあなたに返すまでにちょっと時間がかかりますので、それまで待ってくださいませんかということであれば、知花さんは話し合いのテーブルにつくと思います。ところが、国のほうは依然として、象のオリは運用しているという口実をつけて、何とか強制収用の網をくぐり抜けようとしている。本当にけしからんことだと。

 私たちは事前の準備の中で、こういう笑い話をします。

 米軍は象のオリを取り壊してもいいんだけれども、取り壊してしまうと、代替施設をつくれというふうに尻をたたく人質をなくしてしまうので、米軍は返さないんだと。つまり象のオリは米軍が新しい代替施設を要求するために、人質に取られているんだと。こういう話をしました。私は、この話は的を射ていると思います。

 収用委員会の皆さんは、一体どのようにお考えでしょう。

 代替施設を金武町が受け入れるか、受け入れないか、これは別途の問題です。今、象のオリを使っているか、使っていないかが問題なんです。使っていなければ直ちに取り壊しをして、地主に返還をする。こういう態度をとるのが、政府としての当然とるべき道だと思います。ぜひ、この点についても収用委員会で厳しい判断をしていただきたい。こういうふうに思います。

 それから、もう一つは補償金の問題については、万が一のためにぜひ申し上げなければいけない問題です。幸い、知花さんの土地については、地目宅地となっているようですので、大きな問題はありませんけれども、補償金の算定について、那覇防衛施設局のほうは5%の中間利息を控除しろという主張しているんです。この5%の中間利息控除については、今の経済情勢を踏まえると、到底、合理性をもっているものとは言えないという点であります。私たち庶民の預金というのは、ほとんど0パーセントの金利しかない。補償金の中間控除は言うまでもなく、一括して受け取る補償金をまとめて運用することができるので、利益を得るはずです。その利益を得るはずだから、その分だけはあらかじめ払うときに差し引いておくよと。こういうことです。そうであるならば、今の経済実情を見極めて、低い中間利息控除率を設定するのが、社会情勢に合ったものだと思います。そういう意味で、ぜひ収用委員会においても、この点についてのご議論を尽くしていただきたい。こういうふうに思います。

 代理人の新垣からの意見としては、その程度に留めて意見を終わりたいと思います。

○当山会長

 はい、ご苦労様でございました。まだ、ご意見ございますか。知花さん、どうぞ。

○地権者(知花昌一)

 新垣代理人のおっしゃったように、象のオリが使用されているというふうに防衛施設庁は言っているんですが、それがどのように使用されているか。新しい代替施設をつくるために、その建設の間だけ管理をしているということのために使われているのか。あるいは、実際的に運用をされているのか。こういうことをもう少し、現場にいる僕のほうから質問をしたいと思います。1997年の当時、楚辺通信施設は、米海軍安全保障グループ、これはNSGAと呼んでいるんですが、それが管理をしていると言われているが、それはそのとおりか。

 もう一つは、そのNSGAは1997年の9月10日に解任式が行われています。これは実際にその部隊は解体したのか、このことを伺いたい。

○当山会長

 はい、施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 それでは、釈明事項の9番の一つ目と二つ目かと思います。

○当山会長

 すみみせん。質問事項を読むのは、もう結構ですので、答えのほうだけで。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 はい。楚辺通信所は、米軍安全保障グループが管理していると言われたが、そのとおりかということに関してお答えいたします。

 当時、楚辺通信所は、在沖米艦隊活動司令部管理のもと、ハンザ海軍通信保全群が使用していたと承知しております。

 二つ目でございますが、1997年9月10日に解任式が行われたとの報道があるが、実際に解隊したのかということに関してお答え申し上げますが、ハンザ海軍保全群は、平成10年6月1日付けで、その活動を廃止したと承知しております。以上であります。

○当山会長

 はい、知花さん、どうぞ。

○地権者(知花昌一)10番目ですが、NSGA米海軍安全保障グループが管理しているときと、現在、防衛施設庁が言っている国防通信沖縄分遣隊が使用している現在とは、通信業務の内容及び取り扱う業務は変化はしていないのか、同じなのかどうか。

○当山会長

 はい、施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 ただいまの件に関しまして、お答え申し上げます。

 ハンザ海軍保全群が使用していた当時と、使用状況に変更はないと承知しております。

○地権者(知花昌一)

 これも承知しているということで、承知というのは、どういう意味かというと聞き知っているというぐらいのものだと思うんですが、これも米軍からの受け売り、そのままだと思いますが、いわゆる海軍の管轄であります。ところが、それが国防省に変わったということで、完全な運用を含めてのことが、任務が違うはずです。ところが、業務は同じだというのは、理解できません。そういうことで、皆さんは承知しているということだけですが、調査はしてないのか。前の部隊が解隊する米海軍の安全保障グループと、今の国防通信沖縄分遣隊との任務の違いを調査したことはあるのかどうか、このへん伺います。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 今の件に関しましても、先ほど10番でお答えしましたとおりでございます。

○当山会長

 知花さん。

○地権者(知花昌一)

 あまり進まないようですが、いつも承知しているということで、主体性をもって調査をして説明してほしいと思います。11番いきますが、トリイ通信施設と楚辺通信施設は、以前はケーブル線で連結されていたと。現在も両施設はケーブルで繋がっているかということを質問ですが、答えてください。

○当山会長

 施設局どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 本件の項目事項につきましては、この2月19日収用委員会のほうに提出した文書で審理に馴染まない旨、お答えさせていただいております。

○当山会長

 知花さん。

○地権者(知花昌一)

 馴染まないという回答ですが、私はこの楚辺通信所が今ちゃんと運用しているかどうかについて重要なものだと思っております。皆さんご存じないかもしれませんが、象のオリの所在地は読谷村波平であります。波平というと、沖縄語ではハンザと呼びます。ところが、波平のある通信施設を楚辺というふうに名前を付けてあります。これはなぜかと言いますと、トリイ通信施設は読谷村楚辺にあります。この楚辺のあるトリイ通信施設の一体とした施設としてつくられたのが、象のオリであります。だから、象のオリは波平にありながら、楚辺通信所という名前が付いたわけです。そういった意味で、楚辺通信所とトリイ通信施設は、不離一体のものとしてこれまで使われてきました。そういった意味で、その楚辺通信所とトリイ通信所が結ばれているのは、地下ケーブルだけであります。それが存在するかどうか、これは非常に重要な意味をもっています。それに対して審理に馴染まないという形で切ってしまうということは、それに答えられない、運用してないという判断を私たちはするしかないと思いますが、もう一度本当に審理に馴染まないものと思っているのか、答えてください。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 先ほどお答えしたとおりでございます。

○地権者(知花昌一)

 1961年にトリイ通信施設に4軍統合諜報処理センターというのがつくられました。象のオリの処理を地下ケーブルを通して情報をトリイにもっていって、そして諜報処理センターの中で処理をしている。そういうことがなされてきたわけです。そういった意味では、さっきも言ったんですが、トリイ通信施設と象のオリ楚辺通信施設は、不離一体のものとしてアメリカは見ていたわけですが、それが審理に馴染まないということで答えもしないということは、私としてはこれは楚辺通信所は、トリイと一体として機能してないというふうに理解をするしかないと思っております。

 そして、12番いきます。

 使用の期間を4年2カ月とした理由は何か。4年2カ月後には確実に土地を所有者に返還することの約束はできるかということです、答えてください。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 釈明項目の12でございますので、この項目についてお答え申し上げます。

 楚辺通信所として使用している土地を、所有者に返還するためには、アンテナ施設、及び関連支援施設のキャンプ・ハンセンへの移設工事、当該移設工事完成後に行う既存施設の物件撤去工事等が必要となりますが、これら工事に要する期間を考慮し、使用期間を4年2カ月としたものであり、期間内で土地所有者に返還できるものと考えております。

○地権者(知花昌一)

  考えているということですが、SACOのときも2001年の3月31日に返還するということであったんですが、われわれ信用できません。象のオリの施設が移設が完了するのは何年後と計画しているのか、そして、これは移設をしただけですそ済むわけではないのですが、その象のオリの撤去、そして返還に至るものに関して、どのぐらいの期間がかかると予定しているのか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 12番の関連事項のご質問ということで、お答え申し上げますが、平成13年度から順次、環境保全対策、あるいは移設先についてでございますが、移設先で造成工事、道路、局舎、及び通信機器などの移設工事を行ったうえで、完了したうえで、既存建物の撤去などの返還にかかる工事を、平成17年5月までに了する予定でございます。

○地権者(知花昌一)

 あまり具体的に答えてないんですが、そんなことは知っているんですが。何年そらい、13年から一応始めるということですが、これは移設に関して何年に終了し、また、撤去作業を何年そらいかかると予定しているのか、そのぐらいの計画はちゃんと皆さんやっていると思いますが、それをちょっと明らかにしてほしい。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 お尋ねの件でございますが、お答えは移設工事、返還のための工事も含めまして、平成17年5月を予定しておるということを申し上げさせていただきます。

○当山会長

 要するに細かい点は、まだ分からないという趣旨ですか。それとも、準備をきょうは、してないという趣旨ですか。

 ちょっと引き取りますけど、収用委員会も非常に興味のあるところの一つなんですが、実は、前回、収用はいつまで使いたいと、それまでには可能だからということで、収用委員会は一応終了したわけですね。にもかかわらず、もう1回来ているということは、それなりの確実性があることで、4年2カ月ということで出ていると思うんですが、そのへんの細かいところは、今、この場でご存じないという意味ですか。それとも申し上げられないという趣旨ですか。どういうことですか。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 お答えしますが、私どもとしましては、先ほど来申してますように、移設工事及び返還に伴う工事を含めまして、4年2カ月の期間が必要というふうにお答え申し上げておるわけでございます。

○当山会長

 はい、知花さん。

○地権者(知花昌一)

 これは、一応、政府がやるわけです。ちゃんと計画を立ててどういうスケジュールで移設をし、そして環境整備も含めてやりながら、そして何年頃にはちゃんと移設をし、そしてまた何年から何年間、何カ月かかって撤去作業もできて、復元もちゃんとできるということのシミュレーションなどもやるべきです。また、やらないとそういう計画などできないはずです。そして、今、言われたんですが、平成17年の5月までには返還できる予定であると。またも予定というものしか入りません。そういった意味では、収用委員会のほうも非常に関心をもっておられるようなことですので、そういう具体的なことを言わないと、いつもあなたたちは騙してきているから、またこういうことになるんじゃないかと思います。そういった意味では、本当に具体的な資料があるはずです。それぐらいの計画はなされているはずです。その計画を提出してください。できますか。

○当山会長

 今のは質問?、意見?

○地権者(知花昌一)

 いや、今のは質問です。提出できるかどうか。あるはずです、そんなものは。

○当山会長

 施設局、どうぞ。

○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)

 私は先ほど来、申し上げてますが、4年2カ月の期間内に土地所有者に返還できるものと考えております。

○地権者(知花昌一)

 計画書があったら、提出……

○当山会長

 こういうふうに引き取りましょうかね。ちょっと平行線なので、むしろ収用委員会自体で、まだ検討しておりませんので、近々、委員会を開いて、場合によっては、必要な求釈明事項というのをまとめて提示したいと思っております。ですからそのへんはもう、このへんで打ち切られてご意見を伺いして、収用委員会は収用委員会独自に求釈明、また必要事項はまとめたいと思っております。

 じゃ、総括のご意見いただけますか。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 本人から意見がきょうで、次回出席できないものだから、きょう意見陳述したいという希望です。

○当山会長

 結構ですよ。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 総括的な意見陳述は、次回にまとめてやりました。ほとんど新垣弁護士が言ったのを中心ですので。はい。

○当山会長

 それでは、次回期日でよろしいですか。決めるのは。今、総括意見おっしゃる?次回にやるんでしょう。

○地権者(知花昌一)

 次回です。

○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)

 次回にやるそうです。

○当山会長

 次回にね。それで、次回期日をこれまでいろいろ調整してきましたが、第3回の公開審理は3月27日、火曜日、午後1時30分から4時まで、浦添社会福祉センター3階、大研修室で行います。ということで、大変お疲れさまでございました。本日はこれで審理を終了したいと思います。ご苦労様でした。


沖縄県収用委員会 公開審理 (2001年)