DUCJメーリングリストより

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[ducj 344] 2000年12月27日
国防総省がいわゆる湾岸戦争症候群の原因調査のレポートの一つとして公表している劣化ウラン弾の環境への影響の報告書のバージョン2が出されました。
http://www.gulflink.osd.mil/du_ii/index.htm Environmental Exposure Report Depleted Uranium in the Gulf (II)
結論は最初から見えているのですが、要するに劣化ウラン弾は症候群の原因とは考えられない、というもの。自分に都合の悪いことは書かないというのは、どこの国のお役所でも同じですが、この報告書は非常に包括的なもので、資料集として役に立ちます。下にこの報告書から日本に関係の深い「ファランクス」システムの記述を引用。「ファランクス」の性能諸元については、
http://www.gulflink.osd.mil/du_ii/du_ii_refs/n52en229/wep-phal.html で見てください。

[ducj 350] 2001年1月7日
欧州で「バルカン症候群」が大きな問題になっていることに、国防総省での記者会見で質問が集中。長いのでここではハイライトだけ転載。全文(目を通す価値あり)は
http://www.defenselink.mil/news/briefings.html から、以下の日付のものを見て下さい。イタリアが劣化ウラン弾のモラトリアム(つまり使用停止)を要求しているがと尋ねられて、ベーコン報道官(「テレビより安全」男)は、これを拒否。なぜなら劣化ウランは2つの点で「米軍兵士を守っている」から。一つは湾岸戦争で劣化ウラン弾は装甲車を完全に破壊した。一方で劣化ウランの装甲を施した戦車は、「ただの1台もイラク軍に破壊されなかった」と。なぜ欧州で劣化ウランがこんなに問題になっていると思うかと聞かれて、報道官は「ミロセビッチの陣営の作っているホームページを見てみろ。劣化ウランのことばかりだ」と、欧州がサダムとミロセビッチの宣伝に踊らされていると陰謀説を展開。冷戦時代に「反核運動は後ろにソ連がいる」と言っていたのと同じパターン。どんな組織や個人でもそうですが、いったん陰謀説にはまってしまうと真相究明どころか、なんでも「陰謀」のレッテル貼りで「解決」してしまうので目を覚ますのが大変。問題は拡大しそう。
(中略)
UNEPのコソボでの劣化ウラン弾のレポート
the Balkans Task Force report on Depleted Uranium (October 1999):
The potential effects on human health and the environment arising from
possible use of depleted uranium during the 1999 Kosovo conflict, 76p.(du_final_report.pdf,590KB).は http://www.unep.ch/balkans/_files/du_final_report.pdf
からPDFファイルとして入手できますが、今となっては古いし、当時としても十分な情報に基づくものでない。
 現在このフォローアップとしてUNEPは2000年11月にも現地でDUが使用された地点で土壌やDU弾破片などを持ち帰り、現在分析中で今年の3月には分析結果が公表されるとのこと。
この件についてのUNEPのプレスリリースが
http://www.unep.ch/balkans/press/press010105.html に。

[ducj 367] 2001年1月19日/[ducj 370] 1月21日
 ヨーロッパが劣化ウラン弾で大騒ぎするのは「地元」として当然。しかし97年に日本で使われていることが発覚したウラン弾、あの鳥島はどうなったのか。どうして日本で何の報道もないのか。
「那覇発−バルカンで使用された放射性弾頭に関する騒ぎは、ここ沖縄の住民に奇異の念を抱かせている。なぜ我々の劣化ウラン弾に関する苦情が無視され続けているのか」・・・・という書き出しで始まる以下の記事。これを書いているのが、日本の新聞でなく、沖縄の地元紙でもない。太平洋米軍の(準)機関紙であることが我々に「奇異の念を抱かせる」。
「劣化ウラン弾問題、沖縄の目」訳、転送可
Stars & Stripes 2001年1月16日火曜日
沖縄は劣化ウラン弾薬を心配していた デヴィッド・アレンによる 沖縄局長
那覇…バルカンで使用される放射性弾薬についての論争は沖縄の人々に、彼らが訴えている劣化ウラン弾に関する苦情がなぜ無視されているのかと疑問を抱かせる.1997年に, 在沖米海軍の AV-8B ハリアーは鳥島の射撃場, 誤って1,520個の劣化ウラン弾を発射した。鳥島は沖縄本島から62マイル西の無人島.沖縄県知事はアメリカが事件を報告までに一年かかったことに憤慨した.沖縄は即時の環境調査を要求した.「鳥島の自然環境への劣化ウランの被害調査は劣化ウラン弾の射撃が島であったことが分かった年以来, 続けられている.」と, 県庁の沖縄県米軍窓口事務所の山田よしひとさんは言った.
「調査は次の会計年度中も続けられるだろう.」
「今までのところ日本国政府によって発表されている調査報告によると, 環境への被害はまったく見つけられなかった.」
彼は, 東京(政府)は近くの島に居住する人も調査するようにという沖縄の要求に応じなかったと言った.バルカン症候群の報告にも鑑み、最も近い久米島の居住者に対しても、島の環境調査とともに、もう一度政府による健康診断を要求するつもりであると山田さんは言った.
劣化ウラン弾射撃は1999年にコソボで手広く使用された.劣化ウランは普通のウランより低い放射能がある重金属である.それは高密度で分厚い装甲車をすばらしく貫くことができる.長年, ペンタゴンは, 劣化ウラン射撃の取り扱いが健康への問題が起きることを否定してきた。しかし、NATOの爆撃で爆弾の爆発にさらされたイタリアの退役軍人の間に説明出来ない癌が多発している。バルカンの病気が報告されてから, 山田さんは環境と健康調査の新しい要求は出していない.彼は,6月に南日本にある西原廃品置場におよそ500個の劣化ウラン弾の薬きょうが見つかったことについて政府からの回答はないと言った。薬きょうはおよそ6年前に廃物の金属として廃品の業者によって米軍から買われた資材置き場で発見された.「しかし, 廃品の業者が汚染されたものをどうすることができるのか.」と, 山田さんは言った.
「その弾丸が鳥島で使用されたかどうかは、証拠がないのでわからない.」確信はない.「我々は, それがどこかほかの場所でつかわれたかもしれないという疑いを持っている.」「我々は, これらの弾丸がどこから持ち込まれたのか見つけなければならない.」住田ちよみさんがこの報告に協力した.

[ducj 402] 2001年2月20日
2月26日の日本反核法律家協会の学習会、結局、私が受けることになりました。特に危険性と日本での事件について話します。また、専門家集団に(法律家)期待する(是非やっていただきたいこと)にもふれてほしいと言われました。
皆様のご意見、お聞かせ下さい。
それと、教えていただきたいのですが、
1、日本で劣化ウランの取り扱いが規定されている法律の正式な名称と内容(要点)及びそれを扱う役所名
2、その規定と自衛隊、米軍との関わり
3、カレン・パーカーが、国際法上ですでに規定されているという法律名とその機関名

[ducj 404] 2001年2月20日
1、日本で劣化ウランの取り扱いが規定されている法律の正式な名称と内容(要点)及びそれを扱う役所名
 関係法令のうち、主なもの
原子力基本法
核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令
核燃料物質、核原料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)
実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則
実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量等量限度を定める件
 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律

 実用発電用原子炉(原発)ならびに一部の核燃料サイクル施設においては、所管は経済産業省で、一部研究用施設並びに核燃料サイクル開発機構の所有する核燃料サイクル施設については文部科学省、輸送関係については運輸交通省が関係すると思うのですが、このへんは省庁再編に関連した変更をちゃんとつかんでいないので分かりません。一部を除き法令や法律の条文ごとに所管が変わると言うことではありません。どこが、どのような目的で取り扱っているかという観点でかわります。
 原子力基本法には第二条に自主、民主、公開の原則がうたわれています。また、第三条には定義が規定されていて、 そのうち核燃料物質は政令で定めるとなっています。
  その政令は「核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令」で、これにより規定されています。
その第一条第二項には「ウラン235のウラン238に対する比率が天然の混合率に達しないウラン及びその化合物」を核燃料物質という規定があり、すなわち劣化ウランを指します。
 この核燃料物質についてのさらなる規定は、今度は使用に際してのものとなり、これは「核燃料物質、核原料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)」などに定めがあります。様々な規定がありますが、劣化ウラン弾として最も重要な規定といえるのはその目的です。第一条をそのまま引用します。
 「この法律は、原子力基本法(昭和30年法律第186号)の精神にのつとり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られ、かつ、これらの利用が計画的に行われることを確保するとともに、これらによる災害を防止し、及び核燃料物質を防護して、公共の安全を図るために、製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設備及び運転等に関する必要な規制等を行うほか、原子力の利用等に関する条約その他の国際約束を実施するために、国際規制物資の使用等に関する必要な規制等を行うことを目的とする。」
いかなる読み方をしても、劣化ウランを劣化ウラン弾に加工使用することは一切認められません。
(中略)
2、その規定と自衛隊、米軍との関わり
 自衛隊については、日本の法令の規制を受けますので、上記法令の規制を受けることとなり、原子力基本法、原子炉等規制法にある「平和目的原則」に拘束されるはずですし、拘束されると言い切ってかまわないと思います。
つまり劣化ウラン弾などを配備すれば直ちに法令違反であると考えるべきだと主張します。
 米軍については、在日米軍でも日本国内法に規制されないという問題がありますが、しかしながら米国国内法においても上記の日本の法令とほぼ同程度の規制があります。
 古いのですでに新しく改正されているはずですが、改正されれば従来よりも厳しくなることが通例だと思うので、そのまま引用しますが、米国原子力規制委員会(NRC)の規則、10CFR20,付録B中の第二表(連邦規則 Dec 1,1978)の、居住区域における放射性核種の放出限度については、ウラン238は大気中3×10^-12mCi/ml,水中3×10^-5mCi/mlとしています。これはこの濃度のウラン238を摂取し続けると年間500ミリレム被曝すると考えられる濃度であり、現在の規制基準がもっと引き下げられていることから考えても、この5分の1程度が現行の限度ではないかと思います。そう考えれば日本との規制値はほとんど差がないということになります。
 いずれにしても、日米双方の規制値で考えれば、イラクやコソボの劣化ウラン弾とそれに汚染された土壌並びに戦車などの残骸は、そのまま直ちに低レベル放射性廃棄物として密封管理または汚染区域の除染措置が必要なレベルであることは論を待たないと思います。
現実に同士撃ちで破壊された米軍戦車は除染措置をほどこされたうえで本国に輸送されたはずです。
(以下略)


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