DUCJメーリングリストより

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<[ducj195]2000年4月21日>

 今年は残念ながら、桜の花を見ることが出来ませんでした。
 インドはすごい国でした。都市は汚く、臭く、排気ガスをもうもうと立ち上らせながら走る車の波。農村は、貧しく医療や教育にお金を使うことが出来ない人々。富めるものはますます富み、貧者はますます搾り取られ、貧困の泥沼から抜け出すことが出来ない構造的な社会。しかし、人々は逞しく生きていました。底知れぬ、インドのエネルギーを感じました。

<以下、ジャドゴダの簡単なレポート>
 ウラン鉱山の村ジャドゴダ――インド東部ビハール州、カルカッタの西230キロ、インドでただ一つ稼働中のウラン鉱山。30年前に操業が始まった。以来、周辺の環境を汚染し続けている。
 シュリプラカッシュ監督のドキュメンタリー「ブッダの嘆き」の村は貧困と深刻な被害の中でじっと耐えていた。5日間、ウラン鉱山周辺の村に滞在し取材を行いました。しかし、すでにシュリプラカッシュやいくつかのメディアがインド国内でこの問題を報じたためウラン鉱山や核廃棄物投棄ダムの直接的な撮影はインド国営ウラニウム会社(UCIL)の監視が厳しく出来ない。ウラン鉱石を積んだトラックが幌も掛けず町の中を走り、ホコリをまき散らして精錬所の工場に入っていった。
 ここで精錬されたイエローケーキはアーンドラ・プラデーシュ州のハイダラバードの核工場で核兵器や核燃料用に加工されます。そこで出た核廃棄物がジャドゴダに運ばれ捨てられている。
 そのパイプがジャドゴダの村のメインストリートを横切っていました。万一、荷物を荷台高く積んだトラックが通過したらパイプは破損してしまいます。そのことを想像するだけでぞっとしました。
 建設中の、第三ダムはウラン鉱滓を使って作られていました。今も工事中で、鉱滓を満載したトラックがダムの土手の上からホコリを舞い上がらせながら捨てていた。
 周辺の村では、ウラン鉱夫やその家族の直接的な健康障害、先天異常などと共に汚染されていると思われる川や池での行水や洗濯、家畜の放牧、さらに、乾期の巻き上がる放射性物質を含むホコリなどでの二次的な被曝が考えられる。
 ダムの南側にあるバンゴ村で先天性奇形の子どもを取材中に、物珍しさからたくさん人が集まってきた。その中に指のない子どもや口蓋裂傷の子どもがいた。人口1500人の村でその日出会った先天異常の子どもは12人だった。その他、大人たちもガンや、診断されていない(貧困のため医者に診てもらえない)病気の人がたくさんいた。
 ヒンズー教徒の先住民は、前世に悪人だったからいま苦しんでいるんだ、と先天異常の子どもの事をいっていました。返す言葉も出なかった。30年前まで、森の恵をうけながらゆったりと暮らしていた先住民の人々が、核という現代の悪魔に捕らわれてしまった悲劇を見ているようだ。


<[ducj221] 2000年6月13日>

プレスリリース  2000年6月5日
連絡先 Damacio Lopez
Tel:1(505)867-0141
(Mari Takenouchi訳)

国際NGO団体、ロス・アラモスの火災被害状況を第3機関が調査することを要請
 国際劣化ウラン研究チーム(IDUST)はこの程、ニューメキシコ州にある核施設の本拠地、ロス・アラモス国立研究所(LANL)が位置する、ロス・アラモスのセロで起きた大火災の環境に対する被害について、第三者である独立国際機関が調査すべきだと要請した。
 「我々は劣化ウラン(DU)の燃焼によって引き起こされる危険を懸念している」と、劣化ウラン問題を過去15年間研究してきたIDUST代表のDamacio Lopez氏は述べている。「本日、我々は火災の現場から風下60マイルの範囲にある地域の大気、水、土壌において、高い毒性を持ち、放射性物質でもある劣化ウランが含有されていないか、第3機関によって調査してもらうことを要請する。」
 ロス・アラモス国立研究所(LANL)の研究では、同研究所において1940年以来、110トンもの劣化ウラン及び天然ウランが使用されてきたことがわかっている。今回大気中に放出されたウランの量は不明である。同研究所では劣化ウランを使った武器の大気中での爆発を伴う実験を行ってきた。この「DARPA/ANTI−対装甲車プロジェクト」と呼ばれる作戦の中で、劣化ウラン弾は強固な標的を目掛けて発射された。爆発や衝撃に伴い、劣化ウランの微粒子が作られ、この微粒子はちりと同様に拡散し、土壌や水の中に侵入する。
 ニューメキシコを訪れたロシアの大気圏・核物理学者であるDr.Sergei Pashchenkoはロスアラモスの5月8日に起きた火事で、大気中のアルファ線放射能濃度が30倍にも増加したと言う国立研究所からのデータについて、憂慮している。Dr.SergeiPashchenko氏は、「この放射能濃度の増加の根源がなんであるか確認する事が重要な課題だ。」とも指摘している。
IDUSTはロスアラモスでの山火事は、劣化ウランの健康被害を引き起こす可能があるとして、市民や役所関係者が事前に適切な処置をとるべきだという以下の見解を示している。
  1. 消防士やその他の緊急出動した人員は劣化ウランが体内に残留していないか検査を受けること。
  2. ロスアラモスから風下60マイルの範囲まで大気、水、土壌に劣化ウランが含まれていないか検査すること。
  3. 風下にある農作物は食べる前に洗浄すること。
 Dr. Rosalie Bertellは次のように付け加えている。「私が特に危惧していることは、火災の後、劣化ウランが消化器官から体内に摂取された場合は便を通じて排出されるが、呼吸器系に微粒子が入った場合、体液や尿に溶け出て行くまでには時間が掛かると言う事です。摂取物質が溶けにくい場合、吸収された劣化ウランを、食細胞が胸部リンパ節に採りこみ可能になる程に細かい粒子に、肺が分解するまで、相当な時間が掛かります。今であれば、火事から時間が経っていないので、肺の中の劣化ウラン含有量を測ることは可能です。また、南西部のウラン鉱山労働者にもこの検査が行えるようにすべきです。Dr. Bertell医師はカナダのトロントに本拠地をおく「住民の健康を憂慮する国際機関」の会長でもある、著名な伝染病医師である。

劣化ウランの問題点
 劣化ウランは国際的にもその健康に及ぼす被害が認識されてきている。米国内で50箇所以上、さらに世界中の戦場や実験場で、環境汚染源になっていると考えられている。劣化ウランの被害にあった住民は、湾岸戦争症候群に掛かっている米国兵士や、イラクの兵士や市民と、類似した健康被害に苦しんでいる。
 劣化ウランは毒性の高い重金属で、含有放射能の半減期は45億年である。劣化ウランと言われているが、劣化ウランは天然ウランの2分の1もの放射能を持ち、純粋なウランを含有している。
 劣化ウランは核兵器及び核燃料を製造する過程で大量に生じる核廃棄物である。この核廃棄物は軍事用と商業用に使われている。顕著な例が米国であるが、他にも幾つかの国で、原子力や核開発プログラムの副産物として大量の劣化ウランを生み出している。
 国際劣化ウラン研究チームは、劣化ウランを武器として使用禁止を唱えている非営利団体である。


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