軍用地特措法


日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区
域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に
関する特別措置法

                                                    昭和二七・五・一五
                                                    法一四〇

                                             施行 昭和二七・五・一五(附則)
                                             改正 昭和二九法一四八、昭和三三法
                                             七八、昭和三五法一〇二、昭和三七法
                                             一三二・法一六一、昭和四二法七五、
                                             昭和45法九七、昭和五八法七八

(この法律の目的)
第一条 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六
      条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の
      実施するため、日本国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊(以下「駐留軍」とい
      う。)の用に供する土地等の使用又は収用に関し規定することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「土地等」とは、土地若しくは建物若しくはこれらに定着す
      る物件又は土地収用法(昭和二十六年法律二百十九号)第五条に規定する権利を
      いい、建物にある設備又は備品で当該建物の運営上これと一体的に使用されるべ
      きものを含むものとする。

(土地等の使用又は収用)
第三条 駐留軍の用に供するため土地等を必要とする場合において、その土地等を駐留
      軍の用に供することが適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところに
      より、これを使用し、又は収用することができる。

(土地等の使用又は収用の認定の申請)
第四条(1) 防衛施設局長は、この法律により土地等を使用し、又は収用しようとすると
      きは、土地等の所有者(土地収用法第五条に規定する権利にあっては、権利者。
      以下同じ。)又は関係人の意見書その他政令で定める書類を添付の上、使用認定
      申請書又は収用認定申請書を防衛施設庁長官及び防衛庁長官を通じ内閣総理大臣
      に提出し、その認定を受けなければならない。
   (2) 前項の使用認定申請書及び収用認定申請書の様式は、総理府令で定める。

(土地等の使用又は収用の認定)
第五条 内閣総理大臣は、申請に係る土地等の使用又は収用が第三条に規定する要件に
      該当すると認めるときは、遅滞なく、土地等の使用又は収用の認定をしなければ
      ならない。

   (関係行政機関等の意見の聴取)
第六条(1) 内閣総理大臣は、土地等の使用又は収用の認定に関する処分を行おうとす
   る場合において、必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び学識経験
   を有する者の意見を求めることができる。
   (2) 関係行政機関の長は、土地等の使用又は収用の認定に関する処分について、
   内閣総理大臣に意見を述べることができる。

   (土地等の使用又は収用の認定に関する処分の通知、告示及び公告)
第七条(1) 内閣総理大臣は、土地等の使用又は収用の認定をしたときは、遅滞なく、
   その旨を当該防衛施設局長に文書で通知するとともに、当該防衛施設局長の名
   称、使用し、又は収用すべき土地等の所在並びに次項の規定による土地等の調
   書及び図面の縦覧場所を官報で告示しなければならない。
   (2) 防衛施設局長は、前項の通知を受けたときは、遅滞なく、使用し、又は収
   用しようとする土地等の所在、種類及び数量を、防衛施設局長が定める方法で
   公告し、かつ、土地等の所有者及び関係人に通知するとともに、政令で定める
   ところにより、当該土地等の調書及び図面を、土地等の使用若しくは収用の認
   定が効力を失う日又はすべての土地について必要な権利を取得する日まで公衆
   の縦覧に供しなければならない。
   (3) 内閣総理大臣は、土地等の使用又は収用の認定を拒否したときは、遅滞な
   く、その旨を当該防衛施設局長に文書で通知しなければならない。

   (土地等の使用又は収用の認定の失効)
第八条(1) 前条第一項の規定による告示があった後、土地等を使用し、又は収用する
   必要がなくなったときは、防衛施設局長は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣
   に報告しなければならない。この場合において、その事由の発生が同条第二項
   の規定による通知の後であるときは、土地等の所有者及び関係人にも、遅滞な
   く、その旨を通知しなければならない。
   (2) 内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、土地等の使用又
   は収用の認定が将来に向つてその効力を失う旨を官報で告示しなければならな
   い。

   (建物の使用に代る収用の請求)
第九条(1) 建物を使用する場合において、建物の使用が三年以上(使用期間の更新の
   結果三年以上となる場合を含む。)にわたるとき、又は建物の使用に因つて建
   物の形状を変更し従来用いた目的に供することを著しく困難にするときは、建
   物の所有者はその建物の収用を請求することができる。
   (2) 土地収用法第四十六条の三、第八十一条第二項及び第三項並びに第八十七
   条ただし書の規定は、前項の規定による建物の収用について準用する。この場
   合において、土地収用法第八十一条第二項中「土地」とあるのは「建物」と、
   同条第三項中「起業者」とあるのは「防衛施設局長」と読み替えるものとする。

第一〇条 削除

   (土地等の返還及び原状回復の制限)
第一一条(1) 防衛施設局長は、この法律により駐留軍の用に供した土地等を返還する
   に際し、土地等の所有者から原状回復の請求があった場合において、土地等を
   原状に回復することが著しく困難であるとき、又は土地等を原状に回復しない
   でもこれを有効且つ合理的に使用することができると認めるときは、その土地
   等を原状に回復しないで返還することができる。
   (2) 前項の場合においては、土地等の所有者及び関係人の受ける損失は、補償
   しなければならない。
   (3) 土地等を原状に回復しないで返還する場合において、建物の使用中に有益
   費が費されたことに因り、その建物の所有者に利得が生じているときは、利得
   の存する限度において、これを国に納付させることができる。
   (4) 前項の規定により納付すべき金額については、政令で定めるところにより、
   七年以内の範囲内において延納を認めることができる。

   (異議の申出)
第一二条(1) 前条第一項の規定により原状に回復しないで返還すること、同条第二項
   の規定による損失の補償又は同条第三項の規定による利得の納付について不服
   のある者は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣に対し異議を申し出る
   ことができる。
   (2) 内閣総理大臣は、前項の異議の申出に対し裁決をしようとするときは、あ
   らかじめ、政令で定める審議会の意見を聴かなければならない。

   (引渡調書)
第一三条(1) 防衛施設局長は、土地等を返還するときは、その土地等の所有者及び関
   係人を立ち会わせた上、総理府令で定める引渡調書を作成しなければならない。
   (2) 前項の引渡調書には、左に揚げる事項を記載しなければならない。
   一、返還する土地等の所在、地番及び地目並びに土地等の所有者及び関係人の
     氏名及び住所
   二、返還する土地等の種類、数量及び形状
   三、その他返還の際の現状を確認するに必要な事項
   (3) 土地収用法第三十六条第二項から第五項まで及び第三十八条の規定は、前
   項の引渡調書の作成及び効力について準用する。この場合において、これらの
   規定中「土地調書及び物件調書」とあるのは「引渡調書」と、「起業者」とあ
   るのは「防衛施設局長」と、「土地所有者」とあるのは「土地等の所有者」と
   読み替えるものとする。

   (土地収用法の適用)
第一四条(1) 第三条の規定による土地等の使用又は収用に関しては、この法律に特別
   の定のある場合を除く外、「土地等の使用又は収用」を「土地収用法第三条各
   号の一に揚げる事業」と、「防衛施設局長」を「起業者」と、「土地等の使用
   又は収用の認定」を「事業の認定」と、「土地等の使用又は収用の認定の告示」
   を「事業の認定の告示」とみなして、土地収用法の規定(第一条から第三条ま
   で、第五条から第七条まで、第八条第一項、第九条、第十六条から第二十八条
   まで、第三十条、第三十条の二、第三章第二節、第五章第一節、第百二十二条、
   第百二十三条第六項、第百二十五条第二号、第四号及び第五号、第百三十九条
   並びに第百四十三条第五号の規定を除く。)を適用する。
   (2) 前項の規定による土地収用法の適用に関し必要な技術的事項は、政令で定
   める。
     附 則 (抄)
   (2) この法律施行の際、連合国最高司令官の要求に基く使用を現に継続してい
   る土地等で、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の効力発生の日か
   ら九十日を経過した後、なお引き続いて駐留軍のために使用する必要があるも
   のについて、土地等の所有者及び関係人との間に使用についての協議が成立し
   ないときは、調達局長は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の効
   力発生の日から九十日以内に、使用しようとする土地等の所在、種類、数量及
   び使用期間を土地等の所有者及び関係人に通知して、六月をこえない期間にお
   いてこれを一時使用することができる。
   (3) 調達局長は、前項の場合において、土地等の所有者及び関係人の請求があ
   るときは、自己の見積つた損失補償額を払い渡さなければならない。
   (4) 第二項の規定によつて土地等を一時使用した場合においては、土地等を使
   用することに因つて生ずる損失を土地収用法第六章第一節(第七十一条、第七
   十八条、第七十九条及び第八十一条を除く。)の規定に準じて補償しなければ
   ならない。この場合において、損失の補償は、使用の時期の価格によって算定
   しなければならない。
   (5) 第三項の規定によつて支払つた損失補償額は、前項の規定による損失補償
   の金額の内払とする。
   (6) 第四項の規定による損失補償について、調達局長と損失を受けた者との間
   に協議が成立しないときは、損失を受けた者は、政令で定めるところにより、
   収用委員会に対し、裁決を申請することができる。
   (7) 調達局長は、第二項の規定によつて土地等を一時使用する場合において、
   その使用期間が満了したときは、遅滞なく、その土地をその所有者に返還しな
   ければならない。
   (8) 前項の場合においては、土地等の所有者は、調達局長に対し、土地等を原
   状に回復することを請求することができる。但し、当該土地等が第四項の規定
   により土地収用法第七十三条後段の規定に準じて補償されたものであるときは、
   この限りでない。
   (9) 第十一条及び第十二条の規定は、第七項の規定により土地等をその所有者
   に返還する場合について準用する。


    附則(昭和三五・六・二三法一〇二)(抄)

   (施行期日)
第一条 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の
   効力発生の日(昭和三五・六・二三 − 昭和三五外告四九)から施行する。

   (第三条関係の経過規定)
第三条 この法律の施行前に、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基づ
   き日本国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊の用に供する土地等の使用又は収用
   に関し、この法律による改正前の日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条
   約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法の規
   定によつてされた処分又は手続は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力
   及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊の用に供する土
   地等の使用又は収用に関し、この法律による改正後の日本国とアメリカ合衆国
   との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国
   における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する
   特別措置法の規定によつてされた処分又は手続とみなす。

   (罰則の適用に関する経過規定)
第一五条 この法律の施行前にした行為(中略)に対する罰則の適用については、な
   お従前の例による。


    附則(昭和三七・五・一五法一三二)(抄)

   (施行期日)
  (1) この法律は、公布の日から起算して十月をこえない範囲内において、各規定
   につき、政令で定める日(昭和三七・一一・一 − 昭和三七政四〇六)から施
   行する。(後略)

   (土地等の使用等の認定等に関する経過規定)
  (17) 防衛施設庁の設置に係る規定の施行の際現にこの法律による改正前の日本国
   とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び
   区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等
   の使用等に関する特別措置法の規定により調達局長に対し行なわれた土地等の
   使用又は収用の認定又は裁決は、この法律による改正後の日本国とアメリカ合
   衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日
   本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関
   する特別措置法の規定により防衛施設局長に対し行なわれた土地等の使用又は
   収用の認定又は裁決とみなす。


   土地収用法の一部を改正する法律施行法中経過規定
                  (昭和四二・七・二一法七五)(抄)

   (日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく
   施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴
   う土地等の使用等に関する特別措置法の一部改正に伴う経過措置)
第二三条 この法律の施行前に日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保
   障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に
   関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法第四条第一項の規
   定により使用認定申請書又は収用認定申請書が提出されたときは、前条の規定
   による改正後の同法及び新法の規定にかかわらず、なお従前の例による。


   土地収用法の一部を改正する法律施行法
   附則昭和四二・七・二一法七五)

    この法律(中略)は、改正法(土地収用法の一部を改正する法律(昭和四二
   法七四))の施行の日(昭和四三・一・一 − 昭和四二政三四四)から施行す
   る。



   附属及び関係法令+++

   日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施
   設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う
   土地等の使用等に関する特別措置法施行令
                     (昭和二七・ 五・一五 政一四九)
                     (昭和二七・ 五・一五 施  行)

   日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施
   設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う
   土地等の使用等に関する特別措置法施行規則
                     (昭和二七・ 六・一四 総 三〇)
                     (昭和二七・ 六・一四 施  行)
                     (昭和二七・ 五・一五 適  用)

   沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律
                     (昭和四六・一二・三一 法一三二)
                     (昭和四七・ 五・一五 施  行)

   沖縄の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等
   に関する特別措置法
                     (昭和五二・ 五・一八 法 四〇)
                     (昭和五二・ 五・一八 施  行)