代理署名拒否訴訟

判  決  骨  子



地方自治法一五一条の二第三項に基づく職務執行命令裁判請求事件
     判   決   骨   子
一 本件訴えの適否について
  本件署名等代行事務は、国の機関としての被告の権限に属する国の事務であり、そ
 の主務大臣は原告である。したがって、本件訴えは適法である。
二 本件命令の実質的適否(本件署名等代行義務の存否)について
 1 本件土地・物件調書の作成手続に違法はないから、被告は本件署名等代行事務を
  執行する義務を負うものであり、本件命令は実質的に適法である。
 2 駐留軍用地特措法(略称)は、憲法前文の趣旨、九条、一三条、二九条、三一条
  に違反するものではない。
 3 被告は、本件署名等代行事務を執行するに際し、本件使用認定が違法か否か、無
  効か否か、違憲か否かについて審査判断する権限を有しないから、本件使用認定の
  違法、無効、違憲を理由として本件署名等代行事務の執行を拒否することはできな
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 4 本件に駐留軍用地特措法一四条一項、土地収用法三六条五項を適用することは憲
  法に違反するものではない。               、
 5 被告が沖縄における米軍基地の現状、これに係る県民感情、沖縄県の将来等を慮
  って本件署名等代行事務の執行を拒否したことは沖縄県における行政の最高責任者
  としてはやむを得ない選択であるとして理解できないことではないが、駐留軍用地
  特措法一四条一項、土地収用法三六条五項の法的解釈からは、右のような事情を理
  由として、署名等代行事務の執行を拒否することができるとの結論を引き出すこと
  は困難である。沖縄における米軍基地の問題は、段階的にその整理、縮小を推進す
  ること等によって解決されるべきものであり、この点についての国の責務は重い。
三 本件命令の形式的適否について
 1 地方自治法一五一条の二第一項から八項までに規定する措置以外の方法によって
  被告が本件署名等代行を執行しないことの是正を図ることが困難である。
 2 被告が本件署名等代行事務を執行しないことを放置することにより著しく公益を
  害することが明らかである。

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