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控訴審判決:イエローストーンの狼に住みかと自由


 木曜日(2月13日)、連邦裁判所の決定により、イエローストーン国立公園および周辺地域に再導入された狼たちは当地にとどまることになった。保護団体によれば、この判決は米合衆国の他の場所で進められている同様な諸計画にとっても、歓迎すべきものであるとされる。
デンバーにおける、合衆国控訴審法廷におけるこの決定は、保護団体によってこぞって祝福されている。その内容は、1997年に下級審で下された、イエローストーンでの狼再導入は違法であるとの決定を覆すものである。
 木曜日の判決は、ニューメキシコの牧畜業者協会が、メキシコ狼再導入計画の中止を求めて起こした訴えを却下した、最近の連邦裁決定に続くものであった。
 「これは、狼たちにとって、いろいろな意味で、新時代の幕開けです。」と、Defenders of Wildlife 会長R.シュリカイゼンはいう。「イエローストーンの狼たちにとって、新たに生きる展望が開かれただけでなく、アメリカにおける野生生物回復への努力は、政治ではなく科学によって導かれるべきであるという原則にとっても、一歩前進です。」
 「これは、捕食者全般にとってよい知らせです。」と、Defenders の代表B.スキネイプはいう。彼は、木曜日の判決はグリズリーベアの再導入計画にとっても、励ましになると加える。
 絶滅危惧種保護法の定めに基づいて、イエローストーンおよびアイダホ州中央部に66頭の狼たちが再導入されたのは、1995年と96年のことであった。かって、国立公園には灰色狼の群がよく見られたものだが、この60年間これらの地域では狼の姿は見られなくなっていた。再導入後、現在、この地域の狼の頭数は、約300までになっている。
 今回問題とされた、1997年の判決で、ワイオミング地区法廷の裁判官W.ダウンズは、再導入以前に、その地域で狼を見たという牧畜業者による主張を採用し、再導入は違法であり、導入された狼と彼らから生まれたものたち全てを除去せよと命令したのであった。これに対して、保護主義者と内務省は、1998年に共同で控訴した。シュリカイゼンによれば、「狼たちは滅多に家畜に近づかず、例外的に家畜を襲う場合には、Defendersが被害補償をしている。農業者が、なぜこれほどまでに躍起になって狼やその仔たちを殺したいのか、理解に苦しむ。」という。
 Defenders は、狼による家畜への害に備えて、20万ドルの信託金を保持している。
 アメリカ農業局によるコメントは木曜日には得られなかったが、今回の決定を不服として、最高裁に上告することは、可能である。

2000.2.14 M.ヒギンズ