モーニング・コール

アンディ・ヒギングボトム
UKコロンビア連帯キャンペーン
2003年2月10日
ZNet原文


2003年2月10日の朝、ラジオ局CARACOLを聞いていた人は、次のようなモーニング・コールを受け取った。準軍組織の統合体コロンビア自警団連合(AUC)のリーダーであるカルロス・カスタニョが同ラジオ局の朝のメイン・ショーで、47分にわたりインタビューを受けていた。カスタニョのメッセージは、ウリベが予定している住民投票(ボルハへのインタビューもご覧下さい)に反対する者は転覆的であるため、住民投票に棄権するキャンペーンの指導者たちは「除外」されるべき標的であるというものである。カスタニョはまた、コロンビア軍とのあいだには何の問題もないと述べていた。ウリベ政権とそれが代表する利益関係者は、カスタニョとのあいだに何ら問題を抱えていないことは明らかである。カスタニョは、免罪符を受け取っているのである。

自伝の中で10年以上にわたり暗殺と虐殺を指示してきたと豪語し、何千人もの人々を死に至らしめてきたこの人物を、マス・メディアに登場させていることから、コロンビアの支配階級がどれだけあからさまにファシスト的政策を採用するに至っているかがわかる。ラジオ局CARACOLは、コロンビア経済を牛耳る四大グループの一つ、サント・ドミンゴ・コングロマリットが所有する局である。サント・ドミンゴは、バヴァリア・ビール会社の主要株主であり、メディアのかなりのセクションも所有している。

石油労働者組合USOおよび労働組合センターCUTとCGTDに招待された「生きる権利のための国際使節団」は活動を開始した。われわれは、労働組合やNGOから、恐るべき規模の人権侵害について証言を聞き取った。

CGTDは人道的なカトリック哲学をもっている。登録メンバーは12万2000人である(幹部の話では、もっとメンバーがいるという)。メンバーの多くは砂糖生産、紡績、工業、製薬などの私企業で働く人々であるが、公務員や国有の電信会社の労働者もいる。昨年は、12人のCGTD組合員が暗殺された。全国組織委員のガブリエル・ペレスは、あらゆる部門で雇用者が労使交渉の合意を破ろうとしており、労働者が達成してきた年金などの権利を撤回しようとしている。雇用者はこうした反対要求を仲裁裁判所に提出し、裁判所は雇用者の肩をもつ判決を下している。ガブリエル・ペレスによると、ウリベは私企業による労働コスト削減を全面的に支援しているという。「ウリベ政権は、社会的対話というものにまったく耳を貸さない」。

CGTDはCUTおよびはるかに規模の小さいCTC(5万1000人)と、全国統一指導部(Comando Nacional Unitario)で協力している。センターに所属していない独立労働組合の組合員は13万7000人いる。CUTは54万6000人の組合員を抱える多数派である。

全国労働組合学校(ENS)によると、合計85万6000人という労働組合員の人数は、コロンビアの労働人口の5パーセントであり、1990年代初頭の15パーセントというピーク時から急激に減ったという。

CUTには、削減と私営化に反対する公共部門の組合員が多数いる。弾圧でもっとも犠牲になっているのはCUTのメンバーである。CUT人権部の部長ドミンゴス・トバルは、昨年1年で、同盟の組合員に対する人権侵害が507件あったという。172件の暗殺、164件の殺害脅迫、26件の誘拐、17件の暗殺未遂、7件の強制失踪、132件の交流である。CUTメンバーの約80人が亡命を余儀なくされた。

CGTDとCUT、ENSの情報から、暫定的に、2002年には184人のコロンビア労働活動家が暗殺されたことがわかる。教員組合であるFECODEがもっとも打撃を受けており、79名のメンバーが暗殺された。

電気産業労組SINTRAELECOLの委員長は、同組合には9600人のメンバーがいると言う。過去3年間に、37名のメンバーが暗殺された。370名は集団解雇された。

ASONALは、判事や裁判官、司法関係の公務員からなる組合である。ASONALは、司法の独立を攻撃するために暗殺が用いられていると報告している。組合員の15人が亡命し、10人が失踪した。ウリベ政権の司法長官ルイス・カミロ・オソリオは600名を解雇すると発表した。

保健関係に従事する労働者の組合ANTHOCは、公共保健部門の労働者推定7万人のうち2万5000人をメンバーとしている。ウリベ政権は2万5000人の首切りを計画している。ANTHOCは、過去2年に567件の人権侵害を経験している。実行犯は主として準軍組織である。セサルでは、病院長たちが、邪魔な活動家をマークして排除している。

UNEBは銀行家の組合である。この組合は最悪の人権侵害を逃れているが、2つの点で闘っている。スト権と業種を超えた交渉による合意についてである。

石油労働者組合USOは多大な尊敬を集めている。この組合の闘いにより、国営石油企業が設立されたことがあり、そしてまた、炭化水素産業をコロンビアの人々の利になるようにするための闘いを続けているからでもある。フランシスコ・ラミレスは、87名のUSO組合員が暗殺され、3名が失踪したと発表している。7名の組合員は投獄されている。その一人は組合の国際担当書記エルナンド・エルナンデスであり、自宅逮捕状態に置かれている。

大学職員の組合SINTRAUNICOL、醸造労働者組合SINTRABAVARIA、技能修得者や技術教育労働者組合SINDESENA、ソフトドリンクと食品労働者組合SINALTRAINALは、国家と準軍組織による組合への弾圧の証拠を示している*。

*筆者は、ブガラグランデの組合員ボディガードの家族が脅迫されたことについての報告も書いている。彼の避難のための緊急対応がとられた。SINALTRAINALはブガラグランデのネスレ工場の労働者を組織している。
FENSUAGROは農業労働者と自営農民の組合連合であり、1万人近いメンバーがいる。連合の女性部門書記マルタ・サンチェスは、過去20年間に、4000人近いメンバーが暗殺されたと推定している。問題は、地方部で働く人々や自営農民に対する弾圧は、記録が少ないことである。人権団体は、今でも、コロンビア内戦での戦闘のほとんどは地方部で行われていると述べている。昨年起きた4600件の政治的殺害のうち4000件は地方部で起きているという。

CUTの組合は、ジェノサイドを実行するカルロス・カスタニョのような人物たちは、その残虐行為をまったく処罰されずに行っていると述べる。虐殺や暗殺・弾圧の責任は、実際に引き金を引く者たちだけにあるのではなく、情報を収集し、資金を提供し、また、コロンビアの労働者に対する犯罪を知的に立案する者たちにもある。

今回の使節で労働組合世界連盟を代表しておりペルー労働組合の元総書記でもあるバレンティン・パンチョは、コロンビアで現在起きているホラーが、フジモリの「民主的」独裁政権下でのペルーでの経験ととても似ていると述べた。

フェルナンド・ラミレスは、活発な国際連帯の必要性を強調して、次のように述べている。「われわれには、人々の連帯を表す独自の大使館が必要である」。



アンディ・ヒギングボトムは英国コロンビア連帯キャンペーンのコーディネータ。現在、準軍組織の暗殺標的となっている。

新コロンビア通信(2003年2月7日)によると、アンディは1月31日朝4時にボゴタに向けて家を出た。SINTRAEMCALI(カリの公務員関係労働組合)の組合員に招かれてカリに行くためであった。

朝4時30分に、アンディ・ヒギングボトムの妻は電話を受け取った。「アンディの家ですか」と聞いてきた相手に彼女が「はい」と応えると、相手(男性だった)は「アンディはまもなく死ぬだろう」と言った。5分ほどして、ふたたび電話がなった。同じ声で、「われわれはアンディを捕まえる」と言った。

その2日前、アンディ・ヒギングボトムとコロンビア連帯キャンペーンは、ロンドンのキングスブリッジにあるコロンビア大使館周辺でピケを張ったばかりだった。そのとき、アンディは大使館のアシスタントと話をし、彼女に、コロンビア連帯キャンペーンのメンバー二人がカリに行くことを話したばかりだった。



CUTのキャンペーンについて:

CUTは、2003年1月30日から31日に開催された全国委員会で、2003年のキャンペーンを決定した。

まず第一に、CUTは、ウリベが5月ないしは8月に予定している住民投票に対し、積極的棄権キャンペーンに全面的に参加する。

ウリベは18項目にわたる「政治改革」を人々にはかる住民投票を提案した。公的政治が汚職にまみれていることは誰もが知っているが、CUTは、ウリベはこれを口実に用いているに過ぎないと考える[注:実際、もっとも腐敗した議員や政治家が、この住民投票に賛同している]。本当に問題となっているのは財政改革であり、政治改革ではない。税金を引き上げる一方で公共支出を大規模に削減することにより財政赤字を削減することが、ウリベがスタンバイ・ローンを継続するためにIMFと合意したことである。けれども、財政赤字は、負債の危機によるものである。CUT委員長カルロス・ロドリゲスによると、コロンビアは歳入の50パーセントを国内的・国際的負債の支払いにあてている。CUTのある指導者は、ドルに対するペソ安と対外債務がドル建てであることにより、コロンビアは現状維持のためにますます多額の支払いを行っている。彼は、20億ドルは4万人の仕事を切り捨てることに相当しているが、ペソが下落するならば、それに応じて失われる仕事は増加すると述べる。

住民投票に賛成の投票をすることは、政府の極めて退行的な政策に賛同することになる。日用品にも適用されるような消費税の拡大や、公務員給与の凍結、年金権や失業保険の取り消し、省庁統合と10万人にのぼる公務員の切り捨てなどである。1991年憲法によると、投票結果が法的に有効であるためには、最低投票者数を満たしている必要があるため、「否」の投票もウリベに有利となる。

それゆえ、CUTは、あらゆる大衆組織とともに、積極的棄権を呼びかけている。そのため、棄権という選択肢についてもマスメディアで同様に扱われるよう求めている。棄権を主張する人々は、政治的議論ではすでにして勝利を収めつつある。それだからこそ、準軍組織が、棄権を主張するグループの指導者たちを標的とすると発表したのである。コロンビアでは、体制が望むものを手に入れるときには、すぐに暴力的手段に訴える。

カルロス・ロドリゲスは、住民投票でウリベが望む結果が得られなかったときのために、ウリベ政府は、それでもIMFを満足させるB計画について話ていると言う。B計画は増税と、石油採掘量と貯蓄基金とを支出にあてるというものである。

コロンビアは財政的崩壊に向かって進んでいる。そのため、政府のあらゆる対策には絶望の色合いがつきまとっている。

住民投票には第二の側面もある。それは、実際に政治的構造の改革である。それにより議会が弱体化して権力が大統領に集中化される。ペルーのフジモリ政権と同じである。議員を1名につき、政党リストは20万票を得なくてはならなくなる。コロンビア選挙に特徴的な左派候補の脅迫と暗殺を考えるならば、これは、大衆運動を議会で代表させないための手だてであることは明白である。

CUTのもう一つの優先事項は米州自由防疫地域と政府の「改革」プログラムに反対することである。CUTの第四の優先事項は人権である。これについて、カルロス・ロドリゲスは次のように述べる:

「私たちは、コロンビアでどれだけ沢山の活動家や指導者が殺されているかについて、世界に知ってほしい」。


益岡賢 2003年2月23日

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