DebtNet通信 (vol.7 #18)  
エクアドル不法債務不履行を宣言
2008年12月14日

1. エクアドル債務不履行を宣言

 12月12日、エクアドルのコレア大統領は、記者会見をして、週明け12月15日に期限がくる国債(グローバル債)の約3,060万ドルの利子支払いを停止し、債務不履行を決定したと発表した。過去に発行された国債に違法がある、つまり「Illegitimate Debt(不法債務)」であると言った。

 エクアドルは、2007年1月、コレア左翼政権の誕生以後、不法な債務問題に取り組んできた。07年7月には、「公的債務総合監査委員会(CAIC)」を発足させた。これには内外の債務の専門家、NGOを参加させた。
 08年11月14日、Maria Elsa Viteri蔵相が2012年ものの国債の利子支払い停止と30日間のモラトリアムを発表した。30日のモラトリアムというのは、11月14日に提出されたCAICの最終結果を分析するのに必要な時間のことである。
 2012年ものの国債の元金は12億5,000万ドルで、年率12%の利子である。2008年には、エクアドルは、5月と11月に利子の支払いをすることになっていた。
 つづいて、11月21日、コレア大統領が、「エクアドルは、CAICの報告書にもとづいて、100億ドルの債務の一部を返済しない」と宣言した。
 報告書には、「前政権時代に、対外債務の運用、再交渉をめぐって“すさまじい”違反があった。」そして「これは国家に対する強盗行為だ」と述べている。
 CAICのHugo Arias委員長は、「エクアドルの債務の80%は、債務の利子支払いのための借金である。そして、債務の中で、開発に使われたのは、たった20%にすぎない」と語った。そして「エクアドルが受けた融資は800億ドルだが、すでに返済した額は1,270億ドルにのぼる。そして今日なお、170億ドルの債務を抱えている」、そして「エクアドルの債務の大半は2012年、2015年、2030年もののグローバル国債といった民間債務である。これは、1999年の第1回債務不履行の後にリスケをしたものである。これらは、最も負担が重く、かつ腐敗した債務である。これは39億ドルにのぼり、公的債務のなかの90%を占める」と語った。
 エクアドルの債務不履行宣言は、金融危機に対するG20サミット、ドーハでの国連開発金融会議など、国際的に重要な時期に行なわれた。

 エクアドルにとって、10年前の1999年に起こった債務不履行に続いて、今回の不履行宣言は第2回目となる。これは、金融危機で新興市場国から投資を引き上げている投資家にとって、大きな打撃である。
 またコレア大統領は、12月に入って、イランから4,000億ドルの融資を受けた。これは米国にとって大きな脅威である。
 とはいえ、エクアドルの債務不履行は、比較的影響は少ないと見られる。39億ドルという国債の債務額は、セイシェル諸島の債務の4倍に上るとはいえ、2002年のアルゼンチンの1000億ドルの債務不履行には比べ物にならない。
 エクアドルは石油収入がある。輸出の60%を占めている。08年夏以来、原油価格が急落したので、苦しくなっているとはいえ、債務を支払えないというのではない。しかしこれはコレアの選挙公約であったし、また彼の政治的決定である。なぜなら債務に不法行為があったということが証明されたからである。
 コレアはイリノイ大学を卒業した経済学者である。コレアは閣僚をニューヨーク、ワシントンに送り、事情を説明した。しかし、投資家たちは、エクアドル政府を提訴し、同時にエクアドルの海外資産の凍結手段に訴える準備をしている。
 これに対して、コレアは「我々には準備がある。債務を不法として、国際司法裁に訴える」といった。
 エクアドルの債務不履行の噂は9月ごろから出ていた。そのため1ドルのエクアドルの国債が30セントと、65%も下落した。さらに、コレア大統領の発表と同時に、24セントに落ちた。
 問題は、エクアドルのケースが引き金になって、ベネズエラやアルゼンチンなど債務不履行が続出することである。
 08年12月13日付けの首都キトで発行されている『El Comercio』紙によれば、「12月11日、エクアドル政府が外国人投資家の持っていた6億8000万ドルに上る国債をひそかに買い戻した」と報じている。この行為については、エクアドル政府が故意に国債の価値を値下げした後で、これを政府が買いやすいようにした。そして、債権者とのこれからの交渉を有利に運ぼうとしているのだと推測される。

2. ブラジル議会が債務の調査

 08年12月8日、ブラジル連邦議会のArlindo Chinaglia議長は、債務を調査する委員会の設置に関する法律に署名した。この委員会は、ブラジル連邦政府、州政府、並びに市町政府の債務、利子の支払い、その利子支払いの受取人、ならびに債務返済が社会政策や持続可能な開発に及ぼす影響を調査することになっている。
 この委員会の設置は、連邦議会のIvan Valente議員(社会党)が提案し、3分の1という議案提出に必要な支持を取りつけたものであった。そして、連邦議会の議長の政治的決定を待っていたのであった。Chinaglia議長は、11月13日、首都ブラジリアで開かれた「ラテンアメリカの債務監査について」の国際セミナーに参加していたエクアドルの「公的債務総合監査委員会(CAIC)」の代表団の訪問を受けた。これがブラジル連邦議会のなかでの債務調査委員会の設置につながったのであった。
 各政党はこの委員会への代表をそれぞれ選出し、委員会は来年早々に活動を開始する。ブラジル連邦憲法第58条3項の3によれば、このような調査委員会の法的権限は司法当局に等しい。また委員会の結論は司法当局に送られ、民法、刑法に沿って裁かれる。
 勿論、連邦議会の調査委員会は、これまで市民社会が要求してきたブラジル連邦憲法第26条にもとづく「債務監査」ではない。しかしともかくも、これは、正式の「債務監査」への重要な第1歩である。
 エクアドルの債務監査の経験だけではなく、パラグアイ、ボリビア、ベネズエラ、その他ALBAグループ諸国は公式な債務監査を開始すると言い始めている。グローバルな金融、食糧、気候、エネルギー危機の最中に、また一方で政府予算が逼迫する中で、途上国政府が不法な債務の調査を行い、債務返済を中止することを可能にする条件が生まれてきた。
 またブラジル政府にとっても、「ブラジル国家開発銀行(BNDES)」がエクアドル国内の水力発電ダム建設に融資した問題についてもエクアドル政府と協力して監査する良い機会となる。このプロジェクトはブラジルの建設会社ODEBRECHT社が請け負ったのだが、エクアドルのCAICの監査によれば問題があると指摘された。

3. 中国の民主コンゴへの融資

 08年9月24日、IMFのアフリカ担当官Brian Amesは民主コンゴに18日間の訪問の終え、首都キンシャサで記者会見を行なった。「中国が民主コンゴに融資」した件について懸念を述べた。
 Ames氏によれば、中国の融資について、民主コンゴ当局と詳しく精査した結果、中国に対する債務が大きくならないことを期待するといった。一方、民主コンゴ政府はIMFの2008年の経済プログラムを忠実に達成し、IMFに対する債務を返済した、と述べた。インフレは、石油と食糧の高騰にもかかわらず、年率24%に抑えられた。
 中国の融資は、90億ドルに上った。このうち、60億ドルはインフラ開発に、残りは鉱山開発に充てられる。債務の返済はこの鉱山開発からの利益で支払われる。この債務返還中は、合弁の鉱山の法人税は免除される。中国の合弁会社の持分は68%、コンゴの国営Gecamines社が残りを持っている。この鉱山のローンはコンゴ政府が保証している。
 民主コンゴは世界のコバルトの埋蔵の34%、銅の10%を埋蔵している。コバルトは携帯電話のバッテリーに使われている。
 08年8月、英国のGlobal Witness など国際的なNGOがコンゴ政府に対して、これら鉱山開発について情報を公開しろと圧力を掛けていた。

4. インドネシア議員がドイツへの債務帳消しを要求

 08年12月4日付けの『ジャカルタポスト』紙によると、Djoko Susilo議員をはじめとする防衛・外交問題委員会に属する15人の下院議員が「インドネシア政府のドイツに対する巨額の債務を帳消しにする」という動議を提出した。
 この動議に対する支持は増加するだろうとDjoko議員は語った。
 インドネシアは、1992〜1994年間に、39隻のセコハンの戦艦をドイツから購入した。1996年、インドネシアは、その債務のうち、5億6,000万ドルを返済した。これについて、Djoko議員は、「ローンは当然、10年後ぐらいに返済されるものだが、当時のスハルト大統領の返済は、あまりにも早かった」、そして「通常、国際協定は議会で承認されなければ、無効である。当時、議会は批准していない」と語った。

5. ハイチ大統領「国連平和維持軍の撤退」を要求

 08年10月14日、国連安保理はハイチの国連平和維持軍の任期の1年延長を決議した。国連はハイチに、9,151人の平和維持軍(MINUSTAH)を駐留させている。
 ハイチのRene Preval大統領は、10月8日、国連に対して「長期の援助、そして戦車でなく、トラクターを送って欲しい」と要求した。これに対するHedi Annabi国連ハイチ特別代表の返答は、安保理の平和維持軍の1年延長決議であった。Annabi特別代表は、「開発は安保理のマンデートにはない。私にはハイチの経済開発を支援する権限はない」、そして「国連平和維持軍の任務は、ハイチを安定化するために駐留している」と答えた。
 しかし、大多数の人びとが食糧も、水もなくて、どうして安定化が可能なのだろうか。先進国政府が約束した援助の2%しか届いていない。ハイチを襲った4個のハリケーンによって100万人が家を失った。一方、ハイチは米国政府と銀行に支払わねばならないデュバリエ時代の債務がある。
 ハイチでは、国連MINUSTAHは大変評判が悪い。2006年7月6日と12月22日の2回にわたって、MINUSTAHは海岸べりのスラム「シテ・ソレイユ(太陽の町)」を攻撃した。薄い壁を弾丸が通り抜けたので、多くの人が死んだ。このときの死体を写したビデオをMINUSTAHに派兵している40カ国の政府に送った。