要請書

小牧基地司令 渡部琢也様

 国の政策に関わることなので、基地司令にお願いすることではないのかもしれませんが、私たち市民、そしてなによりも隊員の皆様の生命にかかわることなので、そのことを基地司令に重く受け止めていただき、上申していただくよう強く要請いたします。

 昨年12月16日、政府は敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を明記した国家安全保障戦略などの3文書を閣議決定しました。防衛費も5年間で43兆円としました。国会閉会中での「決定」であり、民主主義のプロセスを経ていません。「防衛力強化加速会議」は計15回開かれました。「東京新聞」によれば、情報公開請求をしたところ、検討過程はほぼ「黒塗り」だったそうです。その後岸田首相は欧米諸国を歴訪して、英伊と戦闘機開発を約束し、英とは円滑化協定に署名しました。アメリカではバイデン大統領と会談をおこない、そこで「反撃能力を含む防衛力の抜本的な強化」「防衛予算の増額」を「報告」しました。2+2会談では米から反撃能力の運用への協力、南西諸島への対処のため改編した海兵隊を配置すること、が表明されました。つまり軍拡と具体的な作戦協力が表明されたのです。国内での論議もしないまま、3文書改訂を閣議決定し、欧米を歴訪し、大軍拡を国際的な「約束」にしました。岸田首相は施政方針演説では国会での議論がなされなかったことを正当化するため、「防衛力の抜本的な強化」を「強い覚悟」で決定したと強弁しました。冷静に事態の推移をみれば独断です。南西諸島は戦場にされようとしている、私たちは強くそう訴えます。

 基地司令
 もっとも深刻な影響をうけるのは南西諸島の住民の皆さんですが、自衛隊員とそのご家族も大きな影響をうけます。南西諸島、与那国、石垣、宮古、奄美大島、馬毛島の島々へ自衛隊配備がすすんでいます。これらの島々には有事の際の住民保護・避難のためのまともな方策がないことが明らかになっています。これらの島々では地域活性のため若い隊員のみなさんとそのご家族の移住が「期待」されているそうです。最前線とされるこれらの島は有事になれば沖縄戦の二の舞となるでしょう。有事の際には人間の盾になってしまうことが懸念されています。 自衛隊員のみなさん、安心してご家族と一緒に移住できますか?

 私たちは今から20年ぐらい前にも様々なお願いのため小牧基地に伺ったことがあります。その際に広報の方は「私たちは旧日本軍とは違います」と言われました。自衛隊は民主主義的な統制のもとにあるという意味だったと思います。残念ながらその民主主義的な統制ははずれかかっています。戦争を防ぐための外交的努力もないなか、軍拡による「抑止力」だけが叫ばれています。政府が目指すのは国家安全保障戦略にも示されたように官民あげての戦争準備体制です。
 ある芸能人が「今年は新たな戦前です」と発言したことが話題になりました。私たちは新たな戦前づくりに反対です。それは自衛隊員の皆さんの願いと重なると信じています。

 基地司令
 隊員とそのご家族のためにも「安保3文書改訂」の閣議決定を白紙に戻すよう上申することをお願いします。 

2023年1月28日 不戦へのネットワーク