配偶者特別控除の廃止の先は?社会保障の個人単位化は進むのか?


2003年3月、通常国会で所得税法等の一部を改正する法律案が成立。2004年分の所得税から、配偶者特別控除のうち、配偶者控除に上乗せして適用される部分(最高38万円)を廃止することが決まりました。男女共同参画会議 影響調査専門調査会が発表した「ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度・雇用システム」に関する報告(2003年12月)では、就業に関する選択等に中立的な税制・社会保障制度として、税制の改革の方向の項目では、「配偶者控除・配偶者特別控除制度は見直す時期に来ている。」とし、具体的には、メリットを享受している人の影響に配慮しながらも、両控除については縮小、または廃止により、世帯配慮をなくすべきであるとしています。今回、実際に廃止されたのは、配偶者特別控除だけでした。年金改革とあいまって、社会保障の個人単位化は進むのでしょうか。

(2003年3月)


配偶者特別控除廃止に至る道のり (2002年9月)

政府税調は、11月中旬に2003年度の税制改正の答申をまとめる方針ですが、先に開かれた会合で、6月に出した「あるべき税制の構築に向けた基本方針」の通り、配偶者特別控除のみを廃止する方向で固まった模様です。

しかし、これについては男女共同参画会議影響調査専門調査会が4月に出した「ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度・雇用システム」に関する中間報告にもあるように、配偶者控除も廃止するべきではないのかという意見が出ています。専門調査会会長の大澤真理さん(東大・教授)は、8月30日付けの意見書を税制調査会の石会長に提出しました。

配偶者控除・配偶者特別控除の廃止は、現段階では増税になる、育児支援策を整えて、女性が働ける環境作りが先だなどの理由から、時期尚早という意見もあります。

女性政策ウォッチでは、世帯単位を軸に設計されている社会制度を、個人単位を軸にする方向を目指しています。本来ならば、個人単位課税のはずの税制に、なぜ世帯の状況を勘案した控除が必要なのでしょう。社会保障制度と併せて考えていきましょう。



 
平成14年6月
あるべき税制の構築に向けた基本方針
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/140614a.htm
(抜粋)
税制調査会
第二 個別税目の改革
  一  個人所得課税
    2. 今後の改革の方向
      (2)  諸控除の見直し
        @ 家族に関する控除

 配偶者特別控除については、配偶者の収入の増加に応じて世帯主本人の控除額が減少する仕組みがとられていることにより、パート労働者の就労調整の原因とされる世帯の税引後手取りの逆転現象は税制上解消されている。しかしながら、配偶者控除の上乗せという仕組みであるため、配偶者については世帯主本人に二つの控除が適用されることとなり、本人や、他の扶養親族に係る配慮とバランスを失することとなっている。また、男女共同参画社会の形成の観点からは、男女の社会における活動の選択に対し中立でないという指摘も多い。これらを踏まえれば、配偶者特別控除については、基本的に制度を廃止することが考えられる。なお、その際、税引後手取りの逆転現象について税制上何らかの配慮は必要であろう。


平成14 年8月30 日
税制調査会会長
            石 弘光 殿
男 女 共 同 参 画 会 議
影響調査専門調査会会長
大澤  眞理
「あるべき税制の構築に向けた基本方針」への意見


先般は、税制調査会基礎問題小委員会に出席し意見を述べさせていただく機会をいただきまして有難うございました。この度まとめられた「あるべき税制の構築に向けた基本方針」への意見を下記の通り申し述べます。
1.配偶者特別控除だけを廃止し、配偶者控除を存続させるのであれば、特定
のライフスタイルを前提とした制度であるという問題が解消されず、就業へ
の非中立性が残存するなど依然として問題は解決されません。したがって、
男女共同参画社会の形成の観点から、配偶者特別控除だけでなく、配偶者控
除も廃止されるべきと考えます。

2.ただし、配偶者控除と配偶者特別控除の廃止による国民の負担への影響を、
他の控除等の見直しの結果も勘案しつつ調整するよう配慮することが必要と
考えます。

3.なお、「家族控除(仮称)」については、扶養される配偶者という特定のラ
イフスタイルを前提としたものであることに変わりはなく、その創設は、男
女共同参画社会の形成という観点からは適切ではないと考えます。

以上



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