ストーカー法案成立こぼれ話

2000年5月、桶川の大学生ストーカー殺人事件などを受け、ついに、ストーカー行為規制法が成立した。もちろん、法律の趣旨には大賛成であるが、内容を良く読むと、本当にこれで、警察は対応してくれるのだろうか、と不安になる。
なぜなら、一番大切なストーカー被害者の当事者性があまり重要視されていないからだ。法律ができたけれども、運用するかしないかは、結局、警察の胸先三寸だ。現場の警察官が、ストーカー被害者に対し、きちんと対応するよう教育を行ってほしい。また、わたしたちも、この法律を使っていくことが必要だ。(警察庁は、この法律に先立つ1999年12月に、「女性・子どもを守る施策実施要綱」を発表し、各都道府県警察に通達を出している。
実は、一番不安なのは、この法律が、警察の行政処分の権限を大きく拡大することにある。本来ならば、アメリカのように、司法が介入する保護命令制度(言い換えれば、現行の仮処分命令に、違反した場合の刑罰を科せる制度)を導入するべきではなかっただろうか。
そもそも、非常に拙速な審議でストーカー法は成立した。むろん、困っている人には、大助かりだが、しっかりとした運用には、やはりしっかりと国会の委員会の中で審議して、運用面の確認をしたり、不備があった場合には、修正を加えたりする。普通の法案審議には、かならずヒアリングが行われる。この場合だったら、刑法学者や、ストーカー被害の経験者などから参考人質疑を行うことになる。
なぜ、審議が行われなかったかについて、国会のスタッフに話を聞くことが出来たので、以下にまとめた。
ただ、私たちは、この法律が本当に被害者のために運用されるよう、しっかりと監視していくべきだろう。

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Q: なぜストーカー行為規制法は、こんなに拙速に出来てしまったのですか?

A: ストーカー法案は、ゴールデンウィーク前に既に与党と民主党で原案通りで合意し、その後、社民、共産、参議院の会を含め、与野党のすり合わせが5月11日に行われました。野党を取りまとめるべき民主党が先に与党と合意してしまったので、いくら問題点を指摘しても暖簾に腕押し状態。他の野党が被害者の当事者性が反映されていない、警察権力の拡大に繋がる、などの問題点をいくら指摘しても、そういうところはまあいいじゃないか、と民主が言い出す始末。結局、ストーカー法案は、全会一致の委員長提案という形で、 16日に参議院の地方行政委員会で可決後、衆議院にすぐにも送られる運びとなりました。(参議院先議です)
委員長提案の場合、普通は審議なしというのが慣例ですが、45分の審議時間がかろうじて確保されました。(公明15分、共産15分、社民15分)。自民はもちろんのこと、早々と与党と妥協していた民主も質問は降りてしまいました。
しかも衆議院では既に審議しないという前提になっています。ストーカー法案で、審議時間がまとまってとれなかった背景には、与党と民主が選挙目当てで急いで作りたかったという背景があるといえるでしょう。(2000年5月15日コメント)


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