2000年、自民党の南野知恵子さんらから、参議院に男性助産士を導入する法案「保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案」が提出され、男女平等社会の実現といいながら、女性の人権が侵害されるおそれが大きいとして女性議員を中心に反対の声が高く、廃案になりました。再び、2001年の通常国会に提出しようとしていましたが、依然反対の声が強いことを受け、まずは「名称変更」だけの改正案を、2001年秋の臨時国会に提出してきました。つまり、「保健婦→保険師」「助産婦→助産師」「看護婦→看護師」「准看護婦→准看護師」とするものです。これは、男性に助産士の門戸をすぐに開くものではありませんが、この間の経緯もあり、将来的に、男性助産士を誕生させるための法案であることは間違いありません。
介護の現場では、近年、同性ケアが主流になってきています。また、セクハラやレイプを受けた場合の相談には、なるべく同性をあてるというのはもはや常識。医療の現場では、患者の権利はとかく弱く、いくら選択できる(つまり男性助産師にあたってもNOと言える権利はある)と言っても、嫌だと思っても言えない人が多いのではないでしょうか。病院によっては、助産師がひとりしかいないところ、時間帯(例えば夜間)によっても変わります。助産師の仕事は、膣の中に手を入れたり、お乳をもんだりと、直接、女性の体に触れる仕事です。産婦人科病棟にさえ、現段階では男性看護師がいない状況で、なぜ急いで男性助産師導入を進めるのでしょうか。
残念ながら、名称変更法案(保健婦助産婦看護婦法改正案)は、2002年12月6日に成立、12日に公布されてしまいましたが、将来の男性助産師導入に繋がらないよう、注目していく必要があります。ちなみに、参議院の審議において、この名称変更が、男性助産師導入につながるものではないことが確認されています。(この答弁をもって、名称変更だけなら・・・と、男性助産師には反対でも、今回の法案に賛成した議員も多かった。)
発議者 南野知恵子(自民) 清水嘉与子(自民)
沢たまき(公明) 入沢肇(保守)
賛成者 陣内孝雄(自民) 松谷蒼一郎(自民)
須藤良太郎(自民) 小山孝雄 (自民) 北岡秀二(自民) 林芳正(自民)
山本保(公明) 渡辺孝男(公明) 大森礼子(公明) 星野朋市(保守)
第一 題名の改正
保健婦助産婦看護婦法の題名を「保健師助産師看護師法」に改めること。
(保健婦助産婦看護婦法題名関係)
第二 資格に関する改正
一 保健婦及び保健士
保健婦の定義について女子に限定していることを改め、保健士に係る規定を削り、及び保健婦と保健士をあわせて「保健師」とすることとし、これにより、この法律において「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいうものとすること。 (保健婦助産婦看護婦法第二条及び第五十九条の二関係)
二 助産婦
助産婦について女子に限定していることを改め、及び「助産婦」を「助産師」とすることとし、これにより、この法律において「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする者をいうものとすること。
(保健婦助産婦看護婦法第三条関係)
三 看護婦及び看護士
看護婦の定義について女子に限定していることを改め、看護士に係る規定を削り、及び看護婦と看護士をあわせて「看護師」とすることとし、これにより、この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいうものとすること。 (保健婦助産婦看護婦法第五条並びに第六十条第一項及び第二項関係)
四 准看護婦及び准看護士
准看護婦の定義について女子に限定していることを改め、准看護士に係る規定を削り、及び准看護婦と准看護士をあわせて「准看護師」とすることとし、これにより、この法律において「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいうものとすること。
(保健婦助産婦看護婦法第六条並びに第六十条第一項及び第二項関係)
第三 保健婦助産婦看護婦法の規定中の用語等の改正
1 「保健婦」、「助産婦」、「看護婦」及び「准看護婦」を、それぞれ「保健師」、「助産師」、「看護師」及び「准看護師」に改めること。
2 「保健婦」、「助産婦」、「看護婦」又は「准看護婦」を含む用語(例 保健婦国家試験、助産婦籍、看護婦免許証、准看護婦試験委員等)について、それぞれ「保健師」、「助産師」、「看護師」又は「准看護師」を含む用語に改めること。
3 その他所要の整備を行うこと。
第四 施行期日等
一 施行期日
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
(附則第一条関係)
二 保健婦助産婦看護婦法の一部改正に伴う経過措置
保健婦若しくは保健士、助産婦、看護婦若しくは看護士又は准看護婦若しくは准看護士に係る免許、籍、受験資格その他の事項について、所要の経過措置を定めること。
(附則第二条から第八条まで及び第四十一条から第四十三条まで関係)
三 助産師の業務に係る環境の整備の促進
政府は、助産師の業務が適正かつ円滑に行われるよう、助産師に関する必要な情報が適切に提供されるとともに、助産又は保健指導を受ける者の立場に立った役務の提供が行われるために必要な環境の整備の促進に努めるものとすること。 (附則第九条関係)
四 関係法令の一部改正等